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2024/8/14(水)   鳥海山(象潟口(鉾立)コース) (2236m) その@御室(山頂小屋)まで  秋田県
完全に初老の域に入った我々夫婦。
足腰がしっかりしているうちに絶対に登りたい山がいくつかある。
そのうちの1つが鳥海山だった。
なにせ、この山には何度も滝でお世話になっている。
百選の滝である法体の滝は鳥海山の水を集めて落ちる名瀑であるし、鳥海山の登山道の一つになっている一の滝、二の滝などのコースは、氷瀑で何度も訪れている。
この山は登っておかなきゃならない山でしょう。
しかし、意外に我が家からは遠い。
登山にかかる時間が平均でも11時間ほど。
となると、日帰りは無理である。
早朝に登山開始となると、前泊と後泊も考えなくては、この身には過酷すぎる。
ということで、長いお休みがあるお盆に2泊で登山を設定した。
あ、いや、山小屋泊であれば、もしかしたら1泊でも足りるんですけどね。温泉に泊まりたかったんですよ、はい。
そんなこんなで迎えたお盆休み、なんと、台風が来てしまいましたとさ。
直前までお天気とにらめっこして、登れるかどうか確かめ。
そうこうしているうちに愛猫の具合が悪くなり、出発日の午前中に動物病院に駆け込み、そのまま入院させることに。
帰宅した日の午後に迎えに行くことになり、ホントーに登山のためだけの山形行きになった。

出発当日、猫の一匹を動物病院に預け、他の2匹の留守番の用意をして、ほぼお昼に自宅を出発。
とりあえず、登山口の様子だけは見ておこうと、鳥海ブルーラインに乗る。
かなり標高を上げていくと、あたりは真っ白。
本当に真っ白け。グネグネした道の先が見えないくらい危険な状態になった。
ええーー、台風は関東方面で、東北の鳥海山は「てんくら」ではAのはずだぞ。
なんとか午後4時少し前に登山口である鉾立に到着。
真っ白。
自動車はほとんど駐車していない。
ということは、今日登山している人はほとんどいないということか。
ふと見ると、ビジターセンターがぎりぎり開いている時間だったので、何か情報がないかと行ってみた。
とりあえず、パンフレットがあったのでいただいて、明日登る予定なんですよ、と言うと、受付の人がPCを覗いて、明日は「てんくら」Aだから大丈夫ですよ、と言ってくれた。
よし、登れる。
それを確認して、本日に宿に向かう。
宿は酒田市のビジネスホテルだ。
早めの夕食をとって宿に向かうと、事件発生。
なんと、部屋の予約がされていないという。うそ〜ん。
どうやら、ダブルの部屋からツインの部屋に変更した際にダブルはキャンセルされたがツインは予約されていなかったらしいのだ。
完全にホテルがわのミスと分かったので、ホテルが平謝り。
なんと、ダブルの部屋一室とシングルの部屋一室を取って、ダブル一室の料金だけでいい、ということにしてくれた。
ある意味、めちゃくちゃラッキーだ。
明日はとんでもなく早く出発するので、別々の部屋でぐっすり眠れるというのは、本当にいいことだ。
そうこうして、就寝。午前4時半前にはホテルを出た。
出たけどさ〜、ここでもちょいと事件。
私、冷蔵庫に入れたお昼用のおにぎりを忘れてしまいましたとさ。
早朝ではコンビニのおにぎりも品ぞろえが悪いだろうからと前日に用意していたのよ。しくしく。
わかったのが、鉾立についてからだったので、取りに戻ることも、新しく買うこともできませんでしたよ。
色々と確認は大切だわね。

5時20分頃 鉾立登山口に到着。
ブルーラインの途中からすでに霧が出ていたが、やっぱり昨日と同じ風景。
あ、まあ、昨日よりはやや霧が薄いかな。
しかし、駐車スペースには20台以上の自動車が駐車していた。
みんな登る気満々だ。
が、この濃霧で登山中止を決めた人もいるらしく、駐車場を出る自動車もあった。
5時26分 支度をして登山開始。
霧が濃いので、最初から雨具を装着した。
お地蔵さんが見守る登山口である。
このお地蔵さんは登山者を守っているワケではなく、ゴミはもって帰れと言っている。
5時28分 東雲荘  TDKの山荘
道はこの東雲荘までは軽トラくらいなら入って来れる道である。
その先はコンクリートのなだらかな階段になる。
5時35分 鉾立展望台
真っ白なので、展望がきかないのは分かっている。
ので、立ち寄らない。
左側が切れ込んだ、手すりのある道になる。
霧がなければ、展望がいいかもね。
木道も出てくる。
この最初のなだらかなあたりで、意外に花が多く、ヨツバヒヨドリ、オミナエシ、ヤマハハコ、エゾシオガマなどが見られた。
木道が終わるといよいよ登りになる。
石の階段だ。
ダンナはあまりにも蒸し暑いので雨具を脱いだ。
まだ霧はみっしりと濃いんだけど。
石の階段は続く。
平坦になったり、
階段になったり、それにしてもずっと石が敷き詰められた道である。
コバギボウシ、ノリウツギ、ウゴアザミなど道の脇に咲いている。
6時05分 秋田山形県境
そういう道標だったことを、あとで写真を見て初めて知った。
ここまでが山形、この先は秋田県である。
石畳の道が続く。
ここの石畳は歩きやすい。
それにしても霧が晴れない。
足元にこんもりとコバギボウシが群れて咲いている。
どうもお花畑のようだ。
おや、シロバナトウチソウやイワイチョウの姿が見えはじめたぞ。
ここは、湿原か?
石畳がなだらかに登り始める。
イワショウブもあるじゃないの。
霧の中、たぶんお花畑の石畳を登る。
ウメバチソウも咲いているぞ。
ぐんぐん登る。
キンコウカだって咲いている。
6時45分 賽の河原
えー、賽の河原って道標が出てきたぞ。
どう見てもお花畑じゃないの。
ってか、霧で近くしか見えないけどさ。
なんだか霧が粒になって雨っぽくなってきた。
ダンナも雨具を着なおした。
どこでもケルン。
ケルンを通り越すとけっこうキツい登りになる。
両側が笹で、見通しがきかない。
と、思うと左側が大きく削れた沢のような場所を登って行く。
7時26分 御浜
ハクサンシャジンの花が見えはじめたな、と思ったら、御浜に着いた。
第一の目標地点である。
とりあえずホッとする。
道はどっちだ?
御浜小屋へ鳥居をくぐって登って行く。
小屋の裏手にあたる方向に道がある。
裏手は、どうやら岩ゴロゴロの場所らしいのだが、真っ白で分からない。
数人の人が休憩中だったが、我々は休憩しないで先に進む。
小屋の裏手には一応、方位盤がありましたよ。
東西南北しか書いていなかったけど。
右は、チングルマの花穂。
小屋の裏手に細い道がついていて、そっちに歩いて行く。
と、いきなりガレガレの斜面が現れて、どう進んでいいのやら分からなくなる。
しかし、この斜面がお花の宝庫。
ハクサンイチゲ、マルバタケブキみたいに見えたトウゲブキ、トウヒレンかと思いきやオクキタアザミなど、東北の花も見られる。
7時46分 小さな祠
岩なんだか祠なんだかよく分からなかった。
ハクサンシャジンがまあ、こんもりと咲いている。
とにかく岩を登る。
我々は遅いので、次々と後続の人たちに譲って行く。
あ、ハクサンフウロ。
真っ白なので、どんな状況かわからないが、岩々と花々の競演する場所だ。
  ビンクのハクサンシャジンやらハクサンイチゲの咲初めって紫っぽいのね、と思ったり。   
7時58分 御田ケ原
きっと広いお花畑なんだな、見えていれば。
ここにもケルンできているし。
ところで、この御田ケ原から下る道はものすごく整備された石畳の道だった。
まるで公園のようで、自動車も走れるんじゃないかというくらいだ。
そして、その石畳の両脇に今回見たくて仕方なかった、チョウカイアザミが咲いていた。
思った以上にたくさん咲いていてびっくり。
花の裏側のガクにあたる部分が青っぽくて、なんだか神秘的な色だ。
8時13分 御田ケ原分岐
あとで調べたら鳥海湖の向こう側を通って万助道、二の滝道に至るコースへの分岐らしい。
が、なにせ真っ白。
我々はここまでで鳥海湖の姿も見ていないのだよ、はい。
ここがいわゆる鞍部になる。長い下りはここまでで、ここから登りだ。
ずっと石が敷かれた登りが続く。
エゾシオガマやヤマハハコなどが咲いている。
8時23分 八丁坂
オクキタアザミはごっそりと咲いていた。
八丁坂の少し先でさすがの石畳も終わり、いきなり岩が崩れたような場所になった。
何か、上のほうで崩落でもあったのか、という感じの岩だらけの斜面である。
でも、反対側はお花畑なのよ。
トウゲブキ、ハクサンシャジン、ニッコウキスゲなどなど、色とりどりだ。
む、どうやって  この斜面を登るのだ、と困っていると、ちゃんと白いペンキの矢印がついていた。
このあたりからウサギギクも見られ始めた。
ペンキにそって歩けば大丈夫。
でも、雨っぽいので要注意。
わー、キスゲも団体で咲いている。
8時39分 頂上へ@
むむ、なんだ、この道標は?
@って、何番まであるんだ、これ。
8時41分 七五三掛
ベンチがあり、休んでいる人がいた。
さて、この七五三掛で分岐しているはずなんだがな。
アプリを開いて見ていると、休んでいる人が分岐はもう少し上みたいですよ、と教えてくれた。
なかなか分かりづらい。
ちなみに、七五三掛は、「しめかけ」って読むんだそうだ。
七五三掛の先は木道になっていた。
これがまた急な登りの木道で、雨で濡れているので、滑って怖い。
でも、すぐに終わって階段状の道に。
両側を木で固められた、まるで排水溝のような道になったぞ。
たぶん崩れ止めだとは思うけど。
その先は泥に岩が埋まったような登りになった。
8時51分 外輪山方面分岐(の手前)
ちょっと登るだけかと思いきや、だいぶ登ってやっと標識が登場した。
ベンチもあって、分岐らしい。
だが、しかし、ここは分岐ではない。
紛らわしいじゃないの。
我々が行きたい千蛇谷方向にはロープが張られていて、行くことができない。
つまり、もうちょっと登れ、ということだ。
これがまあ、けっこうな岩場をガッツリ登る。
8時56分 外輪山・千蛇谷分岐(こっちが本物)
古い道標と、ちゃんと正面に小さいがここは外輪山、千蛇谷分岐と書かれたものがある。
いやしかし、その千蛇谷に向かう道、左写真みたいに岩にへばりついて行かないと道に出られない感じなんですよ。
危険はないんだけど、分かりづらい。
でも、そのへばりついて出た先にダイモンジソウ発見。
また排水溝みたいな道になった。
霧の向こうにホソバイワベンケイ。
なんか、下るなぁ。
う回路かなんかなのかなぁ。
この時点で我々はかなり下らないと谷にたどり着かないという認識はない。
下るなぁ。
下るなぁ。
いつまでも下るなぁ。
道、間違っちゃったんじゃないの?
アプリで確かめると間違ってはいない。
帰りにはこのとんでもない下りを登るのか?
今からげっそりする。
結局15分弱下った。
先方にうっすらと白い雪の姿が見えてちょっとたじろぐ。
今は8月。まだ残っているんだ。
9時09分 千蛇谷
案内標識が傾いているぞ。
  9時11分 頂上へA
ここでAですか。
@からだいぶ離れている気がする。
 
  岩を慎重に下って雪にとりつく。
ロープで通る場所を示してくれているので安心だ。
 
 
  上流のほうを見てみる。
けっこう大きな雪渓のようだ。
 
 
  雪の谷底から先は当然登りになる。  
  岩っぽい登りをひいひい登って行く。  
  9時23分 頂上へB
岩を登り切ったら草原に岩がゴロゴロ頭を出しているような風景が広がっているらしい場所に出た。
らしい、というのは、相変わらず霧なので、全貌が分からなのだ。
でも、草原なのでたくさんの花が咲いている。
スダヤクシュなんかも現役だ。
高原蝶のベニヒカゲも雨にも負けずに飛んでいる。
 
  アザミの仲間もごっそり咲いている。  
  草原の中に岩がゴロゴロといった感じの場所。
矢印がありがたい。
 
  登りが急になったあたりで、視界も開け、草原と岩の風景になったらしい。
そして、辺り一面、アオノツガザクラだらけになった。
いな、本当に一面アオノツガザクラ。
こんなにたくさんのアオノツガザクラを見たことがない。
 
  9時45分 読めない道標と、その上に「ふくらヨリ八里」の石碑
ふくら、という集落に石工さんがいて、その人たちが石畳の石を作ったり運んだりしたらしい。
時々石に名前が彫られたりしている。
 
  9時48分 頂上へD
あれ、Cはどこに行った。見落としか?
途中、追い抜いて行った若者たちが、この番号は10までなんですかね、と言いながら歩いていた。
うむ、謎だ。
 
  それにしても登る。
とにかく登る。
9時56分 頂上へE
ヒオドシチョウがいたぞ。
 
  10時13分 頂上へF
登る。
 
  10時33分 頂上へG
何が何でも、とにかく登る。
 
  10時47分 頂上へH
ぜいぜい言いながら、立ち止まりながら、水分補給しながら、じりじりと登って行く。
 
 
  草原の中の岩の斜面は続く。
おや、あの紫はハクサンシャジンじゃないぞ、イワギキョウだぞ。
 
  草の姿が少なくなり岩が多めになってきたな。
時々階段状に岩がつなげられている。
 
 
  お、イワブクロ。
花についた毛に霧がまとわりついている。
 
  11時04分 御室(頂上小屋)
霧の向こうに小屋が見えてきた。
おお、やっと頂上小屋か。
ここからまだ新山に登らなくちゃならないけど、もう息も絶え絶えだぞ。
 
  と、いうことで、腹を満たすことにした。
昼食休憩。
おにぎりをホテルに忘れてしまったことが悔やまれるが、菓子パンを多めにもって来ていたので大丈夫。
お昼を食べていると、霧が一瞬だけ晴れて、新山の姿がうっすらと見えた。
えっ、あれに登るの?
と思わず言ってしまったら、もう登り終えた登山者が
「岩だけど、滑らないから大丈夫。ちゃんと三点確保すれば心配ないよ」と言ってくれた。
いや、怖いんじゃなくて、岩ばっかりで高いじゃないの。
手持ちのデーターでは小屋から20分で新山山頂というけど、それ、嘘だろう〜と心の中で嘆く。
右写真の小屋の奥にうっすらと見えるのが新山。
霧で本当に一瞬しか見えなかった。
 
  昼食後にトイレを借りて、ここが大物忌神社か、と確認して、いざ新山にチャレンジだ。  

と、いうことで、続きます。  鳥海山Aへ

鳥海山(象潟口、鉾立コース)

  最寄りICは、日本海東北自動車道遊佐菅里IC。その先一区間伸びているので終点まででもよいが、距離は変わらないと思う。
国道7号線に出て、日本海を左手にみつつ北上。道の駅鳥海や吹浦川を通り越し、少し走ると、鳥海ブルーラインという案内が出てくる。
案内どおりに左折。あとは道なりに進んで標高を上げる。
約20分ほど走るとまず大平山荘が出てくる。鉾立口はそのさらに先だ。
ビジターセンターなどがある鉾立口は、ブルーラインの7号線の入り口からだいたい25分ほどで到着する。
駐車場は広いので、駐車するのに困ることはないが、観光用の駐車場と登山用の駐車場は区分が違うので注意が必要だ。


新潟の滝もくじ  ときどき週末温泉族になる  んがお工房の日本百名滝めぐり