番外

 の山

2009/6/13  二王子岳(にのうじだけ) 標高1420.1m 
万年登山初心者の我々夫婦、今年の登山の目標は、まず巻機山である。
標高1967mの巻機山に登るには、今年の我々はまだまだ体力不足である。なにせ、まだ1000m以上の山に登っていない。
ここはひとつ、ここいらあたりで、ガッツが必要な山に登らなくちゃならないでしょう、ということで選んだのが二王子岳。我が家から登山口が比較的近いうえに、あわよくば高山植物の花も見られるかもしれない。今年に入ってからの登山に比べると、いきなり登山時間が長くなるが、巻機山はもっと時間がかかる。訓練、訓練。
そういうことに決定したら、なんと、それまで晴れマークのついていた土曜日の天気予報に雨マークが点灯。えー、土曜じゃないと疲労困憊して翌日ぼーっとしている身としては辛い。どうしようと思っていたら金曜日にはその天気予報も変わって、晴れマークが再び登場した。よし、これで予定どおりに二王子岳に登れるぞ。
そんなこんなで土曜日は午前4時に起床して、5時過ぎには自宅を出発。新新バイパスに乗って、新発田市に向かって進む。しかし、いつもであれば、綺麗に見えるはずの二王子岳の姿もY字に刻まれたニノックススキー場の姿も雲の中でよく見えない状態だった。
ホントに晴れるの?いや、予報ではどんどんお天気はよくなるはずだ。信じなくてどうする。近づけば近づくほど、二王子岳、雲の中なんですけど・・・。
          (写真数が多いので、サイズを小さくしています。花の写真は、ダンナのHPのアルバムでごらん頂けます。)
6時45分 駐車場到着。橋を渡って右側の登山者用駐車場にはすでに3台ほどの自動車が。仕度をして二王子神社に向かう。神社前の駐車場にも5台ほど自動車があった。なんだ、ここまで自動車で来れたのか。
トイレをすませて、キャンプ場の炊事場の横にある登山口で登山カードに記入。
6時53分 登山開始。
右側に綺麗な水の流れる用水を見ながら進む。
少しだけ登りになり、まっすぐな杉の林の中に入って行く。
神社の神域といった感じの空間である。
7時06分 右手に見えていた沢を渡渉。この後小刻みに沢を渡るが、どこも飛び石や一跨ぎですむ。
沢は、時折急な流れになって、とても綺麗だ。
7時15分 一合目。登り途中の杉の木に一合目の標識。
ぼちぼち神域っぽい雰囲気と別れを告げ、登りが急になってくる。登山道は横木と土嚢できっちりと整備されているのだが、階段状の場所はピッチが合わなくて疲れる。
7時36分 神子石。女人禁制だった頃、山に入った巫女が石にされたという伝説があるらしい。どう見ても女性っぽくない、平らな岩が重なったものだ。
7時39分 二合目、水場。小さな沢っぽい水だ。
神子石からここまで、沢のすぐそばを登るので、なんとなくじめっとした感じだ。しかも、一合目からずっと休み所のない登りで、かなり消耗する。
我々より後から登ってきたお姉さま方2人が追いついてきて、やっとあった、と崩れるように休憩に入っていた。
二合目から先もかなりの急登である。その証拠に写真が全くない(笑)ほとんど景色が変わらないなか、ひたすら登って、疲れ果てたころ、三合目に飛び出る。
7時57分 三合目、避難小屋。
右写真の避難小屋は、ブロックの積まれた壁の堅固なもの。
水場1分という標識にひかれて矢印どおりに下って行く。1分じゃ着かないけど、2分かからないくらいの距離にミズバショウの葉っぱが目立つ水場があった。つめたくて甘い水でした。
戻ると、またもやお姉さま方が追いついてきて、くだものを取り出して休憩しようとしていた。キツかったですね〜、などと声を掛け合う。
8時08分 三合目出発。
三合目までの登りに比べると、その先の登りはとても可愛く感じる。
傍らにイヤっていうほどのホウチャクソウとスダヤクシュの並んだなだらかな道を歩く。
開けた場所では、ガマズミなどの木の花が咲き乱れていた。
8時37分 4合目到着。
しかし、いきなり雲の中に入ったのかしらん、というくらいにあたりが真っ白にかすんでしまう。
おかげで、綺麗な花がたくさん咲いている登山道でも薄暗い。
まともな写真も撮影できない状況である。
8時54分 五合目、独標(定高山)。単独の男性2人が休憩中。どうやらそのうちの一人が三角点に腰掛けているらしい。
このあたりからそれまで葉っぱだけだったチゴユリが今が盛りとばかりに咲き乱れるようになる。
我々は凍らせたゼリーをとって小休止。
五合目を境に、すっかり花も終わったと思っていたオオイワカガミも綺麗に咲いた姿を見せ始めた。
ところが、この山のオオイワカガミは白い。白もしくはうすいピンクがほとんどだ。
あっちにも白、こっちは純白、などと楽しみながら歩く。
と、このコース最初のシラネアオイが登山道の傍らに姿を現した。
一つに気がつくと、次々と林の中にあるのを見つける。
ただ、小さい。
上越市の青田南葉山で見たシラネアオイより二回りは小さい。
9時20分 鴨池。池といっても水溜りみたいだ。しかも、今のシーズン限定なのか、モリアオガエルのタマゴの泡があちこちに浮いていて、あまり綺麗に見えない。うっ、ちっちゃいオタマジャクシもわらわらいる。
ここで下山してきた単独の女性が、この上にシラネアオイとサンカヨウが素晴らしい場所があると教えてくださった。
そうか、サンカヨウもまだ咲いているんだ。
ところが、鴨池から先がけっこうな急登だった。
上ってどこ〜?どこまで行けばお花があるのぉ〜?と、ぶうたれながら登る。
と、道が平坦になり、湿ったあたりに、どわっとサンカヨウが出現した。
左写真のダンナの足元の緑は全部サンカヨウである。
シラネアオイは林の中にポツポツと、しかし間断なく咲いている。
9時28分 おお、雪が残っている。
ここで道の端にノウゴウイチゴを発見。おいしい実がなるそうだよ。
さすがに雪がまだ残っているあたりでは、ショウジョウバカマも現役で咲いている。
9時33分 六合目。
このあたりから、ミツバオウレンがかわいい花を見せ始める。こんなにたくさん咲いているのは、初めて見た。
ぼちぼちマイヅルソウの葉っぱも。
9時47分 緩く登ったり下ったりを繰り返す。
遠くに雪が沢山残っている山が見えるが、あれが山頂だろうか。
時折、谷間に雪が残っていて、登山道が埋まっている。少しの間雪の上を歩いたりした。
9時58分 このコース唯一の難所、「油こぼし」に到着。
ロープが右と左に2本垂れ下がっていて、左側はほぼロッククライミング。右側はブッシュを頼りにできるし、岩盤の突起が細かく出ているので比較的怖くない。当然右側を選択。
左写真の赤い○の中にダンナが立っている。
「油こぼし」を登りきると、七合目の標識がある。10時ちょうど。
少し歩くと、左側に雪渓が広がり、ついこの間まで雪の下だったらしい登山道にはカタクリの花が咲いていた。ここはまだ早春である。
かと思えば、頭上にはツツジが咲いていたりするのだが。
あ、カタクリ、などと喜んで歩いていると、ポツリポツリと当たるものが。雨だ。
我慢して登れるだろうか、と思ったがかなり沢山落ちてくるようになった。
慌ててリュックにカバーをして、雨具を身につける。
そうこうしているうちに、ずっとやや後ろを登って来ていたお姉さま方が追い越して行く。
さらに雨脚が強くなり、風も出てきた。まるで嵐である。
風をさえぎってくれるブッシュも途切れて、目前に雪原が出てきた。うわー、雪なんだか霧なんだか、真っ白でわからない。
とりあえず踏み跡は茶色くついているので、道を見失うことはない。
2つ目の雪渓の雪の左向こう側に島のようにぽっかりと緑が見えて、そこにお地蔵様か何かがあった。あれ、何だったんだろう。10時30分。
ああ、左写真を見ると切なくなる。
ここではとにかく暴風雨だった。
何を勘違いしたのか、8合目に避難小屋があると思い込んでいて、とにかく避難小屋まで行って山頂に行くかどうか決めよう、と登っていた。
雪渓を越えると、笹の向こうにぼんやりと建物が見えた。
おお、避難小屋だ。8合目だ。
ところが、この小屋は気象用の小屋か何かで、人が入れるものではなかった。
おまけに、なんと9合目、と書かれている。え、8合目はどこ〜?たぶん、雪の下です(笑) ここには、二王子神社の奥の院の基礎だけあった。
10時39分。
さすがに9合目まで来てしまったら、山頂まで行かないわけにはいかない。
雨の中、霧の中、とにかく歩き出す。
それほど登りでないのが救いだ。
少し先を歩くダンナが、あった、避難小屋だ、と言う。
私には何も見えない。真っ白だ。
数歩歩いたら、いきなり目の前にでっかいカマボコ型の避難小屋が見えた。
左写真の数歩前は真っ白で視界に入らないっていうほどの濃霧ですぅ。
10時43分 避難小屋到着。避難小屋にはお姉さま方がすでにいて、荷物を下ろしていた。我々も荷物を下ろして山頂まで行くことにする。「山頂まで行きましたか?」と、訊いたら、すぐ裏みたいな所だと答えられた。裏〜?
ホントに裏だった。小屋を回ると青春の鐘という鐘があり、山頂だと書かれている。二等三角点もある。
だが、真っ白。感動もへったくれもない。
10時45分 山頂到着。
避難小屋で昼食。本当に山頂のすぐそばに避難小屋があってよかった。
小屋といっても、入り口から左右にそれぞれ6畳以上の広さのスペースがある。
食事をしていると、次々に登山者がやって来た。最初雨具を乾かしたりして悠々とスペースをとっていたが、あまりのびのびできなくなって、早々に退却。
11時35分 下山開始。小屋を出た時にはまだ濃霧だったが、下り始めると、少し空が明るくなった。 11時39分 9合目。
もう少し待っていたら、山頂から見られるはずの雄大なパノラマが少しは見られたかもしれない。が、戻るつもりにもなれない。
雨がやんでくたれので、登りの時には撮影できなかった7合目以降に見られた花も撮影できた。
ゴゼンタチバナやマイヅルソウなど高山の花も見ることができた。
雪がとければハクサンイチゲなども見られるそうだ。
左写真は小さな石祠の三王子神社。11時52分。
このあたりにイワウチワが咲いてた。
下りには霧が晴れていて、こんな雪渓だったんだ、というのがようやく分かった。
12時20分 7合目、油こぼし。 12時40分6合目。 13時08分 五合目。
下山時には、この6合目と5合目の間がかなり長く感じられた。五合目で暑くなったので、雨具を脱いで小休止。13時16分出発。
13時29分 4合目。  13時49分 3合目、避難小屋。この4合目と3合目もこんなに長かったっけ?というくらい長く感じた。
14時05分 2合目。14時26分 一合目。登りの時にひいひい辛かった一合目から三合目は、下り辛いと思っていたが、土嚢の階段がまったく滑らずに、とても安全に下れた。
一合目を過ぎたあたりから、あたりが真っ暗になり、いきなり大粒の雨が落ちてきた。慌てて雨具を装着。疲れもあいまって、なんだかみじめな気分になってしまった。
14時47分 二王子神社到着。 ご苦労様でした。
登山のページではありますが、わがサイトは一応滝のサイトであるので、二王子神社の滝を付加します。
ただし、あまり疲れていたので、参道を下った先にあるはずの麻滝は結局探さずに帰ってしまった。
こちらは、ほぼ人工の滝。「禊滝」。名まえではなく、禊に使った滝ということらしい。
右写真の神社の横の緑の濃い場所にある。水はとても綺麗で、すぐ横にはコップを置いてある水汲み場もあったが、キャンプ場の炊事場には、生水は飲用に適さないと書いてあった。
こちらは比較的大きな「妹背滝」。
駐車場に向かう時に渡った赤い橋の下にある。
滝前に下る踏み跡には、オカタツナミソウが咲いていた。(2002年に行った妹背滝のレポはこちら

いや、ホントに山の天気はわかりません。
だが、避難小屋では、みんな口をそろえて「天気予報では晴れるはずだったのに」と言っていた。天気予報の嘘つき。なにせ、平地に下りて来ても雨降ってましたから。永年山初心者の我々には雨の登山は精神的によろしくない。普通の3倍疲れた。
それでも、安全に山頂まで行けたのは、最初から最後まで土嚢や横木で丁寧に登山道を補修してくださっている関係者のおかげだと思う。こんなにも見事に人の手で補修されている登山道は今までに登ったことがない。
登山は自分の足だけが頼りだと思いがちだが、そんなことは絶対に無いと痛感させられる二王子岳だった。
それにしても、ああ、眺望のゼロだった山頂の恨めしいこと〜。リベンジするか、いつかは?


二王子岳 
  日本海東北自動車道聖篭新発田ICから国道7号線に出てとりあえず、五十公野公園方面に進む。すると、大きな看板で二王子温泉、もしくは、二王子温泉病院、というのが出でくるので、その案内の通りに進んで行く。と、道の端々に「二王子岳」と標示されるようになるので、その案内に従って進もう。田貝の集落を過ぎると、道はほとんど林道になり、すれ違いが困難になるので、運転は注意のこと。
けっこう林道のような道を登って行くとやがて赤い橋があり、それを渡って右に行くと広めの駐車場がある。左に行くと二王子神社で、そこの近くにも数台駐車できる。トイレは二王子神社のすぐそばにある。
登山道は最初から最後までとてもよく整備されているが、1箇所だけ油こぼしという鎖場があり、ロープ頼りに登る必要がある。


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