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仙の滝
晩秋の紅葉に縁取られた滝。
小さく映ってしまったが、落差のある滝だ。




大きさ比較。
あ、これも小さくなっちゃったなぁ。




大きさ比較の2。



これが一番大きさ的に伝わるかしら。
右の杉のそばにダンナがいる。




黄色く染まった木々が滝を彩る。



さすがに滝の周りなので、
紅葉はやや早めだったらしい。
中ほどの木々はもう葉を落としていた。




細い滝にありがちな、緑の岩盤。



滝つぼはほぼなく、流れになってしまう。
滝見台からはよく見えない。




これが一番最初に見える角度。
ちょっと右方向にズレると、逆くの字になる。




秋の良き日、蝶や花にも
遊んでもらいましたよ。




















2020/11/1 仙の滝(20m?)   南魚沼市
   
この滝を見つけたのは、実に偶然だった。
一昨年、つまり2019年に私の高校時代の同級生がどこかに旅行に行こうと誘って来た。
どこに行くかを決めるときに、前に行ったことのある旅館がよかった、あれは南魚沼の温泉宿だった、その時にもらってきたパンフレットがある、といって見せてくれた。それが南魚沼市の観光協会のパンフレットである。
その時、チラっとだけ塩沢にトレッキングコースがあって、滝がある、という写真を見た。
見ただけで、滝の名前も場所もちゃんと確認したわけではない。でも、未訪の滝だった。
そんな曖昧な記憶をもって、9月の三連休のぽっかり空いた最終日に情報収集を目的に南魚沼へとドライブに行った。
地元の情報を収集するのであれば、道の駅ほど最適な場所はない。
  
道の駅南魚沼「雪あかり」

首尾よく観光協会のパンフレットを入手。そして、あの時に見た滝も発見した。
仙の滝という。
塩沢入りトレッキングコースという場所に写真がある。
その入り口もちゃんと写真入りで紹介されていた。
国道353号にある上野鉱泉の水車の前から行くらしい。
喜んで行ってみた。
ところが。上野鉱泉はすぐにわかった。水車もちゃんとあった。
だが、その先に続く道がトレッキングコースというよりは、完全に農道といった趣だった。
しかも、普通トレッキングコースという名前がついていれば、それなりの道標なり、イラスト地図なりが現地にあるはずだが全くない。
さらには、道の付近には上野鉱泉の建物以外なにもなく、自動車を止めるスペースもない。
ここでいいのか?
スマホで調べてみた。
塩入沢トレッキングコース、とか、仙の滝とか入れて検索してみる。
すると、一つブログの記事が出て来た。
石打丸山スキー場の近くにある宿のブログである。
その記事によると、石打丸山スキー場のゲレンデから仙の滝に行けるらしい。
カーナビにある地図で見てみると、上野鉱泉から伸びている農道とも林道ともつかない道は石内丸山スキー場まで続いてる。
つまり、下から登る方法と上から下る方法があるということだ。
ならば、ゲレンデのほうから攻めるか。
方向を転換して、石内丸山スキー場に行ってみた。
9月の終わり、もちろんまだまだ暑さの残る時期でスキー場も草原になっている。
民宿街を抜けてスキー場内に入る。自動車はゲレンデ内にある道をずんずん進める。進入禁止の標識もないので、行っていい道なのだ。
かなりずんずん行ける。おいおい、と思うくらいずんずん進める。標高が急激に上がる。
ホントにこんな場所まで来ていいのか、という場所まで行くと、スキー場内のレストランとかの施設の並ぶ場所になった。
開業の準備のための業者などが入っていて、そのために自動車の通行もフリーになっているらしかった。
にしても、さすがに登りすぎだ。
またカーナビで調べてみる。
違うなぁ。もっと下だなぁ。
途中にお寺さんがあって、私としては、どうもそのあたりが怪しいと思っていた。お寺の裏って、滝、ありそうじゃないですか。
お寺なので、お墓もあって、墓参りの自動車が駐車していても不思議な感じはしない。
そう考えてお寺の前に駐車。
そして、車道から自動車の通っていそうもない枝道をみつけ、それを登ってみることにした。
登って、行き止まりになってしまった。
道の先には草ばかりで見通しも効かない。
山の上のほうはスキー場のゲレンデが広々と広がっていて、滝らしさは全くない。
万事休すだった。
この日はこれで諦めた。
仕方がないので、同じ南魚沼でも八海山エリアの雷電様の水とその奥の滝を久しぶりに訪問して諦めた。(雷電様の水のレポはこちら)

それにしても、絶対に近くまで行っていたはずなのだ。
家に戻り、Googleマップで調べて、我々が行きどまった道こそ上野鉱泉まで続く道であったのだと分かった。道がなくなってしまっていたと見えただけで、もしかしたらちゃんとあったのかもしれない。なにせ、マップ上では道としてつけられているのだ。
滝がどのあたりにあるのかは分からないが塩沢入りトレッキングコースの場所ははっきりしたぞ。
念のため、パンフレット発行者である南魚沼観光協会に問い合わせたら、あまり詳しく分からないので、塩沢の観光協会に問い合わせてくれ、とのこと。この時ちゃんと塩沢の観光協会に問い合わせていたらなぁ。種まみれになることもなかったのになぁ。
場所はわかっていたので、面倒なことはしないで済ませてしまった。
念のためっていうのは、ちゃんとやっておいたほうがいいです。はい。

11月1日。
マップ上で道がついているので、楽勝のトレッキングだと思い込んでいる我々。
入り口がわかっている上野鉱泉から滝に歩いて行くことにした。
駐車スペースがないので、国道353号の上野鉱泉より少し先に行った新幹線の高架のすぐ手前にある除雪用の作業スペースに駐車させてもらう。
ここは冬期でないと閉鎖されていて、スペースそのものには入ることができないのだが、入り口あたりに駐車できる場所がわずかにあるのだ。
水車のある上野鉱泉の前を通り、農道とも林道ともいえない道を歩いて行く。

   除雪用のスペース。自動車は入れない。この端っこに駐車。

      
   上野鉱泉の入り口。右が建物。あ、水車を撮り忘れている。

     
   建物を右に見て農道とも林道ともいえない道に入る。そしてずんずん登る。

気持ちよく晴れて、山々も紅葉している。
気楽な散歩の気分でいた。
あら、道の脇に湧き水かしら、ちっちゃな滝状の流れが落ちている。
仙の滝、こんなんじゃないだろうな、と思いつつ歩く。
小川を左手に見ながら歩いて行くと、道がY字に別れた。
よく見ると看板がある。
何々、馬頭観音?
Y字の中央に確かに馬頭観音の彫り物があった。
さらにもう一つ看板。
Y字の左に「東」、Y字の右に「西入、行き止まり」とある。
ふむふむ。つまり、左に行けということだな。
単純に解釈して、行き止まりではない東である左側の道に進んだ。
進んだ、が。
10メートルも進まないうちに道ではなくなった。目の前背の高いススキの類の草で覆われてしまった。
しかし、なんとな〜く踏み跡もある感じだった。
トレッキングコースというから、自動車の通れるような道ではなくなるのかしらん。
夏草が生えて、あまり整備されていない道だとしたら、こんな感じになっちゃっても仕方ないのかしらん。
と、また単純に解釈して踏み跡に沿って歩き出す。

     
   秋の山が綺麗だ。

     
   右手に小川。その向こう側に小さな滝っぽい流れ落ち。

     
   おや、道が左右に分かれているぞ。

     
   馬頭観音と捨てられたような案内看板。

     
   意気揚々と左に進むと、ハタ、前方が草ぼうぼう。

     
   でも、踏み跡はあるのよ。ススキだらけだけど。

うえ、草ぼうぼう。
すると3分ほどで滑りそうな木の橋があり、それで小川を渡る。橋があるってことは、道で間違いないじゃん。
その先もかろうじてではあるが、踏み跡がある。
背丈よりかなり高いススキをかき分け踏み跡をたどる。
たどる。たどる。
ホントにこの道でいいのか〜っ。
10分ほどススキをかき分け続けて、ついに踏み跡がなくなってしまった。
ふえーん、こんな場所でススキの迷路の中で投げ出されるってか。
戻るか進むか。
おりしも、この年は山のドングリが不作であちこちで熊が出没して被害も出ている。この場所、熊が来そうじゃないですか〜っ。
とにかく周りを見渡す。
右手に杉木立がある。
それをよーーく見ると、人工物らしきものが見えた。柵か塀か、とにかく人の手によるものだ。
そっちに向かって登って行こう。
今度はホントーに藪漕ぎだ。踏み跡皆無のススキヶ原をわっさわっさ登って行く。
熊に出会わなくてもさ、熊と間違えた猟師さんに撃たれやしまいか。
かなり登って、人工物に近づいてみたら、おお、その反対側にススキの林に見え隠れするのは、何がしらの建物じゃないですか。
さらに登る。
と、ポンっと広々とした場所に出た。
ゲレンデだ。
杉木立にあったのは、ゲレンデと森を仕切るものらしく、先に見えた建物はリフト施設らしかった。
ゲレンデ内に出て、少し歩いてみる。
そして、どうも景色に見覚えがある場所になった。
おお、ここは、9月に来た時に道がなくなっていると判断した最終地点じゃないですか〜。
Y字の分岐から約30分。ススキをかき分けて、どうやら塩沢入りトレッキングコースを制覇したらしかった。

       
   あ、橋。ということは、ちゃんと道なのだ。でも、ススキ、ススキ、ススキ〜っ。

      
   右手に川が見えるのだが、なんとなく踏み跡が左手を上がって行っている。うおっ、人工の建物発見。

   ゲレンデに出たよ〜。遭難するかと思ったよ〜。

とにかく、乾いた。
お気楽散歩と思っていたので、水分さえ持って来ていない。だが、なぜか私は家を出るときに自動車で食べようとみかんを一つもって来ていた。
うまかったな〜、半分こしたみかん。生き返った。
にしても、トレッキングコースを制覇したわりに、滝の文字はなかった。
途中、谷に向かいそうな沢もあったのだが、そっちに行く勇気はなかったし。
もしかしたら、そっち側だったのかなぁ。
とにかく、リフトの施設のほうに行ってみようか。
歩くなり、ダンナが笑いだす。
何?
なんと、そのリフトの施設の向こう側にばかでっかい看板があったのだ。
仙の滝。
おいおいおいおいおい〜。
藪漕ぎの必要の全くない、ゲレンデの端っこに滝があるんじゃないか。もっとどこかでちゃんと説明してくれよぉ。
いや、情報を得る機会はあったのである。塩沢の観光協会に問い合わせなかった我々がいけないのだ。
さて、滝。
看板はバカでかい。
ところが、そのバカでかい看板のそばに行っても滝は見えない。その周りを調べてみても、滝に行けるような道はない。
このバカでかい看板は雪が積もった時にスキーヤーに知らせるもので、雪が積もらなくては見えないのかしらん。
ウロウロしていると、ダンナがあったあったと私を呼んだ。
看板に向かって左側の杉木立の根元に祠があり、そこに「仙の滝入り口 足元注意」と書かれている。
足元注意ねぇ。
ちゃんとした道がつけられていて、今まで我々が通って来たススキぼうぼうの道のりよりはかなり安全そうに見える。
杉林の縁を沿うようにつけられた細い道を歩き、ものの2分で杉の間から滝の姿が見えた。
滝前にちょっと高い盛り土のような場所があり、そこが滝見台のようになっている。
登ると、目の前が滝だった。

     
   ダンナと看板の大きさを比較してみて。とにかくバカでかい。でも、近くに入り口はないのよ。
    入り口は看板に向かって左の杉木立のあたり。


     
   祠から踏み跡よりやや明瞭な道を歩く。ほぼ杉林の縁を通る感じだ。

     
   すぐに杉の間に滝が見える。滝見台的に盛り土に登る。

     
   登るとこんな感じで滝が正面に見える。杉の木のほうに歩くと足元に滝名の看板が落ちていた。

おお、思っていたよりもずっと大きいぞ。
ちょっとだけ遅いかな、といった感じの紅葉に縁取られ、対岸の岸壁から逆くの字になって落ちている。
細長い、優美な滝だ。
滝見台はちょうど滝の落差の真ん中あたりで、滝つぼに行くには崖を下る必要がある。さすがに藪漕ぎの後ではその元気はなかった。
滝見台をウロウロすると、滝名が書かれた看板が落ちていた。
滝見台になっている盛り土を回避して、杉の中を歩いて沢沿いに行けば滝つぼ近くまで行けそうではあったが、この滝は下から見上げる滝ではないな、と思った。
9月にたどり着けなくて、ある意味、よかった。
こんなに紅葉がきれいな滝だとは思っていなかった。

ひとしきり滝を撮影して、ゲレンデに戻る。
さて、どうやって自動車のある上野鉱泉まで戻ろう。
二人の結論は早かった。このまんまゲレンデを下って、民宿街に出て、徒歩で国道353号に出て、上野鉱泉に行こう。
もうススキの中を歩くのはイヤだし、熊が怖いし。
車道を歩くのは迂回して距離が長くなるので、そのままゲレンデを直滑降した。いや、滑降っていうけど、歩いたんですよ。
とんでもない角度だった。いっそ尻で滑ったほうが早い気がした。
でも、遠くに見える巻機山が赤く染まって、とても美しかった。
あとは民宿街の庭の花と蝶を愛でながらゆっくり国道に戻った。
お気楽散歩のはずが、藪漕ぎ&急降下の2時間になってしまった。
もし仙の滝だけ見たいのであれば、確実に石打丸山スキー場から行ったほうが楽で安全だ。
別欄に行き方を書きますので、参考にしてください。
藪漕ぎの結果、全身植物の種まみれ。引っ付き虫があっちこっち。
ダンナのパーカーのフードにはススキの穂がわんさか入っていた。
その後買い物に行ったダンナの財布からも種が出てきたという笑い話のオマケ付き。
いやはや、とんでもない目にあいましたわよ。


      
    帰りはゲレンデをそのまま下る。あの山並みはなんだろうね。

       
    こんな急角度。ダンナの撮っている写真が右。あれは飯士山だってさ。

      
   さすがスキー場。この角度ですよ。 リフトの下をくぐって、やっと車道に出た。

      
    民宿街を突っ切ると、国道353号に出る。やっと出発点の除雪スペースに到着。ご苦労様でした。

 交通
仙の滝 本文中は、国道353号上野鉱泉より藪漕ぎして滝にたどり着いたが、安全安心な行き方は以下の通り。
まず、石打丸山スキー場を目指そう。ナビに入れるとおそらく駐車場を案内されてしまうので、ナビに入れるのであれば、「ロッジアイドル」や「雪の雫」といった宿のほうがよい。
石打丸山スキー場は最寄ICは、関越自動車道塩沢石内IC。県道28号を経て国道17号に出て左折すると必ず案内がある。
ゲレンデ内に入る道は上記のロッジアイドルと雪の雫の間の道だ。この民宿のある道は国道から多少込み入った道になるので、説明は難しい。ナビに頼ってほしい。

 
上の写真がロッジアルプスとロッジアイドル。
この道をそのまま進むと左側に黒い建物の雪の雫がある。この道をそのまんまずんずん進む。
夏場はリフトは取り外されているが、シーズンが近づくとリフトが取り付けられていて、その下をくぐる感じだ。
ずんずん進むと、ゲレンデのど真ん中を通るようになる。

  
ややすると、ピンクの屋根の第一ヒュッテが見える。入り口にゴリラがくっついているのが目印。屋根の色は塗り替えられる可能性もあるので注意。

  
第一ヒュッテを通り過ぎるとすぐに左側に舗装が膨らんだ退避スペースがある。
その向かい側に自動車の入れない、しかし舗装された道がついている。この道に徒歩で入る。
ちなみに、自動車は第一ヒュッテあたりにとめるのが安全。心配なら第一ヒュッテの建物の裏がお寺になっていて、お寺の駐車場もある。

  
徒歩で道が途切れそうなあたりまで登って行く。
するとY字に別れて、右は行き止まり、左はゲレンデ、という、上写真のような場所になる。
ここは左のゲレンデに進む。
前方にリフトの施設があるのが見えるがそっちに進む。
上写真では左上前方ではなくて、中央にある施設だ。
観光第8ペアリフトと書かれている。

  

  
その脇をまっすぐ進むと目の前にでっかい「仙の滝」と書かれた看板が目に飛び込んで来る。
滝への道は、上写真のダンナの進む先に見える杉木立の一番左端にある。祠が目印。
そこから滝までは徒歩3分だ。

ただし、このルートは季節外れのゲレンデを歩くルートである。スキー場内の私有地であることを十分認識しての行動をお願いしたい。
滝前までの道は多少ぬかるむかもしれないが、この行き方であれば、スニーカー程度で十分滝を見ることができる。


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