番外

近県の山

2014/6/28  雄国沼 (1000m)   
相変わらず梅雨空の6月最後の土曜日。平日はよく晴れるのに、週末は雨模様という皮肉なお天気のサイクルになっている。
天気予報はどこもかしこも雨マークで、とりあえず北に逃げれば雲からは遠ざかれるか、という感じだった。
では、どこに行こう。どうせならこの時期、花のいい場所がいい。
つらつらと地図を見ながら探し当てたのは、雄国沼だった。
いや、実はこの有名な特別天然記念物の場所を私は全く知らなかった。なんかわからないけど、1時間くらい歩けば湿原に行けるんだって、くらいである。
1時間なら雨っぽくても歩けるかしらん。湿原なら花、多いだろうし。
それくらいの気持ちでとりたてて早起きするでもなく起きて、普通に会社に行く時間に自宅を出発して福島に向かった。
一昨年磐梯山に登った八方台の駐車場まで来ると、あら、満車。一つ手前の駐車場まで自動車があふれている。
雨になりそうな予報なのに、磐梯山は人気があるなぁ。
と、ここでものんきな私だ。
9時半 雄子沢登山口到着。ってか、その少し前から路肩に駐車している自動車が目立ちはじめて、おや〜?これは、もしかして、私たち駐車場難民〜?と怖くなってくる。わわわわわ〜ずっと路肩は自動車だらけ。
うそ〜ん。雄国沼ってば、そんなに人気だったのぉ〜?
知らないとは恐ろしいことである。
大人気のキスゲの季節、一番近い峠はマイカー規制で入れずに片道500円也のバスを利用するしかない。
しかし、この雄子沢口からなら1時間半で沼まで行ける。そりゃ自動車もあふれるワケである。
どうしよう、とどんどん登山口に近づいて行ったら、おおおおおーーーー、ちょうど1台分、登山口のすぐ近くに空きがあった。たぶん早朝に出て戻って来た人が自動車を出した直後だったのだろう。すぽっとそこに入ることができた。
左側の登山口を通り過ぎてちょっと歩くと正規の駐車場。
仮設のトイレがあるので、それを利用してから、出発準備。
駐車場の向こう側の道もずーーーーっと路肩に自動車がとまっていた。
そうか、八方台の駐車場が満車だったのは、磐梯山ではなく、猫魔岳を経由して雄国沼まで行く人も多かったせいだったのか。と、ここに至って気づく。
9時38分 登山開始。
登山道は、最初の入り口だけガツッと登る。
せせらぎ探勝路という名前がついているので、てっきり沢の脇を通る道かとおもいきや、せせらぎなんか聞こえない道である。
時々、左手の林の奥から水の音がするのだが、沢は見えない。
9時52分 雄国休憩舎まで2.5キロ。
とにかく人が多く、ゆっくり歩く高齢の人たちの団体さんを追い越すのに手間取ったり、せっかく追い越させてくれた団体さんが近づいてくるので、ゆっくり植物の写真を撮れなかったりする。
道は、ごくごくなだらかな登りだ。
ときどき小さな沢をまたぐこともある。
登山道というより、やっぱり遊歩道というのが当たり。
幅が広くて、すれ違いにちっとも困らない。
10時15分 雄国休憩舎まで1.5キロ。
なんか、前方に人混みが。
大人数の団体さんが休憩してたり、それを追い越そうとしている団体さんがいたり、ごちゃっとしている。
ホントにここは裏磐梯だろうか。
我々もその人混みをかきわけて、先に行かせてもらう。
10時35分 木道が現れる。
とはいえ、この木道、無い方が歩きやすいような場所にある。どうやら、ぬかるむ時もあるらしく、その時には役に立つ木道のようだ。
10時37分 パノラマコース分岐。
雄国岳を経由して沼に至るコースとの合流点。
このイラスト看板を右に見て、左折する感じで道は続いている。
左折してややすると、小さな沢を小さな橋で渡る。右手の沢の上流には、どうも水場らしい場所があった。
と思ったら、すぐに小屋が出てきた。雄国休憩舎だ。
10時42分 休憩舎到着。
あの水場は、小屋があるためか。
雄国休憩舎はかなり大きなログハウスで、中にも外にも人があふれていた。
小屋の前は芝生の広場になっていて、まるで公園みたいだ。
管理者らしい軽トラックまでとまっていて、歩いて来たのが嘘みたいだ。
見ると、ずっと先に雄国沼の水の光が見えた。
ただ、雲が厚くたれこめていて、今にも降り出しそうだ。
急いで沼まで行かないと、雨で写真撮影もままならないかもしれない。
しかし、あまりにもあっけらかんとした休憩舎前の広場で、どっちに行くのがルートなのかよくわからない。
山地図を広げると、小屋を背にして、右側に行くのが沼。
左手から小屋に来ている道は、猫魔岳から下って来る道らしい。
そちらからもぞくぞくと人が来る。すごいなぁ。
ちなみに、われわれが来た雄子沢コースと雄国岳コースは小屋の裏側に出る。
10時45分 休憩舎出発。
よく見たら、広場の端っこにちゃんと道しるべがあった。
休憩舎まで来たらほぼゴールだと思っていたが、そこから先もけっこう長かった。
完全に自動車も通れるくらいの広い道になる。
途中、木々の間から沼が垣間見られ、黄色いキスゲの絨毯が見えた。
10時56分 分岐。まっすぐ林道がわに行くと、バスの来る金沢峠になる。
我々は沼の湿原に行くので、左側の階段を下る。
広くてゆるやかな階段状の道を下ったり登ったりしながら、ようやく沼の端っこに出る。
キスゲがすぐ近くに咲いていて、つい撮影に立ち止まる。
11時06分 湿原入り口。
湿原内は木道がきっちりとつけられていて、ぐるっと回ることができるが、一方通行である。逆走はできない。
しかし、湿原に入るなり、うわ〜っと声が上がる。
とにかく黄色い。
遠くに行けば行くほど密度が増しているように黄色が濃くなる。
全部ニッコウキスゲだ。
ときおり、ワタスゲが白いぽわぽわした姿を見せている。
それにつけても、ニッコウキスゲ、よくもまあこんなにたくさん集まって咲いているものだ。
湿原にはほかの花も咲いているのだが、キスゲが多すぎて目立たない。
リンドウの仲間やアヤメの仲間もたくさん咲いていたのよ。
木道は時々広くなっている場所があって、そこで昼食にしている人たちもいたが、風が冷たいし、時々霧雨も降ってくる状態だ。
我々は湿原での休憩はあきらめた。
湖畔の砂地には子供のこぶし大より大きな獣の足跡などがあったが、それよりさらに大きな水鳥らしき足跡を発見して、恐竜かも、と思ったりして。
ぐるっと木道を一周している間にさらに雲は低くなり、しまいに雨っぽくなってきた。
写真撮影するにも、通る人の邪魔になってしまうし、風は冷たいし、名残惜しいが沼をあとにした。
小雨っぽくなってくる中、急ぎ足で休憩舎まで戻る。
休憩舎はまだまだ人であふれていて、座る場所もない。
仕方がないので、ベンチではなくて、段差みたいな場所で昼食にした。
ここまで歩いて昼食にしているバスで来た家族連れも大勢いるようだった。
12時17分 休憩舎出発。
12時24分 パノラマコース分岐。
12時36分 雄国休憩舎まで1キロ。
12時43分 雄国休憩舎まで1.5キロ。
13時05分 雄国休憩舎まで2.5キロ。ぶな太郎。登りの時は気がつかなかったが、大きなぶなの木がある。きっとこれかぶな太郎だろうなぁ。何の表示もなかったけど。
ずっとぶなの林の中だったので、雨はけっこう降っていたのだが、少しも濡れなかった。
登りはあれほどたくさんの人がいたのに、下りではそんなに人には出会わなかった。
13時20分 登山口到着。
道脇に駐車していた自動車もかなり少なくなっている。
雨が降っていたし、我々もすぐに出発した。
帰りに別荘地にある小和清水という湧水を汲んで帰宅。せっかくなので、小野川不動滝あたりの名水がよかったのだが、雨がさらに強くなったのであきらめた。

なにがすごいって、とにかくキスゲの数がすごかった。沼の周りをぐるっとキスゲが縁どっている感じだ。しかも、遠くに見える山のはしまで続いている。
これは、この季節に見に来なくちゃ、と思う人が殺到しても仕方がないと思う。
ただ、花好きとしては、キスゲ1種類じゃ物足りないな〜、というのが実感だ。
色とりどりのお花が咲き乱れるお花畑をけっこう見ているので、もうちょっと色々咲いていたらよかったのに、と贅沢に思ってしまった。
キスゲの季節でなくても、湿原はきっと色々な表情を見せてくれると思うので、人の行かない季節に雄国沼に行ってみてもいいのかもしれない。

雄国沼(雄子沢登山口)
最寄ICは、磐越自動車道磐梯河東IC。インターを下りると、きちんとゴールドラインへの道案内があるので、それに沿って進めばよい。
無料開放中のゴールドラインに入ってどんどんと標高を上げ、滑滝、とび滝のPを通り越して八方台P。
八方台Pはかなり大きく、トイレや休憩所もあるのでまず見落とすことはない。それを通り越して、檜原湖に突き当ったら、左折。
少し走ると、花の時期ならこれはどうしたことかというくらい路肩にたくさん自動車が駐車しているので、すぐに雄子沢登山口はわかる。
また、20台ほどとめられる整備された駐車場も右側にある。仮設トイレもある。


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