番外

 近県の山

2012/7/14(土)  磐梯山 標高1816.3m  
毎年、7月の海の日の連休はどこか長く歩く山に登ることにしている。日の入りが遅いし、三連休になることが多い。体力も十分ついているし、花も豊富だ。ところが、今年はとにかく体力が追いついていなかった。
なんだかよくわからないが、今年は私の体調がすぐれない。どこがどうというワケでもないのだが、疲れがついて離れず、登山に対するモチベーションが上がらないでいた。
と、いうことで、花があって、登山時間の短い山を探していたのだが、この時期はまた梅雨の時期でもある。週間予報では週末土曜日はコロコロと変わって、しまいに全国的に雨になってしまった。
実は三連休の後半二日、所用のためダンナがいない。山に登るのは初日しかないのである。
とりあえず前日までに候補を上越国境、信越国境、福島、山形、と4パターン上げて、金曜日の天気予報で一番雨の確率の低い場所に行くことにした。
で、金曜日、天気予報はどこもかしこも似たりよったり。ただ、県内の上越国境、信越国境は雨のパーセンテージが高い。逃げるなら北だ。となると、山形方面になるが、候補の月山は昨年行ったし、であれば、似たりよったりの福島でいいんじゃないか。会津磐梯山であれば、2時間ほどで登れるルートがある。高速の距離は伸びるが、月山よりはかなり近い。早起きもしなくていい。よし、磐梯山にしよう。
磐梯山なら、百名山に登ったという満足感と、固有種のバンダイクワガタという花を探すという楽しみもある。
すったもんだの末に、今年の海の日の連休の山(笑)は磐梯山に決定した。
        (写真が多いためにサイズを小さくしています。花の写真は、ダンナのサイトからご覧いただけます。)
いつも会社に行くくらいの時間に起床、7時過ぎに家を出発して、9時半にはゴールドラインの途中にある八方台駐車場に到着。
実は新潟県内はずっとほぼ土砂降りの雨で、こりゃ登山は諦めなきゃならないかと思っていたが、駐車場では霧雨になっていた。たくさんの登山者が登るつもりで仕度をしている。
これくらいなら登るか。
登山決行。仕度をして、道の向こう側の登山道に入る。
9時50分 登山開始。
ちなみに、駐車場にバスが2台いて、高知ナンバーなのに仰天した。こ、高知からの登山ツアー?
道幅は広く、ゴロゴロした石がなければ軽トラくらいなら通れそうな感じだ。
しかし、時折激しいぬかるみがある。
飛び石が置かれている場所もあるのだが、ぬかるみの途中で飛び石がなくなっていたりして、靴が泥に埋まるのを回避するのは難しい。
10時15分 最初の道標。磐梯山頂とだけ書いてある。
その道標からちょっとだけ進むといきなり視界が開けて、なんであんな場所に民家が?と目を疑うような廃屋が広場の向こう側の高台に見える。
廃業したらしい中の湯である。
けっこう大きな廃屋で、近づいてみると、足湯ですと書かれた場所が。右写真のとおり足をつけられるようになっていて、白濁した水の下からボコボコ泡が湧いて出ている。
ものすごく熱そうな雰囲気だが、手を入れてみたら水だった。
とにかくイオウ臭がひどい。
登山道の周辺の水たまりでもあちこちでボコボコとガスが発生している。どう考えても人体に悪い影響を与えるガスなので、休憩などはせずに早々に出発。
しかし、ここで我々より先に出発した子供ばかり10人くらいをひきつれた家族づれが直前を先行することになる。
いや〜、子供、テンション高い高い。
キャーキャー騒ぎながら登って行く。
かなり賑やかな登山になってしまった。
左手に中の湯の廃屋を見ながら登ると、木道に。それほど長くなく、すぐにぬかるみの道になる。
10時23分 裏磐梯のコースとの合流点。登山口まで4.6キロだそうだ。な、長い。
その先、大きな岩が積み重なったような道になる。
ガッツで登る。
登る。とにかく登る。
急登は弘法清水から山頂までにあるというのは事前に知っていたが、ここにもあるじゃないか、急登ぉ〜。
ところが、先行する子供たちにいっこうに追いつかない。子供たち、めちゃくちゃ早い。
時々左側の木々が途切れて見渡せるらしい場所に出るのだが、霧でほとんど見えず。
右はちょろっとだけ見えた風景。手前に沼っぽい光と、ずっと奥にたぶん檜原湖だろうものも見えたが、なにせ霧。さっぱりわからない。
切れ落ちが左から右になる。
右側にはトラロープを何本か渡して柵にしてある。
長い下りが続いてちょっとイラっとする。
このあたりで、子供たちの保護者を追い越すが、子供たちはかなり先に行ってしまっている。
子供たちはリーダーの小学校中学年くらいの男の子が3歳くらいの女の子の面倒をしっかり見ていて、登れないくらいの段差は抱き上げて登らせてあげている。
そのリーダー格が、よし休憩だ、とみんなを休ませているあたりで追い越した。
11時14分 お花畑を経由して弘法清水に行くルートをそのまま弘法清水に行くルートの分岐点。
我々は花が目的なのでお花畑を目指す。
すぐ後ろを賑やかに登って来た子供たちはお花畑には立ち寄らないようだ。
すぐに静かになった。
右:お花畑にたくさん咲いていたグンナイフウロ。
お花畑の様子は霧が濃すぎてさっぱりわからない。
木で柵をしてあって、植生保護のために立ち入らないようされている。
我々はバンダイクワガタを探しつつ、ゆっくり歩く。
あ、あった〜っ。ち、ちっちゃい〜っ。
あらかじめどんな花なのか調べておかないと、絶対に見落とす。
ただ、時期としては少し遅いらしくて、咲き残りのような感じだ。

左:コウリンタンポポ
中:グンナイフユロ
右:ホツツジ
やはりバンダイクワガタを探しに来た人が見つけられないでいたので、向こうに少しだけ咲いていたと教えてあげたりして、ゆっくりとお花畑を通過。
11時36分 猪苗代登山口や渋谷登山口からのコースとの合流点。山頂までは0.6キロだそうだ。
そこから先がガレた感じの結構な登りになる。
先が霧で見えなくて、いつまでこの登りが続くんだろうと思っていると、霧の中に建物が見えた。弘法清水小屋だ。
11時35分 弘法清水。
小屋はもう一軒あり、その前に湧水の弘法清水があった。
子供たちがきゃあきゃあ言って、飲んでいる。
その子供たちを追い越して、最後の登りに入る。
山地図に山頂直下が急登だと書いてあったが、確かに根性で登らなければならない箇所がいくつもあった。
しかも、だらだら長い。
さらには霧で眺望もない。湿度が高いので、汗だらだら。
左手が切れ落ちて、ちょっと開けた場所になった。ここいらあたりでウスユキソウやハクサンチドリを見つけられた。
何の案内もなく、右と左に道が分かれている場所があり、先行者の後についていったら、どうも男坂的な急なほうに進んだらいし。
突然ブッシュが途切れ、瓦礫が山積みされているような風景になった。
どうも山頂らしいぞ。
とにかく先行者に続いて登る。
右:シャクナゲも少し咲いていた
あ、瓦礫の間に三角点。
あっ、瓦礫に埋もれて磐梯明神。
間違いなく山頂だ。
12時ちょうど、山頂到着。
それにつけても風が強い。とにかく風を避けられる場所で昼食にしようと思ってそっちに行ったら、おばちゃんがティッシュを持ってブッシュの中に。げ、風下ってば、トイレかしら〜。
慌てて風上に逃げる。
右:バンダイクワガタ。ほんのちょっとだけ咲いていた。
風上に逃げたら、なんとびっくりお土産を売っている小屋があった。脇に磐梯山頂1819Mとある。
そうなんですよ、私、小学校の修学旅行の時にバスガイドさんが磐梯山の標高を「娘18数えで19、1819メートルです」と教えてくれたので、そのまんま覚えていたのに、山地図では1816.3Mになっていておかしいと思っていたのよ。
あとで調べてみたら、三角点が浸食されて消失したので、2010年に計測しなおしたら1816.3になったそうだ。
そんなわけで、山頂にも2010年以前の1819メートルの看板があるのである。
山頂はとにかく風が強く、風上に行ったもんだから、さらに風あたりが強くなってしまった。
歯のねも合わないくらいの状態になってきたので、たくさん人がいたが構わずに着替えた。ついでに敷物のビニールを半身に巻いて風をしのいで昼食を終えた。
山頂の瓦礫の間からバンダイクワガタがチョコチョコっと顔を出して咲いていた。
実はお花畑よりたくさん咲いていたが、こんな状況じゃあ、登山者のお尻の下になっていてもおかしくないなぁ。
12時45分 下山開始。
小屋の前から登山道に戻る。あの分岐の女坂のほうだ。左手の男坂のほうは、いきなり瓦礫の山に出るので、急な登りになるのだ。お土産小屋は瓦礫の山の下にあるのだ。
13時13分 弘法清水。風を避けて小屋でお昼にしていた子供たちを追い越す。
13時18分 猪苗代登山コースとの分岐。
お花畑を経て、13時28分 弘法清水との分岐。
14時12分  裏磐梯登山コースとの分岐。
14時14分  中の湯跡
14時40分  駐車場到着。ご苦労様でした。

我々本来の趣味である滝めぐりをしていると、会津磐梯山はとにかくよく周辺をめぐる山になる。
いずれは登らなくちゃな、と思っていたのだが、この磐梯山、新潟から高速で会津盆地に入るたび、常に雲の中で姿を見せてくれないでいた。今回も全く姿がなく、登山しても霧の中。山頂での眺望は皆無。実は磐梯山ってば、山頂は異空間にあるんじゃないのか、とまで思わせてくれる山である。
なにはともあれ、私にとっては、小学校の修学旅行からずっと身近に感じてきた磐梯山に登ることができた。
梅雨のさなか、霧にはたたられたが、雨にぬれることもなく登ることができたし、バンダイクワガタも見ることができた。
これはこれで満足できた登山になった。

磐梯山(八方台登山口) 
最寄ICは、磐越自動車道磐梯河東IC。インターを下りると、きちんとゴールドラインへの道案内があるので、それに沿って進めばよい。2012年無料開放中のゴールドラインに入ってどんどんと標高を上げ、滑滝、とび滝のPを通り越して八方台Pに駐車。八方台Pはかなり大きく、トイレや休憩所もあるのでまず見落とすことはない。
磐梯山の登山口は、道路を渡ってすぐである。
登山道はとてもよく整備されているが、我々の行った梅雨時期は随所にぬかるみがあり、スパッツがありがたかった。鎖場はないが、数か所手を使って登ったほうがよい場所がある。


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