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2024/8/14(水)   鳥海山(象潟口(鉾立)コース) (2236m) そのA新山から外輪山経由で下山  秋田県
よもや千蛇谷までガッツリ下って、あとはひたすら2時間弱登り続けるという過酷な登山であるとは思っていなかった浅はかな私である。
しかも、霧のなか垣間見えたあの新山の凶悪なこと。
岩の積み重ねじゃん。
どう見ても素人が登る山じゃないじゃん。
でも、ここまで来て、本当の山頂に登らないわけにはいかないだろう。
意を決して、新山に向かった。

11時33分 新山に向かって出発
いきなり、山頂小屋のすぐそばでチョウカイフスマを発見。
あらまあ、チョウカイフスマって小さな花なんだなぁ。
写真だと大きく写って、アケボノソウみたいな花だから、てっきりもっと大きな花だと思っていましたよ。
11時37分 岩にとりつく
すっかり霧で先が見えない。
どう登るのかは、白いペンキの矢印が教えてくれる。
ちょっと登っては、矢印がどこかを探す必要がある。
それにしても、よくもまあ、この岩たちは崩れないものだ。
時々矢印を見失うこともある。
世界人類が平和でありますように、と書かれた岩もある。
登りつめたかな、と思うあたりの風景。
熔岩の隆起というやつなのか、この世のものとも思えない風景だ。
そこを人間が登っているんだからな。
すごいな、人間は。
11時58分 巨大割れ目入り口
しかし、その先がまたとんでもない風景だった。
巨大な岩が真っ二つに割れていて、その間に矢印が続いいるのだ。
しかも、急降下で下れ、という。
この岩、回避できなかったんかーい。
ええ、ええ、下りますともさ。
何かあって、この割れ目が閉じたらどーすんのよ。
下って下って、下ったら、そりゃまた登らなくちゃ。
12時02分 巨大割れ目出口
出た先でこれからどーするのか、途方に暮れる。
あ、あっちに登山者がいるぞ。
右写真、右上端っこに登山者の赤いリュックが見えるでしょ。
つまり、あっちに登れ、と。
12時09分 新山 山頂。即下山。
その先もほぼ岩をよじ登る感じ。
で、人が溜まっている場所が山頂だった。
溜まっているといっても4人くらいだったのだが、それが限度の山頂だ。
左写真の山頂碑は後ろの岩にもたれかかって撮影している感じである。
とても狭いスペースで、横に並んで3人が限度か。
来る人来る人譲り合って撮影する感じである。
ここにいても仕方ないので、感慨にふける間もなく下山開始。
来た方向ではない方向に矢印があるので下りはじめる。
12時14分 胎内くぐり
岩を下って行くと、胎内くぐり文字とともに、さっきの大岩のかなり縮小版のような割れ目が出てきた。
も、そっちには行かない。
そこに入らなくても、外側の岩を下れば同じ場所に出るのは一目瞭然だった。
来た道ではないので、少し戸惑ったが、白いペンキの点がついている岩が目印なので、それを目当てに下って行く。
わー、ここからも雪渓が見えるぞ。
それにしても、ペンキがなくなっちゃったぞ。
どう下ればいいんだ。
遠くに霧に霞んだ山頂小屋が見える。
とにかくそっちに向かえばいいんだな。
12時30分 岩、下り終える。
やっと岩から離れられた。
岩の下は花がたくさん咲いている。
シワブクロやミヤマコウゾリナ?チョウカイフスマなどなど。
12時38分 いったん、山頂小屋へ。
帰りは外輪山コースで帰ることにした。
なにせ、千蛇谷からの登りは考えただでもうんざりする。
あれは回避したい。
ダンナのアプリでは山頂小屋付近から外輪山に向かう道が出ているはずなんだが。
どうも小屋の近くには道も道案内もない。
よくよく探してみたら、七高山というのが外輪山の一つだと分かった。
七高山への矢印なら、新山から小屋に向かう道で見た。
そちらに戻ろう。
12時42分 外輪山コースへ出発。
くっきりと七高へと矢印が出ている。
外輪山コースって書いてよぉ。
まず、小屋裏の道から下る。けっこう下る。
12時50分 一番下に下り終える。
あの、新山から見た雪渓のそばまで来てしまった。
雪渓の溶ける最先端を歩く。
12時51分 外輪山に向けて登り始める。
いやな予感はしたのよね。
新山から、なんか登山道がかなり上に向かって伸びている道があるな、と思ったのよね。
しかも、激登り。
鎖場まであるじゃないの。
なんか、いつまでたっても登ってばかりいる気がする。
山頂は踏んだはずなのになぁ。
登りますともさ。
ええ、登らなきゃ帰れないもの。
登りますわよ。
ほぼ垂直の壁みたいな坂を登って行く。
13時01分 外輪山にたどり着く。
七高山はパス。
100メートル先なのだが、さすがに立ち寄る時間も元気もなかった。
外輪山の上に出たので、水平移動になる。
13時03分 百宅口分岐
鳥海山は、たくさんの登山口がある。
間違うと全然違う場所に下ってしまうことになるので、注意しないといけない。
ずっと水平。
時折、白いつぶつぶの見える緑の塊がある。
これがチョウカイフスマ。
もっと探さないといけないくらい希少種なのかと思っていたら、ホントにあちこちにある。
鉄のハシゴ出現。
ちょっと古くて怖いが大丈夫だった。
13時22分 行者岳
そう書かれた道標の横にこれまたハシゴ。
こっちは登る。
周りは岩と緑の花だらけの風景だ。
ヨツバシオガマやミヤマリンドウもたくさん咲いている。
稜線はほぼ水平移動だ。
時々石で囲われたチョウカイフスマの姿が。
囲わなくても、元気に咲きそうだけどね。
晴れていたら、きっと見通しのいい稜線なんだろうなぁ。
でも霧なのよ、ずっと。
この手前あたりかな、我々とは逆回りで登って来るご夫婦らしき人が地図を見ていた。
真っ赤な顔をしてかなり暑そうだった。
登りはキツイんだろうなぁ、外輪山コース。
不安そうだったので、我々は山頂から来ましたよ、間違ってないですよ、と教える。その代わり、激下りと激登りが待ってますよ、と。
彼らはどうやら小屋泊まりで、新山には明日チャレンジするようだ。
鳥海山を楽しむいい選択だなと思う。
13時35分 石仏
これはちょっと気づきづらい高い場所にありました。
すぐに道標が現れた。
13時37分 伏拝岳(湯の台口分岐)
伏拝岳は道標の奥のほうにあるらしいが、霧でよく見えない。
ここでは湯ノ台、河原宿方面に分岐している。
いや、ホントに晴れていたら・・・
やがて、ハイマツの茂る急降下なども含む道になった。
14時04分 文殊岳
岳とはいえど、とりたてて頂っぽい感じはなく、道の途中といった感じだ。
文殊岳の先はハイマツの白骨死体みたいな枯れた枝と、急降下。
だんだん下る道が大きな石の重なりになってきた。
下のほうに七五三掛のベンチが見えて、ずっと前に我々を追い越して行ったご夫婦が休憩しているのが見えた。
14時29分 七五三掛分岐(上)に到着。
14時33分 七五三掛分岐(下)に到着。小休止することにした。
残しておいたアンパンを食べて一息つく。
ここでダンナは雨具を脱いだ。
さらに少し休憩していくというので、どうせすぐに追い付かれるトロい私は先に進むことにした。
14時47分 七五三掛
さすがに誰も休んでいない。
登りの時よりも霧がやや晴れて、キスゲの咲いている草原が見えるようになった。
15時ちょうど 八丁坂
雨だった登りとは違い、フウロなどの花も開いてくれている。
しかし、八丁坂を下って、ちょっと呆然と前方を見てしまった。
延々と登っているのだ。
こんな場所あったか?
こんなに下ったか?
キッチリと並んだ石畳の道が恨めしいくらいに登っている。
15時08分 御田ケ原分岐
ここから登り始めだ。
もはや気力のみで足を運ぶ。
とにかく足を前に出しさえすれば、そのうちに登りは終わる。
15時23分 御田ケ原
やっと登り終了。
振り返ると、一番下の御田ケ原分岐にダンナの姿があった。
がんばれ、ダンナ。
これから地獄の登りだぞ。
御浜小屋の手前はとてもきれいなシャジンだらけのお花畑だった。
登りの時には全く見えなかった池が見えた。
ちょっと後ろに追いついて来たダンナに
「池があるーーー」
というと、
「鳥海湖だよーーー」
と返ってきた。
そんなのがあるとも知らなかった。
晴れていたら、綺麗に見えるんだろうなぁ。
お花畑にはたくさんのベニヒカゲが飛んでいる。
そりゃ、濃霧の登りでは飛んでいなかったわなぁ。
15時41分 御浜小屋
14時43分 御浜
鳥居の近くの石に座ってダンナを待つ。
ほどなくダンナもやって来た。
この先はほぼ石畳なので、少し安心だ。
鳥海山の石畳は歩きやすい。
しっかりとした石工さんの仕事を感じられる。
16時14分 賽の河原
登りの時は近くの花しか見えなかったので、なんで賽の河原なのか分からなかったが、意外にもなーんにもない草原だった。
もうちょっとお花畑かと思っていた。
16時46分 県境
このあたりからかな、やっと霧が晴れて、太陽が顔をのぞかせるようになった。
もう下山する登山者はいないと思っていたが、後ろから外国人のカップルが軽やかに下って来て、きれいな日本語でこんにちわ、とあいさつしてくれた。
前方に鉾立の駐車場が見えた。
見えたと言ってもまだまだずっと先である。
だが、道が木道になり、
コンクリートになると、もうゴールが近いことが分かる。
右手の谷に霧が溜まっている。
あの谷は奈曽渓谷だそうで、我々が何度か行っている奈曽の白滝のおおもとである。
17時11分 展望台
登りの時は真っ白で立ち寄りもしなかったが、今は晴れている。
展望台に立ち寄ってみた。
霧で蓋された奈曽渓谷が見えるが、渓谷の景観だけで言えば、ここよりももうちょっと上の登山道からのほうがよく見えた。
左側の高い山が稲倉岳(1554m)で、鳥海山はその奥に見えるんじゃないかな、晴れていれば。
右手の岩から水が落ちていて、かなり落差のある滝になっていた。
17時18分 東雲荘
17時19分 登山口
17時21分 駐車スペース
いやはや、長かった。
駐車場にはほとんど自動車が止まっていない。
とにもかくにも、ご苦労様でした。

往復で12時間はかかる、と予想はしていた。本当に12時間かかった。
これが霧ではなくて、晴れていたら、多少は時間が短くすんだか、といえば、そうではないと思う。
もっと花や蝶を撮影するのに時間をさいていたと思うし、なにより暑くて体力を消耗していたと思う。
景観こと真っ白でまったく見えなかったのだが、登山には幸いしていたのではないか。
新山に挑む時には雨は降っていなくて、岩も乾いていた。滑る心配もなかった。
本当に唯一、眺望だけがなかった。晴れていればきれいだろうと思える場所が随所にあった。
しかし、これはこれで登頂にはよかったのだ、と思うことにした。
実は私は意地でも登頂したかった。
愛猫を動物病院に預けての登山だったので、私が頑張ったのだから、おまえもがんばれ、という気持ちだった。
そうでなかったら、挫折していたかもしれない。
本当に今の体力のない我々には厳しい山ではあったが、登って本当によかったと思う。満足感でいっぱいである。
ちなみに、我々は今まで登った山と今登っている山を比較しながら登るのだが、石畳とロックガーデン的なお花いっぱいの斜面という点では月山に似ている。
が、月山より数段グレードが上である。
石畳も月山よりずっと歩きやすい。ロックガーデンはとんでもなく長くて辛い。花はいっぱいである。
あと、下りで感じたのは、最後の最後は歩きやすい石畳になるから、そこまでがんばろう、というのは、火打山に似ている。
あそこも最後は歩きやすい木道になるからそこまではがんばろう、という一心で歩く。
どこも、全部、一口では言えない、すごい山々なんですけどね。
鳥海山は頭抜けてすごい山でしたよ。

この日は実は新潟県寄りの温海温泉に宿をとっていた。
うーむ、この登山口から温海温泉まではどれくらいかかるんだろう。
とにかく宿に電話。到着したらすぐに夕食にしてください、と釘を指されてしまった。
でも、午後7時半前には到着して、なんなら他の宿泊客よりも早く夕食食べ終わりましたよ。
ゆっくりと温泉に浸かって、とんでもない山の疲れを癒しましたとさ。

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鳥海山(象潟口(鉾立)コース)

登山口までの案内はその@をご覧ください。
登山道については、もちろん本格的な登山の用意が必要だ。
御浜までは比較的なだらかな石畳の道が続く。御田ケ原から御田ケ原分岐はひとつ小山を登り下りする感じだ。
しかし、ここはお花畑で、下りの石畳の両脇にはチョウカイアザミが咲く。
そこから八丁坂、七五三掛分岐と、岩場を含んだ急登。しかしお花畑。七五三掛にはベンチなどあり一息つける。
七五三掛分岐から千蛇谷と外輪山に分かれる。我々は千蛇谷へ。
千蛇谷へはとにかく下るが、どうやら新しい道らしく、岩場ではなく泥っぽい下りだ。
雪渓を渡り、あとはただただ登る。頂上へ、の白い立札はHまで確認できた。多分Iが山頂小屋。
山頂小屋から巨石を積み重ねた新山山頂に行く。
白いペンキを頼りに岩を確実につかんで行けば、私のような素人でもなんとか登れる。
しかし、どんなパンフレットにも新山山頂まで20分とあったが、30分かかりましたよ。下りは20分だった。
帰りは外輪山コース。七高山へのペンキに従って、いったん下る。
そして、外輪山へと鎖場などあるほぼ壁をよじ登る。
外輪山に出てしまえばほとんど水平移動と下りだけである。1時間半で七五三掛分岐に着く。
あとは登りと同じコース。御田ケ原への登りが心折れるが、頑張ろう。
とにかく長丁場だ。だが、石畳がかなり歩きやすくしてくれている。
時間に余裕をもって、水分食料もやや多めにして挑もう。
トイレは各山小屋にある。
 


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