![]() 烏滝下流の滝1 これが我々が烏滝であると判断した滝。 ほんの1メートルほどの落差の滝だ。 登山道にある文字の判別のつかない 木の看板の右手に大岩があり、 その脇から藪をかきわけて沢に出る。 そこから見えるのがこの滝だ。 ![]() 烏滝下流の滝2 1の滝の上流にある段差である。 これは登山道を看板から少し登った所から 沢を見下ろしたもの。 本当の烏滝は、この段差のさらに上流、 40メートルほど遡行した場所にあるらしい。 ![]() 烏滝下流の滝3 今回の行程中、一番滝らしかった滝。 右欄の木の橋より少し下流にある。 登山道からもとてもよく見える。 落差は3メートルほどか。 沢の本流が落ちているので、 落差以上に豪快に見える。 ![]() 烏滝下流の滝4 緑のほうが濃くなってしまったが、 沢に流れ込む支流の小沢も滝状だ。 沢ではあるが段瀑と言えなくもない。 ![]() 低い場所ではアジサイがたくさん咲いていた。 ![]() 遠い場所だったが、 たぶんオタカラコウだ。 ![]() 橋のそばに一つだけ咲いていた ノカンゾウ。 ![]() クサアジサイらしい。 ![]() たった一輪だけ咲いていた クルマユリ。 葉っぱが車状についている。 ![]() ラン科ツレサギソウ属らしいのですが。 ミヤマチドリというには、 低山なので、未確認。 花立峠にて撮影。 ![]() おそらくコモチマンネングサ。 ![]() オカトラノオにとまるキアゲハ。 ![]() こちらもキアゲハ。 ![]() クガイソウは蝶たちに大人気だった。 |
2006/7/23 烏滝下流の滝 長岡市 またやってしまった。 家に戻って、てっきりあれが烏滝(からすだき)だと思っていた滝がそうでないと判明した。とほほ。 そんなわけで、新潟の滝105は烏滝のはずだったのだが、その下流の滝になってしまった。 長岡市と旧栃尾市の間に八方台という見晴らしのよい高台がある。 ここは、県民のいこいの場で、長岡近隣の人間であれば必ず1度は行ったことがあるはずという場所だ。(2006年7月現在は中越地震のために道路が崩壊して、長岡がわからは行けないらしい) その八方台にほど近い場所に鋸山(のこぎりさん)があり、その登山道の脇に烏滝という滝があると、とある本で知った。 登山道に近いのであれば、楽に見られるだろう。 ちょうど日曜日1日しか休みではなく、うまいぐあいに連日の雨があがった梅雨の晴れ間になった。こんな中途半端な一日には近場の低い山に行って滝でも探そう。 ついでに言えば、このあたりに国蝶であるオオムラサキが生息していそうなのである。蝶好きのダンナについてまわっているわりに私はまだ国蝶を見たことがない。今の季節だけしか見られないというオオムラサキにあわよくば出会えるかもしれない。 さらについでに言えば、この鋸山は春から秋にかけてずっと花が咲いている山だという。今ならヤマユリが咲いているんじゃなかろうか。 あわよくばの期待ばかりを持って登山口に行った。 実はこの鋸山の登山口に行くには、国道352号線を突端まで行かなければならないが、これまた2004年の中越地震のために道路は復旧工事中である。かなり手前でゲートが設けられている。 ただし、日曜日は工事はしていないので、登山道まで自動車で行くことができる。 復旧工事はかなり進んでいるらしく、真新しく舗装された道は快適だった。 道路の終点で、左右に自動車がたくさんとめられている。いわゆる路駐だが、それが鋸山登山の駐車スペースらしかった。 つまり、きちんとした駐車場があるわけではなく、もちろんトイレなんかもない。 我々は9時半すぎに到着したが、すでに20台以上の自動車がとまっていた。あらまあ、人気の山なのかしらん。 ![]() 仕度をして出発しようとすると、ちょうど同じ時に小学校低学年くらいの姉妹をつれたファミリーが登山口に入っていった。道の脇の道標から畑のような少し平らな場所を歩き、ちょっとだけ登ると水場がある。「長寿の泉」という名まえがついていると山の本にあったが、別に名まえを示すものはなかった。 そこでファミリーが道を譲ってくれたので先に歩き出す。 ![]() それにしても暑い。 午前9時半の気温ではない。いや、気温というより湿度だ。ぬるい空気が体にまとわりつく感じである。 最初登山道は右手に沢を見ながら登って行く。登るというよりはほぼ平らななだらかな道である。が、やたらに夏草が多い。場所によっては、道こそついているが草が覆いかぶさるようになってしまっている場所もある。 沢のそばだというのに、空気はあいかわらずぬるい。 やがて沢が綺麗に落ちている滝を発見。(左欄の滝3) これが烏滝かしらん、と思ったが、烏滝には名前を示す看板が立っているというので違うと判断。さらに歩く。沢には支流がやはり滝状になって落ちていて、綺麗である。(左欄の滝4) 少し歩くと沢を渡る木の橋に出た。 この橋、腐りかけていて、それに気がついてしまうとけっこう怖い。 ![]() その橋を渡ってすぐになんて書いてあるのかさっぱり分からない看板が立っていた。おぼろげながら見える文字を無理やり判定するとどうも一文字は滝と書かれているらしい。つまり、これが烏滝の看板なのだろう。 って、烏滝はどこ? ![]() 橋を渡ると坂が急になっていて、ぐんぐん登る感じである。ちょっとだけ登って沢を見下ろしてみた。うーむ。段差はある。だが、滝か? あの段差が滝であるとしたら、一つ手前にあった滝のほうがずっと立派じゃないか。烏滝なんて名前がついているからには、なにかしら言われがあってこの段差を滝としたのか? なんとか段差の前まで出てみられないかと橋まで戻ってさぐってみたが、河原というような場所はなく、沢に足をつけて登る必要があるらしかった。それは困る。これから山に登るつもりなのである。 では、帰りにしよう。 そんなわけで烏滝を後にした。 烏滝を通り過ぎると登りはけっこう急になる。登山道自体が沢になってしまっている場所もあり、きわめて浅くて小さな沢を遡行している感じで歩かなくてはならなかった。水が冷たく、気温が高いせいなのが、沢からもやがあがっていて幻想的である。 ![]() そこから先は杉の木の間を登って行く。登ると言っても、時々登り、時々水平に歩くといった感じで足腰に負担は少ない。 問題は湿度だった。 足はちっとも疲れていないのに、汗がどわどわと出る。足はちっとも疲れていないのに、動悸息切れが激しい。足はちっとも疲れていないのに、前に進む気力が出てこない。 しかも、である。花が無いのだ。 どこを見てもドクダミばっかり。おおよそ山という感じの花ではない。時折アジサイのブルーが気持ちをなぐさめてくれるだけだ。 道々ダンナとも話したが、どういうワケかアジサイは蝶には人気がない。アジサイがあっても蝶はいないのである。 それでも、7月は蝶の多い季節でダンナは立ち止まっては蝶を撮影していた。 それにしてもおかしい。中間点の水場まで45分登れば着くはずだ。そう本に書いてある。いくら蝶の撮影をしていたって、いくら湿度にやられていたって、もう1時間以上登っている。 と、思っていると、両側の木が切れて、道が二股に分かれているような場所に出た。二股の分かれ目におばあちゃんが一人休んでいる。 これはどっちに行くの、と思っていたら、左は水場らしかった。 丈の長い葦だか何だかの草の間にチョロチョロと水が出ていた。 ダンナが水を汲んでいる間に男性が一人登って来て、「水、出てますか」と聞いた。チョロチョロ出てますよ、と答えたら、「雨が降ったからだなぁ」とのこと。 彼によると、中越地震以降涸れてしまって何度登って来ても流れていたことがなかったのだという。それを聞いていたおばあちゃんは、一度山の会の人が復活させたのだと答えていた。 うーむ、鋸山、なぜかリピーターが多い山らしい。 男性は少しだけ水の様子を見て、さっさと歩いて行った。 我々も出発。おばあちゃんも少し遅れて登りはじめたらしい。 その先で右手が開けた崖になっている場所があり、色々な蝶がいた。左右にヤマユリらしい蕾もあったが、まだ咲くには時間がかかりそうだった。おばあちゃんが追いついてきて、年をとると歩けなくってと笑う。先に行ってもらおうと思ったが、そう言って断られた。いや、年をとっていなくても歩けないんですが、この私。 仕方がないのでおばあちゃんの先に立って歩き始めた。 ![]() ![]() 水場から20分ほどで次の目標の花立峠に到着。 ちょっと広くなっていて、木陰などがあり、立派な記念碑がある。 ここで崩れるように座り込んだ。 とにかく消耗している。頭から足の先まで汗でぐっしょりである。本気でここで戻ろうかと思った。 木陰から空を見上げると、げ、異様な光景が飛び込んできた。 うーむ、一目50頭以上の大きなトンボが空を覆っている。これは、オニヤンマらしい。 想像してみてください。羽を広げると20センチ以上ある大きなトンボがワラワラと空を飛んでいる様子を。かなり怖かった。 ![]() 花立峠は日陰であり、風も通っていた。10分も休んでいるとなんとか前に進む気力が湧いてきた。 ふと気づくとおばあちゃんも休んでいて、携帯電話をしている。どうもお昼を忘れてきてしまったから、ここで下りるので迎えに来てほしいと連絡しているらしかった。 お昼がなかったら辛いだろう。 それでは、と挨拶して我々は登り始めた。 花立峠を出るとまもなく半蔵金(はんぞうがね)から登るルートとの合流になった。広い道はまっすぐついているが、そっちに行ったら半蔵金に行ってしまう。山頂へは左側の細い道である。 ![]() また辛い登りかしらん、と思ったら、そこから先はほとんど尾根道だった。 左手がスコーンと落ち込んでいて、そこから気持ちのいい風が吹き上がってくる。登りもさほどキツくなく、むしろ平坦とも思えるらいの道である。 ああ、花立峠であきらめて戻らなくてよかった。 気がつくと、やっとこのあたりからイワカガミだのショウジョウバカマだのの葉っぱが見られるようになっていた。さすがにもう咲いていないのだが。周りは細いブナの木である。 少々のアップダウンを繰り返し、30分で山頂に飛び出た。 ![]() 山頂は狭い。 狭いうえに、男の人2人が草を刈っていた。山の会の人が整備しているのかしらん、と思っていた。 とにかく、腹が減った。最初陽がさしていたので、さえぎるものがない山頂で昼食は辛いかなぁと思っていたが、うまいぐあいに曇ってきた。場所を移動するのもめんどうなので、方位版の乗ったコンクリートに腰掛けて昼食にした。 草を刈っていた人たちも鍋にどっさりキャベツを放り込んで昼食にするらしかった。 あとから登ってきた男性がゴミを捨てる人の話から彼らに加わり、どうも草を刈っていた人たちは新しいルートを踏み踏み刈り刈りここまで登って来たらしい。新しく作った道は2週間もすると草ぼうぼうになるから、使って欲しいと言っていた。 うーむ、ディープな鋸山好きがここにもいた。 詳しそうなので烏滝について聞いたら、興味がないから気にしてないと答えられた。沢を下って行くと下れない場所になってそこが烏滝なんだと言っていたが、我々は沢を下るわけにはいかない。道からは見えないだろう、とも言っていた。 どうにもよく分からない。 それにしてもこの山頂、蝶がやたらに多い。ぼーっと花を見ているだけで、次から次へと蝶が来る。少なくとも10種類くらいはいたんじゃなかろうか。しかも、凶暴である。なぜかオニヤンマを追いかけるキアゲハ。なぜかカラスアゲハを追いかけるヒョウモン。パラダイスはめちゃくちゃな状態だ。 一時間山頂で昼食兼蝶の撮影をしていると、登山口で先を譲ってくれたファミリーが到着した。おおーーー、偉いぞ小学校低学年の姉妹。我々でさえギブアップしそうになったこの湿度のなか、よく登って来た。 狭い山頂がさらにいっぱいになったので、我々は下山することにした。 山頂からの眺望は、かすんでいてあまりよくなかった。遠くに佐渡まで望める素晴らしい眺望とあったが、長岡市街がぼんやり見える程度だった。 ただ印象的だったのが、長野の水害で濁った水が押し寄せた信濃川が茶色く町を裂いていたことだ。こんなに茶色い信濃川を上から見ることも無いだろう。 下山はさすがに楽だった。 山頂で出会った大きな捕虫網を持った女性と前後して下山することになった。彼女によると蝶ではなく、小さな甲虫を捕らえたいらしい。何かの研究者だろうか。時々シュキーンと網の棒を伸ばす音がしたかと思うとバサッバサッと網を振るう音がする。こんなところでも鋸山のディープな登山者に出会ってしまった。 彼女は仕事のために立ち止まるのだが、しまいには実に軽快に我々を追い越して行ってしまった。 花立峠から下はまたしても空気がぬるく重い感じになっていた。ぬかるんでいる道がすべりやすく、慎重に下りたために、登りと同じ時間がかかってしまった。 さて、烏滝に到着したが、どんなにさぐってみても滝に近づける場所がない。滝っていうか段差っていうかなんだが。疲れてしまって、沢を歩く気にもならないし、段差を乗り越えるルートも我々にはわからなかった。つまり、あの段差が烏滝なのだと断定してしまった。 そこから駐車スペースに戻り、時計を見ると午後2時45分。あらあら、下山も2時間かかってしまっている。まあ、蝶を撮影したりしながらだったから仕方がないか。 それにしても全身汗まみれだ。 今日は夕方から用事もあるので、即行で家に戻ってシャワーを浴びなくてはならない。ああ、本当に疲れたぞ。 私が帰りの自動車の中で爆睡したのは言うまでもない。 家に戻り、改めて烏滝についての記述を調べてみると、看板より40メートル沢を登らないといけない場所にある滝らしかった。つまり、登山道の脇にあっても登山道からは見えない滝なのである。 そのうち、夏草が枯れて雪が積もる前にもう一度行ってみるつもりである。 なお、この季節でなければ見られないオオムラサキはあれだけたくさんの蝶がいたのに見ることもできなかった。見てみたいんだけどなぁ。 |
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交通 最寄ICは、関越自動車道長岡IC。インターをおりて、国道8号線から国道17号線に出て、長倉ICで国道352号線に乗る。 ただし、長倉ICは、変則ICで川崎IC方面から走ると下りられない。手前か、もしくは一つ通り越した交差点でバイパスを下りるとよい。 国道352号線に出たら、とりあえずの目標は長岡市営スキー場だ。そちら方面にひたすら進む。 しかし、スキー場への交差点に着いても国道をはずれないように直進する。 やがて栖吉の集落に入り、左側に八方台への道が分かれる場所にゲートが設けられている。 2006年7月現在では平日は工事のために侵入できないが、日曜日はゲートが少しずらされていて、自動車でも侵入可能だ。 ゲートから山沿いの道を進む。ひたすら進む。 右手に見えていた川が橋を渡り左手になったらぼちぼち終点だと思えばよい。 そこから先は舗装されていず、路駐の形で自動車をとめる。 登山道入り口は道標があるのですぐにわかる。 最初は沢沿いを歩くためぬかるんだ道だ。足回りは防水のほうがよいだろう。 手を使って登るような場所は全くないが、夏場は草がすごいので軍手などがあったほうが安心かもしれない。 山頂までは極めてのんびり登って2時間である。 |
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