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2023/6/3   要害山 (705m)   福島県只見町
台風2号が沖縄に接近して停滞している。
その影響で金曜日にはそこらじゅうで大雨になり、洪水の被害も出ているという、6月初めにあるまじき状態だった。
まったく影響のなかった新潟も多少晴れ間が期待できそうだったので、二王子岳に登る予定で計画を立てていたのだが、前日になって二王子方面のほうが天候が怪しいと分かった。では、どこに行こう。
ああだこうだと調べて、花が咲いているのは浅草岳かしらね、天気予報を見て、まあ曇りであれば行けるか、と判断。
土曜日の当日。浅草岳に自動車を走らせた。
が、この判断、大きな間違いをしている。
台風の影響が新潟県にまったく影響していなかった、というのは、平野部の話だけで、福島県境の六十里越と呼ばれる国道は通行止めになるくらいの大雨だったのである。
まず、登山口近くまで行って、「冬季通行止め」と書かれた看板に阻まれた。
いや、6月で冬季というのは、きっと外し忘れていたんだわよ、と、通れる隙間から進む。
しかし、昔洞窟温泉があったあたりで、今度は完全に通行止めになってしまった。
見ると、道路が陥没している。こりゃ、通れないや。
仕方がない、浅草岳は諦めよう。
では、どこに行く?
ここまで来た時間とガソリンがもったいないので、こっち方向の山に行きたい。
しかし、そう簡単に登れる山はない。
じゃあ、尾瀬に行こうか。
六十里越を超えて、福島県に入り、桧枝岐村を通り抜けたら尾瀬だ。
最初の湿原をチラっと見るだけでいいんじゃないか。実質ただのドライブ、ということで。
でも、かなり距離があるんだよね〜。
ジタバタしているうちに時間も過ぎる。
とにかく、福島県に入り、田子倉ダムを通り過ぎ、JR只見線只見駅の近くまで来た。
「要害山登山口」という案内看板が目に入った。
ダンナがあそこでいいんじゃないか?と言う。私もチラっとそう思ったが、聞いたこともない山に登るくらいなら、この先に有名山があるのを思い出した。
蒲生岳。
会津のマッターホルンと呼ばれる、とんでもない鋭角の三角形をした山である。
登山口から山頂までは見た目でしか分からないけど、それほどの距離はないだろう。
登れるんじゃなかろうか。
と、いうことで、蒲生岳の登山口まで。
まったく知識がなかったが、国道252号沿い、蒲生川を渡ってすぐに右側に駐車場があり、そこに自動車を止めて登山するらしいことが分かった。
で、案内図が立っていた。
とにかく急峻な山なので、中上級者向けだ、と書かれている。
う。我々は永年の初心者である。そんな根性はない。
さらには、雨がポツポツと当たり出した。
鎖場や岩場が多そうな山で、雨はマズいでしょう。
駐車場には自動車は1台しかとまっていないし。
うーむ。
トイレが国道を挟んで向かい側にあったので利用。ダンナを待っている間に、駐車場の待合室に貼ってあったポスターが目についた。
なになに、只見満喫キャンペーン?
只見の自然の中の6つのポイントの1つでいいので写真を撮影すると、バッジが貰えて、プレゼントに応募できるというキャンペーンだ。
その中に蒲生岳も入っていたが、さっき見た要害山も入っている。
で、バッジのデザインが、蒲生岳はカタクリ、要害山はヒメサユリなのである。
つまり、要害山には今咲くヒメサユリがあるのだ。
さらには、蒲生岳のカタクリは当然もう終了しているのである。
トイレから戻って来たダンナに、要害山のほうがいいぞ、と申告。
その根拠をポスターで示すと、では要害山にしよう、ということになった。
そもそも、要害山って山で標高が高かったり険しかったりする山はそんなに無い。なにせ「要害」なのである。
要害とは攻めにくく守りやすい場所、そこに建っているお城、などを意味する。
理屈はさておき、自動車をUターンさせて、只見駅方面に戻る。
さっき見た案内の場所で国道を逸れ、只見線の踏切を渡って、三石神社の鳥居の前に到着した。

11時21分 すったもんだしたために、登山開始がとんでもなく遅くなってしまった。
この赤い鳥居の前に3台くらいとめられる駐車スペースがあり、さらに先に未舗装の道がゲレンデに向かって伸びていたが、国道にあった案内に三石神社と要害山の登山口が同じ350mと書かれていたので、ここから登ると判断。
支度をして登山開始。
杉のちょっとジメっとした道を歩いて行く。
神社の道らしく、ちゃんと整備されている。
すごい色の葉っぱのアマドコロっぽい花があったり。
少し登ると開けた杉林になり、縁結び三石清水の看板が。
只見名水10選だそうだ。
11時29分。
しかし、この杉林の広場がすごかった。
まず、ヒメサユリが思った以上に咲いていた。
群生とまではいかないが、あちこちにピンクの花を咲かせている。
それにヒメシャガが密生しているのである。
足首くらいの低い位置で紫色の小さなヒメシャガがみっちり咲いている。
ヒメシャガって、地面を覆うような花だったか?
さらに、ごそっとマイヅルソウがこれまた密生している。
あとにも先にもここだけだったのだが、かなりの広さ、かなりの数のマイヅルソウが咲いていた。
しかも、杉の根元にアカモノが。
アカモノって、杉の根本に咲く花だったか?
今まで見て来た植物の知識が覆されるような杉林である。
道はさらに続いている。
巨大な岩のもとを登る。
と、道が左右に分かれてしまった。
案内が全くないということは、きっと先で合流しているんだな、と判断して、比較的広い右側の階段を選択。
と、さっきの巨大な岩の裏手に出て、「一の岩 この岩の穴に頭を入れてお祈りすると、頭がよくなり、頭の病気も治るといわれています」と書かれていた。
うーむ、バカのままでいいから、この穴に頭は入れたくないなぁ。
さらに登ると岩の下にお宮が出現。
「縁結びの岩 岩の小さな穴をみつけ、ひもを通して結ぶことができれば縁が結ばれるといわれている」と書かれている。
五円玉にひもを通し、ひもを岩の小さな穴に通して結んである。
なかなか難しい作業だと思うが、ちゃんと通されているものもあった。
ここで行き止まりになっているので、登山道はもう一方の道だったのか、と引き返す。
11時38分。
さっきの分岐まで引き返し、今度は左側の階段を登る。
と、すぐに壁のような岩が出てきた。
「猿岩 不思議なことに夏の暑い日でもこの岩から水が染み出ており、涙を流しているようで、その水を目につけると目の病気が治るといわれている」と説明がある。
しかし、ここにも登山道はなく、行き止まり。
つまり、駐車した場所から先に伸びていた未舗装の道の先に登山道があるということか。
戻らねば。
11時40分。
幸いなことに、駐車した場所まで戻らずに縁結び三石清水のちょっとだけ先でゲレンデに行けそうな踏み跡があった。
ヒメサユリなどを見ながら、ゲレンデに出る。
11時46分。
未舗装の道はニガナやタニウツギで彩られている。
ゲレンデに出てすぐに未舗装の道も行き止まりになり、看板で「要害山 南尾根登山口」と書かれた場所があった。
ようやく登山口にたどりついたワケだ。
山頂まで1.8キロ、と書かれている。
それくらいなら、遅い出発でも大丈夫だろう。
11時48分。
前日は雨だっただろうに、道は乾いていて、角度はキツいけれど歩きやすかった。
時々ヒメサユリが咲いていて、楽しい。
ここのヒメサユリはピンクが濃い。
12時04分 道の脇にコンクリートの土台みたいなのがあった。
我々は全く知らないで登っているが、この山、実はアンテナ山です。
昔使った土台かもしれない。
角度が急になる。
あれ、知らない花が咲いているぞ。
どうやら、ヒメハギのようだ。
12時08分 ヒメコ松群の森 と書かれたものがある。
ヒメコ松? 目の前は森でもなんでもないし。
それを通り過ぎると、目の前に山が見えてきた。
あれが山頂なら近いんだけどな。
なーんて歩いていると、道が尾根っぽくなってきた。
両側きりたった乾いた尾根道である。
こういう場所って、よく馬の背とか言う感じだ。
岩場に無理やり根を張ったちーーいさいヒメサユリが懸命に咲いている。
おお、岩場になったぞ。
こっちのヒメサユリはツクバネウツギの花くらいの大きさしかないぞ。
そんなに登っていないのに、高山的な雰囲気になってくる。
あ、コメツツジ。
ずっと乾いた尾根だな、と思ったら、おおおおお、トキソウじゃないですか。
  こんなパッサパサの岩っぽい場所にトキソウが咲いている。
しかも、左写真の手前、ポツポツ白いのはみんなトキソウなのよ。
まだ開き切っていないので、午後に期待して、登り始める。
 
  尾根から急斜面になる。  
  急斜面からさらに急斜面に角度が変わる。おいおい。
細いロープが設置されている。
 
  すでによじ登る壁といった感じである。
これを登り切ったら山頂かしら、と思ったら。
 
 
  巨大な木の間を歩く。
で、ちょっと方向を変えて下る。
山頂、どこよ〜?
下って登ると木々がブナに変わる。
 
  ゆるやかに登って行くが、山頂らしき場所には近づかない。  
  12時40分。 足元にコンクリートが出現。
杉林のへりを歩くといった感じの道になり、「浅草の眺め」と書かれた杭が出てきた。
左がその眺め。
あれ、浅草岳か?
12時42分。
 
  そこからもう少しだけ歩いたら、前方に白い建物が出てきた。
おお、なんて綺麗な山小屋があるんでしょう。
と、思ったら山小屋ではなくて、なにがしらの施設のようだ。
でも、建物があるということは、山頂が近いんじゃないか?
さらに先に進むと、もう2つ建物が見えた。
 
 
  これも何かの施設。どうやらアンテナ塔らしいぞ。
要害山、奥会津地域の電波塔の役割を持っている山らしい。
それにしても、山頂がないぞ。
 
  ということでさらに進むと、なんと車道になった。
雨でぐちゃぐちゃになっている。
ちょっと逸れた場所にまた建物をみつけたが、あまりに山頂が見当たらないので、アプリで調べてみたら、通り過ぎていたことが判明。
 
  一番最初に見た建物の奥にちんまりと山頂表示がありましたとさ。
あと、木にも手書きの山頂表示。
分かりづらいわよぉ。
でも、キャンペーンに応募するためにはこの山頂表示の写真が必要なのよぉ。
12時54分。
 
 
  台風くずれの風がけっこう強く吹いていたので、2棟立っていた建物の下の風を避けられる場所で昼食。階段に座ることができて、平らなコンクリートの土台もあって、けっこう快適だ。
階段の上まで登ってアンテナの隙間からの眺望を見てみたが、どうも蒲生岳は見えないようだ。
13時24分 下山開始。
山頂表示を隠していた建物はFTVの建物だったのね。
 
  下る、下る。
まあ急降下だわよ。
あの心もとない細いロープがとても頼りになった。
途中、田子倉ダムと浅草岳が見えて、かっこよかった。
 
  どんどんと町が近づい来る。
只見線の汽笛が聞こえたりする。
 
  帰りには開いてくれていると思ったトキソウ。
1つだけなんとか開いていてくれました。
 
  こんなにたくさんあるんだよ。
すごい山だね。
右はヒメハギ。
 
  蝶も鳥もいましたよ。
ダイミョウセセリとヒヨドリ。
1時28分 浅草の眺め。
14時02分 ヒメコ松群の森。
14時18分 登山口。
14時24分 駐車スペース。
 
  キャンペーンに応募するために、只見駅前にある只見町インフォメーションセンターに行く。
バッジは山開きの日から配布していて、要害山は5月14日が山開きだったので、もう無いかと思っていたら、ちゃんと2人分くれましたよ。
せっかくなので、ここでお茶して帰りました。
シフォンケーキと只見の水で淹れたものすごく美味しいコーヒーのセットで500円。オススメです。
 

最初から躓いて、迷走続きだったこの日、結果的に大当たりの山に登った感じである。
こんなこともなければ、絶対に登らない山なだけに、本当に拾い物だった。
キャンペーンのポスター、ありがとう。
何の知識もなく、いきなり登った山だったので、登りの時は山頂が遠く感じられたが、結局登山口からは1時間で登っている。
たった1時間で高山気分も味わえて、可愛い花たちも見られて、お得な山である。
奥会津、お薦めかもよ(笑)

要害山(南尾根登山口より)
 
 JR只見線、只見駅の裏にある山である。
登山口は只見駅の本当に真裏にある場所と我々の登った三石神社からの南尾根口の2つあり、どうやら周回できるようだ。
高速道路からはとてつもなく遠い奥山なので、福島方面や新潟方面からのルートを考察してほしい。
登山道は急こう配ではあるが、危険な場所はなく、スニーカー程度でも大丈夫。山頂にはテレビ局などのアンテナ塔がいくつかある。
トイレは只見駅ですませたほうがよい。
自動車は三石神社前に3台程度とめられるが、只見駅前には大きな駐車場があるので、そこを利用するのが一番いいみたいだ。

   後日譚 12月に入ってすぐに、只見町から小包が届いた。なんと、只見満喫キャンペーンのB賞に当選したとのこと。
        只見の名産品がいろいろ入ったセットが届きました。いや〜、まさか当たるとは。
        よい山を発見させてくれて、バッジまでくれて、そのうえ名産品までくれて、本当にありがとう只見町。
        
        トマトジュース、えごまドレッシング、ふきの佃煮、早乙女踊りという手焼きせんべい、えごま味噌。
        まんなかのヒツジは、おつまみマトンというマトンのジャーキー。それと、お米2合。




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