番外

の山

2020/6/20(土)   雨飾山 (1963.2m)   
2020年、新型コロナウィルスの蔓延で県をまたいだ移動の自粛が続いた春。
6月になって緊急事態宣言も解除され、県外へ旅行等で出るのも許されるようになった。
流行がいつまでも続いていた首都圏も落ち着いて、閉じ込められていた都会の人たちも外に出るようになっていた。
さて、我々は当初の決意の通り、今年は県外は自粛することに決めていた。滝も山も県内である。
県内ねぇ。できればあまり人気のない、人の混みあわない山がよい。
しかし、せっかくの6月。花のよい山がよいではないか。
どこがいいだろうと悩んで、夫婦でここはどうだろう、と思いついた山がある。
雨飾山。
百名山じゃん〜。人気ない山であるワケがないじゃん〜。
と、突っ込まれると思うが。
人気のある登山ルートは長野県の小谷温泉がわから入るルートなのだ。
新潟県の雨飾温泉から入るルートは不人気というワケではないが、首都圏から登りに利用する人は圧倒的に少ない。
県外自粛を自分に課している我々にはうってつけのコースなのである。
しかも、申し合わせたように二人とも同時に「雨飾山はどうかな〜」と考えていた。
もうほかの山は考えられない。
そして6月20日。
雨でしたとさ。
ずっと晴れの予報だったのに、直前になって雨のマークがつき、天気予報では午後からなら晴れるが強い雨が降る地域もあるといった読みの難しいことを言い始めていた。
どうしよう。
とにかく、晴れに向かっていることを信じて現地に行ってみよう、と自動車を走らせる。
なにせ糸魚川ICである。縦に長い新潟の端っこだ。遠い。
空は暗く、雨が落ちている場所もそうでない場所もある。
インターを降りて、雨飾温泉に向かう。スキー場を通り過ぎたあたりで、なんだか雨脚が強くなってきた。
こりゃ、ダメかな。
林道に入って、ちょっと自動車を止めて、登山をやめようか悩んだ。
ここまで来て、どうやって土曜のお休みを潰すのだ。県外には出られないし。
高速道路代を考えると、引き返すのもバカらしい。
行くか。
雨具を着て雨の中登ることを覚悟した。

8時15分。 結構長い距離林道を登り、終点の雨飾温泉に到着。
駐車スペースには2台の自動車がとまってしたが、登山客なのか温泉の宿泊者なのかは不明。
駐車スペースからは温泉は見えない。
左写真の奥がわに第二駐車場もあるらしく、意外にたくさんの自動車が駐車可能だ。
左写真の右がわの坂を進むと雨飾温泉の建物がある。
坂を登ったところに雨飾山の説明看板があった。
「ねこの耳を持つ雨飾山」とある。
うんうん双耳峰だね。
この図の登山に必要な時間配分はかなり間違っているので、鵜呑みにしてはいけない。
ちなみに我々はとんでもなく健脚が記した登山本の2時間40分で山頂というのを信じて、じゃあ我々なら3時間40分だね、と言っていたが、なんと、登山口ではどこを見てもゆっくり登って4時間と書いてある。
え、4時間もかかるの。
かかるんです。
右が雨飾温泉、雨飾山荘。霧にけぶっている。
山荘の入り口に登山届があるので、記入してから登山開始。
8時25分。
山荘の左手にある三角屋根がトイレかと思ったが、これは内風呂。
この三角屋根の向かいに露天風呂の「都わすれの湯」がある。
三角屋の左側、露天風呂の裏手に登山道がある。
すぐに湧き水がある。千代の泉。
その脇から登山道。
千代の泉の脇に登山口の表示。
しっかり雨飾山4時間と書かれている。
階段状の道を登って行くとすぐに不動尊がある。8時30分。
登山道は建物の左側に続く。
不動尊の裏には雨飾地蔵がある。
雨にお地蔵様が濡れていた。
道は、これは河原かしらんという感じの大きめの岩の連なりになる。
岩自体が苔むしていて、いつ滑るか分からない感じで、かなり怖い。
文字通り雨で岩も濡れているし。
じめっとした道をけっこうな角度で登って行く。
かなり登ったあたりで同年代らしきご夫婦らしき2人が下って来た。
あいにくの天気ですねと言うとそうですね、としか返ってこなかったが、やみそうもない霧雨に登山を諦めたのかもしれない。
8時57分 薬師尾根取りつき。
環境省の文字のある看板が立っている。
雨飾山山頂まで3時間半だそうだ。
左にカクっと曲がって薬師尾根に入る。
少し行くと、見晴らし場と書いてある場所になった。
ここは昔、難所のぞきという名前だったそうで、神難所沢が見下ろせるらしい。
霧でさっぱり見えなかったんだけどね。
薬師尾根は一本調子の登りかと思ったが、意外にジグザクに登る。
民家の垣根に使われる新芽が赤い葉っぱの木が両脇にあって、まるで町場の坂道みたいな気分になる。
あ、何か蘭科の花だぞ。たぶん、コケイランだ。
9時12分。 目の前に大きな岩が出現。
小さな遭難碑が埋め込まれている。
大きな岩を左側へ回り込むと、山頂まで180分という看板とハシゴが取り付けられていた。
ハシゴの上のほうに「神難所はしご」とある。
神難所(しんなんしょう)とは、近くを流れる沢の名前である。
ハシゴを登ると木の根っこの張り出した道になった。
ものすごく立派な杉が霧のなか、うっそりと立っていた。
道は緩やかに登る。
時折、崩れて根っこがむき出しになった場所などもあるが、おおむね歩きやすい。
このあたりからアカモノが出現しはじめて、高い標高になりつつあるのを実感する。
この道の樹木はとにかく威厳がある。
霧深かったせいなのかもしれないが、枝といい根っこといい、ものすごい。
9時54分。 左手の木々が途切れて、霧の向こうに山並みが見えた。
あれは、なんて山なんだろうなぁ。
10時ちょうど。 アルミハシゴ出現。
こいつがロープの必要な斜面のさらに上に取り付けられていて、ハシゴに乗るまでが大変だ。
ハシゴを登りきると、一ぷく処と書かれた看板があった。
10時02分。
山頂まで150分だそうだ。
ここで我々も一服。凍らせたエネルギーゼリーを摂る。
キソチドリなどみつけながら、さらに登る。
道は緩急の登りになる。
おお、マイヅルソウがこんもりと咲いているぞ。
坂がキツいので、目の高さに花がある。
尾根道らしいガレた感じの場所になるが、霧で眺望はない。
高度感もない。
平均台のような尾根をちょっと歩くと、先の樹木に大きく「TEL可」の文字が。
ここなら携帯がつながるらしい。
10時22分。
スダヤクシュもこんもり咲いている。
相変わらず緩急の登りの連続だ。
木の根っこを利用して登る場所もある。
あ、ツバメオモトが咲いているじゃないか。
それにしてもアカモノが多い。
あふれんばかりのアカモノが道の両側を彩っている。
これ、ジャムにできるんじゃないだろうか、というくらいの量だ。
こんなにたくさんのアカモノは滅多に見れない。
10時43分。 「ここは中の池、木はしご」という看板のあるハシゴ出現。
中の池って、池はどこよ。
短いハシゴを登ると、また次のハシゴが出てくる。
小さい木のハシゴが3つほどあったが、池はどこよ。
ハシゴを登ってやや行くと、おおおお、ツバメオモトだらけになった。
こんなにいっぺんにツバメオモトを見られていいのか。
足元はツバメオモトだらけだ。
お、ミツバオウレンも咲いているぞ。
ちっさいシラネアオイもいたぞ。
道の左手に水たまりが。
「これが中の池だったりして」
冗談で言ったのだが、あながち冗談でもなかった。
このあたりからなんとなく中の池なのだ。
大小の水たまりが続く。
ほう、サンカヨウが現役で咲いているじゃないか。
10時58分。 山頂まで120分の看板。
これを過ぎたら、あ、雪が残っている。
雪に気を取られていたら、ダンナがこれはっと声をあげた。
あああああっ、キヌガサソウだ!
キヌガサソウが咲いているじゃないの。
実はキヌガサソウは真夏にしか見たことがないので、真夏の花と思っていた。
このコースで咲くのは知っていたが、まだ早いと諦めていたのだ。
咲いているぞ。
あちこちに咲いているぞ。
やおらテンションが上がる。
11時09分。 「中の池見晴らし場」と書かれた看板。
相変わらず霧で全く見晴らせない。
グチャグチャした道を3分も進まないで、右手にミズバショウの化けたのが見えた。池になっている。
この池には樹木に何やら透明なスライムみたいなのがだら〜んと何本も垂れ下がっていたが、何かの卵かなぁ。ものすごくきれいなツララみたいな透明なスライムだったけど。
さらに進むと左手に一番大きな、今度こそ本当に池が出現した。
たくさんのミズバショウがあったが、どれももう見ごろは過ぎていた。
ここは中の池、モリアオガエル、フクイマメシジミ、と書かれている。
モリアオガエルはいいとして、フクイマメシジミって何。
どうやら淡水に生息する二枚貝で、もんのすごくちっさいシジミらしい。福井県の絶滅危惧U類だそうです。
池は霧に包まれていた。
この池の直前に後ろから単独の男性に追い越され、幻かと思ったら、池のふちにもご夫婦らしき我々よりちょっと先輩が休んでいた。これも幻かと思った。
でも、ダンナさんが「上には雪渓がありますよ」と教えてくれた。
ということは、彼らは下山途中なのだ。
雨飾山の山頂に山小屋はないので、何時から登山を始めたのかしらん。
気をつけますとお礼を言って先に進む。
11時15分。
中の池までの登りもキツかったが、実はこのコースの一番キツいのが中の池から先の登りであると思い知った。
まず、これはどう見ても沢だろう、という石の連なりを登る。
霧雨に濡れたショウジョウバカマがきれいだ。
その水の流れていない沢が雪で埋め尽くされるくらいの場所になると、道は沢からはずれて、沢を右手に見下ろす位置になる。
登山本などを見ると、昔はずっとこの空沢を登ったらしい。ずいぶん楽になったと書かれていたが、これで楽だったら昔は地獄じゃないの、と思う。
  しかし、この空沢の周辺がキヌガサソウだらけなのだ。
石を投げればキヌガサソウに当たるくらい、たくさんの花がある。
蕾もある。
巨大なやつもあれば、かわいいやつもある。
他の花も咲いている。
ミゾホオズキやゴゼンタチバナ。
 
 
  沢からやや離れ、ジグザグに登って行く。
同じ沢なのかどうなのかよく分からないが、雪の残っている場所を渡る。
 
 
  ちょっと角度があって、滑落しそうだが、上手い具合に倒木の枝などがあり、手掛かりになってくれる。
11時42分。 山頂まで60分の看板。
 
 
  看板の先はちょっと笹が目立つ場所になる。
いよいよ笹平かしらんと期待したが、期待外れ。
まだまだ先があった。
 
 
  どうやら再び沢の上になったようで、けっこうな広さの残雪の上に出る。
目印のようなものは無いのだが、踏み跡がわかったのでトレースする。
この手の雪原は春先の青田南葉山で慣れているが、ちょっと斜度があるので注意しつつ歩く。
 
 
  雪が途切れると、思い切りか空沢だ。
ロープが設置されていて、これがけっこう有難かった。
岩の空沢の上は、砂になりつつある岩、という感じの場所になった。
ずるっと滑りそうで怖い。ここもロープが有難い。
このあたりでベニバナイチゴの花が咲いていた。
 
 
  いっこうに笹平にならない。
ロープ頼りの急登の後は、なんだか早春の面持ちの林になった。
ちょっとだけ一息つける。
 
 
  しかし、道はすぐに沢っぽくなる。
雪渓も出てくる。
 
 
  沢っぽい道はガンガン続く。
もう息も絶え絶えになっている。
えげつないぞ。
なんつう、とんでもない山なんだ雨飾山。
どこまで苦しめるんだ、この急坂。
ひいひい言っていると、上から単独の男性が下って来た。
山頂の様子を聞くと、霧で真っ白でまるでミルクみたい。でも回復傾向だから、女神様が見えるかもしれないですよ、と教えてくれた。
女神様って、何?
さらにへたばっている我々を見て「あと30分ですから」と励ましてくれた。
何を根拠に30分というのだと思っていたら、彼とすれ違ってすぐに
山頂まで30分の看板が出現。
12時17分。
 
 
  そこから3分も登らないうちに樹木が途切れ、両側が笹だらけになった。
いよいよ笹平か。
笹を割ったような場所に沢状の道がつけられているといった感じだ。
 
 
  両側笹の海を登りきると、突き当たった。
12時21分。
雪渓の前に1本だけ道標がある。
こいつが曲者で、道標としてはあまり機能していない。矢印がついていないのだ。
この場所は小谷温泉がわからの登山道と合流する場所なのだが、右に行っても左に行ってもどっちも登りで景色が見えない。
初めての人はどっちに行ったら山頂かわからないだろう。
事実、ダンナは左に向かって歩き始めたが、おいおいおい、山頂は右だろう〜。
私は前日にざっとであるが山地図を見ていて、笹平の合流点では右折するはずだとうろ覚えでも覚えていた。
それにつけても、2008年に雨飾山に登った時には、この場所にはかなり大きなモニュメント的な道標があったはずなのだ。
どうなっちゃったんだ、あのモニュメント。
とりあえず、右に進んでみて、手持ちのスマホアプリの山地図で方向が間違っていないことを確認した。こいつはGPSで地図上の自分たちの位置がわかるのだ。
 
 
  合流点から少し笹の間を登ったらいきなり開けた。
何やら黄色い目立つ花が咲いているぞ。たくさんあるぞ。
後で調べたらハクサンタイゲキというのだそうだ。
ハクサンチドリやハクサンイチゲも見られはじめ、高山色満載である。
12時31分。11分の10の道標。これは小谷温泉がわからの道標。
メインルートは実にわかりやすい案内がある。
 
 
  前方の霧が流れて、雨飾山の最後のボスが姿を見せた。
前に登った時はあの最後の登りで気を失いかけた。
あまりに過酷な最後の登りはトラウマになっていた。
でも、今見ると、あんなもんだったっけ、といった感じの高さに見える。
 
 
  最後のピークの手前はお花畑だ。
ハクサンチドリやハクサンイチゲ。
ヨツバシオガマも咲いている。
高山の花々はほぼ期待していなかったが、たくさん咲いていたのであっちもこっちもと写真を撮りまくる。
少し大きな雪渓を渡る手前にこれでもかという量のシラネアオイが道を彩る。
 
 
  いよいよ最後の登りだ。
しかし、この登りは本当に花が多い。
前回登った時には息も絶え絶えだったが、今回はそんなに暑くもなく、花もたくさんで楽しみながら登れた。
 
 
  そういえばこの登りで「振り返れば荒菅沢」という文字の看板があったと思うが今回はみつけられなかった。
振り返ったのが左写真。青空が見えるじゃないの。
 
 
  そして、岩場にひっそりと咲く初めての花を発見。
サクラソウ科のユキワリソウというのだそうだ。
薄ピンク色のハクサンコザクラのようだ。
右手に双耳峰の新潟側の山頂、北峰の石碑が見える。
 
 
  しかし、まずは三角点のある山頂を踏もう。
左側が長野がわの山頂、南峰だ。
5〜6人ほどのパーティーが山頂からの景色を見ているようで何やら大騒ぎしている。あ、女神さまが見えた、とか言っている。
ちょっと気になったのだが、我々はそのすぐ手前にミヤマハンショウヅルを発見してしまって、そっちを撮影。
 
 
  13時ちょうど、雨飾山山頂到着。
先のパーティーはすれ違うように下山して行った。
山頂にはそれぞれ単独らしい青年2人と我々だけになった。
 
 
  静かに昼食の準備をしていると青年の一人が白馬が見えましたよ、と教えてくれた。
霧が取れて、雲海の向こうにどれが白馬か分からないのだが、ざっくり北アルプスの山々の頭だけが見えた。
美しいと心底思った。
青年によれば、鹿島槍ヶ岳も見えたそうだけど、どれだ?
 
 
  気がつくと一人の青年は下山してしまって、我々3人だけに。
優しい青年はあのパーティーにも写真を撮ってあげていたみたいだ。
千葉から来たと言っていた。
新潟はいい山が多くて羨ましいというので、藪山ばかりと答えた。
そうこう話ているうちに、我々よりかなりお姉さんと男性が到着。ものすごく疲れたみたいにひいひい言っている。
いや、その年で、この天候で、この山に登るのはすごいです。
二人は母子で、埼玉からいらしたとか。
青年と母子は長野の小谷がわから登山してきたのだが、どちらも登山口まで5時間かかってやって来たという。
確かに自宅から3時間ほどで登山開始できる我々は幸せかもしれない。
それにつけても、県をまたいでの移動が緩和されてすぐにでも登りたい山なんだなぁ、この時期の雨飾山は。
改めて山の魅力というか魔力というかを感じた。
 
 
  13時33分。 青年と母子に別れを告げて、下山開始。
次は北峰に行く。
この北峰が、また花が多いのよ。
イワベンケイやイブキジャコウソウ。
 
 
  イワツメクサ、キバナノカワラマツバなんじゃないかなぁ。   
  どうもヤマルリソウの白花みたいだぞ。
グンナイフウロはこれから見ごろになりそうだ。
 
 
  13時40分。 北峰から下山開始。
下りでもたくさんの花々に足を止める。
イワオウギかなぁ。
 
 
  最後のピーク直下の雪渓。
けっこう大きな岩がゴロゴロしていた。
雪渓の近くにカタクリのつぼみがたくさんあって、下山時には咲いていた。
ツマトリソウはあちこちにあった。
 
 
  お花畑でまた写真に時間をとられる。
14時07分。11分の10の道標。
14時14分。 小谷温泉との分岐。
14時20分。 山頂まで30分の道標。
 
 
  14時43分。 砂っぽい急坂。
この急坂を下ったあとに右手(登りの時は左手)の苔の中に「風穴」と書かれた名札を見つけた。
雪があって、どれが風穴か分からなかったし、近づいても風も感じなかったなぁ。
14時56分。 山頂まで60分の道標。
15時19分。 中の池。
15時30分。 山頂まで90分の道標。
15時41分。 中の池、木のはしご。
 
 
  16時10分。 いっぷく処。
登りの時に霧に霞んでいた向こうの山々が明るく見えた。
16時50分。 神難所はしご。
17時05分。 薬師尾根とりつき。
あと30分で駐車場なのだが、ここから先が岩の重なる地面で滑りやすく、下山時は注意が必要だ。
 
 
  17時33分。 不動明王。
17時35分。 駐車スペース到着。 ご苦労様でした。
 
 

終始霧の中の雨飾山だったが、花には恵まれた。
こんなにたくさんの種類の花が咲くのか、一つの種類の花もとにかく数が多い。
特にアカモノの多さには仰天した。それからキヌガサソウもしまいに写真に撮るのも面倒くさくなるくらい多かった。
新潟県がわからの登山道だから見られた花々なのか、長野側からでも見られたのかはわからない。
しかし、笹平に出てから先もこれでもかというくらい花に埋め尽くされていた。
雨がちだったが、6月に行ってよかったと思う。
ちなみに、前回は8月に長野側から登って、脱水しそうになるほど暑くて暑くてそっちの印象しかない。最後の登りもあまりに暑すぎて、2歩足を進めては止まるくらい辛かった。今回は最後の登りの前にものすごく辛い登りばかりだったので、むしろ最後の登りが楽に思えたくらいだ。
特に中の池から上はずっと過激な登りで、自然と「えげつないぞ〜っ」と叫びながら登っていた。キヌガサソウが咲いていなかったら、もっと辛かったと思う。
しかし雨がちでずっと霧に包まれていたのも、実は幸いしたのかもしれない。
雨具はちょっと蒸し暑かったが、それでも炎天下よりは涼しかった。これはこれでよかったのだ、と思うことにしよう。
ちなみに、新潟側の登山道はあまり利用者がいないと思って、今回は新兵器を装着。
親子の熊鈴。親をダンナが、子を私がリュックにつけて、チリンチャリンとかなり賑やかに登山した。
  
今年は野生生物が多く出没しているようなので、用心も必要かと思います。
同じく、今年はコロナウィルスの用心もあって利用しなかったが、新潟側からの出発点の雨飾温泉には「都忘れの湯」という野天風呂がある。混浴は無理という向きには男女別の内風呂もあるので、疲れた体を癒すこともできる。
我々が登ったのは土曜日だったので、この日に宿泊して日曜日に登山する人もいたようだ。駐車場にテント泊らしい人がお風呂道具をもって温泉に入りに行っていた。
新潟側からのルートは地味で辛いが、静かだし、唯一慰めがある。下山時にほぼ登り返しがない。
渡渉もないので、案外オススメかもしれない。

雨飾山(薬師尾根コース)

薬師尾根コースは新潟県がわ雨飾温泉(梶山新湯)から登るコースである。最寄ICは北陸自動車道糸魚川IC。
インターを出て国道148号線を長野県白馬方面に向かって南下する。しばらく姫川を右に見ながら走り、根知谷入り口の信号で左折。線路を渡って、しばらく走る。シーサイドバレイスキー場を右に見て通り過ぎてすぐに左側に曲がるように案内がある。橋を渡るとすぐにおててこ開館という建物がある場所で、ここにも案内があるので間違わない。川を右に見ながらさらに進み、根知川に沿った林道を走る。細い道で高度もあるので走行は注意したい。この道を最後まで行くと雨飾温泉で、温泉の建物の手前に10台くらいとめられる駐車場がある。さらに奥にも駐車場があるようだ。
ちなみに、トイレは温泉の建物の中にしかないので、早朝などの場合は糸魚川市街のコンビニなどを利用すること。

   2008年8月2日の小谷温泉がわからの雨飾山のレポはこちら


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