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番外

 の山

2008/7/19  火打山(ひうちやま) (2,461.8m) 妙高市
キヌガサソウが見たい。
ただ、それだけで、海の日の三連休、キヌガサソウの咲く山に行くことにした。
キヌガサソウといえば、すぐに連想するのが火打山だ。だが、手持ちの山の本で見てみると、火打山は中級者向けの山になっている。我々のレベルはどう考えても初級者だ。行程も長いし、ちょっと手が出ない山ではないか。
だとすると、いったいどこにキヌガサソウが咲くのだろう。
このガソリンの高騰している時に、県外の山はちょっと行けない。県内でキヌガサソウの見られる山は無いか。
あった。
雨飾山。
新潟県の雨飾温泉から登って行く途中に中の池という池があり、その近辺にキヌガサソウが咲いているらしい。先の本では、雨飾山のレベルは初・中級者。火打より少しだけ優しいらしいし。行程も火打より少しだけ短いし。
ところが、さんざん調べてみると、雨飾山のルートは、新潟側と長野県小谷温泉がわのルートがあり、どちらかといえば長野がわのほうがメジャーで、さらにそちらがわからのほうが少しではあるが行程が短くなる。いろいろな登山のレポを読んでみると、どちらのコースもとにかくキツい山らしいのだ。
しかも、HPで色々なレポを見てみたのだが、キヌガサソウの記述はただの一つも無かった。つまり、出会える可能性が低いということかもしれないのだ。
可能性の低いキツい山に登るのか?
5日前までは、本当に登るつもりでいた。
メジャーではないコースらしいので、迷うかもしれないから、遭難の場合を想定した準備も必要だし。
とかなんとか、色々と考えていたら、いきなりダンナが火打にしよう、と提案してきた。
確実にキヌガサソウが見られるのは火打山である。しかも、火打山のレポを読んだところ、木道が多く、下山を特に苦手としている私には帰り道が優しい山なんじゃないか、と言うのである。
そうなのだ。私は下山が本当に苦手である。
たいていの山のガイドブックでは登りのタイムより下りのタイムを短く計算している。しかし、私の場合、登りと同じくらいかかってしまうのだ。特に泥っぽい道は大の苦手で、ついでガレっぽい道、岩っぽい道。とにかく下りは全部苦手だ。唯一、木道であれば、苦手意識もなく歩けるはずである。
行程はかなり長くなる。だが、下りで時間が稼げる火打と、下りで時間がかかってしまいそうな雨飾と比較すると、火打のほうがいいんじゃなかろうか。
しかも、キヌガサソウだ。今回の登山の第一番の目的なのだ。
そんなこんなで、急遽火打山に山が変更になってしまった。
実は、この変更でかえって気が楽になった。なにせ火打はメジャーすぎるほどメジャーなので、遭難の危険がほぼ無い。ついでに、山荘もあるので、トイレの心配もない。最初から火打と考えておけばよかった。
そうこうしているうちに、7月19日当日。
行程が長いので、早朝に登山口に着きたい。そのためには午前4時前に高速道路に乗り、深夜割引で妙高に向かう。早起きが辛いわ。
6時少し前、笹ヶ峰の駐車場に到着。火打山の駐車場のほうはすでに満車で、向かいの国民休暇村のほうの駐車場へ行く。こっちもたくさんの自動車が駐車中。ちなみに、トイレがあるのは国民休暇村の駐車場のほう。
右写真のように門みたいになっている登山口をくぐって火打山登山の始まりだ。6時10分。
ものすごい数の自動車と登山者である。だいたいが出発が早朝なので、重なって出発する感じだ。ペースが保てるか不安になる。
最初はほとんど全部木道がつけられている。
ちょっとした沢も橋になっているし、斜面も木道のままなので、とても歩きやすい。
笹ヶ峰牧場に向かう遊歩道が分かれているが、案内どおりに登山道を進む。木道がとぎれると小さな沢があった。一跨ぎできる。
6時30分9分の1キロの標識。
この間に1組のグループを追い越す。
6時37分。ちょっと大きめの沢、渡渉。ただし浅いし石をつたって楽に渡れる。
斜面がやや急になるが、まだまだ木道は続いている。
男性2人に追い越されて、彼らはあっという間に見えなくなった。
あんなにたくさんいた登山者は、ペースがまちまちなので、けっこうバラけるものなのだ。
我々の前後にはほとんど人はいなくなった。
6時53分。9分の2キロの標識が木道の途中に。
それにしても、なんにもない景色だ。
時折木の根元にエンピツくらいに細いギンリョウソウがあるのだが、他には花らしい花もない。
歩きやすいのだけが救いだ。
6時56分。黒沢に到着。
人がいないと思っていたら、ここで休憩している人たちがたくさんいた。黒沢の水は綺麗で、ここで補給する人も多い。
橋から上流を見ると、段瀑って言ってもいいくらいの流れになっていた。
木道はここまでだ。橋を渡るといきなり急な登りに放り出される。
えー、ちょっと待ってよ、これ登るの?どうやって登るの?というくらいの角度の登りが随所にあって、ひいひい言う。
途中で初老のグループを追い越したら「疲れないの?」と聞かれた。
疲れてますってば〜っ。
7時32分。十二曲がりの標識に到着。
えーっ、ここから先が十二曲がりかいっ。なんか、かなりキツイって聞いているけど。むしろ今までの登りのほうがキツかったぞ〜っ。
ということで、小休止。
凍らせたアミノ酸のゼリーを補給。
ここで、やたらににぎやかな同世代のご夫婦を発見。この人たちとは帰りまで抜きつ抜かれつのデットヒートを演じることになる。
7時40分出発。
7時42分。9分の3キロの標識。
十二曲がりっていうから十二回曲がるだろうので、数えてみようと思ったが、イマイチ曲がっているのやらどうなのやら、よくわからない。
左はその途中で見えた北アルプスの山々。
さすが十二曲がり、ファイト一発系の岩もある。
このあたりでマイヅルソウやミツバオウレンがみられるようになった。
急坂を登り終えると、オオシラビソの林になり、木道が時折出現するようになる。
8時25分。9分の4キロの標識。
林の中にはサンカヨウの花も見られた。
かなり標高が上がっていて、ゴゼンタチバナも咲いているのだが、オオシラビソの林が濃くて、まるで低い山の林の中にいるような錯覚に囚われる。
8時30分。富士見平到着。
ここで黒沢ヒュッテに行く道が分かれる。我々は案内にしたがって左折する形だ。
いよいよ森林限界か?と思うくらいに視界が広がる。
直射日光が暑い。最初右が開けていたのだが、いつの間にか左が開ける感じになる。
ふと見ると、右側の斜面にミゾホオズキが目立ちはじめた。うわっ、群生。
ネマガリタケも多い。
どうやらこれを目当てにここまで来る人も多いらしく、ネマガリダケの斜面の奥からラジオの音が聞こえた。
8時57分。9分の5キロの標識。
オオシラビソの緑の間から火打山の山頂や、焼山が見える。
あ、建物が見えた。あれは、高谷池ヒュッテに違いない。俄然、元気が出る。
こんな場所で渡渉、と思うくらいの標高で渡渉。雪解け水が登山道に溢れた感じで浅い。
高谷池までちょっとだけ下るのだが、その途中でおおおおおっ、ついにキヌガサソウを発見。
最初に見た子はちょっと小ぶりだが、しっかり自分を主張していた。
このあたりでイワイチョウ、コバイケイソウなどが見られる。
9時28分。下る手前にアルプス展望台、なるものがある。
ちょっと道からはずれて張り出した所にハシゴがとりつけられて、行けるようになっている。
残念ながらアルプスだけ雲がかかっていた。
左の写真に写っているのは、ライバル(笑)のご夫婦の奥様のほう。
この展望台の上によく探すとシラタマノキがある。
9時31分。高谷池ヒュッテ到着。予想以上に大きいし、外にいくつもテーブルと椅子が設けられていて休憩にちょうどいい。
トイレは一人100円の有料で、紙は持ち帰ってください、とビニール袋がとりつけられている。
高谷池はハクサンコザクラが咲いていて、別世界のようだった。
登山道は高谷池をぐるりとまわって続いている。
途中でこれでもかっていうほどキヌガサソウが見られる。
まさかまさかの団体様も見られてしまう。
嬉しいったらありゃしない。
黒沢池ヒュッテへの道を分けて、少し行くと9分の5キロの標識。
ちょうど高谷池ヒュッテの対岸に出る。
池のむこうにテントがカラフルな色合いでチラホラ見える。
花が目当てだけだったら、ここでのんびりしたいものだけど。
とかなんとかのんびり思っていたら、いきなり残雪が出現した。どうもこの下は岩らしいので、いきなりズボっと穴が開くかもしれない。
できるだけ足跡からはずれないように歩く。
雪の次はゴロンゴロンの岩だらけの道で、これもまた歩きづらい。
またしても雪が出現。今度は多いぞ。
でも、足跡を辿っていけばもぐることもないし、それほどすべりもしない。
正面に火打の頭が見えている。
雪を通りすぎると、小さな池が見え、ハクサンコザクラ、イワイチョウの大パラダイスが広がっている。
初めて見るハクサンチドリもあった。
やや歩くとそこが天狗の庭だと標識があった。
天狗の庭には小さな池がいくつかあって、そのそばを登山道が通っている。
ある場所にはワタスゲが揺れていた。
木道のわきにはミヤマキンバイの黄色い花も見られるようになる。
逆さ火打。
これでハクサンコザクラが満開であれば申し分なかったのだが、我々の行った頃は少し遅かったようで、紫の密度が薄かった。
右はお初に見られたアオノツガザクラ。
10時24分。9分の7キロの標識。
天狗の庭に別れを告げて、乾いた感じの登山道を登って行く。
背の低い木があるので、日光はさえぎられているが、どうにも暑い。
このあたりでヨツバシオガマを初めて見る。
10時40分。木の間を抜けて、岩場がちょうど休憩によさそうな場所だったので休憩。風が通って気持ちいい。
先に休憩していた人が、私があまりにも息を切らせているので、「そんな死にそうな音出さないでください。」だってさ。
死にそうじゃない。死ぬぞ、このままの暑さだと。
はるか下に天狗の庭が見えている。
20分もガンガン登ったことになる。
偉いぞ、私。
木道がまた出現して、けっこうな角度で登って行く。
突然、道の両側にヤマオダマキが姿を現した。
まあ、なんて綺麗なんだろう。
写真を撮りながら息を整える。
このあたりには、キンコウカやマルバダケブキの姿も。
11時03分。またしても雪が出てきた。
おや、標識がある。「ライチョウ平」とある。
今の季節なら親子連れのライチョウが見られることもあるらしいが、まったく気配ナシ。
ここの雪原は斜面がキツいが、やっぱり滑らないので心配せずに登れる。
11時14分。9分の8キロの標識。
両側がミヤマキンバイやミヤマキンポウゲに縁取られた道を進んでいくと、目前に火打の山頂が見える。
げ〜、まだあんなに登らなくちゃならないのか。
あの山頂まで1キロしかないっていうのは、ウソだろ〜。
このあたりでクルマユリを見る。
いよいよあたりはハイマツくらいになってきた。
直射日光がさらにキツく感じられる。
いよいよ火打登山の最終戦、最後の階段だ。
最後は木の階段になっていて、これがムチャクチャキツいのだと、色々なHPに書いてあったが、いやはや、本当にキツい。
3歩進んで息をついて、5歩登って休憩して、を繰り返して、なんとか少しずつ前に出る。
はるか下に天狗の庭から木道でつながっている高谷池ヒュッテまで見通せる。
かなりたくさんの人に追い抜かれたと思う。
倒れるかもしれないなぁと思ったあたりで、ポンと山頂に出た。
山頂は広場と思うくらい広かった。
ただし、日陰になるような場所はない。
小石だらけの広場である。
たくさんの人が休んでいたが、それでも余裕があった。
山頂で保冷パックに入れて冷やしておいたビールで乾杯。ものすごく美味しかったのだが、炭酸で胃が膨れ上がり、食欲が無くなってしまった。
帰りのことを考えると、食べておかないとマズい。
かなり時間をかけてラーメンとおにぎりを食べる。
なんだか、とてもつない疲労感に襲われて、出発したくなくなったので、無理やり立ち上がり、とにかく動くことにする。
12時50分、下山開始。
花が多いので、帰り道も花を撮影しながら進む。
13時20分、9分の8キロ。
13時28分、ライチョウ平。
13時58分、9分の7キロ。
14時10分、天狗の庭。
14時27分、9分の6キロ。
14時30分、高谷池ヒュッテ。小休止。
登りの時はチラホラだったテントが隙間もないほどにびっしりと設営されていた。
どうりで山頂に登って来る人たちが、みんな水分一つくらいしか荷物を持っていないわけである。
ほとんどが一泊するのだ。
15時05分、9分の5キロ。
15時25分、富士見平。
15時35分、9分の4キロ。
このへんでライバルのご夫婦の奥さんのほうが靴を脱いで座っていた。トラブルだろうか。
とにかく追い越す。
16時20分、9分の3キロ。
このあたりで疲労が出てきて、もう記録のためにしか写真を撮らなくなっている。
16時25分、十二曲がりの標識。まさかこんな時間こんな場所で登って来る人にすれ違わないだろうと思ったら、初老のご夫婦が休んでいた。テントを背負って、登りの途中らしい。日没までに高谷池までいけるのか?
17時ちょうど、黒沢橋。さすがに歩くのが苦痛になってきた。だが、ここから先は木の道なので、足さえ前に出していれば、とにかく先には進める。
小休止して、残しておいたアンパンを食べて気力をむりやり引き出す。
17時11分、9分の2キロ。
17時33分、9分の1キロ。
背後から男女のしゃべり声が近づいてきて、あのご夫婦が復活したな、と思った。追い越されないようにこちらも歩みを速める。
17時50分、登山口到着。ご苦労さまでした。
振り返ると、近づいてきたカップルはライバルとしていたご夫婦ではなかった。
足、大丈夫だったのかしらん。
実に、休憩を含めてであるが、11時間40分の行程だった。
下山はほぼ文字だけのレポになったが、本当に写真が少ないのである。撮る気力さえ無くなった。
富士見平まではまだなんとか元気があったのだが、そこから先が一つ一つの標識がこんなに長かったっけ、というくらい辛くなってきた。
しかも、何かのアレルギーなのか、登りの時は無かったのに、下りの時に大きく息を吸い込むとむせるという症状に襲われた。息を思うように吸えないので、とても辛い。頭まで痛くなってきてしまった。
帰りに一番近い「苗名の湯」に寄ったのだが、お湯に入っても寒気と頭痛が納まらない。完全に過労状態だった。
家に戻るまでの自動車の中でほとんど全部眠り、食事も頭痛薬を飲むためにがんばって胃に送り込んだくらいだ。やっぱり火打は私には荷が重い山だったらしい。せめて山小屋に宿泊していれば、こんなふうにはならなかったのかもしれないのだが。
だが、天狗の庭をはじめとするお花畑は本当にすごかった。花の種類は簡単に30種以上になってしまう。別のページにとりあえず今回見られた花をまとめたいと思う。花の一覧はこちらから。キヌガサソウは本当にたくさん咲いていたし。その点では大満足だった。

火打山 
  最寄ICは、関越自動車道妙高高原IC。国道18号線に出て、長野方面に少し走ると、県道39号の交差点になるので、案内に従って笹ヶ峰方面に右折。あとは道なりに走って行く。途中、細くなったり、スキー場の脇を通ったりする。笹ヶ峰まではかなり長いので、登山開始時間を決めるときに注意したほうがよい。
笹ヶ峰牧場(県民の森)を通り過ぎて、やや走ると、右側に火打山登山用の駐車場が、左側に休暇村の広い駐車場がある。登山用の駐車場は午前6時ですでに満車。ただし、トイレなどは休暇村の駐車場のほうにあるし、県道を隔てて向かいにあるので、むしろ休暇村の駐車場にとめたほうがよいかもしれない。
7月の登山ではあったが、途中に雪が残っていた。滑らないので軽アイゼンなどは必要ないと思う。水場は黒沢以外に無いので(高谷池は要煮沸)水分は多めに持っていったほうが無難。高谷池ヒュッテで飲料やビールは購入できる。

この日見られた火打山の花の一覧は、こちらから


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