番外

の山

2020/5/23(土)   鳥坂山 (438.4m)   
5月も半ばを過ぎて、いよいよヒメサユリのシーズンになった。
ヒメサユリといえば、ほぼ毎年我が家は三条市の高城城址にあるヒメサユリの小径に行くことにしている。
とにかくあそこのヒメサユリの群生は圧巻なのだ。
福島県のヒメサユリが群生するという場所にも行ったことがあるが、高城城址にはかなわない。
ただ、今年だけは行けない理由があった。
新型コロナウィルス。こいつが猛威を振るい、持病を持つ年寄りとの接触がある私は何があっても感染できない状況だった。
つまり密集密接密閉の三密を避けて行動する必要があるのである。
屋外である遊歩道は密閉こそしていないが、有名で人気の高城城址のヒメサユリのハイシーズンに人が出ていないワケがないではないか。
近いのに除外しなくてはならない。
では、どこがいいだろう。
今までヒメサユリに出会ったことがある山はけっこうたくさんある。
身近では粟ケ岳や浅草岳。いや、そこも人気の花の山だし、標高の高い場所ではまだ咲いていないだろう。
俎倉山や光兎山。光兎山はアップダウンが厳しくて、次の兎年まで登りたくないと誓ったしな。
思い悩んでいると、ダンナが鳥坂山にもヒメサユリがあると情報を得た。
あら、鳥坂山なら日本一短い山脈で売っている櫛形山脈の端っこで、そんなに標高も高くない山だ。
櫛形山脈といえば、その最高峰、櫛形山に2010年に登ったことがある。
とっても簡単に登れて、とってもきれいな飯豊の山並みを見たという気楽な印象しかない。
そこよりも低い山なんだから楽だろう、とかなり簡単に考えていた。
いや〜、登山って、どんな山でも簡単に考えちゃだめだわ。
予想以上にガッツリ歩いて、見事に疲労した一日になった。

当初の予定は、宮ノ入コースから登って、石切りコースから下る、という周遊だった。が、宮ノ入コースの場所が分からずにウロウロ。結局国道から登山口の案内があった白鳥公園から登る追分コースの登山口に到着。ここからでは、周遊はできないな。
10時05分 白鳥公園駐車場到着。
駐車場から直接登山道に行く案内もあるが、我々はトイレを借りるために階段を登って白鳥公園へ。
立派なトイレがある。
トイレを背にして、芝生や遊具のある広場の向こう側にも登山道につうじる口がある。駐車場まで戻る必要はない。
10時18分 追分コース 登山開始。
公園から一歩登山道に入るなり、いきなり奥山感が深まる。
熊出没注意の看板があるったので、熊鈴を装着。
道は右手を山、左手を谷という感じでなだらかに高度を上げていく。
なだらか、もとい、なんだこの角度、という階段の連続になったりする。
が、青っぽいヒメシャガの姿が目立ちはじめ、わんさか道の両側を縁取ることになる。
こりゃすごいや。
こんなにヒメシャガ見たことがない。
おわ、岩場。
ちょっと手を使ってよじ登らなくてはならないような岩が出てきたと思ったら、「洞穴」という説明看板があった。
右がその洞穴なのだが、入り口は閉ざされていて、狭い。
昔のお城の人たちが食糧庫などとして使っていたらしい。
10時45分。
洞穴のそばにはベンチなどがある。
が、その先も急な階段は続く。
しかし、その階段を登りきると、白鳥山との分岐になる。
10時47分。
当初の予定では白鳥山を通過して鳥坂山に登るコースだったが、利用する登山口が違ってしまったために、白鳥山にはちょっと立ち寄る感じになる。
案内の通りに左折して白鳥山へ。
いかにも山城といった感じの空堀がいくつか出現する。
なんか雰囲気が高城城址に似ているね、と話しながら歩く。
分岐からそれほど歩かずに右のような展望台が出現。
10時55分。
国指定史跡、「奥山荘城館遺跡」とある。
え、国の史跡だったの?全く知らなかった。
説明看板によると、鎌倉時代の初めに幕府に抵抗して滅びた大豪族、城氏のお城だそうだ。その後戦国時代にも中条氏の要塞として使われていたらしい。
展望台からは、日本海が遠く望め、彼らが納めていた中条の町並みが見渡せた。
10時58分  白鳥城址(鳥坂城址)出発。
11時02分  分岐。鳥坂山に向けて歩き出す。
少し歩くとあれ、道が下る。
どうも沢に向かって下っているみたいだ。
と、思ったらこれも空堀。五の堀。
空堀を渡って、なだらかになったり急登になったりする道を進むと、あ、ヒメサユリがあったぞ。
ポツンポツンとヒメサユリが咲いている。
それから右に電信柱が並んでいる、ホントに登山道かという感じの平らな道になり、まず右手に白い鉄塔が見えた。運輸省の鉄塔だそうな。
そこからすぐにマイクロウェーブの鉄塔になるかと思ったら、意外に歩く。
11時17分 マイクロウェーブ到着。
これがまあ、かなり立派な鉄塔で、見事な舗装道路まで来ている。
この道路は石切山コースの入り口あたりからこの鉄塔まで続いているが、関係者以外侵入禁止である。
案内にはマイクロ道路なんて書いてあった。
登山道はこの鉄塔の施設を右に見て沿うような形で続いている。
ちゃんと案内があるので、よく探せば迷わない。
右に鉄塔施設の柵を見ながら、けっこう歩く。
施設と別れると、あらまあ、ロープが出現するほどの急登になる。
そんな山だったのか、鳥坂山。
でも、ずっとヒメシャガ、時々ヒメサユリのヒメさまの山だ。
国道7号線あたりから見た山容からは想像できない、岩場が出てきたりする。
その岩場が左右に別れた道になったな、と思ったら、どっちに行っても右に折れる道につうじるのだが、左側の先端に展望所があった。
11時35分。
展望所からは日本海が見え、右に折れた先からは、県北の山々が見えた。
その後緩急の登りでスポッと山頂に出た。
11時44分 鳥坂山山頂到着。
山頂表示には新潟百名山とあった。これも知らなかった。
山頂には我々よりお姉さま方が10名近いパーティーで昼食中。どうやら大峰山から縦走してきたらしい。
そのお姉さま方に別の初めての登山者が道を尋ねていて、「ユズリハの峰の少し大峰がわにヒメサユリがたくさん咲いていたわよ」と教えてもらっていたのを小耳にはさんだ。
え、たくさん咲いていたの?
それ、見ない手はないんじゃないの?
お姉さま方は、コロナ怖いから密はダメだよ、なんて話ながら、密集してお食事して、食べ物を分け合っていたりして。うーむ、登山クラスターだけは発生させないでくれよ、先輩。
山頂の木々の向こう側に見える海には、ぽっかり粟島が浮かんでいた。
小耳にはさんだ情報についスケベ根性を出して昼食後ユズリハの峰に向かって歩き出す。
12時12分。
すぐに分岐になった。左に行くと樽ケ橋、右に行くとユズリハの峰。
我々は右だ。左の樽ケ橋というのは、どうやら胎内観音コースらしい。登り1時間で直接鳥坂山に登れる。
分岐を過ぎたらちょっと下る。
遠くに見える山はどこの山だろう。
ちょっとだと思ったら、だいぶ下る。
そりゃそーだわな、ユズリハの峰は鳥坂山よりも低い。
でも、だいぶ下った先に峰が見えるから、また登るのね。
これが縦走コースだというから、縦走は登り下りの連続だ。
12時29分 ユズリハの峰到着。
さっきお姉さま方に情報をもらっていたご夫婦がここでお昼にしていた。
彼らもヒメサユリを見に来たらしい。
大峰山方向に行くという情報だったので、そちらに進む。
あ、すぐにヒメサユリ発見。
あるぞ、あるぞ。
でも、けっこう蕾も多いぞ。
高城城址の群生を見慣れている我々には「たくさん」という形容詞はちょっと大げさな数だけど、それでも思った以上のヒメサユリが咲いていた。
でも、どこまで行けばいいんだ。
小さいアップダウンを繰り返しながら道は続いている。
もう花はないな、というあたりで、引き返すことにした。
あのご夫婦も我々のあとを追って来たが、適当に戻るらしい。
12時50分 ユズリハの峰に戻る。
この先は石切コースで下山する。
追分コースの登山口とは別の登山口に出てしまうが、山の端っ子をぐるりと車道を歩けば白鳥公園にたどり着ける。ピストンで戻るよりはそっちを選ぼうということになった。
太陽の角度にもよるが、石切コースは明るい道だ。そんなに樹木が茂っていない。
道の角度もなだらかな場所が多い。
ふと見ると、右手の尾根に登る時に通ったマイクロウェーブの鉄塔が見えた。あの角度の道を登って来たのか。
さらに目を右にたどって行くと、高いピークがあり、あれが鳥坂山とわかる。
左写真の右の端っこにマイクロウェーブの鉄塔。ぐっと下って先端のピークは白鳥城址かしらん。
石切コースにもチラホラとヒメサユリの姿があった。もしかしたら、ユズリハの峰から大峰山方向に行った場所と同じくらい咲いていたかも。
あの往復は無駄だったかなぁ。
いや、その情報が無かったら、鳥坂山からピストンで戻っていたので、石切コースは通っていない。
無駄なことはない。
右はちっさいヒメサユリ。ストックの先端サイズ。
石切コースには左のような石碑がちょくちょく出てくる。
かなり細かくあって、登山口から数が大きくなっていく。
合目という目印かどうかわからなかったが、全部でいくつまであるのかわかっていたら、登山の目安になるかも。
途中で新しく登山道を作ったらしい場所もあった。
崩れたのかしらん。
石切コースにもヒメシャガが咲いている。
ヒメシャガばっかりだね、と言ってたら、ああああ、白い花発見。
ギンランが咲いている。
ここにも咲くんだ、ギンラン。
道は本当になだらかに下る。
膝にものすごく優しい。下山時に選んでよかった。
が、急に激しい下りになった。と、思ったら沢が出現。
小さな橋で沢を渡る。
13時53分。
そのあとは、左手に沢の音を聞きながら少し歩く。
あ、この先崖崩れのため通行止めです。迂回してくださいとの看板だ。
新しく作ってみたいな道は、崖崩れのためだったのか。
13時58分。
それからすぐに林道に飛び出た。
石切山コースと書かれている。
13時59分。
林道を歩いてすぐ駐車場があった。
10台近くの自動車が駐車していた。あらまあ、人気の山じゃないの。
駐車場の向かいには観音様登り口とあったが、これは羽黒観音に行く道。
ベンチの近くにある登山案内図をよく見ると、ここから石切山コースと宮ノ入コースに行けることがわかる。
あと、関係者以外通行止めのマイクロ道路もここから伸びている。
さて、我々は白鳥公園に駐車しているので、ここから徒歩で白鳥公園まで戻らなければならない。
田んぼの中の道を歩く。
駐車場から5分も歩かずに宮ノ入コースの登山口になる。
ここには駐車スペースはないので、国道から入って、登山口を通り越して、石切山コースの駐車場まで行ってそこに駐車することになる。
あ、田んぼにシロサギがいるぞ。きれいだなぁ。
田んぼなかの道路は歩くのに実に快適だった。
晴れたお散歩コースだ。
途中、奥山荘城館遺跡の赤色立体地図の大きな看板があった。
うーむ、本当に知らなかったぞ、国の指定史跡だったなんて。
田んぼなかの道から集落に出る。
徳岩寺というお寺さんの前だ。
14時21分。
そのお寺さんのすぐ右に砂利道がある。
これが山の端に沿うようについている道で、これを突き当りまで歩いて行けば白鳥公園に着く。
この砂利道は見事なまでの農道で、田植えを終えたこの時期は農家の人さえいない。快適な散歩道になる。
山の端っこなので、色々花も咲いていたし、蝶も飛んでいた。
ようやく白鳥公園に向かう道路に出た。
14時40分。第二駐車場のあたりだ。
あとは道路を登って行けば白鳥公園の駐車場に到着する。
14時45分 駐車場到着。
ご苦労様でした。

そもそもよく調べずに行けば登山口がわかるだろうと行ってみて、結局予定していなかった登山口から登ってしまった我々。結果、楽しい登山ができたので、オーライなのだが、体力を使いきって下りた登山口が全く方向の別の場所だったなんていったら、タクシー呼んで戻ることにもなりかねない。
我々はとりあえずスマホの山アプリで現在位置や登山道、下山後の車道の様子なども把握したうえでの行動であるので、そこは気をつけてもらいたい。
登りながら何度も言っていたが、これはいい山だ。学習するにもいい山だし、登山するにも、登山口が国道からすぐで楽だし、いきなり奥山感が強くなり、時々岩場なんかも出現して、思ったより登山した〜っという気分になる。
さらに、季節にもよるが、今回は最初から最後までヒメシャガの花がつきあってくれて、ずっと励ましてくれた。
時々ヒメサユリも出現して、なんとも美味しい山である。
好みにもよるが、登りに追分コース、もしくは宮ノ入コースを利用すると、ガッツリと急登で短時間で鳥坂山に登頂できて、下りに石切山コースを利用するとゆるゆると長時間で下山できて、膝に優しい。我々にはこの選択がよかったようだ。一番は宮ノ入コースから登れば車道歩きがほぼ無くてすむのだが。
あと、胎内観音から登るコースもあるようで、一番登山タイムが短いからとこのコースを選んだ人がとんでもなく大変なコースだったと言っていた。たぶん、こっちもガッツリ直登なのだろう。

鳥坂山(白鳥公園駐車場より)

最寄ICは日本海東北自動車道中条IC。県道を利用して国道7号線に出て左折で北上。羽黒という信号を通り過ぎて右手を注意していると、白鳥公園という看板があるので、それに従って右折。坂道を登って行くと白鳥公園につく。
あとは本文とおり。トイレは公園内にある。
本当は周遊に便利な宮ノ入登山口を案内したいが、説明しがたい。国道7号線の市役所という交差点で右折して集落に入ってから徳岩寺というお寺さんを探し、そのお寺さんを左に見る道に入るとすぐに上の図の奥山荘城館遺跡の赤色立体地図の大きな看板が右側に立っている。そのまま坂を登り道なりに進んで田んぼ中の道を行けば着くのだが、初めてだときっと分からないと思う。人に訊いたほうが早い。

  

上の写真は帰りの農道から見た鳥坂山。中央にマイクロウェーブの鉄塔がある。鳥坂山はたぶんその鉄塔の右隣りのピークなんじゃないかな。
見ている角度によって感じが違うので、なんとも言えないが。櫛形山脈は右奥に向かって伸びている。


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