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2023/9/23(土)   西吾妻山 (2035m)   
昨年、危うく低体温症で遭難するかもしれない事態に陥った山がある。
西吾妻山。
お得なチケットを使いたくて、麓のお天気を信じて、10月の標高2000メートルを甘く見て、と、とにかく我々の認識不足が祟った登山だった。(レポはこちら)
あまりに悲惨だったために、いずれリベンジをしたいと思っていたが、翌年の秋にお得な紅葉パックのチケットが発売されてしまった。
またお得チケットに釣られている我々だ。
通常であれば、ロープウェイに3つのリフトの往復だけで大人は4200円かかる。
それが4000円になって、ついでに山頂駅近くの施設の温泉に入れて、手ぬぐいももらえる。
お得だ。何より、昨年凍え死にそうでお風呂を切望していた場所での温泉はものすごく魅力だ。
しかし、コロナ明けで人々がこぞって旅行に出かけたがっている昨今、本当に紅葉が始まってしまったら、さぞ混雑するだろう。
ならば、発売早々の9月のうちに行っちゃおうか。
毎度、安直ですいません。
ともかく、昨年の忌まわしい記憶は、早めに払拭したかったのである。
天気予報は不安定な雲行きとのことではあったが、東北地方はおおむね良好である。
新潟県内もこれからいいお天気になりそうな明るい空だった。
しかし、トンネルをぬけて、会津盆地に入るやいなや、どよん、と重たい雲が上空に広がった。
まるで盆地をずっしりと蓋をしているような分厚くて黒い雲である。
当然、盆地を見下ろしているはずの会津磐梯山の姿も、裾野から見えない。
もちろん、吾妻連峰など見えやしない。
ヤバい。これ、福島まで来て山に登れずに帰るパターン?
とにかく、会津高原インターから北上して、山形入りしてみないとどうにも判断はつかない。
重くて暗い雲の中、とりあえず雨は落ちて来ていない。
高速道路を下りて、檜原湖畔の道路を通り、西吾妻スカイバレーで標高を上げていく。
あれあれ、標高を上げるにしたがって、霧がちだった道路が明るくなってきたぞ。
東鉢山七曲りを通り、山形県境の白布峠のあたりではすっかり晴れて明るい空になってきた。
これなら登れるじゃん。
ところが、そこから下るにつれて、また霧が出てきた。どんどん濃くなる感じである。
しかし、どうやら、山の中腹あたりがひどい霧であり、高い場所は晴れているのだということが分かった。
よし、登れる。
天元台ロープウェイに着いた時には本当に真っ白な霧に包まれていた。
こんな天候なのに、大きなバスで100人くらいの団体が集まってこれから登山の様子。
あの人たちがロープウェイに乗ったら、何便も待つことになるので、慌てて支度をして出発した。
ロープウェイから見たら、かの団体さんたちはどうも徒歩で登るらしい。ご苦労さんです。

9時40分のロープウェイに乗り、9時25分に山頂駅に到着。
ところで、温泉は山頂駅から少し離れたアルプ天元台という宿泊施設にある。
つまり、着替えを自動車に置いてくるワケにはいかず、持って来ている。
そのまんま登山するのもイヤなので、アルプ天元台の有料ロッカーに預けた。
右写真がそのアルプ天元台。わはは、真っ白じゃないか。
9時55分 しらかばロマンスリフト。
しらかば、しゃくなげ、つがもりのリフトを乗り継いで行く。
最初は霧の中で、ちょっとイヤな予感がする。
がつがもりリフトあたりで霧がすっかり取れて、視界もよくなってきた。
10時30分 つがもりリフト終点。
安全の鐘、なんてのがあったのね。
その鐘を通して、はるか下界が雲の合間から見える。
10時35分 リフトのチケットなどをしまって、さあ登山開始である。
最初のじめっとした道は相変わらずじめっとしている。
ついさっきまで雨だったように、小さな水の流れもある。
それでも、このあたりはまだ歩きやすい。
じめっとした林の中に秋の気配を感じる。
10時45分 かもしか展望台6の標識。
たぶん、リフト終点が1で、かもしか展望台が10なんじゃないかと思うけど。
10時55分 樹林が途切れ、展望が広がる。
かもしか展望台である。
まだ霧が残っている感じの眺望がある。
昨年は真っ白だったから、かなり成績はいいんだと思う。
かもしか展望台から下る。ずっと下る。
でも、木道なので歩きやすい。
11時05分 人形岩コースと合流。
木道のまわりにはヤマハハコなどがまだ咲いていてくれている。
大凹の草原が見える。
草紅葉はもうちょっと先のようだ。
11時10分 下りきって、草原に出る。
この先の木道も気持ちがいい。
チングルマが穂になっている。
11時20分 大凹の水場。
さて、これからがキツい登りだ。
岩の積み重なりをよじ登る感じである。
なんだか今年はこんな岩の登りばかりしているんじゃないか、とダンナと話しながら登った。
でも、岩に苔が生えていて、そこに秋の実が実っている。
ゴゼンタチバナがかわいらしい。
10時45分 梵天岩手前の木道。
ここにもたくさん植物が。右はアカモノの実。
おおお、アカモノの花が狂い咲き。
あららら、イワカガミが残っている。
秋なんだやら、何なんだやら。
梵天岩が見えてきた。
登山者が上に乗っては写真撮影している。
11時55分 梵天岩。
昨年来ているからどう行けばいいのかわかるけど、意外と赤い丸が見えづらい。
写真撮影している人の足元を通り抜ける感じだ。
そしてすぐにガレだ広場に出る。
12時08分 吾妻神社。
え、こんなのあったっけ?
昨年登った時にはこんなものがあったという記憶すらない。
雨がひどくて、渋滞がひどくて、きっと気がつかなかったんだ、と、先を急ぐことにした。
神社の先はちょっぴり下って行く。
そして、笹の間の木道になる。
ダンナが山頂から梵天岩の間には木道があった、というので、この道で間違いないな、と思って歩く。
おお、ナスボックリが綺麗な紫をしているぞ。
12時18分 若女平コース分岐。
どこだ、若女平って。
あとあと調べたら、ロープウェイを使わずに登るのがこのコースらしい。
4時間強かかるコースだ。
あの団体さんはきっとこのコースで登っているのだ。
ネバリノギランの葉っぱはきれいなオレンジになる。
12時22分 西吾妻小屋分岐。
え、小屋が見える。
おかしいぞ。
我々は、山頂を通ってから小屋に至るコースだったはずだ。
山頂、どこに行ったんだ。
分岐の案内でどっちに行っていいか迷っている人がいて、どう行くんですか、と訊かれた。
どこに行きたいのかと訊くと、リフトに行きたいのだと言う。
ならば、我々はリフトから来たので、こっちですよ、と教えたが、よくよく標識を見たら、小屋とは別の方向に行く道に山頂を経て梵天岩、と書いてある。
私たちはまだ山頂を踏んでいないので、こっちに行きます。
でも、小屋に立ち寄ります。
と、その人と分かれた。
12時24分 西吾妻小屋。昼食休憩。
小屋では一パーティーがトイレに立ち寄っていた。
入りますか、と訊かれたので、利用できますかと訊き返したら大丈夫とのこと。
ありがたく使わせてもらったが、真っ暗で怖かった。
トイレ利用のあと、ダンナと協議。
小屋で昼食にするか、神社の広場に行ってから昼食にするか。
もうお昼も回っているし、小屋であれば座る場所に困らないので、小屋で食べることにした。
一人の登山者が休憩中だったが、使わせていただきました。
12時54分 西吾妻小屋出発。
小屋は2階建てで、ぎゅうぎゅうに詰め込んだらかなりの人数休憩できそうな感じだった。
昨年のあの冷たい雨の日などは、最大限利用されたのだと思う。
  12時56分 西吾妻小屋分岐。
ここからは山頂を目指す。
さて、我々はどこで間違えて先に小屋に来てしまう道に入ったんだ?
 
  少しだけ木道を歩いたのだが、道は樹木の中に入り、とても細くなった。
ホントに山頂に至る道なのかと思うくらいにこころもとない。
しばらく細い道を登ると、ちょっとだけ木がない場所があり、そこが山頂だった。
13時07分 西吾妻山山頂。
相変わらず、つまらない山頂だと思う。
たとえ一番高い場所じゃなくても、もうちょっと山頂らしい場所にでっかい標識でも立ててくれれば、昨年みたいに山頂との写真撮影で渋滞もしないんだろうになぁ。
いや、私見ですけども。
ここでは山頂表示だけを撮影して、すぐに直進。
 
  道はまたさっきと同様、樹木の中の細い道になり、下って行く。  
  樹木を抜けると、あ、木道が出てきたぞ。
それにしても、古い木道じゃないか。
もうすっかり朽ちている感じだ。
でも、ここでミヤマリンドウをみつけることができた。
 
  木道を通り終えると、大きな石が連なる場所に。
石と石の間に水が溜まって、うまく歩かないと足がずぶぬれになりそうだ。
あ、ここ、昨年通った覚えがあるぞ。
渋滞の中、どう通っていいのやらと、みんな困っていた場所だ。
 
  アスレチックなみの石の道を終えると、すぽん、と、ゴロゴロの石の広場に出た。
ここは、吾妻神社の広場のずっと梵天岩寄りの場所である。
そうか、広場に出てすぐに左手の標識のほうに進めば、先に山頂を踏むことができたのか。
昨年はすでに渋滞していて、人の後ろについて行ったので、広場の先にある神社にも気がつかなかったし、神社を通って小屋に行く道にも、もちろん気がつかなかったのだ。 13時29分
ここでは神社方向には戻らずに、すぐに梵天岩方向に向かう。
13時38分 梵天岩。
相変わらずたくさんの人が記念撮影中。
中にはどっちが下山の道か分からなくなっている人もいた。
赤い丸が目印ですと教えてあげる。
ちょっと迷いがちな場所だよね。
我々も昨年、岩の先のほうまで行って、他の人に教えてもらったよね。
 
  14時06分 大凹の水場。
14時28分 かもしか展望台への登りのはじめ。
14時33分 かもしか展望台。
15時03分 リフト乗り場。
 
  15時36分 つがもりリフトに乗る。
昨年は寒くてぶるぶる震えるリフトだったが、今年はずっと先の街並みまで見えて、とても快適だった。
あの街並みは、米沢市なんだろうか。
遠くに見えるあの高い山は何山なんだろうか、などと話ながら乗る。
背中が痛くて仕方なかったと記憶のあるリフトは一番低いしらかばロマンスリフトだけだと判明。ロマンスじゃないじゃん。
他のリフトは多少背中は楽でした。
3つのリフトを終えて、アルプ天元台に。
ロッカーから荷物を取り出したが、結局リュックの置き場がないね、ともう一度大きなロッカーを借りた。合計でロッカー代が600円になってしまった。
ウーム、お得感がちょっと減った。
昨年と同じ手ぬぐいをもらって、その分がお得だったくらいだ。
16時20分 ロープウェイ。
16時25分 駐車スペース。
 

さて、昨年の雨の登山から一年、果たしてあの寒さに震えた登山の忌まわしい思い出を払拭できたのかどうか。
よいお天気でも、花のいい時期でもなく、紅葉にも早い、中途半端な登山ではあったが、しかし眺望はよかった。
こんなふうに街並みや遠い山々が見えたのか、と知ることができた。
気持ちよく広がる吾妻神社前の広場や、その背後の風景も見ることができた。
うむ、リベンジ成功だ。
ようやく西吾妻山をいい山だと思うことができる。

西吾妻山(天元台ロープウェイより)
  
最寄りICは、磐越自動車道猪苗代磐梯高原IC。国道115号を北上し、途中で国道495号に入り裏磐梯に進む。
  観光地である五色沼あたりのセブンイレブンのある交差点で県道2号に入り、檜原湖沿いを北上。西吾妻スカイバレーである。
  峠道をけっこう長いこと進み、山形県入りする。芳沢不動滝を通り越しさらに進む。
  白布温泉の少し手前に天元台ロープウェイの案内があるので、そちらに右折。ほどなくロープウェイの湯元駅。
  通常はロープウェイと3本のリフトの往復で大人は4200円である。
  おおざっぱに言えば、乗り物で1時間、ゆっくり徒歩で2時間で合計3時間で山頂になる。


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