番外

 の山

2009/8/1  小蓮華山(これんげさん) 標高2766m 
昨年、実は小蓮華山にチャレンジしようとしている。昨年は、火打山に続いて雨飾山と登り、新潟県最高峰の小蓮華山にもなんだか行けそうな気がしていたのである。
ところが、登山口から何分も登らないうちに、雨が降り出して、しかも遠くから雷の音まで聞こえてきた。
登山初心者の我々は雨の登山の経験があまりない。まして、雷に遭遇したときの対処法など全くしらない。
ということで、わざわざ糸魚川まで高速道路を使って来たのだが、危険を冒す前に撤退した。
そんなこんなで、昨年からの課題になっていたのである。
とにかく、新潟県で一番高い場所に立ってみたい。
さらに、自然の状態で咲いているコマクサが見てみたい。
ただただ、そんな一念で今年も小蓮華山の登山口である蓮華温泉まで来た。
しかし、昨年同様、空は曇り空。雨までポツポツ降り出した。
それでも、今年は他に日がないので、登るつもりでいた。
          (写真数が多いので、サイズを小さくしています。花の写真は、ダンナのサイトからご覧いただけます。)
         花の写真をまとめました。こちらからどうぞ。下のレポートの花の名前のリンクは、花のページの写真の近くに飛ぶようにリンクしてあります。
6時30分過ぎに駐車場到着。70台とめられるという駐車場は、この天候のためか、半分以上空きスペース。
6時45分 一応雨の仕度をして登山口へ。
蓮華温泉ロッジの脇を通って、白馬岳方面へ登る登山口に入る。雨はほぼ降っていない程度の小雨だ。
6時48分 正面に祠。登山道は右側。
6時51分 左に登って行くと、黄金の湯という案内。我々はもちろん、野天風呂ではなくて、白馬岳方面へ。もうちょっと登ったあたりで、雨はほとんど降っていないので、雨具を脱ぐ。
昨年はこのあたりで大雨と雷のため、登山中止をしたのだ。今年はあの時に比べればずっと空が明るい。
7時08分 蓮華の森。
先に出発していた女性2人組みがここで雨具を脱いでいた。さすがに雨具着用では暑すぎる。
すぐそばにソバナがたくさん綺麗に咲いていた。
道はそれど傾斜のひどくない、平たい石をしきつめたような歩きやすい道だが、湿度が高い。
あっという間に汗だくになる。
7時36分 道が平坦になり広くなったあたりに、ただ下ると蓮華温泉、登ると天狗の庭、白馬大池だとだけ書いてある道標がある。展望はないが、休憩場所にはいいかも。
そこを過ぎてもあいかわらず、平たい石をしきつめたような、斜度のゆるい道が続く。樹林帯でまったく展望はないが、よく気をつけていると、この季節にはキヌガサソウが咲いている。
足元には白いイチヤクソウが多く見られた。
8時08分 右手の樹木が途切れて、視界が開けた。
方向的には朝日岳方向か。薄日も差して、気持ちも晴れてくる。
そこから先も石敷きのゆるやかな登りだ。
8時33分 いきなり足元に花が増え始めたと思ったら天狗の庭だった。
天狗の庭の道標は3つもある。
まず最初に縦、次に展望台のような場所に天狗のイラスト付き、最後に古くて文字も読みづらい横。
なかなか広い庭を持った天狗である。
天狗の庭の花は、本当に素晴らしかった。
さながらロックガーデンで、だれかがわざわざ植えたんじゃないか、というくらいたくさんの花が咲いていた。
写真を撮るためにけっこうな時間を立ち止まる。
8時47分 天狗の庭をぬけると、霧がたちこめる針葉樹の森だった。
天狗の庭から先は、今までのような石敷きのなだらかな登りというわけにはいかなかった。
泥だらけの急登という場所も少ないのだが、大きな岩が積み重なってそれを登って行く感じである。
2箇所、左写真のようなハシゴもあった。
右写真のような岩だらけの道で、ものすごく歩きづらく、息もあがる。
一番急登というと、左写真の場所か。
板状節理の岩が自然の階段状になっていて、足場を選んで登って行く。浮石もあるので、慎重にしないと危ない。
左右の樹木の背が低くなり、道の傾斜もゆるくなると、どこからか何かを焼くようなニオイがした。
こんな場所で焚き火?
と、思っていると、いきなり視界が開けた。
どわーーーーっとお花畑が広がっていた。
あまりにいきなりすぎて、何がおきたのか信じられないくらいだ。
なにせ、霧がひどく、前方に何があるのかさっぱりわからない状態だったのだ。
霧が風に流されると、やや左手に白馬大池山荘が見えた。
なるほど、さっきの焚き火のニオイは、この山荘から流れて来たのか。
9時55分 白馬大池到着。
山荘でトイレを借りる。混雑する時にはトイレは順番待ちで並ぶらしいが、この日はまったく並ばずにすんだ。ちなみにトイレにはペーパーがないので注意。
山荘の裏手に回ると、白馬大池のほとりに出た。
うわ、池っていうより、湖じゃないの。
霧で全容が見えない分、かなり幻想的だ。
湖が見渡せる岩にこしかけて、小休止。
ここにもチングルマハクサンイチゲアオノツガザクラなどが、手に取る場所に咲いている。
この湖畔から先に進むと、右写真のように瓦礫の山かこれは、という感じの岩だらけの山になる。その乗鞍岳を経て、約2時間半で栂平ロープウェイの乗り場らしい。
10時25分 白馬山荘出発。
まず、自動車でも通れそうな広い石敷きの坂道を登る。
左手に雪渓があるらしいのだが、霧で見えない。そのかわり、寒い。ものすごい冷気が左手から来る。
右手はお花畑だ。
10分も登らないうちに、いきなりキュッと道が狭まる。
キュッと狭まった道をぬけると、広い場所に出た。
ケルンというには大きすぎる石積みが道の左右にある。
イワギキョウミヤマコゴメグサがたくさん咲いている。
広い場所をぬけると、坂道が続いている。これが雷鳥坂らしい。
登って行く途中に、遠くにピンクの塊が。
おわっ、コマクサじゃありませんか〜っ。
これを見るために、ここまで登って来たのだ。
新潟県のコマクサである。
コマクサはガラガラした石の間からいきなりポワンと生えている。
妙な形の花だ。
登って行くと、道のすぐ脇にもあった。
写真を撮影していると、何やら動くものが、
うわわわっ、雷鳥!
雷鳥坂で雷鳥発見。こいつがちっとも飛ばないで、なにやらついばんでいる。
コマクサは見られるわ、雷鳥は見られるわ、なんだか感無量である。
主たる目的の一つであるコマクサを見たからといって、今回の登山を終了するわけにはいかない。
もう一つ、新潟県最高峰にたどりつかねばならない。
目の前には延々と稜線が続いている・・・らしい。
先のほとんどが霧というか雲というかで見えないのは、幸いなのか不幸なのか。
いったいどこが終着点かさっぱりわからずに、ただただ、石ころの稜線を歩く。
雷鳥坂を越えれば、それほど辛い登りはないのだが、ちょっと登ってはちょっと下って、と延々とその繰り返しで、さすがにうんざりする。
 
しかし、稜線上は、てっきりただの石ころだらけの場所と思っていたのだが、実はきっちりお花だらけの場所でした。
見たことのない花があっちにもこっちにも咲いている。
これは何?あれは何?と思っている間に先に進めてしまう感じだ。
稜線上では、概ね左側から雲が湧き上がって、風もそちらがわからだった。
奇跡的に一瞬雲がとぎれて、大雪渓がわからの基地である猿倉荘の駐車場や、雁俣池が見えた。
それ以外は、長野側は雲の下だった。
左写真は、振り返っての撮影。
よくもまあ、こんな道を歩いて来た、と思いたくなるような風景だ。
だが、それほど坂道はキツくない。
炎天下だったら、ちょっと辛かったかも。
右写真、たぶん、あのあたりが小蓮華山じゃないかなぁ。
そのたぶんの風景に人が入ると、左写真みたいになる。ぜんぜん遠い。
しかし、道端はただの石ころではなくて、沢山花が咲いている。
ミヤマダイコンソウは特に多く、そこいらじゅうにあった。
いいかげん飽きたところで、今までの黄色主体の花とは違うピンクの花が出現した。ミヤマアズマギクである。
普通の家庭のお庭のプランターに咲いているような、花だけ見たら本当に野性味のない花だ。
こんなお花が高い山に咲くんだ。
と、写真を撮りながら小さいピークを登る。
下ると、また先にピークがある。
白馬岳方面から時々団体さんがやって来て、道を譲ったりする。
譲るときもとりたてて危険というわけではない。
そしてまた稜線を歩く。
あのピークが小蓮華山ですか、と白馬方向から来た人に聞いてみた。
そうです、と言われて登ってみたら、まだ先があった。
ああ、うそつき。いや、小さいピークはピークといわないのかしらん。
いったい何度繰り返したやら、ようやく右写真のような「危険 立ち入り禁止 山頂崩壊の恐れあり」と書かれた黄色いプレートが出現する。
これぞ、小蓮華山の証しだ。
2007年の夏に山頂が崩落し、標高が3メートル下がってしまったのである。
山頂崩落っていったいどういうこと、と、この目で見てもよくわからないのだが、本当に山頂は瓦礫の山になっていた。てのひら2つくらいの角張った石が山になっている。
ロープで中に入れないようになっているのだが、そのてっぺんではなくて、中腹あたりに新しい三角点があった。
昔は宝剣のモニュメントがあったらしいのだが、ざっと見た限りではその残骸もみつけられなかった。
12時24分 小蓮華山山頂到着。
ついに、新潟県最高峰を制覇したぞ。
同時に到着した青年は、この先天狗山荘まで行きたいと言っていたが、鑓ケ岳のさらに先だぞ。
我々より疲れていたみたいだけど、大丈夫か。
だというのに、雨が降り出してしまった。
眺望は、あいかわらずの雲の中で、ほとんどきかない。
時々雲が途切れて山並みが見える。
おそらく、雪倉岳方面である。
雨に降られながら、昼食をとった。
また一人、青年が白馬のほうに歩いて行く。
「雨がひどいですね」と言うと、「かえって気持ちいいです」と、軽やかに稜線を歩いて行った。
帰り支度をしていると、数人の男性が白馬方面に向かって歩いて来た。
これから下るのだと言うと、すっかり白馬岳から来た人だと思ったらしい。
いや、この新潟県最高峰が目的で、蓮華温泉からの日帰りだ、と言うと、「え、白馬はすぐそこだよ」
と、ものすごくもったいない表情をしていた。
我々は日帰りしかできないので、ここがリミットなのですよ。
雲が切れずについに白馬方向は見えなかった。
13時10分に山頂出発。
雨は本格的になってしまって、写真もほとんど撮影できない。
13時53分 雷鳥坂あたりで、またしても雷鳥に遭遇。登りの時の雷鳥より黒っぽいし、白い羽も見えるから、たぶんオスだ。らっきー。
14時06分 眼下に白馬大池が見える。
登りの時は、雲に覆われて全貌がわからなかったが、ものすごく大きな湖なのだとわかった。
14時30分 白馬大池山荘到着。15分トイレ等の休憩の後出発。
テントの数が増えていて、中から楽しそうな声が聞こえてきた。
雨でも、キャンプは楽しめる。
山荘を出た時にはやや小ぶりになっていた雨だが、
そこから天狗の庭までは、風がないだけで、土砂降りの状態だった。
この時間、この天候で登山する人はほとんどいずに、我々の貸切みたいな感じだった。
唯一、大学の登山同好会のようなパーティーにあっという間に追い越された。
15時54分 天狗の庭、到着。
登りの時に真っ白だった展望台方向の山並みが見えた。
幸いなことに雨がやや小降りになったので、写真撮影。
16時51分 蓮華の森
雨は土砂降りではなくなったが、降り続いている。
ただ、足元が泥ではないし、斜度もゆるやかなので、不安なく歩ける。
ようやく蓮華温泉の建物が見えてきて、ほっとした。
17時13分 蓮華温泉到着。 ご苦労様でした。
ここで、我々を追い越していった大学生らしい若者が、黄色い雨具を着た男がいなかったか訪ねてきた。
我々を追い越して行ったのは6人だけ、と答えたら、それが自分たちだという。はぐれてしまったのかしらん。
駐車場で着替えなどをしている間に黄色い雨具の若者が到着した。登山口でさんざん大声で「○○〜っ!!」と名まえを呼んでいたので、遭難かも、と思った。一安心。
雨だったものね、若者でも万が一があるわよね。

新潟県最高峰は踏めたし、コマクサも見られたし、雷鳥にも出会えた。
満足といえば、満足の登山ではあったのだが、雨がね〜。
我々は、未だにマトモな雨具を持っていないのである。簡単なヤッケだけで挑戦して、土砂降りの雨にあってしまった。おかげで全身びしょ濡れだ。これでかなり疲労したと思う。というか、蓮華温泉が眼下に見えるあたりで、私は寒くて寒くて仕方がなかった。もう少し気温が低ければ、もしくは、風があったならば、低体温症で遭難していたかもしれない、という状況だったのである。まったく、無謀にもほどがある。立ち止まると寒くなるので、ひたすら歩いて動くことで暖をとった。
当初の予定では、道の駅小谷の温泉で入浴がてら着替えるはずだったが、さすがにびしょ濡れで自動車に乗るわけにもいかず、やむなく駐車場のトイレで着替えた。
そこから道の駅までがものすごく長く感じられた。
道の駅の温泉に入ったのだが、かなり長い間湯船に浸かっていても暖まらない。このままだと浮かぶ、と思うくらいただじっと湯船の中にいた。そんな状況だったので、温泉レポを作ろうと思ったら、まったく温泉の内容を思い出せない状態だった。ああ、道の駅小谷の深山の湯さん、ごめんなさい。そのうちマトモな状態で楽しみに行きます。
夕食も道の駅のレストランでとったのだが、疲れ果てているために暖かくてあっさりしたものが食べたいのに、塩ラーメンくらいしかない。仕方無しに注文したら、これが大ヒットで、あっさり美味しい塩ラーメンだった。梅干とカツオブシが登山後の疲労感に染み入った。
そんなこんなで、なんとか疲労回復。
とはいえ、家まで完全に助手席でダウンしていたのは、言うまでも無い。
毎度、ダンナ、すみません。
今度は、晴れた時に行きたい。
少なくとも、白馬大池のお花畑は、晴れた時に見てみたいものである。

小蓮華山 蓮華温泉登山口
  最寄ICは、北陸自動車道糸魚川IC。インターを下りて、国道148号を松本方面に向かって進む。曲がりくねって細い道のうえ、交通量も多いので注意が必要。
あとは、蓮華温泉の案内がそこここにあるので、案内に従って行けばよい。
ただし、国道148号を離れて、県道505号に入ってからがかなり長い。こちらも道が細いのでスピードが出せない。しかも、登山者を送ったタクシーとすれ違う可能性も高いので、早朝でも油断はならない。充分に注意して進んで欲しい。
蓮華温泉には70台ほどとめられる駐車場があり、トイレもある。
登山道は、蓮華温泉から天狗の庭までは石敷きの緩やかな登り。天狗の庭から白馬大池までは大岩の連続で多少歩きづらい。白馬大池から小蓮華山までは、アップダウンが続く稜線歩きで、さえぎるものが無いので、夏場の直射日光には注意。
水場は、白馬大池山荘にある。


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