番外

 近県の山

2013/6/22(土)  四阿山 標高2354m  
四阿山、と書いて、山好きでない人が素直に読めるだろうか。あずまやさん、と読みます。
この山の存在を知ったのは、実はつい昨年だ。昨年の夏、重い夏風邪をひいて、登山を断念。滝めぐりがてらふらふらと高原にドライブに来て菅平高原の観光協会でパンフレットを手にとった。
へえ、変な漢字の山がある。おお、百名山じゃないか。となりには花の百名山の根子岳というのもあるぞ。花の季節に登りたいねぇ。
すみません、永遠の山初心者のため、山に対する知識なんてのはこんなもんです。
そんなこんなで翌年、新潟県に例年より遅い梅雨が来た。
今年はカレンダーのめぐりが悪くて、土曜のお休みが少ない花の季節、その中の貴重な土曜休みもなんだかワケのわからない空模様だった。台風崩れの低気圧が影響して、不安定なお天気になっている。
前日、とにかくどちらかといえば雨の確率の低そうな方向に登山に行くことに決めた。せっかくなら昨年登ってみたいと思った四阿山はどうだろう。根子岳と合わせて周回できるコースもあるし。きっと花も綺麗だろう。
ネットで調べてみたら、レンゲツツジが咲いている時期らしいし。よし、決定。
朝4時半に起床、6時過ぎに出発。自宅前の道路は濡れている程度で、回復傾向の天気予報を信じつつ高速道路に乗る。
しかし、回復って本当なのか、といった具合に柏崎近辺や上越近辺では土砂降りの雨。おいおいおいおい。
長野県に入っても雨はやまず、たぶんあっちが四阿山、という方向の山の上は雲の中。
ところが、高速道路を下りて、菅平高原に向かう峠道あたりからなんと晴れ間が見えた。おお、神は我々を見捨てていないぞ。
        (写真が多いためにサイズを小さくしています。花の写真は、ダンナのサイトからご覧いただけます。)
8時40分頃、菅平牧場に到着。つつじ祭りののぼりがあちこちに立っていて、駐車場のはるか手前で一人200円の利用料を徴収される。
駐車場は第一が満車。バスも止まっている。
すぐ隣の第二に入れてトイレに行ったりして身支度。
牧場の緑に赤いレンゲツツジが綺麗に見える。
おお、牛が駆けて来るぞ。雄大だなぁ。
8時55分 登山開始。
我々は四阿山から根子岳に向かうつもりなので、まず牧場内の舗装された道を歩く。
9時ちょうど 舗装道路をはずれて、登山道に。
登山道は牧場のふちを周るようにゆるやかに登っている。
ややぬかるんでいるのは、ついさっきまで雨が降っていたせいか。
いきなりうわっという感じでレンゲツツジが迎えてくれる。
木々からは春セミの涼しげな声が聞こえる。
「あずま」とだけ書かれた道しるべに「あずまやだろ〜っ」と突っ込みを入れながら歩く。
右手に沢の音がしたと思ったらやや下り、沢を丸木を組んだ橋で渡る。  9時15分
前を歩いていた大団体さんが休憩中で、我々を先に行かせてくれた。
少し登ると林道だったらしい道に出る。右に曲がる感じで歩いて行く。道幅が広く、とにかくたくさんレンゲツツジが咲いている。
さらに、群生といっていいくらいベニバナイチヤクソウが咲いていて、ちょっとびっくり。
9時23分 林道を離れて、登山道へと左折。
この先、ずっとゆるゆると登って行くのだが、両側レンゲツツジだらけ。
どこまで行ってもレンゲツツジ。
とにかくレンゲツツジ。
ものすごいったらない。
なんだか公園の中を散策しているような気分になる。
これが何の手入れもされずに自生しているなんて、本当にすごい。
すごいすごいと言いながら知らず知らずのうちに標高を上げている。
前方にかなりの団体さんが休憩中。
道を譲ってくれるので急いで通りすぎたら、どうやらそこが1917mの小四阿だったらしい。  10時10分。
左の道標は帰りに撮ったもの。
小四阿を通り過ぎるとちょっとした岩場。午の背といった感じになる。
このあたりから、高山らしい感じになるが、まだチラホラとレンゲツツジの赤い花が咲いていたりする。
ちょっと進むと前方にピークが見える。
よく分からずに見ていたが、たぶん右側が四阿山、左側が根子岳だ。2つの山の間のくぼんだ場所は大隙間と言って、山地図によれば徒歩1時間40分かかるらしい。
10時40分 四阿高原との分岐。
感覚的にはここで左折する感じで登る。
ここを通り過ぎるとまたがらっと風景が変わる。
ガレた感じの高い樹木のない風景だ。
植生保護のためかロープが張ってある。
ロープの内側の土と石がむき出しになっている場所を歩くが、けっこう幅が広く、どこでも勝手にルートを選んで、という感じだ。
ガレた斜面を登りつめるとケルンがあった。
ガスってきて、先がよく見通せないが、どうやらまだまだ先があるようだ。いったん下るらしい。
下る前に冷たいゼリーで小休止した。
目の前に小高い岩の塊があり、登山道を示す矢印はその下を通るようになっていた。
どうもその岩の塊こそ中四阿らしい。  11時ちょうど。
中四阿を迂回して通り過ぎると、道標があった。
四阿山まで1.7キロだそうだ。と、遠い。
見ると左手に山が。根子岳だな〜。あっちまで行けるかなぁ。
いったん下って、がさっとえぐれて土砂がむき出しになったような場所に行く。
四阿山までのルートが一望できる。
えぐれた場所の一番鞍部に道標。  11時05分。
道はおおむね大きな石の積み重なったようなものだ。
いったん下ったあとなので、登るのがけっこうつらい。
少し登るとじめっとした樹林の中に入る。日陰になるのがなぐさめだ。
11時30分。 少し広い感じの場所に出た。
四阿高原に向かう道の分岐らしい。
11時45分 根子岳への分岐。
このあたりで私の疲労が思っている以上であることが判明。なんか、目の焦点が合わないというおかしな現象が出てきている。
根子岳から四阿山に向かうパーティーがとても賑やかにやって来たので追い越してもらう。
足の疲労はそれほどではないが、呼吸が荒くなっているのが自分でもわかる。
だましだまし歩いて行くと、目の前に木道が。11時55分。
これがまた、まったく補修されていないような木の階段で途中に傾いたりガタガタしていたりする。ちょっと怖い。
だが、それほど長くなく階段は終わる。
本当に呼吸が荒くなって、マズいなぁと思っていたら、ようやく頂上らしい建物が。
12時05分。山頂。
最初の建物の奥にさらに建物。どちらも神社らしい。
風の当たる方向に石積みがされていて、風よけになっている。
我々は奥の建物のさらに奥にスペースがあったのでそこで荷物をおろして昼食。
ところがそこはめちゃくちゃ風あたりが強くて、寒いったらありゃしない。
速攻で着替えて、トレーナーも着込んで厚着した。
山頂の眺望はガスが途切れると見える程度だ。
たぶん田代湖じゃないかな〜という水のきらめきが見えた。
山頂にはたくさん人がいて、わりとスペースがあるにも関わらず満員状態。我々を追い越させてくれた大団体さんも到着して、足の踏み場もないくらいになってしまった。
昼食休憩しても疲労感が収まらず、寒さも手伝って、とても根子岳に行く気力がなくなってしまった。
来た道をそのまま戻ることにした。
12時40分 下山開始。
木道の分岐が鳥居峠に行く道だと分かった。そっちに向かって下山する人もいたけど、鳥居峠7.2キロと書かれてあった。遠い〜。
13時ちょうど 根子岳分岐。
13時08分 四阿高原分岐(上)。
13時30分 えぐれた鞍部。
13時35分 中四阿。
13時50分 四阿高原分岐(下)。
14時15分 小四阿。
14時53分 林道。
15時02分 渡渉点。
渡渉点で行きに気がつかなかったクリンソウが咲いているのを発見。
へとへとになっていたが、なんだか元気づけられた感じだ。
15時08分 牧場の端っこの柵が見えた。
15時17分 舗装道路。
15時25分 駐車スペース到着。
いや〜、なんだろう、この疲労感。気持ちのいい山だったけど、体調が悪かったかしらん。
すっかり着替えて、売店でソフトクリームを食べてから帰路についた。

実は、四阿山に登ると決めたあとで今はレンゲツツジの季節だと知った。普通逆だろ〜。というワケでなんだかとてもお得な感じで花の山を登ることができた。花は本当に多くて、飽きることがない。花の百名山である根子岳のほうには行けなかったけど、双子みたいな山なのできっと同じくらいの花は見られたんじゃなかろうか。本当に意図していたわけではないが、一番いい季節に登れたのだと思う。
ところで、あとでダンナが調べてくれたのだが、ツツジ科の花の蜜には毒があるそうで、それだから牛が食べずに牧場で残っているのだそうだ。ホント、不自然に赤い塊が牧草の中にあったもの。子供が戯れでツツジの蜜を吸ったりするのはあまりよくないそうですぞ。
実は百選の滝の米子大瀑布の片方、権現滝の水はこの四阿山から流れ出ているもので、名前も知りませんでした、というのは滝好きとしてはあるまじきことだったというのは、登ったあとに山地図やらパンフレットやらをよくよく読んでわかったことでしたとさ。とほほ。

四阿山(中尾根コース) 
最寄ICは、我々は新潟からなので、上信越自動車道須坂長野東IC。県道58号経由で国道406号に出て南下。ずんずん標高を稼いで、菅平高原へ向かう。高原に着くとちょっとだけ込み入るが、菅平牧場を目指せばよい。道の端々に「菅平牧場」とか「四阿山」とか道標があるので迷わないと思う。
登山口は菅平牧場内にあり、牧場に入るのに1人200円の協力金が必要だ。
登山道はおおむねゆるやかで危険な場所はほとんどない。鎖場などもない。標高1500メートル以上から登り始めるので涼しいし、花もたくさん咲いているので、我々のような山初心者にはうってつけの山だと思う。


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