番外

の山

2025/10/12  谷川岳(ロープウェイ利用天神尾根コース) (トマの耳1963m オキの耳1977m)      

最初に言っておきます。谷川岳は山頂は群馬県の山ですが、本サイトでは半分は新潟の山ということで、新潟の山に分類しています。
申し訳ございません。

あまりに夏が暑く長くて、秋が一向に来ない2025年。
待ちかねた10月がやって来て、待ちかねた連休もやって来た。
我々の住む新潟県では、その三連休が見事なまでに天候に恵まれない三連休という予報になっていた。
これは県外に逃げる以外に手はない。
では、どこが紅葉のいい場所だろう。
一番初めに上がったのが月山である。月山には初夏の花のいい時期には登ったことがあるが、秋には一度も登ったことがない。
しかし、残念ながら山形県も新潟県に似たようなお天気だ。
どこか晴れの地域はないものか。
次に上がったのが、谷川岳。それと日光白根山。
どちらもなかなかよいお天気になりそうだった。
谷川岳は夏に一度登った時にとんでもない混雑した山頂が印象にある。
三連休であれば、きっとまたたくさんの人が登山して、大混雑になるだろう。
日光白根山は我が家からはちょっと遠い。
どちらもゴンドラ利用で、比較的楽に登山できる山ではある。
どっちにしよう。
最寄りインターが我が家から近く、さらにインターからの距離もまあまあ近い谷川岳にしよう、ということになった。
その判断。よかったのかなぁ。マズかったのかなぁ。
さて、谷川岳だが、15年前の2010年に無謀な登山をしている。(その時のレポはこちら)
一番何でもできるつもりになっていた頃で、日帰りで西黒尾根から登り、茂倉新道で下る(土樽駅に駐車して鉄路利用で土樽から土合の清水トンネルを抜けるプラン)本当にほぼ初心者にはとんでもない登山であった。
その時の谷川岳山頂の印象は、お気楽に登って来た観光客だらけの人だらけの場所、といった感じだった。
ので、きっとコープウェイ利用のコースはかなり楽なんだろうという感じが脳みそにインプットされてしまったのである。
さあ、お気楽登山で紅葉狩りよ。
すみません。ホントーーーッにすみません。
全然お気楽ではなかったです。

新潟県を出てすぐの水上インターを下りて、案内通りに谷川岳に向かう。
この時期、きっとロープウェイは混雑していて、そこに至る道も渋滞しているんじゃなかろうか、と思っていたが、ほとんど自動車は走っていなかった。
なんだ、空いているじゃん。
午前9時前に谷川岳ロープウェイに到着。
立体駐車場の4階に案内されたが、そこもガラガラ。なんだ、空いているじゃん。
いや、浅はかでした。
つまり、その下の階がいっぱいになったから4階に案内されたワケで・・・
8時45分 チケット購入後、ロープウェイに乗る。
ここでも全く待たない。
15人ほど乗れそうなキャビンに半分くらいの乗客で出発。
あ、下に滝が見えるぞ。
あれはずっと前に滝好きのオフ会で行った滝だ。
たしかハナケの滝だったと思う。
なつかしいなぁ。
9時05分 トイレに寄ったあとに山頂駅を出る。
駅前は広々とした遊べるエリアになっている。
下山時にはたくさんの人がハンモックで寝たり、バドミントンしたりして遊んでいた。
登山道は、出口を背にして右側。
安全登山の鐘などがあるほうだ。
樹林帯のなかをなだらかに登って行く。
9時28分 熊穴沢小屋1.7キロ道標。
むき出しの岩に足場が切ってあるような場所もある。
木々の間から見えるあれが谷川岳ですか?
遠いじゃないのよ。
9時25分 谷川岳山頂3.3キロ道標。
ここで天神峠のリフト乗り場に向かう道に「初心者コース」という矢印があって、我々は初心者だからそっちに向かおうとしたら、山頂はまっすぐですよと声をかけられてしまった。
危ない。あやうく観光だけして帰るところだった。
つまり、なんだね、やっぱり谷川岳に登るのは初心者じゃないってことなのね。
9時40分 遠くに紅葉しかけの山を見ながら、なぜかたくさんの人が立ち止まっている。
列をなして止まっているのだ。
ビタっと止まって動かない。
何やらトラブルか?
時々動いて、のろのろと進む。
ちょっと先が見えるあたりでも、ずっと列が続いているのが見える。
ものすごい人数が止まっている。
約20分渋滞していた。
何が原因かわからなかったが、細くて岩っぽい登りづらい場所が数か所あった。
なだらかになって、ようやく動いた。
動いたと思ったら、小屋が見えた。
10時10分 熊穴小屋
たくさん人が休憩していた。
ここからは自由に歩けるかな、と思ったら、すぐに渋滞していた。
うすうす気がついていたが、これは大人数が押しかけてしまったための渋滞なのだ。
つまり、山頂までこの渋滞は続く。
登山道全部に人がいるのである。
しかも、この事態を察知して早めに登山した人が下山してくるのにバッティングまでしてしまう。
もはやカオスである。
いや、いっそカオスのほうが早く登れる人は行ってしまえるのでマシなのかもしれない。
日本人の美徳が発揮されて、決して列を乱さない。
追い越すことをしないのである。
というより、追い越せるスペースもないのではあるけれど。
いよいよ山頂方面が見通せて、岩場がキツくなってくる。
見て、右の写真。
登山道を埋め尽くす人。
11時02分 天狗のたまり場。
この前後あたり、岩場で比較的広くなっている。
ようやく列がほどける。
体力のある人とない人によってペースが違うので、この急な岩場はむしろ列をなしていては危ない。
ちなみに私は体力のない人。
どんどん追い越してもらった。
比較的人のバラけた肩の小屋直下の登り。
いや、しかし、キツいわ、この登り。
11時36分 天神ザンゲ岩。
ここからややなだらかな登りになり、またしても人の流れが滞る。
11時46分 肩の広場。
広場といえども、斜面の途中みたいな場所。
へたりこむように休んでいる人がいた。
11時54分 肩の小屋。
小屋の周りのそれほど広くない場所に人人人。
まったく足の踏み場もないくらいである。
我々は休まずに先に進む。
12時01分 西黒尾根との分岐。
15年前はここから来たのね。
振り返ると、今日来た道が見通せる。
遠く、ロープウェイ乗り場も見える。
あまりにもトマの耳の山頂標識がごった返していたので、先に進んでオキの耳まで行ってしまうことにした。
いったん下って、さらに登るオキの耳までの行程もずっと人が埋め尽くしている。
12時28分 オキの耳到着。
記念撮影の人の隙間から山頂標識を撮影。
大事な人には大事なんだよね、山頂標識とのツーショットは。証拠写真だもんね。
トマの耳や小屋よりは多少スペースがあるので、ここの岩場で昼食。
岩場だったのでお昼を広げたら、たくさんの人が回避するルートになってしまって、まだ未開封のカップ麺を蹴とばされてしまいましたよ。
谷のほうに落ちて、回収不能に。
ごめんなさい。ゴミ(じゃないんだけど)落としてしまった。
仕方なく、もう少し通路から離れた場所に移動して昼食。
混雑、お昼食べるのも一苦労。
13時05分 下山開始。
午前中は晴れていたのに、ガスが出てきた。
下山の道は白くなっている。
13時20分 トマの耳。
さっきよりは多少人の数が少なくなっているので、山頂標識を撮影できた。
ガスで白い下山道。
13時29分 肩の小屋。
13時33分 肩の広場。
13時39分 天神ザンゲ岩。
さすがに下りは人もまばらになったかな、と思っていたら、またビタッと止まった。
14時ちょうど。
下りのほうが手こずる人が多いので、渋滞もあるだろうとは予想していたけどね。
14時16分 天狗の溜まり場。
このあたりで、列の後方から、「これは記念撮影の列ですか〜」という声がかかり、「違います〜」と応じる声が。
ふふふ、とちょっと笑えたけど、それほどうんざりする列が続いている。
花も時々ありましたよ。
まだ咲いていてくれたの、と驚いたのは、タテヤマウツボグサ。
あと、狂い咲きのアカモノ。
こちら、ツルリンドウの実と花。
と、なにやらヘリコプターの音が。
まさか、ホバリング始めたりしてね〜と、8月に小遠見山に行った時に見た救助活動を思いだす。
まさか、でしたよ。
本当に救助ヘリだった。
我々の列のずっと先、下のほうで見通せる場所に要救助者がいるらしい。
ロープをたらし、吊り下げて救助。
急な岩場を転がり落ちたのかしらん。
10分ほどの救出劇だった。
そのせいだったのか、そうでなかったのか。
結局、救助されていたらしい場所から先も人の流れの滞留は続いた。
13時11分 熊穴小屋。
ここで、群馬県水上消防所らしい一団が登って来ていた。
さっきのヘリの後始末かなぁ。
いや、会話が聞こえるぞ。
「ヘリは来るの?」
「いや、日光白根のほうが先だって」
どひゃ〜。日光白根山でもヘリの必要な救助があったのか〜。
なんか、とんでもない一日だったんだね、三連休のなか日。
この先はなだらかになるので、渋滞はしていないだろうな。
ちょっと下り辛い場所では多少の並びはあったけど、その後はゆるゆるだった。
ただ、道がぬかるんでいるので、木道かとても滑る。
私の直前に歩いていたお姉さまは、2度スっ転んだ。
私、2度とも目撃していて、2度目は手を貸して起こしてあげた。
15時43分 谷川岳山頂3.3キロ道標。
15時50分 熊穴沢小屋1.7キロ道標。
16時02分 やっとゴンドラ山頂駅に到着したけど、あらまあ、長蛇の列。
今日はこういう日だったんだわよ。
もう完全にあきらめた。
16時50分 山麓駅到着。
意外にも駐車場出口は混雑していなかった。
先払いの効果が出ている。
その後自動車は渋滞もなくスムーズに家に戻れましたとさ。

ふっ。
甘くみてましたよ、首都圏の人々の登山と紅葉に対するエネルギーを。
こんなことなら、日光白根山にしときゃあよかった、と渋滞の列に並びながら思ったけど、きっと日光白根山もそれなりに混雑していたんだろうな。
しかも、そっちでも事故があったみたいだし。
並んでいてもしっかり体力は使っているので、思った以上に疲労したし。
いつもと違う筋肉を使ったらしく、下山時にもう少しで足が攣りそうになった。
いつもは足の指が危なくなるけど、今回は膝の上側がヤバかった。岩場のせいかな。
それでも、よく晴れて綺麗な山々を見ることができた。
同じ山々をこんなにもたくさんの人たちが見ていたと思えば、大渋滞も少しはいいものに思える。
それだけ、魅力的な山、というわけである、谷川岳は。

谷川岳(ロープウェイ利用天神尾根コース)
最寄りICは、関越自動車道水上IC。国道291号線を谷川岳方面に約25分。道案内がしっかりしているので、迷うことはないが、意外にインターから遠い。
駐車場は立体駐車場。乗用車1000円先払い。
ロープウェイは15人程度が乗れるキャビン。大人往復3000円。天神平駅までは約15分。
チケット売り場ではロープウェイとリフトのセツト券3500円も売っているが、リフトは方向が違うほうに登る。リフトで登って登山道に合流することもできるが、時間的に短縮はできない。そのため、ロープウェイのみの往復が登山用である。
登りも下りも混雑時は並ぶ覚悟が必要。時間に余裕を持ったほうがよい。  谷川岳ロープウェイ
ロープウェイで楽に登山できる百名山的に紹介されることの多い谷川岳だが、思ったよりも岩場が多く、初心者では危ない箇所も随所にある。
というのに、初心者がかなり登山しているイメージが多い。
そのため、初心者が苦労して登ったり下ったりする都合上、混雑時は渋滞が発生する。
これがまた、とんでもない渋滞になる。
アクセス的にも、歩行時間的にも、思いもよらない待ち時間が発生する場合があるので、計画は余裕を持とう。
岩場も多い、岩場が苦手な人は鎖に頼らざるを得ない場所もある。
また樹林帯も長く、道がぬかるんでいる場所もある。
ゆめゆめお気楽登山と思わずに、本格的な装備で向かって欲しい。


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