番外

の山

2021/7/31(土)   火打山 (1963.2m)   
なんで火打山に登ることになったのか、半月後の今現在、実は思い出せない。
なにせ、私にとって火打山は、呼吸困難になるくらい疲労困憊した、痛い思い出しかない山なのだ。(2008年の火打山のレポはこちら)
ただ、絶対に登りたくない山ではなかった。いずれきっともう一度登るんだろうな、と思っていた。
というのも、もう定年退職した職場の同僚が、子供と一緒に登った火打山から見た日本海が忘れられないと言っていたのをずっと覚えていた。
あの、大変だったという思い出しかない火打山から日本海が見えるのか。だとしたら、確かめてみたいな、と思っていた。
さて、コロナ禍が続いている2021年。今年は少し県外にも登山に出掛けたりしていたが、やはり県内の山中心に登ることが多い。
夏山が始まり、なかなか休みの合わない私とダンナの連休が合致した7月の末、どこかガッツリ登る山を探していた。
昨年、小蓮華山に登ったし、今年は妙高かな、とぼんやり考えていた。しかし、妙高の山頂はなぜか花が無い。
どうせ登るならお花が多い山がいいなぁ。
と、いうことで火打山になってしまった。
二人の休みの合わない今年、あまり体力の必要とする登山はしていない。多少の心配はあったが、キヌガサソウの魅力は大きかった。
と、いうことで、午前3時半に起床、4時半頃に自宅を出発、黎明の高速道路をひた走った。

2度目の登山、ということで、リピの山の項目でレポすべきだが、さすがに干支が一周するくらい前の年月がたっていては、リピート、とは言えないので、ちゃんとレポします。
ただし、花の位置と記事の内容は合致していない場合があるので、ご了承ください。

実は天気予報的には妙高市のあたりはあまり天候がよくない予報だった。
大気が不安定で、どこに行ってもいきなりの雨に降られるのは仕方ないだろう、といった感じだったのだ。
しかし、笹ヶ峰をぬけて、妙高高原キャンプ場の駐車場に入る頃にはすっかりよいお天気になっていた。ラッキー。
登山口がわの駐車スペースは満車だったので、トイレにあるキャンプ場の駐車場に駐車。
6時50分頃に駐車場到着。支度をして、6時55分、登山開始。
登山口のゲートの前にはすでに係の人がスタンバっていて、協力金を徴収していた。任意ではあるが、こんなに早朝からちゃんと人がいるなんて。
快く協力すると、左写真のような木彫りの飾りをくれた。3センチ角くらいのちっさいものだが、ちょっと嬉しい。
ゲートには携帯トイレの自動販売機があった。
これ販売されていても、場所がね。茂みでするのかしらん。
ちゃんと回収ボックスはあったけどね。
  ゲートをくぐるとすぐに木道が始まる。
実によく整備されている。
 
 
7時12分 休暇村との分岐。
7時17分 9キロ分の1の道標。
とてもよく整備されている木道ではあるが、その分単調だ。
3人ほどの子供をつれた家族連れがにぎやかに先を歩いて行く。
木道は橋になり、小さな沢をいくつも渡る。
前はこんな沢は橋になっていなかったっけな。
7時41分 9キロ分の2の道標。
7時44分 黒沢橋。
沢水がきれいに流れていて、涼しい。
子連れの家族はここで大休止するらしく、子供たちが水遊びしていた。
黒沢橋の上流は立派な滝になっている。
木道は終了し、本格的な登山道になる。
緑の綺麗な林の中、急角度で登って行く。
8時ちょうど 十二曲がり12分の1。
13年前はどこからどこまでが十二曲がりなのか分からずに、かなり先まで十二曲がりと思っていた。
今はカーブごとに12分の1などと看板が立てられていて、分かりやすい。
でも、今のはカーブに入れてもいいだろう、とか、今のは入れなくてもいいだろう、というのとか、カウントの仕方がまちまち。
8時19分 十二曲がり12分の12。
ここに十二曲がりの標識が立てられている。
前回はここから十二曲がりが始まると思い込んでいたが、実はここで終了。
ここではたくさんの人が休憩中。
でも、下山途中だった。早朝に小屋を出たのかしらん。
8時21分 9キロ分の3の道標。
大岩が重なった場所を登る。
あ、ハクサンオミナエシ、あ、ソバナ。
今まで花がなかったので、ちょっと嬉しい。
8時49分 あれ、道の左奥にモンベルの縦型のテントみたいなのがあるぞ。
どうやら携帯トイレをここで利用できるらしい。
茂みでするんじゃなかったのね。
これで、ちょっと安心できる。
道の周りはオオシラビソの林だ。
足元にはイチヤクソウやスダヤクシュが咲いている。
9時11分 9キロ分の4の道標。
大きなアザミの仲間やゴゼンタチバナが時々姿を見せる。
標高も高い場所のはずなんだが、森が深くて高山感が無い。
時々木道や階段が出現する。
かなり整備されていて、歩きやすい。
時々、樹木の説明などが書いてあるプレートもあり、子供の学習にもよいかもしれない。
この道の傍らで最初のキヌガサソウを発見した。
高野池よりかなり手前にも咲いているんだ。
9時25分 富士見平。
ここを真っすぐに行くと、黒沢池ヒュッテになる。
あれ、以前はもっと目立つ看板が立っていたと思うが、ものすごく小さな案内しかない。
我々は火打山を目指すので、左折する。
周りの樹木が減り、ミゾホオズキの黄色い花が目立ち始めた。
でも、空は雲が広がっている。
しまいに霧が出始めた。
なんだか幻想的だぞ。
直射日光じゃないだけ暑くなくていいかもしれない。
湿度が高いのには変わりないけど。
傍らの大きな葉っぱの上に紫の実がたくさん。
サンカヨウがすっかり実になってしまっていた。
9時51分 9キロ分の5の道標。
このあたりでもキヌガサソウが。
そして、草原の遠くに高野池ヒュッテの三角屋根が見えた。
おお、休憩場所が近いぞ。
近い、と思いきや、意外にヒュッテまでは草原をぐるっと遠回りする感じで、最初に見えていた距離感ほど短時間では到着しない。
10時11分 アルプス展望台。
最初から真っ白な霧の中なので、ハシゴを登って見に行こうとは思わなかった。
10時12分 高野池ヒュッテ。
やっと着いたよ。
たくさんの人たちが出たり入ったり交差する場所だ。
高野池ヒュッテにてトイレ休憩。
トイレに入るためには靴を脱がなければならない。
さらに、まず備え付けのペーパーにアルコール液を吹き付け、それで便座を拭き、さらにペーパーは流さずに備え付けの箱に捨てるというルールがある。
ということで、かなり時間が必要だが、並んでいるワケでもないので、実はそんなに大変でもない。
一人100円也。でも、ありがたいです。
持参したアンパンなどを食べ、エネルギーを補給。
10時26分 登山再開。
池の周りには午前中ではあるがいく張りかのテントが設営されていた。
ここでのんびりするのもいいかもな、と思う。
池周辺ではたくさんのクルマユリが咲いていた。
お目当てのキヌガサソウもたくさん咲いていてくれた。
ただ、ちょっとだけ遅かったらしく、花が今一つきれいじゃなかったかな。
それでもやっぱり、わくわくする花だ。
10時31分 黒沢池との分岐。
高野池の向こうにヒュッテが見える。
のどかな風景だ。
10時32分 9キロ分の6の道標。
池の周辺を歩くだけなので、この1キロはかなり短く感じる。
花も多いしね。
まだコバイケイソウもモコモコの花の状態だ。
ヨツバシオガマもそこここにある。
そして、池を離れて少し登った場所が圧巻だった。
全体が紫になるくらいのハクサンコザクラの群落だ。
そうだ、13年前はここには積雪があったのだ。
高野池のハクサンコザクラが終わってしまっていて、見れないと思っていたので、本当に嬉しかった。
これが目当てだったのだという我々よりちょっと先輩の男性と多分息子さんの親子連れと一緒になって、たくさん写真を撮影した。
ベンチがいくつかあって、休憩にはもってこいの場所である。
イワイチョウやアオノツガザクラも群落状態。
写真を撮影している我々に下山途中の男性が話しかけてきた。
この上のほうに咲いている黄色い大きな花はなんていうんですか、と訊く。
黄色い大きな花、だけではさっぱり分からない。
行けばたくさん咲いているので分かります、という。
せめて写真でも撮っていてくれたら教えられたけど。
でも、登って行ったらわかったわよ。
11時01分 天狗の庭。
天狗の庭の看板のすぐそばの池から火打山が見えた。
あ、逆さ火打。
写真を撮影しつつ、でも池が鏡のようじゃなくて植物が出ているのが残念だね、なんて言っていると、優しい青年が、この先のほうの池が綺麗ですよ、雪渓も写し込めますよ、と教えてくれた。
それにしても、ワタスゲが綺麗だ。
天国かと思うくらいたくさんの白いぽわぽわした綿毛が湿原に揺れている。
  いくつかある小さな池をぐるりと回る感じで木道を歩いて行く。
あ、さっきの青年の言っていたのはここだな、という池があった。
本当に鏡のような綺麗な水面の池だ。
でも、ああああ、惜しい、火打山の山頂が雲に隠れちゃった。
顔を見せてくれるのを待つ体力は我々にはないのよ。
 
 
  湿原には本当にとりどりの花が咲いている。
コバイケイソウ、クルマユリ、エゾシオガマ。
 
 
  シナノオトギリ、ヤマハハコ。  
11時13分 9キロ分の7の道標。
ホソバノキソチドリかしら。
どうもヤナギタンポポとミヤマコウゾリナらしいんだけど、キク科の花は見分けがつきません。
ちょっと進むと、低灌木の茂みの中にハクサンシャクナゲの咲き残りが。
道を外れた向こう側にはまだ雪が残っている。
11時53分 雷鳥平。
ダンナは休憩なしで歩き出したが、さすがに私は無理だった。
半分怒って、自主休憩。菓子パンで栄養補給する。
同じく休憩中のご夫婦が何故か携帯電話で宿の予約を大声でしていたが、電波状況が悪くて途切れるらしい。
その位置から少しでも動くと電波が届かないんだよ、と電話している奥さんがダンナさんから言われていた。
いや、登山途中で今日の宿の予約もどうかと思うけど、そんな自由がきくのもうらやましい。
雷鳥平手前はロックガーデンのようになっていて、色々な花と高山蝶のベニヒカゲの楽園になっている。
ダンナが蝶を撮るのにとまっているので、その間にゆっくりと先に進む。
ミヤマオトコヨモギ、ヒメシャジンなどもたくさん咲いていた。
右の薄黄色のニガナは何だろう。クモマニガナかな。
12時05分 9キロ分の8の道標。
ここまでの1キロも多少の登りはあったけど、花と蝶で楽しく歩けた。
そうそう、天狗の庭の手前で男性が尋ねてきた花が何だったのか、ここで判明した。マルバタケブキである。
黄色くて大きくて目立って、たくさん咲いている。
ホント、写真でもあれば教えられてのよ。
以下、雷鳥平から山頂までに見られた花をご紹介。
ミヤマキンポウゲ、ミヤマオダマキ。
オタカラコウ、ミヤマキンバイ。
ネバリノギラン。ハクサンコザクラとミヤマキンバイが一緒に咲いている。
ベニバナイチゴ、ミヤマカラマツ。
クルマユリ、ウサギギク。
12時30分 植生復元中です。立ち入らないでください、の看板。
ここからいよいよ最後の階段である。
まあキツイこと。
永遠に続くかと思うくらいの階段だ。
でも、階段の淵にはウサギギクが可憐に並んでいて、励ましてくれる。
12時41分 山頂到着。
もうヘロヘロガクガクの状態である。
意外にも山頂で休んでいる人は少なかった。
我々を含めて10人もいない。
天狗の庭は見えたが、その先の眺望はなく、期待していた日本海は今回も見ることができなかった。
大量のトンボだの羽虫だのが飛んでいる山頂で乾杯。うまいっ。
前回は食欲がなくなるくらい疲労したが、今回は大丈夫。
昼食の間、ヒュッテにテン泊なのでゆっくりできると言っていた単独の女性と、毎年7月末に火打に登るのだというお姉さま二人組の話しているのが聞こえた。お姉さまたちの話しによると、何度もこの時期に登っているが、これほどワタスゲが綺麗だったのは、初めてだとのこと。
いい景色を見られたんだな、と、ちょっと嬉しかった。
13時20分 下山開始。
天狗の庭に向かって下って行く。
気の早いウメバチソウや、クロトウヒレンなどが咲き始めている。
トリカブトはこれから咲く蕾の状態。紫のソラマメみたいだ。
山頂直下の階段で、登りの時に黒沢橋で休憩していた子供連れの一家が登って来た。ちゃんと山頂まで来たんだ。
今日は小屋泊かな。
13時45分  9キロ分の8の道標。
13時54分  雷鳥平。
振り返ると、真っ青い空が広がっていた。
山頂は真っ白だったのにな。
下山時はずっと青空だ。
登りに炎天下でなくてよかったけど、でも、山頂では眺望がほしかったな。
樹林帯に入ると、登りでは気がつかなかった小さな花に目がとまる。
左はヒメアカバナというそうだ。
14時37分  天狗の庭看板。
ハクサンコザクラの群落のベンチで、また登りでも一緒になった先輩親子と出会った。
先輩がこの黄色い花は何かと問うので、ダンナがミヤマキンバイだと教えると、覚えますとのこと。
私もあとで知ったが、ハクサンコザクラとミヤマキンバイが混ざって咲くのは珍しいのだそうだ。
14時55分  9キロ分の6の道標。
         黒沢池分岐。
14時57分 高野池ヒュッテ。小休止。
ダンナがあまりにも喉が渇いたので炭酸が欲しいとコーラをヒュッテで購入。なんと、一番大きなワンコインでしたとさ。
15時13分 出発。
女性十数名の団体さんが我々の休憩中に到着した。今日はここで宿泊らしく、リーダーが手続き時に宿泊代がいるので徴収します、と言っていた。
彼女らはこれから山頂に行くのか、明日にするのか。
けっこうな金額を徴収されていたが、それでもうらやましいな、と思った。
15時37分  9キロ分の5の道標。
15時56分  富士見平。
16時04分  9キロ分の4の道標。
16時18分  簡易トイレ。
16時40分  9キロ分の3の道標。すぐに十二曲がり。
16時56分  十二曲がり終了。
17時08分  黒沢橋。
次々に走るように下山してくる単独の女性や男性に追い抜かれる。
木道なので、体力がある人はスピードが出せるのだろう。
17時12分  9キロ分の2の道標。
長い木道は歩きやすいが飽き飽きする。うんざりするくらい木道を歩く。
17時33分  9キロ分の1の道標。
もうちょっとで駐車スペースと言うところで、先輩親子に追い付いた。
ミヤマキンバイ、覚えましたよ、と言ってくれた。
17時38分  休暇村との分岐。
17時52分  ゲート。
17時54分  駐車スペース到着。
結局、先輩親子と山頂で話し込んでいたお姉さま二人組とほぼ同時刻に到着した。
ぼちぼち周辺がオレンジ色の夕日に染まる頃である。
へとへとになったが、日没前に戻れてよかった。
お疲れ様でした。

13年前よりもかなり木道が整備されている印象が強い火打山ではあるが、体感的にはきっと13年前より時間がかかっているんだろうなぁ、などと思っていた。
が、比較してみると、小一時間短い時間で戻って来ている。
たぶん、我々が登山の経験が増えて多少レベルアップできた、というワケではなく、登山道が丁寧に整備されているおかげなんだと思う。
花を楽しむのであれば、本当に高野池ヒュッテに宿泊するのが一番いいだろうな、と思う。
日帰りではもったいない山である。

火打山
  
最寄ICは、上信越自動車道妙高高原IC。国道18号線に出て長野方面に少し走ると県道39号の交差点になるので、案内に従って右折。あとは道なりに走って行く。途中、道が細くなったり、スキー場の脇を通ったりする。笹ヶ峰まではかなり長いので、登山開始時間を決めるときに注意したほうがよい。
笹ヶ峰牧場(県民の森)を通り過ぎてやや走ると、右側に火打山登山用の駐車場、左側に休暇村の広い駐車場がある。登山用の駐車場は早朝に満車になりがちだが、トイレなどは休暇村の駐車場にあるし、県道を挟んで向かい側でしかないので、休暇村の駐車場に入れてもいいだろう。
水は黒沢意外に水場がないので、多めに持って行ったほうがよいが、ヒュッテで購入もできる。


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