番外

の山

2023/7/4  守門岳(青雲岳)(1487m) 保久礼コース     
梅雨である。
週末の天気予報もイマイチで、晴れマークがついているのは月曜日と火曜日くらい。
そのうちの1日は大物の洗濯をしたいので、火曜日にどこかに登山に出掛けよう。
相変わらず無職で求職中の身分の私は、梅雨の晴れ間を無駄にしないために、単独登山をすることにした。
当初は比較的家から近い粟ケ岳にするつもりだったのだが、ヒルが出るという情報を得てしまったので、その案は消滅。
イヤだもん、ヒル。
ではどこにしよう。水曜日に近くまで行く用事があるから、角田山にでも行こうか。いや、水曜日には雨マーク。
そうだ、守門岳があるじゃないか。
守門には前にも単独で登ったことがある。たしか大岳までなら2時間くらいで登れたはずだし。
思いついてからバタバタと支度をして、自宅を出たのが午前8時。ちょっと遅めだが、大丈夫か?
前に登ったことがあるって言ったって、12年前だぞ。干支一周しているんだぞ?

9時35分 保久礼の駐車場にはトイレがない記憶があったため、下の二口の駐車場のトイレに入ってから先に進む。
平日にも関わらず、二口の駐車場には10台くらいの自動車が。
あれ、林道って、こんなに長かったっけ、と思うくらいに進み、げ、こんな角度で曲がったっけ、という角度でコンクリートの道に入り、まだ先だったっけ、と思うくらい先に駐車場出現。
あれ〜、ものすごく立派なトイレと更衣室スペースがある建物ができているぞ。そこそこ広い駐車場にこちらも10台ほどの自動車が駐車中。
せっかくなので、ここでもトイレに入る。
支度をして出発。
しっかり登山道を間違えて、舗装道路のほうに進んでしまった。
登山道は、チェーンで仕切られた右側のほう。
舗装道路は保久礼小屋の下に出てしまう。
ま、小屋が見えるので、慌てずに斜面を登る。
9時39分 保久礼小屋。
ここから先は延々と階段が続く。
しかも、階段の間に水が溜まって、ドロドロになっている。
歩きづらいことこの上ない。
しかも、花もない。
せいぜいツルアリドオシの花がちらほら見えるくらいだ。
10時14分 キビタキ清水。
足元にハナニガナらしい黄色い花が。
やっと色彩が出てきた。
10時15分 キビタキ小屋分岐。
ここはキビタキ小屋を経由しないで100メートルほど短い道を選択。
それにしても、とんでもない道だ。
粘土状の土がえぐれて樋のようになっている。
どこに足をおいても滑りそうで怖い。
10時27分 キビタキ小屋からの道合流点。
守門大岳まで1.4キロ、とある。
11時ちょうど 第二展望台。
展望台というのに、下は真っ白。
どうやら雲の中にいるようだ。
ところで、ここの手書きの案内に守門大岳まで1.6キロとある。
かなり混乱する。
キビタキ小屋であと1.4キロと思っていたら、ここにきて距離が増えている。
どーいうこと?
第二展望台を通り過ぎると、ゴゼンタチバナが出現した。
おお、かなり標高が高いんだ、と分かる。
ネバリノギランの姿もある。
11時15分 ちょっと開けた場所になり、不動平の表示が。
あ、ヒメサユリが咲いているぞ。
もう遅いかもしれないと思っていただけに、間隙だ。
確かこのあたりに水場があったと思ったが、案内表示がどこもかしこもボロボロで、分からない場所もあった。
11時18分 右手に道が分けている。
案内が書いてあったらしい板があるのだが、文字が判別できない。
しかし、その道がすごかった。
ずらーーーーっとヒメサユリが咲いているのだ。
道の脇、ヒメサユリだらけ。
何の保護もされていないだろうのに、こんなに咲くんだ。
11時41分 大岳到着。
だれも休憩していない。
というか、すでに数組とすれ違った。
私はたぶん最後の登山者なのだろう。
ここでクッキーを食べて栄養補給。
右側の袴岳方面に進む。
その右側の道、つまり大岳と青雲岳の間の網張がすごかった。
それまでほとんど花がなくて、なんでこんなただ泥道を登るだけの山を選んじゃったんだろうな、と思っていただけに泣きたいくらい嬉しかった。
とんでもない量のヒメサユリなのよ。
ここにもそこにもあそこにも、ピンクのかわいらしい花が咲いている。
しかも、色が濃い。
タニウツギの色も濃い。
網張までの道は急降下でものすごく怖いのだが、ヒメサユリを撮影しつつ歩くので、それほど苦痛ではない。
下るにつれ、キスゲの姿も見えてきた。
ヒメサユリとキスゲが混ざっているなんて、夢みたいだ。
それにしても下る。
これでもか、これでもか、とずんずん下る。
これ、また登るんだぜ。
考えただけでイヤになるくらい下る。
あ、イワカガミがまだ咲いている。
かと思ったらオオバギボウシも咲いている。
ミヤマカラマツの姿もある。
12時11分 網張。
網張であると示すはずの杭が、もやは朽ち果てていて、文字も読めない。
おや、こいつはモミジカラマツだぞ。
  ここから先は登りになる。
すぐ左にまだ残る雪があるのだが、道は雪に向かって落ちてください、と言わんばかりの斜面にへばりついた道になる。
単独だから、落ちたらアウトじゃないのよ。
慎重に足を進める。
大岳から下ったくらい登るはずなのだが、覚悟を決めていたほどはキツい登りではなかった。
途中、下山してくる先輩ご夫婦とすれ違った。
山頂でのんびりしようと思っていたけど、泥道がひどくて、時間がかかりそうなので下山してきました、とのこと。
まったくです。
 
 
12時37分 二口コースとの合流点。
ここで下りの女性が仲間を待っていて、私におひとりですか、と声をかけてきた。
泥道がひどかったですね、でも、花が綺麗でしたね、と話す。
  あとは袴岳への登りになるのだが、分岐の直後にひょえぇぇと驚く。
足元におびただしい数のトキソウが咲いているじゃないか。
草の間に隠れてもかなりの数のトキソウがある。
あまりに多くて、珍しくもなんともない感じだ。
 
木道が出てきた。
ドロドロの道だったので、木の道はホントーにありがたい。
あれ、この花は、ミヤマママコナじゃないですか。
木道になってもキスゲはあちこちに咲いている。
あら、バイケイソウ?いや、タカネアオヤギソウらしい→
12時58分 草藪が途切れて、いきなり草原になった。
青雲岳山頂である。
時計を見たら午後1時近い。
本当は守門岳の最高峰の袴岳まで行くつもりだったのだが、行って戻って1時間かかるだろうなぁ。
とりあえず、ごはん食べてから考えよう。
  明るい草原に木道が何本も通っていて、木で作られた休憩用のスペースもある青雲岳。ここで昼食をする登山者も多いはずだが、人っ子一人いなかった。もう遅い時間だものな。そうだろうな。
袴岳は見える。
少し下ってまた登って。
30分昼食休憩のあと1時間かかって戻って来て、さらに下山に3時間近くかかるとしたら、駐車スペースに着くのは5時を大きく回る。
家までの距離を考えると、これ以上時間は取れないと判断した。
やむなく袴岳は断念。
草原にはあちこちにツマトリソウが咲いていた。
木道に座って昼食にしたのだが、
そこもツマトリソウだらけだった。
 
  
ごはん食べた木道からぐるっと撮影。右が袴岳方向。左が大岳方向。
13時23分 下山開始。
左の風景は、木道の池塘がわの一番端っこまで行って見た、大岳。
よーく見ると、帰り道のつらい登りが手に取るように分かる。
13時36分 二口コース分岐。
さすがに遅いので、帰り道は花の写真などは撮らずに急いで戻るつもりだったが、なぜだか登りにはほとんどいなかった蝶がたくさん現れた。
名前はよくわかりません(笑)
マイヅルソウもたくさん。
意外と樹林帯にはなかったユキザサも網張あたりにあった。
途中から大岳が見える。
このあたりで単独男性の登る人とすれ違った。
あの人がたぶん本日最後の登山者。
13時54分 網張。
やっぱり花がすごいわ。
急ごう急ごうと思いながら、行きとは違う角度で見るので、いちいち写真撮影してしまう。
クルマバナかなぁ。ピンクの楚々とした花が咲いている。
キスゲの黄色がまぶしい。
キソチドリだのクガイソウだの、登りの時には気がつかなかったなぁ。
しかし、大岳までの登り返しはやっぱりキツい。
網張から横移動するルート、だれか開発してくれ。
14時24分 大岳。
14時43分 不動平。
どろっどろの道がこのあと控えているので、不動平までの石ゴロゴロの道はむしろ歩きやすい道と思えてしまった。
歩きやすい道は急ぎぎみで下るのだ、とぶつぶつ言いながら歩く。
14時53分 第二展望台
行きは雲の中で真っ白だったが、なんとか展望が開けていた。
15時20分 キビタキ小屋分岐。
ここで、前方に人の気配。
え、下る人に追い付いた?
そんなバカな。私は一人で30分近く山頂で休んでいたんだぞ。
どうも泥っ泥のとんでもない道に本当に苦労しているらしき、先輩夫婦だった。お尻が泥だらけで何度も転んだらしい。
追い越させてもらう時に「ひどい道ですね」というと、「本当にね。整備していないのかね」と怒りぎみだった。
うーむ、12年前もおんなじだったからなぁ。
この山はこういう山なのだと思うしかないと思うなぁ。
  なんとか転ばずに、キビタキ小屋あたりからのひどい泥道でペースダウンしたものの、階段まで来ることができた。
階段は階段で水たまりに苦労するのだが、ドロドロよりマシである。
15時53分 保久礼小屋。
今度は間違わずに登山道を進む。
この小屋から駐車場までの坂道がキツかったこと、キツかったこと。
15時59分 駐車スペース到着。
わはは、あんなにいた自動車がたった3台になっている。
私のクルマと老夫婦のクルマと網張あたりですれ違った単独男性のクルマだ。帳尻は合う。
遠慮することなくトイレと併設された着替え用のスペースで全身着替えさせてもらった。
初めてここで気がついたのだが、こんな場所に登山届のポストがあったんだ。単独だから、提出しなくちゃならない所だったのにな。
入り口に大きく書いておいて欲しかったな。
さっぱりと着替えが終わってもまだ老夫婦は戻って来なかった。
自動車で二口の登山口を通ったが、そこでも残っていた自動車は3台。
思ったよりも遅くなってしまったな。
 

なんで守門岳を平日の簡単登山と勘違いしちゃったかなぁ。
過去2回も登っていて、どちらもヘロヘロになっているのになぁ。
その過去2回登っているというのが勘違いの原因で、まず大岳までなら1時間半で登れる、と、どこをどう間違えたのかそう思ってしまっていた。
1時間半なら角田山とおんなじじゃん。おいおい、こらこら。
大岳から袴岳までも1時間で行けて、ほぼ気楽な稜線歩きと思い込んでいた。こらこら、おいおい。
まあ、袴岳を諦めたおかげで晩御飯を作るのには間に合いましたけどね。翌日仕事がない身でなければ、できないことではありました。
晴れの天気予報だから出掛けたのに、けっきょく大半が雲の中ではあったが、炎天下よりはマシな登山ができたのかもしれない。
樹林帯の中では蒸し暑くて仕方なかったけど。
それでも、花は本当にすごかった。
もうヒメサユリは遅いだろうと思っていたのに、こんなにたくさん咲いていてくれるとは。キスゲもたっぷり見ることができた。
管理された群生地ではないのに、こんなに無造作にたくさん咲くんだ、と感動した。
とはいえ、泥道が苦手な人には保久礼コースはお薦めできません。
泥だらけになるばかりか、転んで怪我をするリスクも大きい。
他のコースがどれほどの道なのか分からないのだが、網張あたりの花を楽しみたいのであれば、泥道苦手な人は別ルートを考えたほうが懸命だ。


守門大岳
  守門岳二口登山道入り口
最寄ICは、関越自動車道小出IC。ここから国道17号に出て、小千谷方面に進むと国道252号の分岐になる。右折で国道252号に入り、守門方面に進む。
旧広神村を通り過ぎ、須原スキー場を通り過ぎ、かなり進むと、左折すると国道290号だという標識が出てくる。ここは左折。栃尾方面に進む。
そこからまた少し山間の道を進むと、右折すると二分であるという標識が出てくる。
手前に小さな酒屋さんがあり、曲がり角に「バスの回転場である」というような看板がある道である。
右折して二分へ進む。
集落を通り過ぎると、道は山を登る感じになる。段々になっている田んぼのあいだを曲がりながら進むが、小さいながらも登山口の案内道標が立っているので間違わない。少し狭くなった道をどんどん進むと、やがて駐車スペースにたどりつく。
トイレがあるし、何台も自動車が止まっているのですぐにわかる。駐車スペースを通り越して橋を渡った向こうにもさらに駐車スペースがある。
  保久礼登山口
二口平登山口からさらに林道を先に進んで行く。
しばらく進むとカーブの突き当たりの右手に5台ほどの駐車スペースがありここからも徒歩で保久礼小屋に行けるらしいが、ここは通り過ぎてさらに林道を進む。道は狭くなるが、どんどんと進んで行くと大きく右後方寄りに曲がる道がある。急角度で登るコンクリートの道だ。この林道をしばらく進んだ突き当りに立派なトイレがある駐車場になる。曲がり角には小さいが案内はあるので、見落とさなければたどり着ける。


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