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すったもんだしたもんだから、登山口に着いたのは、午前10時少し過ぎ。
林道のゲートを通過したのは、10時15分だった。
林道前の駐車スペースには赤い自動車が1台駐車していて、こんな天気なのに登っている人がいるんだ、と驚く。
林道を少し登って、カーブミラーを過ぎると、左側に登山ポストのある登山口になる。
10時18分 登山開始。 |
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ちょっとだけ登ると、すぐに杉林になる。
右手に綺麗な水の流れる用水がある。どうやら沢の水を人工的に引いたものらしい。
途中、ちょっと崩れていたが、橋渡しがあって通るのに困難ではない。
10時27分 小さな橋で用水を渡り、標識に従って進む。
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用水から離れたので水とお別れかと思っていたら、すぐに左手が沢になった。
ときおり小滝の見られる沢で、滝好きにはたまらない。
ただ沢を見下ろす場所に登山道があるので、滝も見下ろす形だし、草が多くて全容を見渡せない。ちょっとストレス。 |
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このあたりには、まだ咲き始めのオオバギボウシやミヤマカラマツソウなどがあった。
よく見ると、沢は見事なポットホールの連続だったりして。
道が崩れそうな場所にはロープがつけられている。 |
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10時35分 琴沢渡渉点。左手に見ていた沢を渡る。この登山道でおそらく一番水量の多い渡渉箇所だが、石がしっかりしているので、足場に困ることはない。渡渉が苦手な私でも楽々渡れる。 ところが、渡った先がすごかった。
いきなり岩にカスガイのようなコの字型の金具を打ち込んだ足場が数箇所と鎖があり、垂直に登れという。それほど高くは無いが、その先には木のハシゴがあり、大丈夫かこれは、というハシゴをよじ登って、さらに金具の足場で横に移動して行く。 |
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そこから先は写真のようなへつり道で、時折金具の足場が登場するが、それ以外は岩のわずかなくぼみを頼りに進むような場所さえある。
一応ロープはあるのだが、これがたるんたるんにたるんでいて、絶対に手がかりにならない。とりあえず足を滑らせた時に下まで落ちないようにつかんではいるが、手助けしてくれるものではない。 そんなへつり道が随所に登場する。けっこうなアドベンチャーな登山道である。 |
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10時47分 右手に見えていた沢を再び渡渉する。これが大岩の間から水か流れ落ちる程度の水量で、濡れることはないが、岩が怖い。一つ抜き取ったら全部落ちてきそうである。(左写真)
ここを渡ると、いきなりジグザグに登って高度を上げる。たぶんこれが七曲がりという場所じゃなかろうかとあとで思った。ジグザグも甚だしく、ほんの1メートルくらいも進まずに曲がる。 |
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七曲がりの先はブナの若木の林で、なだらかに登って行く。
このあたりで、最初のヒメサユリをみつけた。
雨の直後の晴れ間で、日の光を通してまるでガラス細工のように透き通った花びらだった。 |
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その後は本当になだらかな道だ。
概ね右側に沢を見下ろしながら進む。時折小沢を渡るが、一跨ぎが殆どだ。
沢沿いの道なので、いきなり高度をあげるような登りもなく、ほとんど登った感じがしない。ずっと周りの風景も同じ感じだ。 |
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11時37分 もうすっかり錆びて、文字の判別もしがたい標識が現れた。
戻ると七曲り、進むとお京の間、と書かれている。距離も書かれていたようなのだが、よく読めない。
ここをすぎたら、すぐに右手の岩の上に遭難慰霊碑があった。4月の残雪期に山に入った高校生が、スノーブリッジになっているひるわ沢に転落して、2人が亡くなったという。
この先の水場「カツエの清水」や「お京平」という地名はこの2人の名からということだ。
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11時58分 戻るとお京の間、進むとジゲの沢という標識。
ここまでは本当にだらだらと沢の源頭のような場所を渡ったりして進むので、いつまでたっても先に進んだ気にならない。
足元にはいやっていうほどのチゴユリ(の葉っぱ)、ショウジョウバカマ(の葉っぱ)、イワカガミ(の葉っぱ)、ツクバネソウ、フタリシズカなどがある。
このあたりに「ひるわのぞき」があったのだが、写真の記録がない。
左手眼下に2つの沢が合流しているのが見下ろせる。沢まではかなり高度があり、ちょっと怖い。ただ、沢はほとんど水が無く、水がある頃はスノーブリッジがかかっているだろうので、滝のような流れを見る人はいないんだろうね、などと話した。 |
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行く手になんだか派手な場所が見えてきた。
ピンクのリボンがクリスマスツリーの飾りのようにたっぷりととりつけられている場所だ。なんかめちゃくちゃ危険なニオイがする。
近づいてみると、ロープと、足場の金具全部にピンクのリポンがしばりつけられているのだ。
薄暗い場所なのだが、足場がくっきり分かる。
12時05分 ロープと木と足場を頼りにジゲの沢手前の難所をクリア。源頭となったジゲの沢を渡る。 |
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ジゲの沢を過ぎると、とたんに登りの角度が違ってくる。今までのだらだら登りはなんだったのか、というくらいにガンガン登る。
そうでなくても雨降りの直後で湿度が高く、だらだら登らせられて知らぬ間に疲労がたまっているのに、追加注文みたいに急登の登場である。
一挙に体力が奪われて、ヘロヘロになる。
時折、思い出したようにヒメサユリが現れるが、まだ蕾の状態だった。少し早かったんだろうか。 |
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12時32分 ヘロヘロの体を無理やり前に進めると、ポン、と視界のいい場所に出た。
わー、こんなに登っていたのか、と山並みを見下ろす。
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そこから左に曲がって、笹の生えた稜線になる。
12時35分 山頂到着。広くもないが狭くもない、小部屋のような山頂だ。三等三角点がある。
蒜場山方面が見えるはずなのだが、雲の中だ。
山頂付近にはまだみずみずしいオオイワカガミが咲いていた。 |
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山頂よりも、もう一方のピークである「天狗の庭」のほうが見晴らしがいいし、そっちに向かう道にヒメサユリが咲いているというので、昼食もそちらでとることにして、休まずに「天狗の庭」に向かった。
左手に道が続いている。まず急降下。ブッシュを出ると、天狗の庭が見えるのだが、その間にある道が険しい。
ガイドブックにはさらっと書かれているのだが、滑落したら死ぬぞ、といった感じの岩沿いの道を体を斜めにして岩にへばりつくように進む箇所がある。ほんの3メートルくらいなのだが、怖いったらありゃしない。
ところが、この怖い場所のブッシュの中にたくさんヒメサユリが咲いているのである。
写真なんか撮れないじゃないのよ。 |
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12時46分 怖いよ〜、怖いよ〜を連発しながら、なんとか天狗の庭に到着。
山頂よりもかなり狭いが、周りを阻む木が全くなく、360度見渡せる。
ただし、雨がちのこの日はほとんど眺望はなかった。それどころか、あの雨雲がここに来たらアウトだ、という黒い雲と白い雨が見えて、この場での昼食を諦めざるを得なかった。
とりあえずブッシュがあって、降って来たらシートで雨をしのげる山頂まで戻ることにする。 |
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それにしても、この俎倉山のヒメサユリは、5月に見た三条市袴腰山のヒメサユリに比べると小さい。
しかも、道沿いには咲いていてくれない。
木々の下にひっそりとピンクの花びらを開いている。
咲いていなければそこにあることすら気がつかないだろう。 |
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天狗の庭からの展望。
って言っても、ほんの近くの山しか見えない。
しかも、山の上のほうは雲に隠れている。 |
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晴れていると、飯豊連峰が見えて、素晴らしい眺望だというのだが、この雲では、むしろ雨が落ちて来ないだけありがたいというものだ。 |
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来るより戻るほうが怖かった。
手がかりのないむき出しのもろい岩をほぼ垂直(に、私には感じられた)に下って、登山道に行きつかなければならない。
どうも「馬の背」のような岩の頂上を平均台よろしく進むルートもあるようだが、そっちのほうがさらに怖い。最後にはやっぱり岩をロープもなく下ることになるらしいのだ。
ということで、来たルートと同じルートで戻る。
また大騒ぎで時間ばかりかかった。
山頂に戻り、昼食。幸いなことに雨は落ちて来なかったが、帰り支度をする頃には、近くの山もすっかり雲の中になってしまった。
13時48分 下山開始。 |
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14時06分 ジゲの沢。
14時27分 慰霊碑。
行きに見落としたカツエの清水の標識をみつけたので、行ってみた。「すぐそこ」の標識から道をはずれて沢のほうに行くと、沢の上流は岩盤から湧き出ている湧き水になっていた。
しかし、本当にここがカツエの清水なのかわからない。何かマークでもしてあるといいんだけれど。
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15時09分 七曲。
15時25分 木のハシゴ。
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15時28分 琴沢渡渉。
ここまで来れば、もう危険な場所はない。
かたわらのタカサゴソウを見る余裕も生まれる。 |
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15時43分 登山口着。
15時48分 駐車スペース着。
ご苦労さまでした。 |
結局覚悟していた雨には降られずにすんだ。
ただ、その分、湿度が高くて、汗まみれになってしまった。 |