番外

 の山

2007/6/23  田代平湿原 山じゃないんですが・・・ 魚沼市
私事ではあるが、ダンナのヘルニアの手術1ヶ月前である。
が、しかし、ダンナはものすごく普通に生活している。ヘルニアなら腰が痛いだのなんだのの症状があるとは思うが、それは痛み止めでなんとかなっているらしく、あるのは足のしびれだけ。
そうなると、この蝶だの花だのの最高の季節に家でゴロゴロできないのが我々だ。
だが、山道の段差の激しい道では足の違和感のあるダンナには無理である。
では、行けるのはどこだ?
本をめくって調べてみたら、ほとんど全部林道歩きで済んでしまう湿原があるのを発見した。
田代平湿原。
この名まえをインターネットで検索すると、青森県の八甲田の田代平が出てきてしまうが、新潟県にも小さいながらもこの名まえの湿原がある。
三条市の旧下田村から福島県只見町へと抜けているはずの国道289号は、途中の八十里越えで途切れて道がつながっていないのだが、この八十里越えの近くにあるのが田代平湿原だ。
ただ、鞍掛峠を越える文字通りの八十里越えのルートは山道で厳しい。
田代平に行くには、魚沼市旧入広瀬村側から林道大白川線を利用すれば、林道歩きだけで済むのだ。
平素であれば、林道歩きはかったるくてあまり好ましくないのだが、今の我々にはこれほど適したルートはない。
ものの本によれば、80分で行けるというし。ちょうどいいじゃないの。
ただし、この80分、見事に読み違えていたのだけれど。
ともあれ、80分を信じ込んで梅雨の合間の好天の土曜日に入広瀬に向かって出発した。
9:30  大白川林道の入り口に到着。
ところが入り口が2箇所ある。初めての我々は戸惑い、とりあえず手前の入り口に駐車。
左の写真のアスファルトの道が県道385号線。カーブを曲がったあたりにもう一つ入り口があり、ここにはゲートがある。
結局、徒歩3分で右写真のような橋に行き着き、ゲートの道と合流した。
手前の入り口は道が崩落して、徒歩なら通れるが自動車は通れない。
新しい道が奥にできて、そこからは自動車が入れるが、ゲートが閉められ、工事車両か地元の人しか入れない。
大白川林道の入り口にいきなりミヤマカラスアゲハやコムラサキに出迎えられる。
大白川林道は自動車も通れるわけなので、とてもなだらかである。左手に破間川が流れているはずだが、緑が濃すぎてわからない。
9:48  最初の温泉管理施設らしき建物が右側に
9:55  二番目の温泉管理施設らしき建物が左側奥に。この建物まで林道の脇に電信柱がある。どこに送電しているのかと思ったが、温泉管理施設のためらしい。
10:10  緑の向こうの破間川の水音が激しくなり、その正体を知ろうと覗き込んだら、かなり遠くに破間川に流れ込む滝を発見。
うわっ、木の葉っぱがじゃまで殆ど見えない。
しかし、水音は破間川本流のもの。砂防ダムだとは思うが、まったく見えなくてくやしい。
やっと緑が途切れて破間川が見える。
はるか下方の川は綺麗な渓流だ。(左写真)
遠くの山の谷間にも滝発見。(右写真)
滝好きは、とにかく滝を探す習性がある。
10:55  治山工事のための分岐に出る。この道は川まで通じているらしいが、立ち入り禁止。
なんという山なのかわからないが、遠くに雪を頂いた山が見える。 なだらかな林道なので、ほとんど疲れないが、思いのほか標高が上がっているらしい。
11:00  葦ケ沢橋  あれ、もう1時間半も歩いている。いいいかげん湿原に着かないとおかしい。
ちょうど名まえのわかる場所に来たので、登山地図で位置を確認してみるが、さっぱりわからない。
ま、道は間違えていないはずだし、そのうち着くだろう。
蝶や花を撮影しているので、時間をくっているのだ、と歩き出す。
思えばここで登山地図じゃなくて、「にいがた花の山旅」のほうを開くべきだった。
ところで、この林道は、道の脇から何条もの沢が落ちている。道の下をくぐって、あるいは上を通って破間川まで行っているのだろう。
ほとんどは小さな沢なのだが、時折滝と言ってもいい沢があったりする。数が多すぎて滝のページにまとめられないのだが、写真左は中でも滝らしい沢。右は大きさ比較。
橋を通り過ぎたあたりから登りの斜度がけっこうきつくなってきている。
11:30  ヘンだなぁおかしいなぁと思いながら歩いて行くと、ついに右手に八十里越えに通じる入り口を発見。
おお、この入り口からわずかで田代平のはずだ。
って、もう2時間も歩いているじゃないの。
それにしても、入り口って言ったって、目印はわずかな踏み跡と何年前のものか分からない通行止めの案内看板くらいである。
途中、地元ナンバーの軽トラに追い越されたりしつつ、林道を歩いて行く。
思ったより花の少ない林道で、蝶といえばイチモンジチョウが飛んでいるくらい。
入り口のお出迎えの印象とはちょっとギャップがある。
11:50  いいかげんイヤになったあたりで、また道標を発見。右八十里越え(木の根)に至る、と書いてある。
なんだ、こっちが本当の八十里越えへの分岐だ。
こっちも踏み跡程度だが、前の分岐よりもはっきりとしている。
11:55  ようやく林道の終点の駐車スペースに到着。わっはっは、2時間半もかかっている。何が80分だ〜。
あとでよく調べてみたら、なんと80分っていうのは、葦ケ沢橋までの時間だった。
葦ケ沢橋からは40分と書いてあるが、我々はかなりゆっくりのペースで登ったと思われる。
右写真の赤い矢印は林道の続く方向。
ダンナの歩いている方向が田代平湿原への入り口の木道である。
田代平湿原の入り口は背の低い木の林のようになっている。
木道は古くなって壊れている場所もあり、小さな橋になっている場所は完全に落ちていた。
両側にミズバショウの化けたやつが出現する。
それにしても、湿原らしくないし、見通しもきかない。
7月になればトキソウなども見られるらしいが、この6月の終わりには、殆どまったく何も咲いていなかった。
12:03  いきなり視界が開けて、すこーんと草原になっている場所に出る。
ここが田代平湿原だ。
湿原、と言っても、季節的にかほとんど水が無い。なんだかパサパサしている。
木道をはずれても、ぬかるみもしない。
しかし、人っこ一人いない。
木道が多少広くなっている場所が湿原の中に数箇所あるので、そのうちの一つで昼食をとる。
だれもいないと気を抜いていたら、いきなり女性が一人出現して、「こんにちわ、最高ですね」と言いながら我々が来た方向へと歩いて行った。
こんな場所で単独で。
山菜採りにしては、身軽だったし。
最高って、いったい、何が?
それほど広くない湿原をちょっとだけ歩いて、気の早いトキソウはいないことを確認して戻る。
来た道ではなくて、もう少し鞍掛峠寄りに出る道から湿原を後にすることにした。
この道がけっこう急な角度で斜面を登る道だった。今日のコース唯一の山道といった感じだ。
12:57  その山道も5分とかからずに鞍掛峠への道に合流する。
合流地点には道標があった。
道標からはなだらかな道である。がんばれば自動車が通れそうな広さだが、轍は無かった。 13:03  林道終点に到着。
15:12  途中で地元民の自動車に追い越されたりしながら、来た道を戻り、2時間10分で駐車した入り口に到着。
いやはや、長かった。80分だと思い込んでいた分だけ、疲労がドッと来た感じだった。

帰り道、後半に福島から来られた恐らく親子連れらしい2人と一緒になった。
還暦をとうに越えているとおぼしき父親のほうは、近隣の干支の名前のついている山を登ったり、数字の名まえのついている山を登ったりしているとのこと。その一環なのか八十里越峠まで行って来たという話だった。
色々な山の話を聞いて歩いたので、帰り道はとても早く感じられた。
あまり人の来ない林道ならではのことなのかもしれないが、楽しい時間だった。

それにしても、本はきっちり読み解いて、時間の配分をしなくてはならない。足の感覚が普通ではないダンナにはちょっと大変だっただろうなぁ。私もものすごく疲れましたとさ。

田代平湿原 
  最寄ICは、関越自動車道小出IC。国道17号線に出て長岡方面に右折する。四日町の交差点で国道252号へと入る。あとは、国道252号をはずれないように福島方面に向かっていく。旧広神村、旧守門村を通り過ぎ、旧入広瀬村に入る。
左手に道の駅いりひろせがあるので、ここでトイレなどするといい。ここからさらに福島方面に向かって走り、右手に只見線大白川駅を通り越してすぐのY字の交差点で県道385号、左側の道へと入って行く。大原スキー場の入り口を通り過ぎ、破間川ダムを見ながら進み、赤い浅草大橋を渡って、さらに先に進むと、右手に今は休業中のホテル大自然館がある。これも通り過ぎて、やや走ると一番上の写真のような林道の入り口がある。ここらあたりに駐車してもいいし、もう少し先にあるゲートの付近に駐車してもいい。どちらから入っても同じ場所に出る。
そこから先の大白川林道は一般車は立ち入り禁止である。
徒歩で林道を登って行く。
大まかに言うと、かなりのんびりペースで、葦ケ沢橋までなだらかな道で1時間半。そこからややきつい登りで1時間である。
林道の終点に駐車できる広い場所があり、そこからさらに林道らしき道が伸びているが、そちらは鞍掛峠への道。鞍掛峠を越えて行くと旧下田村に出る。
田代平湿原は、木道を通って5分とかからない場所にあるこじんまりとした湿原。ぐるりとまわっても30分もかからない。


新潟の滝もくじ  ときどき週末温泉族になる  んがお工房の日本百名滝めぐり  掲示板