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2024/12/7(土)   信夫山(熊野山) (268m)   福島県福島市
妙に夏が長くて極端に秋が短かった今年、ようやく12月になって、冬らしい天候になった。
ということは、新潟県では連日雨や曇りや雪やあられ。晴れる日はめったに無くなってしまう。
せっかくの連休の土曜日、しばらくどこにも行っていないので、晴れた所で歩きたい。
晴れのエリアといえば関東方面。
自動車で雪国の空から脱出するには長時間かかってしまう。そうすると、歩く時間は短い場所でなければならない。
どこかいい場所はないかな。
ダンナが「猫稲荷」という場所があると言いだした。
猫稲荷とは面妖な。それは猫なのかキツネなのか。
どうも、標高の低い山で、色々な史跡があって、その一つに全国から猫好きが集まる猫稲荷という場所があるらしいのだ。
そっか、行ってみたい。そこ、遠いの?
なんと福島県だった。
福島といえば、東北。雪国の新潟と大差ない寒さじゃないのよ。
いや、福島の浜通りという太平洋側であれば、ほぼ関東と変わりない天候なのである。
猫稲荷のある信夫山は福島県の福島市にある。調べてみたら、お天気は晴れ。
ちょっと遠いけど、行ってみようか。
と、いうことで、12月7日、みぞれの降る自宅を7時過ぎに出発。
積雪が5センチくらいになっている磐梯高原などを通り抜け、東北自動車道に入り、ちゃんと太平洋側は晴れているんだね〜と感激しながら福島西ICを下りた。
さて、福島に入ったので、ナビに信夫山を案内してもらおう、と入れてみたら、無い。
げ、ナビ頼りだったのに。
困った。
仕方ないので、ダンナが携帯を取り出して携帯のナビに案内してもらう。
さて、ここで懸命な諸氏はお気づきだろうが、われわれ、自動車のナビに「のぶおやま」と入れている。
「のぶおやま」じゃないんですよ、笑っちゃいけないですよ、「しのぶやま」なんだって。
どーして自動車のナビはよみがなでしか入れられないのかしらね。漢字であれば間違いないのに。
それはさておき、隣県なのに福島県の県庁所在地が福島市とは知らず(郡山市と思ってた)すんごく都会に出てしまってびっくり。
けっこう混雑している道を「山ってどこよ」と思いながらナビの言う通りに走る。
すると、ちゃんと信夫山公園という文字を発見。
発見したけど、そっちに曲がる道がなんと工事のため通行止め。すぐそこが入り口なのに。
ナビはこうなってしまったらお手上げで、とにかく入り口はわかったので、反対側から入るしかない、ということになり、公園をぐるっと回る作戦に。
ナビの地図上では細い道などよく分からないので、もう勘でしかない。
川がある川を渡ったら山から離れる、すんごい土手走る、土手から下りる、住宅街入る、山道になる、あ、大きな道、あ、ハローワーク、おお、公園入口だ。
なんか、登る前からアドベンチャーだ。
なんとか公園の駐車場に到着。
意外にもガッツリ登山的な身支度をした人たちが歩き始めていた。
我々も支度をして、さあ出発だ。

10時50分 駐車スペース出発。
左写真は駐車場向かいの護国神社の鳥居。その奥が信夫山。
とはいえ、この山は、羽黒山、羽山、熊野山、立石山の連なる山塊で、信夫山という山頂は無い。
登山道らしい登山道もなく、ほぼ車道を歩く。
我々はよくわからないので、先に歩く人たちのあとをついて行く。
護国神社の隣の黒沼神社の脇を通って行く。
桜の名所とかで、マンホールならぬグレーチングに桜。
道はゆったりと登って行く感じだ。
右手に墓地。
お墓参りの自動車なども通るので気をつけなくてはならない。
11時 第一展望台と第二展望台の分かれ道。
左に行くと第一展望台、まっすぐ行くと第二展望台。
随所随所に案内地図があり、初めてでも迷わないようになっている。
えーと、我々は熊野山の山頂を目指すワケだから、まっすぐ第二展望台に行けばいいんだな。
と、まっすぐに進みだすと、ホウキで落ち葉を掃いていた人が外周りコースですか、がんばって、と声をかけてくれた。
右手の展望がよい。
あちこちに信夫山公園開園150周年というのぼりが立っている。
それに、紅葉もあちこち、綺麗だ。
お、柿の木にメジロが来ているぞ。
あらまあ、ホトケノザが咲いているじゃないの。
11時10分 ガイドセンター。
とりあえず、地図でもないかと立ち寄ってみることに。
屋上が展望台ということで、屋上に行ってみると、ガイドのおじいちゃんが現れて、信夫山の成り立ちを教えてくれた。
なんでも、福島盆地は外輪山レベルの土地だったのが、がぼっと陥没してしまったのだそうで。
その陥没の際に取り残された外輪山レベルの土地が信夫山。
つまり、隆起した山ではなくて、取り残された残丘なのだそうです。
右はガイドセンターのキャラクター「わらじい」。
ガイドのおじいちゃんにオススメコースはないかと尋ねたら、羽黒神社と烏ケ崎には行ってください、とのこと。
地図は無いかといったら、1部100円也の寄付金の地図を2つすすめられましたとさ。
11時20分 ガイドセンターを出て坂を登ると分岐になる。
右に行くと第二展望台。
まっすぐに進むやや細い道は羽黒神社に行く道だ。
おじいちゃんのオススメの通りに羽黒神社に向かうまっすぐの道へと行く。
と、後ろから男性が追い付いて来て、話しかけてきた。
どうも猫稲荷のスタッフらしく、手には猫稲荷のイベントの案内をもっている。
猫の日の22日に毎月なにがしらのイベントが開催されるらしく、その案内だ。
我々も猫稲荷のうわさを聞いて来たんですよ、と言うと、是非にも立ち寄ってくださいという。
もちろんですとも。
羽黒神社がまだなので、そちらに行ってから立ち寄ります。
そう言うと、そこの石段の先が羽黒神社です、ちょっと岩だらけの場所もあるけど、ぜひ行ってみてください。とのこと。
そこで男性と分かれて、羽黒神社の石段にとりつく。
男性と話しながら歩いた道はゆず畑の脇を通る道で、ちょうど収穫期だったため、ゆずのいい匂いがした。
足元にはなにやら小花やホオズキのオレンジの実も。
11時26分 さて、羽黒神社に行きますか。
石段はホントに見た目だけの段数しかなかった。
その先はむき出しの岩盤のけっこうな斜面になっている。
落ち葉が覆っているので、時々ゴツゴツした岩につまづきそうになる。
これってば、国上山の蛇崩に似ているね、なんて言いながら登る。
なんで途中の岩場だけ残してそのまんまなんだろう、と思いつつ、登って行くとまた古い石段が見えた。それを登ると羽黒神社だ。
11時31分 羽黒神社到着。 真っ赤っかできらびやかな感じだ。
境内には巨大なわらじがある。長さ12メートル、重さ4トンだそうで。
昔はもっと小さかったけど、村どうし競い合って奉納するうちに巨大になったんだってさ。日本一だそうです。
11時36分 羽黒神社を出て石段の登り口に。
向かい側に自動車でも通りづらそうな細い坂道が下っている。
手持ちの地図で、その方向が猫稲荷ということで、あの男性に約束した通り猫稲荷へと下って行く。
この細い坂道はおみさかというそうで、道の途中などに小さな祠がいくつかある。
それぞれに神様が祀られていて、信仰の山なのだと感じさせられる。
けっこうな坂道なのよ、おみさか。
あらまあ、オオイヌノフグリが咲いているじゃないの。
小春日和って、春そのものみたいじゃないの。
11時40分 猫稲荷到着。
思ってたのとちょっと違う。
鳥居はあるけど、その横には古民家がある。
この古民家は江戸末期に建てられた西坂家。
休憩施設になっていて、見上げると見事な梁などがある。
猫稲荷は古民家の前を通り抜け、奥にある。
小さな鳥居が並んでいて、その奥だ。
なんで猫稲荷かというと、信夫山の三狐の中の一匹、いたずら好きの「ご坊きつね」が別の一匹「加茂左衛門きつね」に騙されて尻尾を失い、神通力もなくなった。和尚さんに諭されて、今までのいたずらを反省して、蚕の敵の鼠を退治することにした。鼠を退治してくれたから「ねこ稲荷」と言われるようになった。
とのこと。
なんだ、結局きつねじゃーん。
いや、さておき、たくさんの猫好きが集まるのは事実らしい。
お稲荷さんのそばには猫好きたちが絵馬のごとく奉納した愛猫の写真が掲げられていて、さらに古民家にも何枚もあった。(奉納は有料です)
11時50分  猫稲荷を出てさらにおみさかを下る。
猫稲荷というからには猫がたくさんいるのかと思いきや、稲荷様にも古民家にも猫はいなくて、古民家では猫グッズがあったり、保護猫の募金活動などをしていた。
猫いなくて残念と思いつつ坂を下ると、ああああっ、白猫発見。
おみさかのほぼ一番下にある大きな鳥居のそばに白猫がいましたよ。
とてもおとなしく、近づいても逃げず、ずっとにゃんにゃん鳴いていた。
11時52分 鳥居。
鳥居の先はちょっとした広場になっていて、ここでもゆずの収穫をしていた。
11時58分 広場の先は登る道と下る道に分かれている。
えーと、じいちゃんのオススメは烏ケ崎なので、下るのだな、と100円也の地図で確認。
下ってみたら、落ち葉だらけで、舗装されているのに葉っぱで滑る。
12時05分 分岐に出た。
なるほど、自動車が通れないようになっている道だったか。
どおりで落ち葉だらけだった。
案内板があるので、そちらに向かって大きめの道を歩く。
12時13分 なにやら工事しているらしい現場に到着。
上には第一展望台の駐車場やトイレが見える。
工事をしていて、この先烏ケ崎の方向に進む道は自動車は通行止めになっていたが、徒歩では行けるらしい。
ということで、工事現場を横に見ながら歩き出す。
12時20分 道はつづら折りになっていて、それほど急な登りではない。
が、そのつづら折りをショートカットする形の階段を発見。
そりゃ短いほうがいいので、階段を利用する。
この階段ルート、「羽山駆け道」と言うそうな。
途中まできれいな階段だったのに、途中から落ち葉の斜面になってしまった。
だんだん細くなって雑木林の間を登る感じになり、不安になる。
12時28分 その細い道を抜けて、どうやらここが車道の最終地点らしい場所に出た。
烏ケ崎の手前にある月山神社を目指していたはずなんだけど、車道最終点からさらに伸びている小径の脇にあったのは、湯殿山神社。
あれ、月山神社どこよ?
12時29分 湯殿山神社
とにかくさらに進む。
おやおや、かなりの団体さんが烏ケ崎から戻って来た。
何かしらの勉強会らしかった。
信夫山で行われている「フットパス」という楽しんでゆっくりマイペースで歩くというウォークの団体さんかもしれない。
おお、道の先が開けてきたぞ。
12時32分 烏ケ崎到着。
晴れていたらあだたら山とか、吾妻連峰、あぶくま山系などが見られたようだが、そちらのほうは雪雲で覆われていた。
ただ、福島市街はとてもよく見えて、大パノラマだった。
下は3枚並べてみました。
信夫山の下を新幹線がトンネルで突っ切っているのがよく分かる。
    
しかし、ここに来て我々はふと気がついてしまっていた。
あ、信夫山の山頂を踏んでいない。
かなり下ってしまっているぞ。どうしよう。
それにつけても、12時もかなり回ってお腹がすいている。
どこかいい場所を探してみたが、この烏ケ崎あたりは風が強く、お昼を食べるには寒すぎる。
どこか風を避けられる場所がないかと探して来た道を戻り、結局湯殿神社にたどり着いた。
さすがに神社の軒先で食べるのははばかられたので、裏手の岩の陰で昼食。
あったかいカップ麺だったのに、どんどん体が冷えてしまった。
さすがに12月である。
13時ちょうど 昼食を終えて、今度こそ山頂を目指して来た道を戻る。
  13時03分 道の最終点らしい場所まで戻って来た。
このまま舗装した道を下れば月山神社のはずだが、100円也の地図を見ると、月山神社は道からややはずれて上のほうにある。
ふと見ると車道より上がわに踏み跡ともとれる道がついていた。
そっちに行ってみよう。
おお、あったあった、首尾よく月山神社に横のほうから到着。
 
  月山神社から下の方に歩道がついている。
葉っぱで埋もれていて、なんだかどこに続いているのかわからない感じがして、ちょっと怖い。
が、他に続いているワケもないので、その道を進んだら、ちゃんと月山神社の駐車場に到着した。
13時06分 月山神社の駐車場。
ここでトイレに入りたかったが、立派なトイレは冬季閉鎖中。
仕方ないがまん。
 
ここからは車道を下る。
本当は薬師の峯展望デッキを通って登るとおみさかに近道なのだが、トイレに行きたかった。
工事現場を通り過ぎ、少し上にある第一展望台の駐車場に向かう。
トイレ、トイレ。あ、ここも冬季閉鎖。うう、がまんがまん。
13時17分 第一展望台の上には五つ石という石があった。
また車道に戻り登って行く。
正面に薬王寺というお寺があり、左にカーブ。
  13時20分 カーブしたら正面に鐘撞堂。
鐘撞堂の前を右に曲がると、お墓の間を急降下する道になる。
 
  13時25分 坂を下り終えると白猫のいた赤い鳥居の広場になる。
今回は白猫はいなかった。
13時29分 おみさかを登る。猫稲荷を通り過ぎる。
下る時はものすごく急な坂で、きっと辛い登りだろうと思っていたが、意外に短かった。
でも角度は急だったわよ。
トイレに入りたかったので、猫稲荷に立ち寄ってもよかったけど、さすがに恥ずかしくてやめましたよ。山頂踏み忘れたなんてね。
 
  13時36分 羽黒神社。
車道を登って第二展望台を通り過ぎても山頂に行けたが、羽黒神社を突っ切るほうが近いので、またあの岩のまんまの急斜面を登った。
ここにトイレがあったので、ありがたく使わせてもらう。
社殿の右側を通ると、杉林の中に下って行く道がある。
他には道はないので、そちらに向かって歩く。
 
  13時40分 杉林を抜けてちょっと広い場所に出た。
そばに電波塔らしきものが2つ見える。
真っ赤なモミジもあった。
 
  13時43分 地図にこの先に車止めがあると書いてある。
広い場所を抜けるとどうやら車道の終点らしき場所があり、その先に確かに車止めがあった。
「建設省 信夫山無線中継所」とある。
自動車ではないので、横からぬけて先に進む。
 
  13時45分 2本目の電波塔まで来た。
道は電波塔の脇からさらに続いてるのでそちらに向かう。
13時46分 電波塔のすぐ裏に熊野大神という石碑。
 
  そして、国土地理院の三角点。やっと山頂踏みましたよ。
写真を撮影して、さて、帰りますか。
今度はちゃんと車道から下る。
13時54分 第二展望台に到着。
あらまあ、遊具とかトイレとか色々あるし、駐車場も広い。
かなり広い展望台もあって、広々と福島市が見下ろせる。
下は3枚並べてみた第二展望台からの眺望。
 
    
  さらに車道を下る。
14時02分 ガイドセンター
14時10分 第一展望台と第二展望台の分岐。
あの葉っぱを掃いていた人がまだ作業をしていたが、さすがにこっそり通り過ぎた。恥ずかしいじゃないの。
途中、行きの時にメジロがいた柿の木に今度はヒヨドリが来ていた。
14時17分 駐車スペース到着
いや〜、歩いた歩いた。
あまりに内容盛りだくさんで、到着後時計を見たらまだ2時半だというのに驚いた。こりゃ、お得な山だわよ。
 
 
まあ、ホントに色々トピックスの多い今回の歩きだった。
ちゃんと勉強して行かないのはいつものことなのだが、よもや山頂を忘れて下ってしまうとは。
そもそもあちこちにある案内板に山頂という案内が無い。さらに、ガイドセンターのおじいちゃんオススメコースに山頂が含まれていなかった。
さらにさらに、道すがらに猫稲荷のスタッフさんに会ってしまって、完全に猫稲荷に行くことが最終目的で、それがすんだらじいちゃんオススメの烏ケ崎の眺望を見ようと頭の中から完全に山頂が消えてしまった。
低い山でよかったですよ。やっちまったことを取り返すのが大変な山でなくて。
晴れて暖かかったが、歩くのをやめたり、日陰だったり、雲が出たりするとすぐに寒くなってしまった。
やっぱり東北の12月である。
あたたかい装備で行けば、とても楽しい山で、ただの聞きかじりだけで新潟から行ったにしては収穫の多い山だった。

信夫山

信夫山という山はなく、目指すのは、信夫山公園である。
我々は新潟から磐越道と東北道を乗り継いで行ったので、最寄りICは福島西IC。地図で確認すると、どうやら国道115号を通って公園に近づいたらしい。
が、公園のごく近くに行ったら工事中で道が通れずに、ナビも案内してくれず、仕方なく勘で信夫山公園をぐるっと一周して反対側から近づいた。
公園はハローワーク福島のすぐそばの坂を登る感じなので、ナビに信夫山公園が入っていなくても、ハローワーク福島で行けると思う。
いや、もっとも、工事さえなければ、道路案内で公園にはたどり着けるはずである。
ただ、県庁所在地の繁華街のど真ん中を通る都合上、インターからはある程度の時間がかかることを覚悟してほしい。
坂を登り切ると左手に護国神社のでっかい鳥居があり、その向かい側のさらにちょっと登った所に公園の駐車場やトイレがある。
信夫山公園は歩くつもりになれば色々なコースがあり、それほどがんぱらなくても大丈夫ななだらかな道しかない。
というか、ほとんど車道である。
それぞれの興味に合わせて散策するのにちょうどいい山である。
信夫山情報サイトにとても詳しく案内されているので参考にしてください。


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