番外

 近県の山

2021/7/17(土)  日光白根山 標高2578m  群馬県、栃木県
日光白根山と検索すると、関東以北最高峰の山、と出て来る。
実はそんな山とは全く知らなかった。
この山が我が家から日帰りで登れる山だと知ったのは、友人に誘われたからだった。
友人は全く登山をしたことのない人で、その友人が私でも登れた山だから、すごく楽だよ、と誘ってくれたのだ。
ただ、その友人とは休日が合わずに一緒に出掛けられないでいた。
日光白根山か。
日帰り登山のリストにその山の名前が載ってしまった。
考えてみれば、日光の滝たちには日帰りで行っている我々である。
多少時間がかかる登山だとしても、行けない山ではあるまい。
そんなこんなで、今年。新型コロナウィルスの感染拡大がまだ続いている初夏に、きっと今ならそんなに登山客もいないだろうと出かけることにした。
いや、その目論見は甘かったんですが。
関東近郊の百名山に、空いている、なんて言葉はないんだな、と痛感した山行きでしたよ。
午前5時ころに自宅を出発。
関越自動車道沼田ICを下りて国道120号1本で丸沼高原に着く。
午前8時頃に丸沼高原の日光白根山ロープウェイ乗り場に到着。
認識が不足していたのだが、丸沼高原はかなり大きなリゾート施設で、入るなりとんでもない量の自動車が駐車されていた。
一番奥の駐車場が登山者用らしく、そちらに行く。
午前8時で8割がた埋まっていた。
駐車場のトイレに行って支度をしてロープウェイ乗り場へ。
ただ、トイレに関しては、ここよりも乗り場のトイレのほうがぜったいにいいと思う。
駐車場のトイレったら、男女一緒なんだもの。
ロープウェイというので、50人くらい一緒に乗るやつかと思っていたら、ゴンドラだった。
まだ列をなすほどの混雑ではなかった。
グループごとに1つのゴンドラに乗せてくれる。
相席は無い。
予想よりもかなり長距離乗せてくれる。
片道15分だが、角度がかなり急で、この分を自力で登ったら大変だろうなぁと思う。
大人一人往復2000円は惜しくない。
8時35分 山頂駅到着。
下りた場所から正面に「山頂しらね」という軽食が食べられる施設があり、ここのトイレを利用できる。
右側奥には天空テラスと天空カフェ、足湯などもあるらしいが、我々は登山なので、今回は立ち寄らなかった。
が、この山頂駅の広場、ロックガーデンが作られていて、ものすごくたくさんのコマクサが咲いていた。
わぁ、コマクサが見られるなんて。
確かに麓の駅に「コマクサ開花ちゅう」というのぼりが出ていたが、こんなにたくさんとは思っていなかった。
植栽なので、色とりどりのコマクサが見られる。
他にも色々咲いていて、登山しなくても十分楽しめる広場だ。
登山口は、「しらね」の前にある木道の上を進んで左にカーブした先の赤い鳥居をくぐった先にある。
鳥居の先には車椅子でも通行可能な道が続いている。
1分も歩くとまた赤い鳥居があり、二荒山神社の社殿が見えた。
ここで登山の安全をお祈りして・・・あれ、登山道はどこよ。
登山道は鳥居に向かって立つと右側に何やら門のようなものがあり、それを開けて行くことになる。
鹿よけの柵だそうで、ちゃんとかんぬきで鍵を掛けるようになっている。
この柵を通り抜けるといよいよ登山開始である。
8時42分。
道は最初かなり広い道で、とてもよく整備されている。
階段や木道もきっちりとつけられている。
階段が出現すると、登山者の列が詰まって、まるで行列しているようになってしまった。
9時08分  大日如来、と書かれた説明書きがあり、どう見てもお地蔵さんの祠がある。
このあたりで、イチゴらしい花がたくさん咲いているのを見つけて写真を撮っていたらなんという花かと尋ねられた。
ノウゴウイチゴでしょうかね、と答えたが正解かしらん。
9時11分  七色平は左、日光白根山は右の分岐。
この先から木道と離れ、いよいよ本格的な登山道になる。
ちなみに、山頂駅から一周約2時間の史跡散策コースと一周約45分の自然散策コースが整備されていて、手軽に安全にハイキングできる。
そのコースとはここでお別れ、というワケだ。
本格的な登山道が始まる、と書いたが、いやはや、ホントーにとんでもない角度の登山道になる。
今までの平坦な道はどこに行ったんだ。
行列になった登山者がヒイヒイ言いながら急坂や樹木の根っこをクリアしていく。
道の両脇にはほぼ花がない。
あるのは、まだ咲く前のカニコウモリの葉っぱばかりだ。
ものすごい数のカニコウモリである。
え、ちょっと待って、その角度で登るの?という急登になる。
行列は順番が入れ替わったり立ち替わったりするが、とにかくみんな頑張って登って行く。
ちょうど私のペースと同じだったのが、コーギーをつれたご夫婦。
コーギーが足が短くて段差をクリアできないでジタバタしているのと、私がほぼ同じレベルだったりする。とほほ。
あれ、シャクナゲが咲いているぞ、と気がついた。
10時05分。
何やら道の右側に外れた場所に人が立って何か見ている。
あ、あれは富士山じゃないか。
おお、富士山が見えるなんて、全く予期していなかったぞ。
ものすごく得した気分になる。
そして、いきなり樹木がスパンと消えてなくなった。
森林限界だ。
10時11分。
バイケイソウやミヤマキンバイ、キバナノコマノツメなどが咲いている。
シャクナゲもあちこちに咲いている。
すごい量のシャクナゲだ。
にしても、樹木の間は湿度があってムシムシしていて不快だったが、樹木が無くなったら無くなったで直射日光がガンガン当たる。
質量を持った太陽光線は暴力的だ。
ああ、それにしてもシャクナゲが多い。
え、知らなかったの?と言われてしまうと思うが、日光白根山がこんなにシャクナゲで覆われる山だとは思ってもいなかった。
たぶん、一生分のシャクナゲを見た。
シャクナゲの低木も途切れ、いよいよガレた石ころだらけの斜面を登る。もう、一歩歩いては一息、三歩歩いてはため息の状態である。
10時34分  白根山まで0.3キロの道標。
ガレ場を登りきると、両側が緑の谷間になった。
空も黒いくらいに青くて、なんだか地球じゃない風景に見える。
谷を抜けるとすり鉢状の砂場みたいな「お釜」が出現。
白根山まで0.2キロの道標。
10時42分。
10時44分  あれが山頂か、と目指して行ったら、神社の祠。
人の列の先を見てみる。
いったん、岩場をちょっと下り、さらに向こうの岩場の上が山頂のようだ。
って、なんじゃ、あの人だかりは。
あれが山頂なのか?
密じゃん〜。
  山頂はホントーに岩の上にあり、よじ登って登頂する感じだ。
どの岩をどう登ってどう下りるのかは、個人の判断によるが、だいたいはルートが作られているので、それほど危険でもない。
左の山頂表示との記念写真のために長蛇の列ができていて、われわれは別に記念写真は撮らない派なので、隙を狙って無人の写真をゲット。
10時52分。
その割に三角点はだれも興味示していなかったわよ。
 
 
  山頂表示の反対側くらいから五色沼がチラっとだけ見えた。
元気があればそっちを回るコースで下山しようと思っていたけど、炎天下と人混みで元気もないなぁ。
 
 
  でも、せっかくなので周遊して下山したい。ということで弥陀ケ池、座禅山コースを選択。
しかし、山頂まで行けばどっちがそのコースか表示があると思っていたのに、無い。
こっちじゃないか、あっちじゃないか、と岩場をウロウロ。
山頂からまたさらにグッと岩場を下っ登った先に何やら表示があるので、そっちまで行ってみよう、ということに。
写真左はそのグッと下る場所。写真右は、さらに登った先から振り返った山頂。
 
  表示は弥陀ケ池と山頂方向だけ示したものだったけど、とりあえずあっちに行けば弥陀ケ池だと分かった。
そして、見回すと、おわ〜っ、中禅寺湖と男体山が見えるじゃないか。
実は私、日光白根山という山に登っているとは分かっていたのだが、自動車で尾瀬に向かう道を走って来たので、感覚的には尾瀬の山を登っているつもりだった。
地図が頭の中でぐちゃぐちゃになる。
しかし、目の前には中禅寺湖があるのよ。
なんか、登山って、すごいな。
平面の地図じゃなくて、地球規模で立体だな。
 
  こっち側の広場のほうが眺めがいいし、のんびりできる。
ここで昼食。
ミヤマキンバイやバイカオウレンがあちこちに咲いている。
11時50分 下山開始。
あの急なガレガレした道を下るより安心と思っていたが、こっちはこっちで、急な岩場を急降下する。
はるか下に見える緑の池が弥陀ケ池だな。
 
  それにしても、角度が急だ。
ヒイヒイ言いながら下って行くと、気がつけば両側がシャクナゲの森になっていた。
 
  あっちもシャクナゲ、こっちもシャクナゲ。
どっち向いてもシャクナゲ。
ホントにすごいや。
 
  他の花ももちろんあるのだけど、やっぱりシャクナゲだらけだ。  
  12時20分  急降下が一息つき、なだらかな場所に出た。
鎖で仕切られていて、なんだか公園みたいな雰囲気だ。
シャクナゲ公園といった感じだ。
 
  12時38分 ここを右に曲がると弥陀ケ池になる。座禅山を経て戻るなら左に行く。
上からも弥陀池までの道は見下ろせて、けっこうな距離あるなと思っていたが、でもせっかくだから立ち寄ることにする。
 
  足場が悪い坂を下る感じで歩く。
すれ違う人たちが赤い顔をして登って来るけど。
 
  弥陀ケ池はそんなに広くない小さな池だ。
でも、登山の清涼剤のような気持ちのいい風景が見られる。
12時47分。
ここからゴンドラ山頂駅ではない登山口への道が池にそって伸びていた。
 
 
  池に行くまでの坂道に、ハクサンチドリやミヤマオダマキが咲いていた。
山頂あたりにあると思っていたが、全行程で見たのはここだけ。
 
  バイカオウレンのかわいい姿やカラマツソウの花を見ながら来た道を戻る。これが下る時には分からなかったが、意外にも急坂で登るのだ。
すれ違った人たちが赤い顔で息を切らして登って来たのは、この急登のせいだ。
でも、こっちに来なかったら見られなかった花もあるし。
仕方ないじゃないの。ゼイゼイ。
 
  弥陀ケ池の分岐からほんのちょっと行くと、座禅山と座禅山を経由しないでロープウェイに行くコースの分岐になった。
13時02分。
ここで二組の登山者がどっちに行くか迷っていた。
我々は最初から座禅山には行くつもりだったので、矢印の示す坂を登る。
 
  どこなんだ、座禅山。
13時04分、文字が消えている道標。
すぐに広場のような樹木のない場所を通り抜け、また森の中に入る。
 
  13時10分  座禅山火口、と書かれた道標。
しかし、火口と書かれた矢印の先は深い森。
それらしいくぼみ、とか、水たまり、とかあったら分かるのに。
とりあえず、ここが座禅山の山頂かしらん。
あとは下って行き、時々道標が出現するだけだ。
 
  森の中、ひたすら下る。
と、なんだか爆音がする。ヘリコプターらしい。
白根山のあたりでホバリングしているみたいだ。
遭難者かなぁ。ザレザレの場所で転んだかなぁ。
 
 
  下りの道も周りはカニコウモリだらけである。
鹿が好まない植物なので、食べ残されてこれだけの群生になった、という話しだ。
鹿が恐ろしいのか、カニコウモリがすごいのか、よくわからない。
 
  気がつくと、史跡散策コースに合流したようだ。
ここからは、道案内の数字と地図が時々出てくるので安心だ。
13時40分  史跡散策コースの7番の道標。
 
  相変わらずカニコウモリだらけ。
あ、イワツメクサ。
 
  自然散策コースに出られる場所まで来たようだ。
が、どうもどっちに行けば効率的にロープウェイ駅に行くのか、よく分からない。
我々は坂道を上るコースを選択。
後ろから来たチームは、六地蔵へ行くコースを選んだみたいだ。
 
  おお、岩をガッツリと掴んで成長した樹木などがある。  
  坂を登りきると、自然散策コースに出たようだ。
展望台、と矢印があるので、そっちに行ってみることに。
下の図が展望台の図。
燧ケ岳の猫耳が樹木の間から、白根山の壁のような姿が間近に見られる。
 
     
  14時23分 何やらたくさん看板が出てきた。
ここから散策コースが始まるのでその説明らしい。
 
  14時26分  鹿フェンス。ようやく登山終了である。
あとは、山頂駅のロックガーデンでコマクサやイブキジャコウソウ、蝶などを撮影。
 
  ロープウェイは登山者だけでなく観光客なども来ていたので、多少並んでいたが、それほどの待ち時間もなく乗ることができた。  

よく調べもせずにロープウェイで標高の高い場所から登れる、という気持ちで挑んだ日光白根山。
とんでもなく大変な山だった、という印象を持ってしまった。
しかし、このレポを作るにあたって、実は歩行時間は登りで2時間半くらい。これで標高2500メートルを超える場所まで行けるのだから、楽々登山といってもおかしくないだろう。
では、なぜに大変だったという印象を持ってしまったのか。
答えは簡単。
人が多かったためだ。
私の登山ペースはヘンな所があって、黙々と歩けない。ちょっと歩いてはちょっと休むというパターンで、そのちょっとが極端に短い。
ところがたくさんの登山者が列をなして登ると、完全にペースが乱れてしまう。
ホントーに辛かったです。
ただ、ペースが合わないというだけで、肉体的にはそんなに過酷ではなかったらしく、筋肉痛皆無だった。
精神的なものかもしれないなぁ。
日光白根山、いい山です。もうちょっと静かに登れればね。

日光白根山 
我々は新潟からなので、関越自動車道沼田ICを利用。そのまま国道120号で丸沼高原に向かう。
丸沼高原は大きなリゾートなのでまず行きつけないことはない。
登山の場合は一番奥のでっかい駐車場に駐車。無料。そこからロープウェイで山頂駅まで行く。
ロープウェイは大人往復2000円。所要時間15分。
山頂駅から2時間半で山頂。ただし、樹林帯はとんでもない急登、その先はゴロゴロザレザレの歩きづらい道なので、注意が必要。
でも、シャクナゲのシーズンは圧巻のシャクナゲの群落を見ることができる。
  丸沼高原のホームページはこちら


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