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よもしろうの滝
この滝には、純愛伝説がある。
与茂四郎という炭焼きの若者が
恋人の好物のイワナを取ろうとして
誤って滝つぼに転落して死んでしまう。
それを悲しんで恋人も滝つぼに
身を投げて命を絶つ。
二人を哀れんで滝に
よもしろうの滝という名をつけた、
ということだ。



大きさ比較写真。
写真のとおり、道のすぐ脇に滝がある。
しっかりよもしろうの滝と書いた
杭も右に立っている。



滝の上部。
これより上流にも急流がある。
逆くの字に曲がって
目に見える部分になる。



流れのアップ。
岩盤は黒く、段々状になっている。
この日は雨のため流れが激しかったが
水量が少ないときでも美しい滝だと思う。




まぼろしの大滝


大きさ比較写真。
滝の右がわにダンナが立っています。
わかるかな〜。



段瀑の中ほどのアップ。
水が岩盤から離れて
飛び出している。
一部はストレートに岩盤に沿って
落ちている。



滝つぼ。
滝つぼ自体は浅い。
何段にも折れて落ちているので、
深くなることもないのだろう。
また、周囲から落石などがあり、
ゴロゴロした岩が散乱していた。


滝の右がわには、
小さな滝もあった。
緑の中にまっすぐに落ちていた。



まぼろしの大滝に行く道では、
ホタルブクロが満開だった。








ようやく撮影できた蝶々。
ミズイロオナガシジミ。
翅をひろげるとメタリックブルー。
2003/6/29 新井市の滝  その1
                    よもしろうの滝 
 (20メートル)
                      まぼろしの大滝  (40メートル)
 雨の朝
朝から空はどんよりと曇っていた。天気予報では曇りになっているが、自動車を走らせると間もなく雨が落ちてきた。前方の山は霧で上半分が見えない。雨はどんどん激しくなってくる。
滝を見に行くには最悪の天気と言える。
柏崎市に入ったところでもっとも雨が強くなり、帰ろう、ということにになった。しかし、早起きしていることもあるし、上越方面の予報は中越よりもよかったではないか。とにかく、上越地域にまで行ってみよう。と、いうわけで、吉川町の町の駅よしかわまで自動車を進めた。ここの手作りアイスは美味しい。ここでゆっくりアイスでも食べて戻るか進むか決めよう。にしても、空は重い。雨こそ降っていないが、見える山という山みんな白い霧で覆われている。よしんば、平地で雨が降らなくても、山に入れば霧で進めなくなる可能性あるのだ。しかし、すでにかなりの走行距離で上越地域にまで来てしまっている。戻るのももったいない。で、結局進むことにした。
今回の目的は新井市の滝。ここには、新潟日報事業社の『新潟の名水』にも紹介されている『よもしろうの滝』がある。それと、もう一つ。道の駅の情報パンフレットの『道の駅あらい』の紹介欄に『まぼろしの大滝』というのが名所としてあると載っていた。その存在を確かめるのも大きな目的だ。
と、いうことで、まず最初に『道の駅あらい』に立ち寄った。ここは、高速道路からも一般道からも利用できる大きな施設である。主に飲食店が数多く並んでいる。その中にあった周辺地図で確認すると、あったあった、『よもしろうの滝』と『まぼろしの大滝』どちらもしっかり書かれている。ちょうど高速道路を挟んで右と左、全然違う山の中にある。とりあえず、どちらかといえば情報量の多い『よもしろうの滝』に向かうことにした。
  落とし穴の林道
雨は小雨になっている。
この滝はライトマップルにも載っているので、行き着くことは困難ではない、はずであった。
が、とんでもない所にある滝だった。
林道の脇にあるのだと『新潟の名水』に書いてあるので、いつもの滝に向かう林道のつもりでいた。しかし、甘かった。どうして我々の滝探しは後でレポートする時に「甘かった」と書かなければならない事態になるのやら。思いつきでその日の行動を決める癖がいけないものと思われます。情報はできるだけ集めてから行くにこしたことはありません。
で、どのように甘かったかといえば、夏草である。ほんの自動車1台分の幅しかない林道の両脇から夏草が道を飲み込もうとワサワサと伸びている。このカーテンを押しのけて自動車を進めなくてはならないのだ。しかも、左がわは、崖。少しでも外れればまっ逆さま。道は時々舗装してあるが、大部分は未舗装で、水溜りや深いわだちがあちこちにある。時々退避スペースがあるのかもしれないが、もちろん草が覆っていて、そこが退避スペースなのか崖なのかさっぱり分からない。
時速15キロ以上は出せない状態である。
さらにつけ加えるなら、この林道でいいのかどうかもわからないのだ。入り口にこの先によもしろうの滝があるとは書いていない。地図を見ればたぶん間違いないだろうとは思うものの、案内がないのは不安この上ない。
やや走ると自動車が1台、こっちを向いて止まっていた。げ、すれ違いできそうもない所に止まっている。こっちだってバックして退避スペースらしき所まで戻ることができるかどうか。困っていると自動車から降りていた人が手招きする。なんとかぎりぎりすれ違えるようだ。ミラーをたたんですれ違った。ダンナがこの先に滝があるか聞いてくると言って自動車を降りた。降りたがなかなか戻ってこない。ミラーで後ろをみると、なんと、ダンナも加わって4人で自動車を持ち上げているじゃないか。あの自動車は脇によけていたんじゃなくて、わきの側溝にハマっていたのだ。なんでこんな未舗装の林道の崖じゃない側に側溝があるのだ。しかも草で隠されている。これじゃあ落とし穴じゃないの。前も後ろも見事にハマってしまった自動車を持ち上げるお手伝いをして、この先に滝があると情報をいただいた。いや、しかし、自分たちの自動車じゃなくて、本当によかった。こんな林道、通りすがりの自動車なんてめったにないではないか。
情報どおり、やや走ると滝が見えてきた。
  
渓流瀑の『よもしろうの滝』
滝は林道からすぐの所にある。黒々とした段々状の岩盤にサラサラと水が流れている。少し離れて見ると、かなり上のほうから急流の沢が落ちているのだ。ただ、夏の木々の緑にはばまれて、よく見ることができない。すべてが見通せるとしたら、20メートルという落差は最下段の分だけで、かなり遠慮がちな数字ということになるだろう。
小雨が降り続いていたし、夏草が茂っていて、滝つぼまでは近づけなかったので、ゆっくりと見ることもできなかった。この滝についての伝説は左欄に書いたが、滝つぼは深くなかった。ここに身を投げて死ねるとしたら相当泳ぎが下手である。もっとも、昔は渓谷だったというから、もう少し深い淵があったのかもしれない。
    
  
道から沢に降りて撮影。滝は、実は左右に分岐して落ちているが、右側の滝は緑に隠れていた。
  迷走する滝探し
さて、苦労して『よもしろうの滝』を見て、もう一度『道の駅あらい』に戻った。ここで昼食をとり、入手したパンフレットに書いてある『まぼろしの大滝』の場所を確認した。実におおざっぱな地図ではあるが、『光が原高原』というのを目指せばよいと書いてある。だとすれば、一度板倉町まで戻って、『光が原高原』を目指すほうが道が分かりやすい。
この判断が間違いのもと。まず、滝は『光が丘高原』の近くにはなかった。『光が原高原』の反対側の集落の近くにあった。この情報は『光が原高原』とは違う『ヨシハ池』のキャンプ場の案内板にあったもの。選択した道からその集落に行く道はあることはあるのだが、なんと、土砂崩れのために崩壊していた。仕方が無く同じ道を戻り、別の道からその下の集落を目指した。集落に着いてから、きっとこっちの道に行けば滝があるのだと見当をつけて山道を登ってみた。ずんずん登る。登ってみて、おや?と思う。なんか、見た風景だぞ。おや?は的中した。目の前に土砂崩れのため崩落した道が見えた。だー、私たちは、ぐるーっと回って同じ崩落現場のすぐ下に来たというわけだ。じゃあ、滝はどこなのよ。あとは、集落に戻って、案内板を探すか人に聞くしかない。とにかく、また戻る。戻りつつ、裏側しか見えない看板が気になり、振り返ると、あー、あった、あった、まぼろしの大滝と矢印があるじゃないかー。
この看板は新井市からこの集落に向かえば一発で分かるはずである。板倉町に戻ってから『光が原高原』を目指したのが大失敗だったというわけだ。

    
  
崩落した道。ちゃんと通行止めと出ていたが、自動車が通ったあとがあったので、進入してみた。
   右は、おや?と思った風景。とほほ。
  これがまぼろしか
と、いうことで、いらない時間を無駄に消費してしまって、ようやくまぼろしの大滝の駐車場に着いた。何が幻だろう。よっぽど『よもしろうの滝』よりわかりやすく、あちこちに案内板が出ていた。駐車場まである。それもそのはずで、地図にも載っていない滝だというのでテレビで紹介されて有名になったことがあったのだそうだ。そのせいかどうか、滝までの道は自動車も通れるくらいに立派なものだった。さすがに進入禁止になっているので、我々は徒歩で行ったが、自動車で向かった人もいるらしい。駐車場から1キロ。すると滝見台に出る。下の方に滝が見える。が、遠い。滝見台からさらに降りる道もある。ここも、無理をすれば自動車で行けるくらいの広さだ。現にわだちもある。が、しばらく通る人もいないのか、夏草に覆われていた。500メートルくらい坂を下りて滝つぼに出た。
うーん。なんだか、すがすがしくない滝である。何がそう思わせるのか、とにかく、マイナスイオンを全く感じない滝なのだ。落差40メートルと紹介されているが、そんな感じはしない。むき出しになった粘土層の岩盤が滝というよりは、下水を連想する色をしているのがいけないのだろうか。ちっとも綺麗じゃない。ゴミがあるわけでも、水が濁っているわけでもないのだが。人里はなれた40メートル級の滝を見て綺麗じゃないなぁと感じたのは初めてだった。
それにしても、テレビで有名になったおかげで、10年前に遊歩道を整備して、立て看板なども設置したのだろうが、その熱気はまったくなくなっていた。たぶん、山菜採り以外訪れる人もないのだろう。草は生え放題、看板も崩れていた。有名になる以前はきっと一部の猟師くらいしか知らない滝だったのだろうが、人をひきつけるものがないから地図にも載らずにほったらかされていたのだと思う。この滝は、だれにも知られずに山の中に落ちていたほうがよかったのじゃないか、という気にさえなった。

  
  
  なぜか駐車場のトイレの裏に片付けられていた看板。右は滝見台から見た『まぼろしの大滝』
  

  さらに上から見た滝。とにかく草が多い。
交通
『道の駅あらい』 国道18号線を上越市から長野方面に向かう。並走する上信越道の上越高田ICと中郷ICのちょうど中間地点が新井PAなのだが、このPAと『道の駅あらい』は同一のものである。国道を走って行くと、とても大きな看板が出ているので、見落とすことはない。

『よもしろうの滝』 『みちの駅あらい』を長野方面に向けて出発。すぐに「長森」という交差点に出る。ここを右折。これが県道428号である。ARAIマウンテン&スノーパークへの道しるべも出ている。途中まではこのARAIマウンテン&スノーパークをめざせばよい。やや走って、正面にARAIマウンテン&スノーパークの看板がでかでかと出ているT字になる。ここは、ARAIマウンテン&スノーパークとは逆の方向、右側に進む。ARAIマウンテン&スノーパークの大きな看板の下に万内川砂防公園の文字があるはずだ。その万内川砂防公園をめざせばよい。右折して道なりに進むと集落を通り越して万内川砂防公園に出る。その駐車場の直前の道を左折する。下の写真@の右が公園、左が川沿いを行く林道への入り口である。実は集落の中がわから林道に合流する道もあるのだが、どこが道だか民家の庭だか分かりづらい。この公園の直前の道を行くのが一番迷わないだろう。やや走ると写真Aの分岐になる。ここはどちらへ行っても最終的には林道に通じる。が、右の川沿いの道はいくつか川に下る道が分かれていて、運がわるいと逆戻りしなくてはならない可能性もある。左のアスファルトの道こそ林道なのだが、すぐに未舗装になる。道の荒れ方はものすごい。川沿いの道よりも遠回りになる。が、迷わずに林道に直結する道でもある。あとは、たとえ植物がとおせんぼしようと、水溜りがぼっこり開いていようと、がんばって山を登ろう。ただし、植物が旺盛な季節は路肩がわかりづらいので、充分に注意すること。運が悪く対向車が来た場合を考えて、常に退避スペースを頭に入れつつ進むとよい。しかし、すれ違いの時は、路肩なのか植物なのか全くわからないので、必ずしつこいくらい確認して端に寄ること。時速15キロで30分以上かかって滝は見える。見落とすことはまずないので、心配せずに登って行こう。滝をすぎたカーブがやや広くなっているので、そこでなら楽にUターンできる。
  写真@

  写真A
『まぼろしの大滝』 『道の駅あらい』に地図がある。また、そこにあるパンフレットにも滝の場所が記されている。しかし、どちらもおおざっぱな地図で、それを信じて行くととんでもないことになる。
まず、道の駅あらいから上越方面に戻る方向に進み、すぐの信号で右折する。やや進み、信越本線をくぐってすぐに国道292号線に出る。ここで右折。しばらく進んで「除戸」という交差点で左折。県道455に入る。(実はこの道は私たちは実際には走っていない。県道254号を利用したのだ。おかげで、とんでもない回り道をした)県道455の終点が上小沢の集落である。注意して走ると、写真Bの雑貨店と『大滝荘』の看板が見える。その近くにまぼろしの大滝の道しるべもあるはずだ。この雑貨店の手前の道へと右折する。あとは道なりに進めば、この道の終点の右側に駐車場がある。写真Cの青い矢印が駐車場。赤い矢印が滝への道である。まっすぐは、林道になっているらしい。この分かれ道に滝への矢印の看板があるが、すでに壊れていて、いつなくなるか分からない状態だった。
滝見台へは、ここから1キロ。最初、ややきつい登りだが、あとはなだらかで、コンクリート舗装されたよい道が続く。半分くらいから未舗装になるが、なだらかなのには変わりない。
滝見台から滝つぼまでも道がついているが、草ぼうぼうである。500メートルほど下ると滝つぼまで行ける。
  写真B

  写真C

ちなみに、板倉町の『光が原高原』から林道を通って『よし八池』をへて、上小沢集落に出る道もあることはある。。が、土砂崩れのため崩落して通ることができない。まちがっても、パンフレットを信じて「光が原高原」を目指してはいけない。滝と高原はまったく違う場所にある。高原や「よし八池」のほうがずっと山奥にある。
    

新井市の滝その2へ

2012年10月6日  まぼろしの大滝
滝めぐり初期の滝たちは鮮明なデジタル画像がないので、それを拾い集めることにして、今回は旧新井市の滝をめぐることにした。
一度訪問しているので、行けばわかるだろう、と甘い考えで行って、結局「よもしろうの滝」については、万内川砂防公園から先の林道が工事中で行くことができず、「まぼろしの大滝」については、なんと、初訪の時とそっくり同じく光が原高原経由でウロウロ迷って到着した。うーむ、9年たっても成長しないでいる私たちって、いったい・・・。
  
いや〜、ススキがきれいでした、光ケ原高原。
結局、光ケ原高原のビジターンターで地図を入手してなんとか行きつくことができた。自分のレポの交通案内くらいちゃんと読んで来いよぉ〜。
ま、途中で「ぶな清水」という湧水を発見したのは、迷った分の収穫である。
  
ゑしんの里やすらぎ荘から久々野峠に向かって登って行く途中にあります。
さて、まぼろしの大滝。初訪の時のレポの写真Cの場所に立派なイラスト看板が立っていた。
  
    
9年もたっているので、完全に行程を忘れていて、入り口の標柱に書かれた滝まで徒歩40分の文字にそんなに歩いたっけ、と疑問符だらけで歩き出す。
ちなみに、駐車場の看板には滝まで徒歩20分と書いてある。いくらなんでも差がありすぎだろう〜。
大滝までの遊歩道は車両通行止めだが、途中、昔のコンクリート舗装の部分をはがして、新しく道を作り直している部分もあった。もしかしたら、遠い未来にはちゃんと自動車が行けるようにするのかもしれない。
だが、その先には崩れたような場所もあり、斜めの地層がむき出しになっている場所もあった。自動車が通れなくもない遊歩道だが、すれ違いは難しいので無理はやめたほうがいい。
途中途中にあと何分という道しるべもあって、完全に打ち捨てられた遊歩道、というわけではない感じがする。
  
  
ただし、ちゃんと道のついている場所まではなんとか整備された感じだったが、あと10分の道標の場所まで来るとその先は草ぼうぼう。とにかく、ものすごい草。
あと10分の場所からは上写真のようにしか滝は見えないので、草ぼうぼうをかき分けて下って行く必要がある。
  
    
想定していたよりは水量があったが、初訪よりも水は少な目。おしとやかな滝になった。
結局我々の足で30分で滝前に到着した。
この遊歩道は滝もいいのだが、途中で見られる棚田の向こうに妙高山が見える風景が絶品である。この日は曇っていて、カメラで妙高山をとらえることができなかったが、晴れた日は絶景だろう。
夏草の茂る前の春先がオススメの滝かもしれない。



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