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波滝
秋の風情を身にまとってなかなかに美しい。
落差は全部で10メートル少しかな。
入口の看板には一枚岩の七段に落ちる滝とあった。


際下段の真ん中にぽっこりと穴がある。
いびつな形をしているので、
甌穴ではない気がするけど。


上の段。
綺麗な釡がある。


滝見台から引いて撮影。
意外と段漠の上のほうは見えない。


大きさ比較。


これ、横から見た穴のアップ。
おもしろい。


何段か小さな滝が連なる。


これからたぶん一番上かな〜。




平林不動滝
落差はたぶん5メートルないと思う。
しかし、裏側にも回れる裏見の滝だ。
滝が飛び出している岩盤は岩で、
水はとてもきれいだった。


正面から見るとこんな感じ。
見事な直漠。


横から見ると、けっこう飛び出しているのがわかる。


で、これが大きさ比較。


裏に達私から見える図。


滝つぼは浅い。


落ち口。
岩を削って落ちている。


これは滝の下流。
滝つぼから下流も岩を削って、
きゅっと狭まっている。
右下に私の足が写っているが、
足元を流れる川を写しているのよ。


広場の端っこから滝が見える。


広場全体の図。
地元の小学校の遠足あたりに利用されるのかな。
2017/11/5  波滝(10M?) 平林不動滝(3M?)   村上市
  実に久しぶりの新潟の滝の新顔である。
今回は全くノーチェックの地域で、全く情報のないまま、本当に偶然に発見した。なにせ、新そばと温泉を求めて瀬波温泉に向かう途中、ここしばらく通っていない道をたまたま通って、新しく設置されたらしい看板を見かけたといういきさつなのだ。
 順を追ってお話をしよう。
なぜか今年は新そばから食べたくて、10月最終日曜日、十日町市に自動車を走らせた。が、蕎麦屋を検索して行った先がなんとおそばを作る工場。ええーーーっ。心底驚きましたとさ。松代そば善屋とテレビCMしていたのは、工場だったのか〜っ。
こんなバカな新潟県民もいる。
この日は、仕方なく日帰り温泉施設のたぶん乾麺のおそばを食べて、翌週にリベンジを誓った。
そして、11月5日。
やっぱり温泉とおそばをセットで考えて、これはもう瀬波温泉の盤舟しかないだろう、ということになった。
しかし、先週と2週続けて高速道路を飛ばして走る経済力もないので、いつも県北に行くときには利用していた日本海東北自動車道は利用しないで、国道7号線を北上することにした。
自動車専用道路でほぼ高速道路と同様の新新バイパスを新発田まで利用、そこから国道7号線に入る。これがけっこう長い。途中の新発田市街の交通量の多さもネックだ。
やっぱり高速道路を使えばよかったかな〜と思ったあたりでようやく胎内市をぬけて村上市に入る。荒川を渡って、私とダンナがあっと声をあげた。
「平林不動滝」
という文字が道路の右側に見えたのだ。
「滝って書いてあったよね」
「不動尊じゃなかったよね」
実はこの時すでに正午を回っていた。到着してお昼におそばというつもりだったのだ。
しかし、滝の文字。
不動滝というのは、不動尊の裏とかにある場合が多い。おそらくこの平林不動滝というのも不動尊の裏にある滝だろう。見るのにそれほど時間がかからないはずだ。
日曜日なので朝ごはんも遅かったし、お昼がちょっとくらい遅くなってもいいだろう。
ということで、看板のあった場所まで戻り、その矢印に沿って国道を離れる。
道は、国道と並行する感じで新発田方面に戻る方向に進んでいる。やや走ると、近代的なお寺が出現した。
千眼寺、とある。たぶんこのお寺に滝があるのだと思い、門前に自動車をとめた。
建物に向かって左側に赤い山門があり、奥の山に道が続いている。うーむ、らしい雰囲気だ。
門の前に「ひらばやしの文化遺産と防災マップ」という地図があったので、とりあえず確認。
あれ、平林不動滝、違う場所だぞ。
なになに、千眼寺を背にして少し進んで、左折する道?
なんだ、まだ先だったか。
そういえば、お寺であって、不動尊ではなかったし。
自動車に戻り、地図の言う道に行く。ほどなく左折ポイントになり、そこにもちゃんと案内看板があった。が、左折する道って、未舗装の道だ。え、かなり山に入るの?
田んぼの間の道を進んで、両側が杉林になったあたりで大きく「新潟県の名水 平林不動滝駐車場」と書かれた看板が出てきた。あ、ここだ、ここだ。

  
千眼寺。赤い山門が目印。ここで道を確認しよう。

  
千眼寺を背にして進むと右側に看板。でも、右ではなく左折する。

  
駐車場の看板。ここから徒歩。

ちょっとした空地程度の土地があり、自動車をとめられるようになっている。作業用のちいさなトラックみたいなのが駐車してあったが、ほかには自動車の姿はない。
さて、看板。ものすごく丁寧に道が書かれていて、いわく、
「不動滝まで2.2キロ約40分」
どひゃ〜、40分もかかるのぉ〜。往復と写真撮影を入れて1時間半かかるじゃないの。
時刻はすでに午後1時。
でも、お風呂入ったあとに滝に行くつもりにもなれないし。空腹かかえながら、行くことに決めた。そばはお昼じゃなくて晩御飯だな〜。
看板には不動滝にたどり着く前に「波滝」という滝もあると書かれている。滝が1つじゃないのもすぐにも行きたい理由だ。
看板のすぐそばには、熊よけの鈴が3つほど用意してあって、自由に使ってくださいと書かれていた。ありがたく1個使わせてもらうことにした。

  
熊鈴を貸してくれる。それだけ熊、多いらしい。

駐車場のすぐ近くには赤い鳥居があって、それは金毘羅神社、不動様ではない。看板の地図に従って林道とおぼしき道へ歩き出す。自動車は通れないとあったが、けっこうしっかりとした道で、ところどころコンクリート舗装もしてある。
比較的すぐに右側に道しるべがでてきて、川沿いに行くと城跡の駐車場に出るという。そういえば、お寺の地図に平林城跡というのがあったなぁ。
右手にあった川を橋で渡ると、道が2手にわかれた。右側は上に登る坂道で、左側は平らにまっすぐ進む道。右側の上に登る道は「私有地のため進入禁止」だそうだ。
その分岐から5分ほど歩いて行くと、ちょっとだけ広くなった場所になり、「車両通行止め」の看板があった。「この先お不動様登山道の道路状況により車両の通行は危険ですので進入禁止とし、通行止めとします。」とのこと。
つまり、ここまでなら自動車は入れるということだけど、すれ違いが困難な道であるのは確かなので、金毘羅様の近くの駐車場にとめたほうがいいだろう。そこからこの看板までは、我々の足で、12分である。
さて、その先も実はきちんとした林道で、ほぼなだらかな道だ。ただ、川を何度となく橋で渡るのだが、その橋が適当なベニヤ板で修復してあるような橋で、おそらく軽自動車の重量でさえ支えられないだろうな、と思われるものである。まちがいなく、自動車では危険だ。

    
  
駐車場から撮影。左端に赤い鳥居があるが、そっちではなくダンナがいる方向に進む。

    
  
道はなだらかな林道。城跡への道しるべを通り過ぎ、橋を渡る。

    
  
分岐。右側の上り坂は私有地。左側の平坦なほうを進む。自動車はここまでの地点。

    
  
何度も橋を渡り、進む。桜の植樹などがされている。

  
頭上注意の看板があったりする。頭上は折れた枝。

ゆるやかに登って行く道を10分ほど歩いて行くと、左側の杉林に「波滝」の文字が。
看板のすぐそばにはベンチなどがしつらえてあり、見落とすことはまずない。ロープが波滝への道を示しているが、ベンチからすぐに右と左に分かれていて、なにも案内がなかった。たぶん、どっちからでも行けるのだろう。とりあえず左側、つまり下流がわに進む。
川は林道からちょっと下った場所にある。落ち葉で見えづらくなっていたが、ちゃんと階段になっていて、1分もかからずに河原に出た。上流方向に歩くとすぐに対岸に渡る簡単な橋になり、対岸には滝見台とおぼしき木組みの台も見られた。

    
  
波滝の入口。ベンチなどが設置されている。

    
  
ロープにそって左側の道を下る。1分で河原。上流に向かう。

    
  
対岸に渡る簡単な橋と、その向こう側の滝見台。

対岸に渡ると、すぐに波滝が現れた。
わっほっほ。おもしろい滝だぞ。
段漠ではあるのだが、真ん中にぽこんと穴が開いている。甌穴というには形がいびつなので、岩自体がその部分だけ欠けたんじゃないかな。水が穿った穴には見えない。
小ぶりではあるが、見事に上から段々と落ちていて、実に立派な滝である。
そうか、まだこんな滝が山里に隠れていたか。
ちょうど周りの木々が紅葉していて、段漠を秋の風情で彩っている。
滝見台は濡れている場所がちょっと滑りそうで怖かったが、台に乗っただけの上の段も見えたのでこれはこれで重要だ。
写真撮影をし終えて、林道に戻る道が滝を横に見ながら登る道もあることを確認していたので、そっちから行くことにした。

  
滝を左に見ながら登って行ける。

説明看板に一枚岩からなる七段の滝、とあったが、落差の少ない段がいくつも連なっているのがよく分かった。はたしてちゃんと七段あったかどうかは不明。どの段差まで滝と数えるのやら。ただ、小さくてもちゃんと釡もあって、予想外に本当に立派な滝だと分かった。
林道に復帰。ベンチのある入口に戻ることができた。つまり、波滝は違う道で下って戻ることができる。
波滝の看板に平林不動滝はあと300メートルとあった。
林道を歩いて3分ほどすると、何やら道しるべが登場。
右側の山の中に続く登山道を示して、馬洗い場、とある。先に進む方向は、要害山不動滝、だそうだ。裏側には山を登る方向は首切り清水とあった。物騒な名前だなぁ。
そこからさらに3分ほど歩くと、前方に広場のようなものが見えてきた。

  
首切り清水の道しるべ。

広場の手前に「新潟県の名水不動滝の湧水はここより10分です」と山道を示している。10分も登る気がしない。我々は滝が目当てなので、広場のほうに進んだ。
「祝 新潟県の名水平林不動滝」とでかでかと書かれた看板がある広場には、不動堂があった。ちょっと見山小屋風の不動堂は、どうやら避難小屋も兼ねているらしかった。
右手に橋があり、川を渡ると奥に落ちている滝に近づける。
ちゃんとした橋と、ただ板を渡した上に滑り止めのシートをかぶせたような橋が2つ。ものすごく簡単だが、このおかげで滝に近づける。

    
  
広場の左手に橋があり、そこを渡るとさらに簡単な橋が2か所。

滝は岩を削ってストンと落ちる直漠で、裏側に石仏などが並んでいる裏見の滝である。滝の近くに説明看板があり、色部氏の当主が川中島の合戦のおり領内の安泰と戦勝を祈願してここに祠をたてたことなどが書かれていた。この滝の清い水で目薬なども作ったんだって。確かに滝つぼは深くはなかったが、きれいな水が流れていた。
裏見であるので、滝の裏側まで回ったりすることができる。
落差は少ないが実に潔い落ち方のする滝で、この空間全体が歴史と信仰をひっくるめてすがすがしい感じがする。
新潟の名水に選ばれたから整備して国道沿いに看板も出してくれたんだろう。それがなかったら、本当に知ることもできなかった。あとで調べたら、2014年10月に選ばれたらしい。新潟の名水の情報は要チェックだ。
信仰の滝は県内あちこちに存在していると思うが知る人ぞ知る滝となっていて、表に現れていない。
もうちょっとアピールしてくれると、滝好きは大喜びするんだけどな。
さんざん滝を楽しんで、また林道を歩いて戻る。
駐車場にたどり着いたのは、2時半を回っていましたとさ。
あとは温泉入っておそば食べて帰ろう。
ところが、滝には関係ないがこのお話はまだ続く。
せっかくおそばを目的に瀬波温泉の磐舟に行ったのに、なんと11月からおそばの提供を休止しているという。ええーーーっ、おそばが目当てだったのにぃ〜っっ。
ということで、あっさり瀬波温泉に背を向けて、では、結構泉質がよい印象のある聖籠町のざぶ〜んに行くことに。家に戻る途中という感じで選んだのだが、行ってみて立ち尽くす。なんと、只今温泉ではなく沸かし湯です、との貼り紙が。うっそ〜っ。泉質で選んだのに、そりゃないだろう。
結局さらに家に近い新津の花水に行って、小千谷そば食べました。たぶん、新そばじゃないな〜。今年はもう、新そば食べるなってことだな〜。
でも、ま、新しい滝がみつけられたので、この日はよい日と思いましょう。
交通
平林不動滝、波滝 最寄ICは日本海東北自動車道荒川胎内IC。国道113号を経て十文字交差点で左折、国道7号に入る。北上する形で進むと、ほどなく荒川を荒川橋で渡る。そこから注意深く右手を見ていると、比較的背の低い文字だけの看板で縦書きで「平林不動滝」という看板が出てくる。その矢印に沿って道を右折。あとは上記の本文中を参考にしてほしい。
駐車スペースから我々の足で25分で波滝。波滝入口から10分弱で平林不動滝。
ほぼ林道歩きでスニーカー程度でも行けるが、熊には注意。


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