番外

の山

2022/2/12  大蔵山(864.3m)     
ことの始まりは、テレビ番組にある。
新潟の四季をテレビカメラマンが撮影した番組で真冬の五頭山を紹介した。
真っ青な空にエビの尻尾になった霧氷をつけた木々。私たちよりもかなりの先輩登山者が美しい尾根を歩いていた。
ふーん、五頭も冬に登れるんだ。しかも、あんなにきれいな霧氷が見られるんだ。
私は冬山はチャレンジする気がなかった。なにせ、寒いのが苦手だ。
少し寒いだけでむしょうに腹が立つ。手足が冷たいからではなくて、とにかく感情的に寒いのは大っ嫌いなのだ。
腹が立つのが終わったら泣きたくなって、泣きたくなるのが終わったらその場にうずくまってしまう。
これはもう、冬の登山には致命傷だろう。
しかし、登ってしまったんだな、弥彦山。
雪を踏みながら、バカだバカだなんでこんなことしているんだと、腹を立てながら登り、バカだバカだと腹を立てながら下った。
つまり、弥彦山程度のしっかり踏み跡があり、3時間未満であればとりたてて大きな餌がなくても腹が立つ段階で終了できるのである。
さて、五頭。
これはもう、霧氷という餌がある。ならば行けるんじゃないかな。
晴天であり、遭難の危険がない状態なら大丈夫なんじゃないかな。
と、いうことで三連休の真ん中の日。天気予報は良好だ。
五頭に行くことにした。
したのだが。
村杉温泉まで行って、登山口のどんぐりの森に行きつくことができなかった。
おそらく、川沿いの道が除雪していなかったんじゃないか。それとも別の道があったのか、入り口を見落としてしまったのか。
とにかく、行きつけなかった。
仕方がない。
途中にある菅名岳、大蔵山ならどうだろう。
あそこなら広い駐車スペースもあるし、何度も行っているので踏み跡さえあれば遭難の危険もない。
と、いうことで「吉清水」の奥にある大蔵山の登山口に向かった。

9時11分 駐車スペースに到着。
ところがびっくり、20台近い自動車で駐車場は満車。
仕方がない、Uターンして、吉清水の近くに駐車した。
他にも道路の路肩に何台も駐車している。
人気あるじゃないか、真冬の大蔵山。
春よりも自動車が多い気がするぞ。
9時15分 支度をして出発。
ゲートの先はしっかりとした踏み跡がある。
支度をしていた登山者はほぼスノーシューを持っている。
我々はピン着きの長靴だったのだが、困ることはなかった。
9時24分 林道を離れ、ショートカットする登山道に入る。
川を渡るのだが、その細い橋に雪が積もっていて、橋の状態が見えない。
かなり怖かった。
9時27分 山の神。
9時30分 林道に出て、ここからが登山道の始まりだ。
急登で始まるのだが、これがもうドロドロで。
雪よりもむしろ滑りそうだった。
杉林の中を登って行く。
ジグザグと短くターンが続き、うんざりする。
9時48分 やっと一合目。
春に登った時も思ったが、一合目までがホントーに長くてつまらない。
冬もやっと一合目か、と絶望的になった。
10時01分 二合目。
まだ杉の中だ。
10時12分 三合目。
ようやく杉の林から脱出して、あたりがブナ林になった。
おや、モコモコした冬の毛におおわれた木の芽が雪から顔を出しているぞ。
とんでもなく立派な大木も葉っぱが落ちているので枝が全部見える。
むむ、シュワッチと飛び出しそうな木の芽だな。
巨大なブナの間を踏み固められた道は続く。
10時28分 四合目の表示が雪に隠れて埋もれそうだ。
10時37分 五合目。
合数表示はほぼ頭が見えているくらいになった。
10時49分 六合目。
右の写真、両手を広げて雪にマークしたように見えるけど。
いや、これは多分、鳥が羽を打ち付けて飛び立った跡だろう。
他にもウサギや何やら小さい動物の足跡などがたくさんあった。
七合目の表示を見落としたようだ。
というより、雪の下だったのかもしれない。
今までゆるゆると登って来たのだが、目前にこんもりとした坂が出現。
ちょっと斜度がキツくなる。
11時13分 八合目。
坂が急になったあたりから、今まで1本の深い溝だった道がバラけてきた。
スノーシューの人たちが思い思いのルートを辿っているようだ。
ただ、踏み跡もしっかりついていて、長靴でも埋まることはない。
両側の木々の背丈がだんだんと低くなってきた。
樹木の見えない白い斜面の上でダンナが待っている。
右写真はそのダンナが撮影した私。
11時35分 山頂到着。
数名が休んでいるが、雪ばかりで上手く休めるスペースがみつからない。
下は山頂から今来た道を振り返った図。
弥彦山塊や日本海などが見えるのだが、薄雲が出てきていて、佐渡までは見えなかった。
お昼を食べる場所を求めて山頂よりさらに先に進むことに。
菅名岳に向かうルートからは飯豊の山々が綺麗に見える場所があったはずだが。
でも、下山するのに沢に下って行くコースは私にはちょっと無理なので、ピストンすることにしていた。
出発が遅くなったために菅名岳までの往復2時間はちょっと難しい。
どこか途中でいい場所を探そう、ということに。
尾根道は遮るものがなく、青空だったらさぞきれいだっただろう。
何人かの人達が菅名岳に向かって歩いて行くのも見てとれた。
スノーシューの人が登山ルートではない
別の峰に歩いて行っているのも見えた。
見通しのいい雪山だからできることだ。
沢には気をつけなきゃないだろうけど、
よく歩きなれた人なんだろうな。
  11時44分 尾根道のちょっと広くなった場所で昼食。
段差を利用して雪を踏み固めて椅子にした。
正面に粟が岳の真っ白い姿が見えた。
これも晴れたら綺麗だったんだろうなぁ。
風が出てきて寒くなってきたので、大急ぎで食べて下山することに。
 
 
12時15分 下山開始。
12時21分 大蔵山山頂。
12時32分 八合目。
12時51分 五合目。
12時57分 四合目。
13時04分 三合目。
13時11分 二合目。
13時20分 一合目。
13時32分 林道。
13時36分 山の神。
13時40分 林道復帰。
13時48分 駐車スペース。
ご苦労様でした。

さて、登るつもりではない山に登ってしまったワケだが意外に行けてしまった。
さぞ寒くて具合が悪くなるだろうと思いきや、用意していたカイロも使わず、登りではライトダウンも脱いでしまって、汗までかいた。
ダウンは昼食時にはあってよかったけど。
結局、バカだバカだと腹を立てながら登って、バカだバカだと腹を立てながら下った。
うーむ、私にとっての冬山はそんなもんなんだろう。
これで抜けるような青空であれば、魅了されるかもしれない、とチラリと思ったが、今回は腹を立てただけで終了した。


大蔵山(吉清水登山口) 
最寄ICは、磐越自動車道安田IC。国道49号線に出て、福島方面へと進み、馬下交差点で左折。今来た道の上を渡り、馬下橋を渡って、国道290号をどんどん進む。跨線橋で磐越西線を渡ってやや走ると、左折すると「吉清水」であるという看板がある。これに従って左折。少し小さ何看板なので見落とさないように。
道なりに進んで行くと「吉清水」があり、さらに直進すると駐車場になる。

トイレは、シーズンには仮設トイレがあるが、冬場にはない。吉清水にもトイレは無いので、国道290号沿いのコンビニあたりですませておこう。


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