129



清滝
これは、信越トレイルの登山道から見た、
一番上の段。
不思議なくらい見事なHの形をしている。


見た目はこんな感じに見える。
この見える部分が全体のどれくらいなのか、
さっぱり分からないのがストレス。
近づきたくなるでしょ?


で、これが一番近づいて撮影した図。
すみません、手前の雑木にピントが合ってます。
赤い部分が一番上の段。
黄色い部分が中段。
この下に角度を変えて最下段がある。


これが最下段。
いったん下流の沢に下って
左岸から近づいたダンナがやや上から撮影。
滝の上に見える白い筋は、
上流の滝に見えるが、ただの濡れた岩盤。
ひとつおいて下の遠望の写真で見ると、
ちょっぴり沢っぽい部分である。



こちらは右岸から近づいた私が
ほぼ沢の中から撮影。
小さく写ってしまっているが、
落差は7メートルくらいはありそうだ。



これは、駐車した堰堤から清滝ダムに戻る時に
自動車を降りて撮影。
遠くに滝が見える、とYouさんが教えてくれた。
堰堤と下欄交通の写真の十字路の間くらいである。
じっくり見て、清滝であると推測したが、
家に戻ってよくよく見てみると、
どうやら一番下の段であることが判明した。
遠望すると、大きな滝に見える。
上の段は、向かって左側の岩盤の向こう、
ということになる。





清滝ダムの滝(仮)
清滝ダムに落ちている滝なので、
清滝ダムの滝という仮称にした。
1本ぴゅっと飛び出た水流が
なかなかどうして面白い滝だ。



ダム湖といっても、池程度なので、
対岸でも遠くない。
でも、近づけない。



水面に写って、いい感じでしょ。


直接ダムに落ちているわけではなく、
一応浅い滝つぼがある。




これ、仮称「糸滝」。細っ。
一応この水量の少ない季節でも落ちているので、
通年の滝じゃないかと思われる。
清滝ダムを探していれば、
イヤでも目に入ると思う。
いや、滝好きに限るけど。





棚田の滝(仮)
棚田の向こうに見えるので、棚田の滝。
最初、落ち口があまりに平らなのと、
流芯の向こうの岩盤の横線が
レンガか何かのように見えたので、
堰堤かとも疑った。
地図で確認したが、
この滝の落ちている場所は、沢ではない。
だが、土石流のための堰堤がいくつも
作られている谷である。



どうしても木の枝の間から見るとか、
雑木の隙間から見るとかしかできない。
なんとか近づける方法もあるとは
思うのだが。
2009/11/29  清滝(落差20M以上?) 上越市
長野県と新潟県の国境沿いの山塊を縦走するトレッキングルートがある。「信越トレイル」と名づけられたその道は、2008年に前線開通した。新潟県十日町市の天水山から長野県の斑尾山まで全長80キロにも及ぶその長いトレッキングルート中ほどに梨平峠、というのがある。
梨平峠に登るのに一番近い入り口が上越市の清里区の奥で、登山道に入るとほどなく遠望であるが清滝が見てとれる。と、新潟の登山の本に写真入りで出ていた。
そうか、見ることができるのか。
実は清滝はきっちりと地図にも出ている滝で、新潟の滝サイトの充実を図ろうとすれば取材しないわけにはいかない滝だった。しかし、遠い。登山道に行ってみて、結局見えませんでした、では洒落にならないくらい我が家から距離がある。そんなこんなで二の足を踏んでいた滝だったのだ。
しかし、しっかりとした写真が本に載っている。では見に行こうではないか。
冬枯れしたこの季節なら、きっと本に載っている写真より見通せるんじゃないか。という期待もあった。
冬枯れした滝の探索といえば、我が家では声をかけずにはいられない滝仲間がいる。「身近にディスカバー」のYouさんだ。
よい返事をいただいて、当日の集合を滝の下流にあるダムサイドに作られているはずの「清滝ダム公園」とすることにした。
さて、当日。
今回はまったく土地勘がないので、ナビに清滝ダムあたりの緯度経度を入れてナビ任せで行くことにした。これは正解だった。上越インターで下りて、国道18号、県道198号を経て清里区に入り、梨平地区に行くまではよかったのだが、そこから先が道が込み入っていて、地図頼りではきっとたどり着けなかったと思う。
梨平地区で左折して、民家の間の坂道を登って行く。分岐する道のだいたいこっちじゃないかしら、という主線を選んで行く感じになってしまう。民家をぬけると、今度は棚田になる。標高をかなり上げていても、右も左も棚田という状態で、道が農作業のために田んぼの間を網目のようにつけられているのである。ナビにあっちだこっちだと言ってもらわないと、途方に暮れたと思う。
問題の清滝公園だが、棚田の右下方向にちょこんと飛び出た感じで田んぼではない棚があるように見える場所だった。すでに到着していたYouさんの自動車があったので、間違いなくそこが清滝公園だな、と思えたくらいで、もしYouさんの自動車がなければ、「目的地周辺です」と放り出されていただろう。
ちなみに、我々がナビに入れた緯度経度は清滝ダム周辺のもので、緯度「37度01分53秒」経度「138度23分47秒」である。(もし行かれる場合は、自分でもう一度確認して入力してください)
  
清滝ダム公園。

  
公園から振り返った上越方向。棚田が続く。
しかし、信越トレイルの入り口の一つなのに、こんなにわかりづらくていいんだろうか、などと疑問に思ったのだが、その疑問、さらに深まる。
Youさんと久々の再会を喜んで、では清滝に向かいましょうということになった。
清滝の入り口、すなわち、信越トレイル梨平峠の登山道の入り口はもう少し棚田の間を進んだ先にある。
棚田の間をさらに登り、信越トレイルの看板の出ている十字路をそのまま直進。
すると道は未舗装になり、車高の低い自動車はちょっと走行が厳しいような水溜りのある道になった。が、ほどなく堰堤が見えて、行き止まりに。自動車ががんばれば5台くらいとめられそうなスペースが堰堤前にあったので、そこに駐車。
その堰堤の少し手前にあった白い杭に清滝0.5キロとあり、信越トレイルの看板もあった。
  
駐車した堰堤。Youさんと我が家の愛車が並んでいる。

    
   
左、清滝0.5キロと書かれた杭。右、文字部分がはずれた信越トレイルの案内。
しかし、信越トレイルの看板はプレートが外れているのか取られたのか、よく分からない状態だったし、清滝の杭は手書き。看板の先は、踏み跡程度の道が斜面を下っているだけである。
初めて来たトレッキング目当ての人は絶対に戸惑うと思う。まず、この場所にたどり着くまでの道案内が無い。たどり着けたとして、本当にこの踏み跡をたどると登山道になるのか、さっぱり分からない。
おそらく、信越トレイルの中でも、このルートを使う人はそんなにいないのかもしれないが、これでいいんかなぁと思えるような代物だった。
とにもかくにも、看板の場所から踏み跡を下る。と、すぐに川になった。我々が自動車を止めた堰堤の下流である。ここには木の橋がかけられていたらしいが、冬場なので、外されてしまっている。もっとも、水深もそれほどではないので、長靴があれば渡ることができる。ただし、流れがけっこうあったので、渡渉が大の苦手の私はおっかなびっくり渡ったのだが。
川を渡り終えて、少し歩くとまた川になる。これが清滝川で、ここには鉄のH鋼がそのまんま橋として渡されていた。でも、むしろその上を歩くほうが平均台みたいで怖いので、私は川をじゃぶじゃぶ渡った。
    
   
左、最初に渡る川。左端にとりはずされた木の橋が写っている。右、清滝川。H鋼の橋を渡る。

    
   
昔、上杉謙信が川中島の合戦の時に使用した軍用道だった、という登山道。右写真のダンナの前にあるのが清滝と書かれた杭。
そこから先は登りである。
しっかりとした登山道、というよりは、林業の人が使う作業道のような道だ。
左手に杉林、その向こう側下に清滝川といった感じで登って行く。10分ほど登ると、もう川のほうに清滝が見えていて、前方に杭が立っていた。またしても手書きで清滝、とある。そうか、ここから清滝が拝めるのか。
見えている清滝は、登山の本に載っていた写真の通り梢の向こう側に一部しか見えなかった。
しかし、思い切り遠望、という感じでもなかった。
  
登山道からはこんな風に見える。
そばに不動祠があると本にあったので、とりあえずそこまで登ってみようということになった。
不動祠は登山道を少しだけ右にそれる。そこにしっかりとした道標があって、ああここは信越トレイル間違いないんだなぁと確認できる。(つまり、そこまではかなり心配させられる)
不動祠あたりからも清滝が見えるのだが、やはり全体は見えなかった。
  
信越トレイルの案内。

  不動祠。植林ではないらしい杉に囲まれている。
さて、目的の清滝は見ることができた。が、一部である。見た感じ、滝のそばに近寄れなくもないくらいの距離だ。
途中の杉林のあたりから川に向かって下ることは、難しくはないだろう。なにせ、杉の植林をした人がいるはずである。崖にはなっていまい。
と、完全に遠望ですますわけがない、という暗黙の了解ができてしまっていた。
不動祠から今来た道を戻り、杉林のあたりまで行く。そして、ま、このあたりでしょう、という場所から林に突入。こんな場合はもちろんYouさんが先頭だ。
  
  
   今来た道を滝を見ながら下る。右写真、杉林に突入。
冬枯れしているので下生えがそれほどひどくない。足場に困ることもなく、杉林を抜けると、ポンと河原に出てしまった。あら、もう清滝川だ。上流を見ると、もう清滝らしい白い流れ落ちが見てとれた。
さて、ここから先はどうやって上流に進もう。
なにせ、道は無い。
ゴロゴロした大岩と枯れた芦のたぐい、樹木が両側から迫っている。左岸は我々が下って来た斜面だが、上流に進むにつれ、斜度が強くなる。
左岸から滝に近づくのは困難だろう、ということで、私とYouさんは川を渡って芦を潜り抜けて進むことにした。
ダンナは河原に出る際にかなり上のほうまで行ってしまったので、そのまま川に下りずに左岸の斜面を横移動して滝に近づくことにしたらしい。
つまり、右岸と左岸、2手に別れて滝に近づいて行った。
我々のほうは、芦がちょっと邪魔くさいくらいで、容易に滝に近づけた。河原に下りて8分くらいである。滝は、思ったよりも落差が無い。いや、ちょっと待て、これは上から見た滝じゃないぞ。上から見た滝は、見事なまでに英語のHの形をしてたじゃないか。
この滝は、真ん中に黒い岩が飛び出ているものの、H型ではない。
すると、下流の滝なのか?
振り仰ぐと、左岸から滝に近づいたダンナがかなり高い位置から滝を見ている。しかし、おいおいおいおい、ダンナの足元は垂直の崖だ。そのまま我々のもとに下ろうとすると、間違いなく落下する。
「こっちに来るな〜っ。戻ってから下りて来い〜っ」
と、声を限りに叫ぶ。なにやらダンナは伝えたいことがあるらしく、何かを言っているらしいのだが、滝の水音でさっぱり分からない。
とにかく、ダンナを崖から転落させないために誘導しなくてはならない。ぴーぴー叫ぶと、ようやくダンナは後ろを向いて下流方向から下って来た。
  
赤丸にダンナがいる。ここからさらに登っていた。
合流して、ダンナから上まで行けば上の滝が見えるということを聞いた。しかも、上の滝と下の滝の間にもう一つ滝がある、と言う。
そうか、滝があるのか。
下から左岸上の斜面を見上げてみる。ダンナのいた崖の上から少しよじ登って、ブナの木を頼りに横移動すれば、なんとか下流の滝の上の大きな木のあたりまでは行けそうだ。あの木のあたりまで行けば、上の滝の全体像と真ん中の滝が見えるかもしれない。
こうなるとニンジンをぶら下げられた馬状態である。
さっきまでダンナに危険だ、危ないと叫んでいたはずが、その崖に向かってよじ登ることになってしまった。
  
斜面をよじ登るの図。
えーと、簡単に書きますが、腕力勝負のよじ登りで、なんとか下の滝の上の斜面にとりつくことができた。詳しく書くとなんてバカな人たちなんだろう、と思われるのでやめときますが、多少命がけでした。
なんとかたどり着いた斜面ではあるが、藪が濃くて、滝はその藪ごしでしか見ることができなかった。
左欄の滝の図がせいいっぱいである。
これ以上は危険だね、ということになり、清滝の探索は終了することにした。
Youさんは途中であまりにもザックが邪魔なので置いてきたために、来たルートを戻らなければならない。
我々は、下るよりも登り切って登山道に復帰したほうが安全だろう、ということになった。
いや、確かに安全ではあったが、斜面が終わって水平になってからがものすごい藪だった。ツルだのツバキの木だの、密にからまっていて、たった1メートルがなかなか進めない状態である。冬でこうだから、草の勢いのすごい時など、とても登山道をはずれることはできないだろう。
登山道に出られた時には心底ホッとした。
偶然、帰り道に撮影した写真に我々がよじ登ったルートが写っていたので、紹介する。
  
赤い矢印が下の滝。杉林を抜けて、河原に出て、下の滝にたどりつき、黄色いルートで斜面をよじ登り、黄色い矢印のあたりで上の滝を見て、Youさんと分かれてさらに登り、登山道に復帰。青い矢印の不動祠まで行った。
ここでしっかり書いておかなければならない。我々は多少なりとも藪コギの経験があるのでこういうバカな真似をするが、そうでない人は決してやらないこと。無茶をしているようではあるが、どこまでが大丈夫でどこまでが危険かの判断は経験上分かっているつもりである。
ヘロヘロになって登山道を下り、杉林から復帰したYouさんと無事合流。
あとはたらたらと登山道を下って、自動車まで戻った。藪コギのせいで、泥と草の渋まみれのとんでもない姿になってしまっていた。

ちょうどお昼前なので、清滝ダム公園まで戻って、昼食にすることにした。
お昼を食べてから、ダムの向こう側にチラっと見えている滝を探索することにする。
集合前にもうYouさんが冒険済みなので、Youさんに案内してもらう形だ。
公園のダムに向かって立って左隅からダム沿いに踏み跡がついている。最初は芦がものすごい勢いで両側から迫っているが、やがて踏み跡のほうがはっきりとしてくる。
  
入り口だけは芦がひどい。
滝はもう見えている。ダム湖の向こう側の小沢から落ちている。こじんまりとしているが、湖に流芯が写ってなかなかフォトジェニックな滝である。
さらに、ダムの下がわの山の上からも細い滝が落ちている。かなり細いが数段になって落ちている様は名まえをつけるなら糸滝か。これは滝じゃないだろー、と言う人もいるかもしれないが、滝好きには滝です。(笑)

あとは、Youさんが来る時に見つけたという滝を案内してもらった。
棚田の向こう側のはるか上に堰堤が見えるのだが、その下流にストンと落ちる幅広の直瀑が見てとれる。しかし、かなり遠い。
なんとかして近づけないものかと棚田の間を網目のように走っている農道を目で追うと、なんとか自動車で滝の下流方向には行けそうだ。
目検討で行ってみたら、本当に下流で堰堤に出てしまった。そこで突き当たりで滝には近づけない。
もっとも滝に近いあたりまで行ってみて、田んぼのあぜ道から望遠で見てみた。
赤池方面から行く赤池林道であれば近づけるかもしれないが、今日のところは遠望で我慢することにした。


遠望でもいいか、と思っていた清滝であるが、結局藪コギまでして近づいてしまった。さらに、このあたりは山と谷が折り重なっている地域なので、あちこちに滝の気配があることが分かった。
それに、棚田の水路が、もうそれだけで滝なみの角度で落ちている。水量のある田植えの季節などは、棚田と滝のツーショットになるかもしれないような水路さえあった。
  
棚田が続く。棚田のすぐ脇が水路なので、急流だ。
この地域は、滝好きにとっては宝探しにちょうどいい地域なのかもしれない。
交通
最寄ICは、北陸自動車道上越IC。ただし、かなり遠い。
国道18号に出て南下し、県道198号で清里区に入る。
梨平の集落に着いたら、集落内を左折。我々はナビに任せたので、目印などは特定できない。
ナビが無い場合は、梨平集落で「信越トレイルの梨平峠へ行きたいのだが」と訪ねるといいと思う。
民家の間を比較的太いんじゃないか、という道を選んで登って行くと、次第に周辺は棚田になる。
棚田の間に道が網目のように走っているが、これもまた、比較的太いんじゃないか、という道を選んで進むと、右手の上のほうに庚申塔がある。それを過ぎ、なおかつ棚田を進む。
すると、下写真のような十字路になる。
  

右の看板が信越トレイルの案内。左の白い杭に梨平峠、と道案内がある。それに従って、真っ直ぐ進む。
なお、県道198号で梨平の集落で左折せずに直進して、赤池に進むと、赤池林道となり、結局この地点に合流するらしい。たぶん、右の看板がわから登って来ると思う。
ただし、確認したわけではないので、赤池から向かう場合は自分で確かめてください。
この十字路を過ぎると、道は未舗装になり、あと5分も進まずに堰堤の前で行き止まりになる。自動車はここに駐車できる。
清滝を遠望できる信越トレイルの梨平峠への道は、堰堤から少し戻ったカーブのあたりにある。
右欄の写真を参考にして欲しい。
清滝の遠望地点は入り口から10分少々登る。

清滝ダムの滝は、清滝ダム公園からダム湖沿いの踏み跡をたどると、対岸に見える。
清滝ダム公園は、本文の通り、道から見て右側、棚田の向こう側にあるのだが、棚田になったらとにかく谷がわ(右側)を注意してみていよう。
そうすれば、清滝ダムよりも下流の糸滝や、棚田の滝も見つけられると思う。
ちなみに、糸滝は、清滝ダムのすぐ下流の対岸の山の斜面。棚田の滝は、さらに下流の対岸の山に見える砂防ダムの下流である。棚田の滝自体は、目線が棚田よりずっと下になるので、運転中はなかなか見つけられないかもしれない。


新潟の滝もくじ  ときどき週末温泉族になる  んがお工房の日本百名滝めぐり  掲示板