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2022/8/14(日)   白馬乗鞍岳 (1637m)   
2022年の夏休みは、ダンナはいつもの夏休みよりもかなり長い夏休み、一方の私はいつもの夏休みよりも1日短い夏休みになってしまった。
しかも、私のほうは法事などが重なりまともに時間が取れない。
それでもせっかくの連休がある時なので、ぜひとも夏山に登りたいではないか。
ということで、前々から気になっていた白馬村がわからの小蓮華山にチャレンジしてみよう、ということになった。
前日に近場で宿泊して、一番のゴンドラリフトに乗れれば、小蓮華山より先にも歩けるんじゃないか。
甘かったです。
というより、白馬村からゴンドラとロープウェイを乗り継いで、栂池自然園から登り、白馬乗鞍岳を経て白馬大池に至り、そこから小蓮華山に行くコース。
思っていたよりずっとハードだった。
私は実は登山をしたことのない友人が70歳こえた母と高校生だった娘と一緒にこのコースで白馬大池まで行った、というのを聞いて、乗り物で高度を稼ぐから老人でも楽に行けるコースなんだと勝手に思ってしまっていた。
ホントーに甘かった。この友人一家は超人だと思った。
けっこう色々山を登っているが、下山後、久々に頭痛と吐き気を覚えるほど疲労した。もう二度とこのコースは選ばない、と誓った。
いや、登山のスタイルの好き嫌いがあるとは思う。私にはこの大岩ゴロゴロのコースが不向きだったのだろう。うん、きっとそうだろう。

さておき、山行は前日の夕方から始まった。
この日の午前中に墓参りをして、暑いなか帰省した姉を新幹線駅まで送って、その足で準備しておいた荷物を持ってダンナの自動車に乗り換えて白馬村に向かった。
日中は暑かったのだが、太平洋側にいる台風の影響か、糸魚川のインターをおりるあたりでは大雨になってしまった。明日は大丈夫なのかしらん。
到着は夜になるかと思ったが、午後6時ころに宿に到着。
この宿がね〜。とんでもない宿でね〜。
宿名はあまりにひどい宿だったので、明記はしないが、「ずっと雨が降っていなくて、水不足」と言われ、飲み水は自販機で買ってくれ。洗面所は1か所だけしか使えない。と、前置き的に言われまして。
え、さっきまで大雨だったのに。でも、たしかに姫川の水は少なかったな。
水不足なら仕方ないかな、と思っていたら、なんとお風呂のシャワーの水も出ず、熱い源泉のまま。トイレの水が止められていて流れずに、汚物がたまったまま。しまいに1か所だけだと言われた洗面台の水も止められ、朝の歯磨きもできなかった。これはもう、衛生上宿とは言えない。お客を入れちゃダメな状態だと思う。
自前のアルコールスプレーでせっせと除菌しましたよ。
安宿である上に、県民割の隣県枠で実質3000円で夕食付の温泉だったけどさ、コロナの昨今、人命にも関わる非衛生的な宿でしたよ。ぷんぷん。
早朝に出るので、朝食は辞退して、コンビニのパンで済ませて、そんなこんななので、道の駅おたりで洗面してから登山開始となる長野県白馬村の「ゴンドラリフトイブ」向かう。
空は雲は多いが雨は降っていない。

  (右欄の花の写真は、中欄の記事と同じ場所に咲くものではない場合があります。)
  大きな写真を見たい場合はダンナのYamapのレポをご覧ください。こちらから。

県境の宿を午前5時過ぎに出発して、道の駅おたりに立ち寄り、午前6時過ぎに白馬高原スキー場の駐車場に到着。
支度をしてリフト乗り場へ。
長野県民割でもらった一人2000円分のクーポンが利用できたので、3380円(リフト、ロープウェイ往復、自然園の入園なし)のところ1380円で利用できた。宿泊日か翌日までしか利用できないチケットだが、我々にはものすごく有効だった。
ゴンドラリフトの始発の列に並ぶ。始発は6時30分とのことだが、早めに運行開始してくれたようだ。
6時30分少し前にゴンドラリフトに乗る。
台風はどこへやら。
リフトの窓から見える北アルプスの山並みの上空は青空だ。
かなり長い時間リフトに揺られて、6時50分、終電の栂の森駅に到着。
ここから歩いてロープウェイの栂大門駅に向かう。
6時57分 少しだけ待ってロープウェイに乗る。
中では係の人が色々説明してくれた。本日は台風の影響で風が強い。そのせいでロープウェイの運行が停止になることがあるかもしれないが、その時は代替でバスが出るそうだ。
7時06分 自然園駅に到着。
自然園駅から徒歩で栂池自然園に向かう。
中部山岳国立公園の看板があった。
道は緩やかに登る舗装道路だ。
最初からオニシオガマがにょきにょきと咲いていて、高原っぽい。

オニシオガマ
栂池ヒュッテが見えてきた。
ヤマハハコも咲いている。

ヤマハハコ
遠くの山の雪渓の下のほうには滝状の流れも見える。
栂池ヒュッテ、栂池山荘を通り越して、向こう側に自然園のビジターセンターがある。
そのビジターセンターとトイレの間に登山道の入り口がある。
トイレに入ってから登山開始。7時19分。
いきなり両側にオタカラコウが咲いている。
道は思ったより険しい。
昨日降ったらしい雨のために濡れているし。

リンドウ
一応横木で階段状にはなっているのだが、左写真みたいにがんばらないと階段状の木にもたどり着けない。
しかも、木が濡れていて滑る。

アオヤギソウ?
7時38分  天狗原まで70分の道標。
その後、ここは大雨の時は川になるな、といった感じのゴロゴロした石の道を登る。
と、右側の見晴らしのいい場所にたくさんのオタカラコウが。
こんな群生見たことないなぁ。
道は大きなつづら折りで高度を上げていく。
水芭蕉の大きな葉っぱのある坂道。湿地なのかしらん。
見晴らしがいいが、どっちの方向を向いているのかさっぱり分からない。
このあたりからイワショウブも見られ始めた。

オタカラコウ

モミジカラマツ
8時01分 水場。銀〇水と書かれているが、〇の部分が削れていて読めない。
天狗原まで何分かも書かれていたらしいが読めない。
あ、まだ現役のゴゼンタチバナが咲いている。

ゴゼンタチバナ
相変わらず川の底みたいな石ゴロゴロの道を登って行くと、なんだかやや開けた場所に出た。8時18分。
あ、ハクサンコザクラ発見。チングルマもあるぞ。

ハクサンコザクラ
少しだけ雪が残っている。
どうやら天狗原に向かう急登の始まりで、ちょっとした休憩場所のようだ。
3分ほど写真撮影休憩して、今までとは全く違う巨岩を登る道にとりつく。
これ、ホントか?と疑うくらいの角度だ。
8時25分 木道が出てきた。今までと比較にならないくらい歩きやすい。
8時27分 天狗原の休憩スペース。たくさんの人が休憩中。
我々は休まずに木道を歩く。
いやぁ、なんて素敵な風景なんだろう。
山の緑と雪の白とすっと伸びた木道。
あちこちに池塘もある。
キンコウカやワタスゲが揺れている。
ほかにイワショウブ、イワイチョウ、タテヤマリンドウ、ヒオウギアヤメなどが咲いていた。

キンコウカ
8時35分 風吹大池へ向かう道との分岐。
1時間40分で白馬大池、と書かれていた。
風吹大池までも1時間40分だそうである。
ちなみに、北アルプスで一番大きな池が風吹大池で、その次が白馬大池なんだってさ。

ワタスゲ
分岐からすぐに大岩ゴロゴロの登山道になる。
岩の下には水が流れていて、もはや川である。

何の実? 渋甘かった。
下から見ていた雪渓がだいぶ近づいてきたなぁ。
この時点ではまさか雪渓を渡るとは気がついていない。

実になりかけのゴゼンタチバナ
いや、とにかくとんでもない大岩登りである。
ドカンドカンといった感じの大岩をペンキの〇印を頼りに登るのだが、どこをどう登れば自分の力で登れるかは各自の判断になってしまう。
全然別の箇所を登っていた単独の女性が「登山道はそっちですか〜」と訊くので、いや、そっちでもいいらしいですよ〜、と答える。

ベニバナイチゴ
振り返る。
さっきまで歩いていた天狗原がもうあんなに下になっている。

ホツツジ
ジャングルジムじゃあるまいし、とんでもない角度で登る。
でも、こんな岩場でも花はたくさん咲いている。
右写真のジムカデをはじめ、ミヤマタネツケバナ、アオノツガザクラ等々。

ジムカデ
岩を登りながら、まさかなぁ、と思っていたが、やっぱり雪渓にきてしまった。
ちゃんと踏み跡があり、ここを登って行くのだと分かる。
9時23分。

キバナノコマノツメ
  雪渓に対して抵抗は全くない。
今年は雪が多かったしね。
踏み跡の通りに登るが、途中で下山する人とすれ違うのが大変だった。
ってか、我々は簡単に横によけてあげられるのだが、下るほうがジタバタしている。雪に慣れていないと怖いかもしれない。
そんなこんなで雪渓だけで10分近くかかってしまった。
 
ミヤマタネツケバナ
雪渓を渡り終えると、平らな岩だらけの場所になった。
タカネニガナ?
雲は多いが、少し青空も見える。
遠くにあれはどのピークになるのだろう。
北アルプスの山も見える。
登山道から離れた場所になにやらプレートがはめ込まれた岩があった。
文字は読めなかった。
しばらく平らな道が続く。
風景が見通せて気持ちがいい。

チングルマ
9時44分 白馬乗鞍岳到着。
石積みのモニュメントがあった。

イワツメクサ
ここから白馬大池まで40分だそうだ。
意外と遠いなぁ。

ヒメクワガタ?
山頂からちょっと下りぎみで歩いて行く。
またもや岩ゴロゴロだ。
あ、遠くに白馬大池が見えたぞ。
10時ちょうど、白馬大池の端っこにとりつく。
あ、白馬山荘が見えた。

チングルマの穂
本当に池のほとりを歩く。
とはいえ、岩場で足を踏み外して落ちると全身ずぶ濡れになる深さのほとりである。時折崩れている箇所などもあり、慎重に進む。

ハクサンイチゲ
こっち方向から池を挟んでの小蓮華山方向は見たことなかったなぁ。
池とは反対側の斜面にはチングルマやハクサンイチゲなどの高山植物が咲き誇っている。

タテヤマリンドウ
10時23分 白馬大池到着。
いつもならここで昼食をとる場所だ。
今回はもうちょっと先を目指しているので、山荘でトイレを借りてさらに進む。
10時32分。

ハクサンコザクラ
山荘の周りのお花畑は、この季節はエゾシオガマの薄黄色の花が目立っていた。
ロープの先の池のほとりには、たくさんのハクサンコザクラが咲いているらしいのだが、ヒンクの塊が見えるだけで近づくことはできない。

ハクサンコザクラの絨毯
雷鳥坂を登って行く。
お花の競演が両側に広がっている。
ただ、大岩を登った白馬乗鞍岳までの疲れが出たのか、足が重い。
雷鳥坂がキツい。

エゾシオガマ
 
オトギリソウ
オトギリソウ、タテヤマリンドウ、タカネヨモギ、ハクサンイチゲ、チングルマ、イワカガミ。お花畑だね。  
タテヤマリンドウ

ヒメウメバチソウ
坂をかなり上り詰めたところで、ダンナがおやっと声を上げで屈みこんだ。
カメラの先にあったのは、あらまあ、ヒメウメバチソウ。
こんなところでヒメウメバチソウが咲くんだ。

タカネヨモギ?
キツイ坂がいったん緩やかになる。
このあたりにコマクサが咲いている。
あ、あちこちにあるぞ。今年も新潟のコマクサを見ることができた。
しかし、ここにきて私の足がもうイヤだと言い始めた。
道の先はずんずんと登っている。ゆっくりで小蓮華山までは1時間くらい登りつづけなくちゃならないだろう。
単独の女性がものすごく疲弊した表情で、「上はとても風が強いです。気をつけてくださいね」と声をかけてくれた。
なんだかそれだけで怖気ついてしまった。
とにかく、白馬乗鞍岳までの行程が予想よりもかなりキツくて、登るための気持ちと体力を使いすぎてしまったのだと思う。
コマクサを見てギブアップしました。

コマクサ

ウサギギク
せめて小蓮華山まで行きたそうなダンナが、それでも撤退しようと言ってくれたので、コマクサの場所から引き返す。
なんか、とてつもなく申し訳ないし、悔しい。
でも、これ以上進んだら、山がキライになる。
ミヤマダイコンソウの黄色が目立つが、時々ウサギギクも咲いている。
ムカゴトラノオもゆらめいている。
自然は無理したり、急いだりしないものな。
今回はここまでだ。 10時55分。

ムカゴトラノオ?
11時20分 いつもの白馬山荘の裏で昼食。
ヒメクワガタらしい花があちこちに咲いている。
昼食を食べていると、知り合いらしい若いパーティーが登る組と下る組が出くわして、池のほとりで会えたことを大喜びしていた。
一瞬ものすごく賑やかになったが、台風が近づいていたこの週末は意外に登山者が少ないらしく、いつものこの場所に比べたらかなり人がいなかった気がする。
12時05分 下山開始。

トウヤクリンドウ

ソバナ
それまで特に風が強いと感じなかったが、白馬乗鞍岳に向かう池のそばの大岩のあたりで、とんでもない風になった。
岩と岩を飛び移るのに足が地面を離れるときがあるのだが、その時に突風が来て、危うく転倒しそうになった。
子連れの人が登ってきたので、風が強いので気をつけてあげてくれと声をかけた。子供が飛ばされて池に落ちたら大変だ。
余談だが、この日、この登山で小さい子連れをとてもたくさん見た。
あの大岩だらけの登山道をこの子たちが登ったり下ったりするのかと思うと、本当にすごいと思う。
連れていく親も偉いし、ついて行く子供も偉いと思う。絶対に得るものは大きいと思う。

オオバミゾホオズキ
12時42分 白馬乗鞍岳山頂。
12時57分 雪渓到着。
下るときのほうが先が岩場で多少怖かった。
  天狗の庭に向かう急降下も下るほうが怖かった。
目印が見えないので、どのルートが下りやすいのかさっぱり分からない。
1か所、先に進んでいた人が本当にルート間違えして戻ってきた場所があった。
登って来た人がいたので、右に曲がる感じなのだとわかった。
そこだけは目印ほしいなぁ。
途中、今回ほとんど唯一撮影できた蝶が。ヒメアカタテハ。
キベリタテハなんかも飛んでいたんだけどね。
 
13時47分 風吹大池との分岐。
13時53分 天狗原。
天狗原から下る際に木道から離れた場所に祠があるのを発見した。
来るときには気がつかなかった。

リンドウ
 
ミヤマコウゾリナ?
14時18分 水場。近くにたった1つだけオオバミゾホオズキが咲いていた。
14時41分 天狗原まで70分の道標。
来るときには気がつかなかったが、このあたりにはミヤマコウゾリナがたくさん咲いている。
15時丁度。 登山口ビジターセンター到着。ご苦労様でした。
あとはロープウェイに乗って・・・。げ、並んでいるし。
栂池自然園に来ていたたくさんの子供たちが帰る時刻らしい。
列に並んでロープウェイを待つ。
待っている間に雨がかなり強くなってきた。並んでいる人たちを屋内に入れるために列が整理される。
それでも、ぎゅうぎゅう詰めにはならない程度の乗車率で乗ることができた。
 
サラシナショウマ
ゴンドラリフトは順次出ているので、それほど待たなかったのだが、ロープウェイからリフト乗り場までの道でざざ降りの雨になり、傘が必要になるくらいだった。
へたれだったために途中撤退したが、戻っていなかったら登山道で降られていた所である。何が幸いするか分からない。
15時56分 駐車スペース到着。
いやはや、遊んだ遊んだ。

トリカブト

そもそも冒頭に書いたように、私はかなり白馬乗鞍岳そのものを甘く見ていた。
お金出して乗り物利用するんだから、1時間くらいは時間的に新潟がわからの登山よりも短く白馬大池に着けるものと思い込んでいた。
あらかじめの予習は必要である。心づもりがないと、見事に心は折れる。
結果的に栂池自然園から白馬大池までと蓮華温泉から白馬大池までは歩行時間はほぼ同じである。
蓮華温泉側は、乗り物を使わない分リーズナブルだが、その分を自動車で行かなければならないし、しかも駐車が午前6時前にいっぱいになるくらいなので、なかなか難しい。
新潟からならどちらも利用できるので、自分の登山スタイルに合わせたコースを選ぶといいと思う。
さて、吐き気をもよおすほどヘロヘロに疲労した私をつれて、ダンナは道の駅おたりに。
ここで早いが軽く夕食を食べ、併設レストランで夕食を食べると半額になるという温泉に入って帰宅した。いや、ホントーに疲れましたよ。
いずれは白馬岳に行きたいのだが、ハードル高いな、と思った今回の白馬乗鞍岳だった。

白馬乗鞍岳(つがいけロープウェイ利用)
  
我々は、新潟からなので、北陸自動車道糸魚川ICを下りて、国道148号を進み長野県に入った。
  JR千国駅近くから県道433号千国北城線に入る。案内がしっかりしているので、まず迷わない。ナビには栂池高原スキー場と入れるとよい。
   栂池高原スキー場   ゴンドラリフトは栂池高原スキー場の中央駐車場(1日500円)に駐車するのが一番近い。
   つがいけロープウェイ
 ゴンドラリフトとロープウェイを乗り継いで栂池自然園まで行くのだが、季節や曜日によって始発や最終の時間が違う。
   最終に乗りそこなうととんでもない距離を歩くことになるので、必ず時間を確認して利用しよう。HPに時刻表と料金が乗っている。


新潟の滝もくじ  ときどき週末温泉族になる  んがお工房の日本百名滝めぐり  掲示板