番外

の山

2018/10/21  角田山(481.7m) 福井ほたるの里コース   
久しぶりの単独登山である。
いつもいつもダンナがいない休日は、とりたててどこに行くつもりもなく、家で洗濯したり買い物に行ったりするのだが、この日はめちゃくちゃいいお天気だった。
買い物に出かけると、田んぼの向こうの弥彦山塊が見事に見通せて、ものすごく気持ちがよさそうだった。
どうせ家に帰っても一人でテレビを見ながらもそもそとお昼を食べるだけである。このお天気のもと、それはあまりにももったいない。
家で食べるつもりで買った菓子パンとサラダをリュックに詰め込んで、弥彦に向かって自動車を走らせた。
とはいえ、この季節の弥彦は、神社は早めの七五三などで大混雑している。手軽な表からの登山は駐車も困難だろう。さりとて、裏からの登山はちょっとキツい。ならば角田だな。角田山なら浦浜コースを何度か登っているし。あのコースなら気持ちいいだろうな。
そう、浦浜コースを登るつもりだったのである。
ところが、浦浜コースの登山口に行く途中に福井ほたるの里コースの登山口があるのだ。
登ったことのないコースだが、ここから浦浜コースの登山口まで行くのは自動車でも5分以上かかると思う。そこまでの時間を考えると、もし浦浜コースとそれほど登山距離が違わないのであれば、こちらから登ったほうが時間の節約になる。
国道からすぐに見える登山口の駐車場に自動車を入れて、登山マップのある看板を見に行った。
ちょうど小さい男の子2人と両親の家族連れも登山の恰好をしてマップを覗いている。で、お父さんが「さあ、灯台コースに行くぞ」と家族を促していた。おいおい、灯台コースは登るには過酷だぞ。と、思ったが、お母さんが「灯台コースのほうが距離が長いのに、どうして」と尋ねるのに「こっちは景色がほとんど無いんだよ、灯台からのほうがきれいなんだ」とお父さんが答えていた。つまり、よく知ったお父さんなので、忠告は無用ということだ。
さて、ほたるの里コースの距離は、と。うむ、2.2キロ。浦浜コースは2.6キロ。こっちのほうが短いじゃん。
・・・騙されました。
この数字、信じてはいけません。
事前に調べていない私が悪いとはいえ、現地の看板が間違った情報を掲げているとは誰も思わないでしょうぅぅぅぅ。
とにかく、近くて短いと信じた私は福井ほたるの里コースから登ることに決めたのだった。

11時35分 駐車場すぐそばの立派な石碑の立った登山道を登り始める。
整備された階段がけっこうな角度で続いている。
ずっと林の中を登り続けるのかと思いきや、あれ、目の前に白い建物。11時38分。
って、これトイレじゃないの。
トイレの中を通って登山道は続いているが、トイレの手前にも階段がある。
そっちを登ってみると、でーーーん。立派なお堂が出現した。
そういえば、駐車した場所からまだ林道のような道が続いていたが、それはここに通じるのか。「平成福寿大観音殿」だそうである。
この建物の前にも駐車場があり、ここに自動車をとめてもよさそうだが、それをしている登山者は一人もいなかったので、厳しいのかもね。
トイレから続いている登山道に復帰。
あちこちに雪割草はみんなで植えて育てたのだ許可なく採取するなという看板が立っている。確かに植栽されたらしい斑入りのオオミスミソウの葉っぱがあった。
道はゆるやかに林の中を登って行く。
角田名物というか、角田のこっちがわからの登山の時にはかならず聞こえるクレー射撃場からの音がひっきりなしに聞こえて来る。
なだらかな登りが続くが、花はほとんど咲いていない。
12時ちょうど。前方に何やらあずまやのようなものが。
屋根のないあずまやで、休憩所らしい。登山道はそのど真ん中を通っている。
あ、花、と思ったら、なにやらアザミのようなずんぐりした花。どうもオヤマボクチらしい。
ちなみに、オヤマボクチであれば、ゴンボッパと言って、おそばのつなぎに使ったり、笹団子に使ったりするもの。
12時10分。何にやら道しるべがある。
道は左に曲がっているが。
え、本当にこっちに行くのか、というくらいに下っている。
しかし、道しるべはそっちをさしているし、ほかに道はないし。
幸い登山者が下って、というか、登って来たのでそっちに間違いないのだとわかった。
あとで本で見たら、ここは239.3の地点らしい。
このあたりで、ふもとの野球場から威勢のいい応援の鳴り物が聞こえて、単独登山の私は妙に元気づけられた。
急降下はそれほど長くなく、またなだらかに登って行く。
この調子で進むのかな〜と、傍らの白い菊っぽい花やアキノキリンソウなどを見ながら進む。
が、12時20分過ぎくらいに階段出現。最初はそんなに続かないと思ったが。
階段。ずっと階段。どんどん階段。まだまだ階段。
いやっちゅうほど階段が続く。
とにかく階段。しかし、標高が上がるにつれ、木々の紅葉が目立ち始める。
12時35分。道しるべ。
えーと、山頂まで490m、福井つまり登山口まで2450m。
ええーーーっ、ってことは、全長2940mのコースってことじゃん〜っ。
登山口の看板、嘘ついたな〜っ。
いやしかし、あとで調べたら実は福井ほたるの里コースは3.2キロだそうで、角田山にある7つのコースのうちの最長だそうな。とほほ。
この道しるべは、五りん石コースとの合流点で、ちょっと広くなった登山道のど真ん中にベンチが2つあった。
うーむ、道のど真ん中にトイレがあったりあずまやがあったり、ベンチがあったり。
ここで斜度もゆるやかになるかな〜と思いきや、まだ階段。
ずんずん階段。
とどめの階段。
ああ、葉っぱが赤いったら。空が青いったら。
ようやく道が水平に近くなったあたりで、小さい道しるべ。12時52分。
手書きでこの道はほたるの里コースだと伝えている。
この道しるべの先、道は左右に分かれるが、どっちも同じ場所に出る。
左のほうが比較的歩きやすいかな。
出た先が山頂の広場。
最初、どこに出たのか分からなかったが、左がわに山小屋があったので位置を特定できた。
出た場所から山小屋の方に歩いてさらに先に浦浜コースや灯台コースの下山口がある。そこに角田山の山頂の印がある。
12時54分、山頂到着。
広い山頂は嘘のようにたくさんの人でにぎわっていた。まるで平地の公園のように子供が遊んでいる。思い思いに休んでいるが、私は稲島コースの観音堂前の広場でお昼にするつもりで、山頂広場を突っ切った。
木道を下れば観音堂と思って歩いて行ったら、木道間違いをして、ちょっとだけ湯の越コースを下ってしまった。危うく反対側に下りるところだった。何度も来ているのになぁ。
観音堂の前にもたくさんの人。
見下ろす新潟平野。
ああ、菓子パンがうまいや。
13時40分 下山開始。
13時52分 五りん石コース分岐。
14時10分 登りの時に見落としたらしい山頂まで1130mの道しるべ。
14時18分 239.3地点。
14時27分 あずまや。
14時50分 平成福寿大観音殿。
14時52分 登山口到着。ご苦労様でした。

思いつきで出かけて、何の予備知識もなく一番目についたコースを登ってしまった角田山。角田山は公式には7つのコースがあり、今回私が登った福井ほたるの里コースは最長のコースだが、最短直登の稲島コースと海抜0メートルから登る灯台コースを除いて、すべて一時間半で山頂まで行ける。つまり、長いが比較的楽なコースが福井ほたるの里コースというわけだ。いや、嘘だろう〜。とにかく後半の急登は想定外に長かった。こんなんだったら、最初のだらだらとなだらかな登りは割愛するコースがいいのに。たぶん、それが五りん石コースなんだろう。ずーーーっと直登で短距離なのと、半分なだらかで長距離なのと、かかる時間が同じなら後者のほうがまだマシかしらん。
ともあれ、実に気持ちのいい秋の晴天の空の下、お昼を食べることができた。
このコースのいい所は、ごくごく近くに日帰り温泉施設じょんのび館があるのだが、この日はまだ家の仕事が残っていたので、下山後即行で帰った。忙しい一日になったが、色々できた満足は得ることができた。

角田山(福井ほたるの里コース)
最寄ICは、北陸自動車道巻・潟東IC。インターを下りて国道460号線に乗り、巻、岩室温泉方面に進む。国道をはずれないように日本海を目指して進み、ちょっと道幅の狭い福井宿のあたりの坂道を登って行く。すると、右側に日帰り温泉施設じょんのび館があるのだが、福井ほたるの里コースの登山口はその手前の右側にある。五ケ峠に向かう林道が右に分かれているあたりの、すぐ入口で、自動車が何台か駐車しているのですぐにわかる。じょんのび館まで行ってしまったら、行き過ぎだ。

参考までに、各コースの山頂までの距離と参考所要時間。
 稲島コース1.7キロ 1時間
 福井ほたるの里コース 3.2キロ 1時間半
 浦浜コース 2.5キロ 1時間半
 灯台コース 2.8キロ 2時間

 湯之越コース 2.6キロ 1時間半
 五りん石コース2.1キロ 1時間半
 五ケ峠コース 3.1キロ 1時間半

上の4コースは登ったことがあります。あ、灯台コースは下りのみです。


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