番外

 の山

2010/11/13  大蔵山(沢コース) (864.3m) 菅名岳(幅沢コース) (909.2m)  
11月、唯一の土曜休みとなる13日は、とてもよく晴れるだろうという予報だった。
秋に忙しい仕事の私はどうにも疲れていて、がんばっても登り1時間程度の山くらいにしか行けない状況だったのだが、この晴れマークを逃すと、今年はもう晴れた登山日和は無いんじゃないか、という強迫観念にとらわれた。
さらに、体が疲れていても、精神的には開放されたい気持ちだった。
高い山に登って、青空のもと、遠くの景色まで見えたらさぞ気持ちいいだろうなぁ。ちょっとくらい疲れていてもそのためなら頑張れるだろうなぁ、と思っていた。
で、登り1時間半程度の山をダンナがチョイス。それが菅名岳だった。以前行ったことのある「どっぱら清水」のほうから登ればそれくらいで登頂できるのだそうだ。
菅名岳にはヒルがいるのは、「どっぱら清水」に行った時に体験済みだが、この季節にはもうヒルはいないだろう。
それにしても、どの本を見ても菅名岳は隣の大蔵山とセットになっている。菅名岳だけの時間にもう1時間プラスすると大蔵山にも行ける。
疲れている体は、そりゃ無理なんじゃないの、と言っているのだが、気持ちのほうがスケベ根性を出してしまった。1時間プラスくらいなら2つ行ってしまおう。
なに、歩き出せば大丈夫。行けてしまうもんだ。
そんなこんなのいきさつで、登山のガイドブックに紹介してあった大蔵山の沢コースから登って菅名岳に向かい、幅沢コースで「どっぱら清水」のそばを通って下山、というプランで晴れの一日を過ごすことにした。
晴れ、のはずだったのだが、この季節にはめずらしく黄砂があってほぼ曇りと同様の空模様のまま駐車場に到着。
駐車する前にそばにある「吉清水」で水を汲んだりした。
いつもなら大混雑の「吉清水」だが、さすがに朝早いと人はいなかった。
駐車場には15台ほどの自動車が駐車していた。混雑しているかな、山は。
9時ちょうど、仕度を終えて出発。
まずは林道を歩く。ほぼ杉林の中だ。右手が沢になりやや開けてくる。
9時08分 大蔵山の登山口到着。
左手に広場と右写真のような看板があり、登山ポストもある。
左写真の上に向かっていく道が林道の続きで、この道をずんずん進むと菅名岳の登山口になる。
さて、上の登山ルート案内の看板をよく見て、沢コースに進もうと、まず見える橋を渡る。
で、橋を渡るとすぐに左に行けば沢コースであるように看板には書いてあるので、すぐの踏み跡をたどったら、普通の畑跡に出てしまった。え?
慌ててまた橋まで戻り、ちょうど後ろから来た登山の人に沢コースに行きたいのだがと訪ねたら、まっすぐ進んでしばらく行ったら右側に行くのだと教えてくれた。
さらに、通常のルートは左に行く階段コースで、私は階段コースで登ります。沢コースはけっこう急ですよ、と教えてくれた。え、えーーっ。ガイドブックには沢コースが比較的楽だと書いてあったのに。
ともあれ、まっすぐに杉林の中を進む。
と、ややあって右写真のような小さなお堂があった。9時18分。
お堂から3分も登らないでなんと林道に突き出てしまった。えええーーー。どっからつながっているのだ、この林道。
帰りに判明したのだが、登山口から林道を5分ほど登ると右に橋があり、その橋を渡る道からこの林道となる。もしかしたら、登山道でここまで来るより林道をそのまま歩いたほうが楽かもしれない。
突き当たって左がわを見るとカーブの手前に階段コースの道標。
正面には右写真のような右に進むと沢コースであるという道標がある。が、どちらも小さくて地味なので目立たない。
階段コースと沢コース、どっちを選ぶか迷ったが、最初の予定どおり沢コースで行くことにした。
しばらく林道を歩くことになる。左手が沢で、沢に流れ込む滝状の流れがあったりして、けっこう楽しめる林道歩きだ。
ただし、けっこうな斜度のある林道で、意外に疲れる。
9時33分 林道の終点に到着。
登山口の道標がある。
10分強林道を歩いたことになる。
登山口からすぐに小さな橋を2つ渡る。「大蔵岳登山口」と書かれた古い看板がある。
2つ目の橋を渡って(左写真)ちょっと進むと道が小沢っぽくなってしまうが、上のほうに案内の道標があるのでそこまで進んでみる。
右に行くと「急坂コース山頂へ」、沢を登る方向に「沢コース山頂へ」と書かれているので、そのまま沢を登って行く。
ところが、これがホントーに沢だ。道じゃない。
ガイドブックには沢沿い、と書いてあったのに、沢そのものを登ることになる。途中でものすごく心配になって、大丈夫かと戻ったりしたが、かろうじて木に赤いマークがあるのをみつけて、この沢を登ればいいんだと判断。
5分も沢そのものの中を登ることは無いのだが心細かった。
少し登ると左写真のように沢沿いの道になり、やがて沢を離れてけっこうすごい角度の斜面をそのまま登ることになる。
地味だが実はキツイ角度で登らせられて、さらに九十九折に高度を上げて行く。
落ち葉で敷き詰められているせいか、道幅は広く感じられた。
入り口の沢はあんなに心細かったのに。
ここに至るまでにかなり疲労困憊しているのに、九十九折を登る途中で衝撃の道標を発見。
「二合目」
な、なんですと〜。まだ二合目ですとぉ〜。
9時54分 駐車場を出て小一時間たっているのにぃ〜。
へたり込みそうになる。
その後も地味に、しかしキツく角度を上げていく。
10時03分 三合目。
その道標の先がまた階段状の斜面が続いていて気が滅入る。
でも、二合目からはそんなに時間はたってないじゃん。
ここで沢の入り口で分かれた急坂コースと合流。
沢コースでヘロヘロになるのに、急坂コースだったらきっと死んでいたかもしれない。
紅葉が美しくなり、大きなブナの木もめだってきた。
ようやく斜面がゆるくなったかな、と思ったら
10時15分 四合目。
ここで階段コースと合流する。
階段コースはいったいどんな道なんだろう。
我々が林道で登った高度の分も階段で登るとしたら、やっぱり楽なコースじゃない気がする。
このあたりで私の疲労がピークになり、ダンナが心配したのだが、歩けばなんとかなるとの信念のもとノロノロと歩き出す。
道のところどころに左写真のような鉄の筒を切ったようなものがぶら下げられている。
これを叩くとカンっという音がして熊避けになるらしい。
熊、いるんだ〜。いるだろうなぁ。
四合目から先は道はとてもなだらかになり、まるで平地の森林公園の整備された道を散歩しているような気分になる。
10時24分 五合目。
10時34分 六合目。
道標の反対側に見晴台のような場所があり、五泉市の町並みが見える。
ここまで登る間に、下のほうからSL「磐越物語号」の汽笛の音が聞こえていたので、煙でも見えないものかしら、としばらく見ていたが、磐越西線の線路はかなり手前らしくてみつけられなかった。
10時47分 七合目。
10時55分 八合目。
11時05分 九合目。
なんでそれぞれの写真が無いかというと、ずっとなだらかに登り下りしていて、ほとんど景色の違いがないからです。
それにつけても、葉っぱが落ちきったせいか、明るい道で、なだらかで実に気持ちがいい歩きができた。ちょっとだけ急な階段が登場すると、え、登るの、とびっりするくらいだ。
おかげでかなり疲れていたはずなのだが、その疲れもどこかに行ってしまった。
11時15分 大蔵山山頂到着。
なだらかな登り下りの延長みたいに、なんの感動もなく山頂になった。
我々のちょっと前に到着したご夫婦はここで昼食をするらしく荷物を降ろしていた。
我々は小休止。冷たいゼリーを食べる。
眺望はいいはずなのだが、天気予報の晴天マークをあざ笑うようにどよんとした雲が空を覆っている。
いまひとつ、遠い山々が見えない。
11時20分 菅名岳に向けて出発。
歩いてすぐに避難小屋が現れた。ほんの二畳ほどの小屋である。
その先は高度も変わらない、ほぼ水平の稜線歩きだ。
前方のピークの手前が
たぶん菅名岳だ。
ということはそれほど登りも無いだろう。
紅葉はこの標高では終わってしまっている。
もう少し早ければ綺麗だったかも。
11時35分 なにやら木に「山頂」と書かれたプレートがくくり付けられている。とはいえ、ただの稜線の途中なのだが。
あとで調べたら、どうやらここが「三五郎山」の山頂で、実は大蔵山や菅名岳よりも標高が高い911mある場所らしかった。
稜線上からは菅名岳の裏っかわである川内山塊の裾野が紅葉している姿なども見ることができたが、なんか曇っていて暗い感じだった。
どちらかというと下ったほうが多いんじゃないか、というくらいのなだらかな稜線歩きを終え、
12時10分 菅名岳頂上到着。
10人ほどのパーティーが賑やかに昼食中。他にも2〜3組の人たちが休んでいた。
山頂は広く、平らで休む場所には困らない。
裏をみたら、この山頂標識は今年の11月、つまりほんの最近立てられたものだった。
ここからも川内山塊がよく見える。
集落の一つも無い、山だけの世界だ。
12時46分 下山開始。
来た道とは反対がわの丸山尾根へ行く。
他に鳴沢峰を経て下る道もあるが、
道標があるので大丈夫。
で、このルート、いきなりものすごい角度で下る。
もし登りにこの道を使ったら、最後の最後でとんでもない急登を強いられることになる。
最初はこのルートのピストンを考えていたので、変更してよかったと思いつつ、落ち葉で滑る急坂をずりずりと下って行く。
途中小さなプレートで「豊かな自然菅名岳」と合数表示が出ている。
12時54分 九合目、13時03分 八合目。
13時20分 七合目。ここにはベンチがあり、「丸山尾根」とプレートがあった。
ここまでは最初の急坂ほどではないにしても、木の根の張り出した坂をけっこうな角度で下った。
高度を下げるにつれ、紅葉真っ盛りになってくる。
主に黄色の紅葉なのだが、景色が明るくなって見える。
これで青空なら言うことなかったんだけど。どこに行ったんだ、晴天の天気予報〜っ。
13時31分 六合目。
その先に落ち葉とは違った緑の平らな場所が現れた。
階段状の急坂を下って行く。
13時34分 椿平の道標が立っている。
ここは小山田とどっぱら清水の道の分岐点になっている。
われわれはどっぱら清水を経ていずみの里近くにある駐車場まで戻るので、左方向へ。
すると、これまた急角度で下って行く。
遠く下の方から沢の流れのいい音がする。
たぶん、幅沢だ。
紅葉の只中に入って行くように急坂を下る。
まさか沢まで下るのかしらん、と思っていたら、本当に沢まで下った。
最後ははしごがかけられていた。
13時45分 幅沢到着。
右写真は幅沢。
とても綺麗な水だ。
はしごを下りて、すぐに幅沢を渡る。
この後、何度も丸木橋で沢を渡らせられる。
最初の橋を渡るとすぐにトチノキの大木へ行く分岐になる。
ここからどれほど歩くのか分からなかったので、トチノキの大木には行かないことにして、先を急ぐ。
どうやらこの日は川の水が多かったらしく、道が水没している箇所もあったが、飛び石で歩くことは可能だった。
とにかく、何度も何度も橋で右岸から左岸と渡って行く。
沢に流れ込むとても綺麗な流れを発見。
これは滝でしょう〜。落差にして5メートルあるかないかだが、とても綺麗な滝である。
ひとしきり写真を撮影して、滝のすぐそばの丸木橋を渡って先に行こうとしたら、これがまあ、とんでもなく怖い橋だった。
なんと、3本くくられている丸木の一つが壊れて流されている上に、傾いている。濡れて滑るし落ち葉ものっかっているし。
びーびー泣きながらダンナに助けられて渡る。
はっきり言って、このルートは丸木橋大嫌いな人間にとっては地獄のルートである。
渡りきるとすぐにどっぱら清水の分岐であることを示す道標があった。
14時03分。
ということは、あの滝はどっぱら清水そのものだったワケである。
どうりでものすごく綺麗な水だったはずだ。
丸木橋を渡るのに疲弊していたので、どっぱら清水には行かないことにする。
この先は前にも来たことがあるので、それほど大変ではないとわかっている。
小滝を見つけたり、さらに何度も橋を渡ったりする。
14時27分 林道終点到着。
ここからは林道歩きになる。
清酒菅名岳に使う寒九の水をどっぱら清水で汲む時にはきっとここまで自動車で入って来るのだろう。
しかし、今は落石もそのままの状態だった。
14時37分 北沢橋で川を渡り、川を左手に見ながら進むようになる。
14時46分 三五郎橋。この橋を渡って林道を登りつめるとわれわれが登りに使った大蔵山の登山口に着く。
14時50分 大蔵山、菅名岳の案内看板のある登山口。
15時ちょうど 駐車場到着。ご苦労様でした。
帰りに菅名岳を振り返られる場所で
200羽以上の白鳥が田んぼで
なにやら食べているのを発見。
きっと瓢湖から来たんだね。
右中央写真のどの山が菅名岳で
どの山が大蔵山なのか
よく分からないのだけど。

ちょっと欲張って大蔵山、菅名岳の周遊にしたのだが、欲張って実は一番楽なルートをとったんじゃないか、正解だったな、と思った。
今回のハイライト、というか一番過酷だったのは登りの4合目までで、その後はオマケか散歩みたいなものである。
最初は倒れるんじゃなかろうか、この私、と思ったのだが、4合目から先はむしろストレス解消のとても気持ちのいい山歩きができた。
もし大蔵山に登ろうとする人があったなら、4合目までが我慢ですよ〜。


大蔵山登山道入り口
最寄ICは、磐越自動車道安田IC。国道49号線に出て、福島方面へと進み、馬下交差点で左折。今来た道の上を渡り、馬下橋を渡って、国道290号をどんどん進む。弧線橋で磐越西線を渡ってやや走ると左折すると「吉清水」であるという看板がある。これにしたがって左折。少し小さな看板なので見落とさないように。
道なりに進んで行くと「吉清水」があり、さらに直進すると駐車場になる。
登山道は鎖場などもなく危険も少ないのだが、沢コースを選ぶ場合は沢そのものを5分ほど歩くことになるので、水を通さない靴のほうがいいだろう。


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