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2007年3月31日の杉川上流の滝はこちらから



杉川上流の滝(仮)
小さく写ってしまっているが、
かなり高い位置から落ちる滝だ。
写真では二段だが、
上の部分もある。




大きさ比較。
ダンナと滝の間に杉川が流れている。
滝は一番下の段だけ見えている。




樹木の奥に見える上の段。
つり橋のあるあたりから見ると、
一番下の段とその上の段は
落差が同じくらいか、
もしかすると上の段のほうが
落差があるかもしれない。




直接杉川に落ちるのではなく、
いったん岩の滝つぼに落ちる。
ただし、岩に穴が開いた程度の
滝つぼである。




滝のすぐ右にある取水施設から
流れ落ちる水流。
こっちもなかなか綺麗だ。




滝の上流。
ここから先は藪を掻き分けても
進めない。




登山道を彩る花たち


スミレは本当にたくさんあった。


ビオラかっていうくらい大きなスミレ。


アズマシロカネソウ


カントウミヤマカタバミ。
群生していた。



コシノコバイモ


雪国植物園で見たことあるけど、
名まえがわからない〜。

以上の名まえはネットで調べて
「たぶん、そうだろう」
と思ったものです(笑)
2005/5/8  杉川上流の滝 (落差30M以上?) 村松町

GWも終わり、それほど遠くには行けないが、それでもどこかに行きたい晴れた日曜日になった。近場なら滝に行けるか。まだ行っていない滝もあることだし。
まだ行っていない近場の滝。きちんとライトマップルにも載っている滝。
村松町のヌケマノ滝である。ちなみにライトマップルには誤記されていて、スケマノ滝になっている。
この滝に今まで行かなかったのには理由がある。
ヒルだ。
ヤマビル、メジロアブ、熊と困ったものが多い下田・山内山塊の一部なのである。
この滝を狙うのは唯一春先のヒルが出て来る前しかなかった。
そんなわけで、たぶん、まだヒルが目覚める前であろうこの時期にヌケマノ滝を探してみることにした。

目指すのは、杉川の上流にあるチャレンジランドというキャンプ場である。この奥に木六山への登山道の入り口があり、ヌケマノ滝はその登山道から少しだけ沢に入った場所にあるはずなのだ。
チャレンジランドに着いてみたら、あらまあ、とっても立派なログハウス風の建物があった。自然の湧き水で沸かした風呂、なんてのもあるらしい。
そこでトイレに入って、ついでに貼ってあった村松の山の地図でヌケマノ滝を確認して、チャレンジランドの奥に続く道に入って行った。
自動車で5分も走らないうちに行き止まり。10台以上とめられる駐車スペースになった。
驚いたことにほとんどいっぱいである。この時期は山菜の季節でもある。おそらく山菜採りの人々だろう。
すでに山から下りて来たらしい人がいたので、ヌケマノ滝についてきいてみた。
が、登山道しか歩いたことが無いので滝は知らないとの答え。だが、親切に登山道を少し行くと堰堤があって、そこから沢に行けるからそっちのほうじゃないか、と教えてくれた。
ありがたく聞いて身支度する。さて、ヒルの対策はどうしよう。長靴にすべきか、トレッキングシューズにすべきか。
ついでに聞いてみると「いや、この山はヒルは6月くらいからでしょう」と答えが返って来た。ならば、長靴よりはトレッキングシューズのほうが楽である。
地図を見ながら、こっちじゃないかという方向へ歩き出そうとしたら、またさっきの人が「そっちは水無平に行く道で沢には出ない。沢に行くのは木六山のほうだ」と教えてくれた。
ちなみに、水無平にはカタクリが一面に咲いていて綺麗なのだが、そこにたどりつくまでが長くてつまらないらしい。カタクリはちょっと魅力だが、今日は滝である。お礼を言って木六山のほうに歩き出した。

まず急に下る。小さな沢を小さな橋で渡り、徐々に登って行く。湧き水があったり、山野草が咲いていたりして、なかなか楽しい登山コースだ。カタクリの群生している場所もあった。
中でも、エンレイソウがものすごく元気で驚いた。エンレイソウの林である。わらわらと、しかもふっといエンレイソウが群生している。うーむ、ほんのこないだまでエンレイソウなんて珍しい植物と思っていたが、これでは雑草状態である。
  
エンレイソウ、わらわら。
写真を撮影しながらで20分ほど歩くと、右手に建物が見えた。よくよく見るとその下のほうで杉川につり橋がかかっているのがわかった。
ここがあの人が言っていた沢に出る道かしらん。
ところが、さらによく見ると、つり橋は橋の役目を果たしていない。床板(って言うのか?)が無いのである。冬場だけはずすのか、それともずっとこのままなのか、とにかく向こう側には渡れないだろう。
  
つり橋に床板がない。
どうしようと思う間もなく、耳は沢とは違う水の音を聞きつけていた。
滝である。
つり橋の上流に沢に向かって落ちている直瀑が見える。木々の間でよく見えないが、かなり大きな滝のようだ。
こりゃあ、行かないわけにはいかないでしょう。
あれがヌケマノ滝かもしれないし。
つり橋の所までは階段状にきっちりと道がついていて、楽に下りられた。つり橋のたもとからも少し急ではあるが河原には楽に下りられた。
が、滝はちょっと遠い。滝は沢の対岸のかなり上から落ちているのだが、全体を見渡せることができないのだ。
見れば見るほど立派な滝だ。
2段くらいになっていて、落差は楽に30メートルはあるだろう。
滝の手前には取水の施設のようなものがあり、そこからも水が落ちている。この流れもまた綺麗だった。
ここで滝の半分だけ見て諦めていいのか?
諦めるほど半端な滝○かではないのが我々だった。
幸いまだ春も浅いので下生えなどの邪魔なものはほとんど無い。せいぜい笹の林が行く手を阻んでいるだけだ。
全く躊躇なく笹を掻き分けて進む。おや、まだここには雪が残っていたりする。その雪の上も進んで、岩を飛びこえて、滝の前に出た。

高い。
かなりの高さから落ちている。
木々で見えないが、下から二段目より上もありそうだ。
眺める角度が1つしかないので、写真撮影は簡単に済んでしまった。
それにしても、いい滝だ。だが、ヌケマノ滝ではない。ヌケマノ滝は、本流の滝であるはずなのだ。沢に流れ込む形はしていない。

足場が不安定なので、つり橋のたもとの河原まで戻って、コーヒーブレイク。
コーヒーはうまかったのだが、この場所はどうも羽虫が多い。蚊や虻のようなものではないのだが、(小さいハエみたい)うるさくてかなわない。ゆっくりコーヒーという気分にもならなかった。

まだ時間もあるので、さらに先に進むことにした。
だいたいにおいて、堰堤が無い。
かの登山者が教えてくれた堰堤まで行かないことには、ヌケマノ滝どころの話ではない。
さらに歩いて行くと、道が分岐した。つり橋からだいたい10分くらいか。
左に行くと木六山、とあるが、右にも道が続いている。たぶんこっちに堰堤があるのだろう。
  
堰堤への分岐点。左が木六山への登山道。
行ってみると、「取水口があるので危険」「立ち入り禁止」とうるさいくらいに看板が立っていた。でも、取水口のほうに行きたいわけじゃないのよ。危険な真似はしませんから。
無視して歩く。
歩いて行くと、おや、足元にかわいい花が。おお、イワウチワ。おおおおおお、あっちこっちに咲いている。どひゃぁ、イワウチワのお花畑である。
さっきのエンレイソウといい、雑草のごとく咲いている。貴重な花だと思っていたのに。
  
イワウチワ。楚々とした写真だが、実はわらわら咲いていた。
と、急にダンナが立ち止まった。
「やられた」
と言う。
なんのこっちゃと思っていると、足首がまっかっか。流血である。
どうしたのか、疑うまでもなかった。
ヒルだ。
ええーーーー。だって、あの登山者は6月くらいからだろうって言ってたじゃないの。
だが、現実ダンナは丸々と吸血して太ったヒルを捕まえて、ポイと捨てたという。
私は下を向いて歩くので、ヒルを発見する率が高い。その私にして、これまでの道中、全くヒルを見ていないのに。いったいどこでとっつかれたのだ。
なんとなく自分にもくっついている気がして背中が寒くなったが、本当にくっついているともっと怖いので見ないことにした。痛いなら困るが、流血するものの痛くないらしい。私は流血よりもヒルそのものの姿がおぞましくて怖いので見たくないのである。
なんだか自分にもヒルがくっついているようなうすら寒さを感じながら河原まで下りて行った。
取水口、というか、これは堰堤なのだろう。とりたてて大きくない施設が川にあった。
  
堰堤。対岸には渡れない。
あとで地図をよくよく見てみたら、ここから杉川の水を取り分けて別の水流にして地下を流し、下流の発電施設まで送っているらしいのだ。
つり橋の近くにあった施設から出ている水もこの取水口からの水があふれているのだと分かった。
だが、そこから先には行けなかった。道らしい道もなく、切り立った崖になっている。上流を見ても滝らしいものは無かった。
もし、このはるか上流にヌケマノ滝があるとしたら、かなり強力なエンジンのついたボートで川をさかのぼらないと見ることができないだろう。
ヒルの怖さもあったので、早々に戻ることにした。
30分で駐車場に戻って来た。

靴を履き替える都合上、どうしても自分にヒルがくっついているかどうか確認しなくてはならない。おっかなびっくりジーンズのすそをめくってみる。
幸いなことに私にはヒルはくっついていなかった。
そういえば、あれからかなり注意して地面を見ていたが、ついにヒルの姿はみつけられなかった。ということは、ダンナ、走りのヒルに食いつかれたらしい。それはそれで、宝くじに当たるくらいの確率で運が悪かったと言えるだろう。
帰りにチャレンジランドであの滝の名まえだのヌケマノ滝についてたずねるつもりもあったのだが、ヒル騒ぎてぶっとんでしまった。
まあ、いい。来年。今度は4月早々にまた来ればいいのだ。ヒルの目覚める前に。
ちなみに、あとで詳しく地図を調べたら、ヌケマノ滝はやっぱり水無平に行くほうの道で正解だったようだ。ああ、やさしい登山者よ、あなたは2つ私たちに罪深い情報をくれたわけです。一つはヒル。一つは堰堤。
でも、おかげで素晴らしい滝とイワウチワの群生を見ることができた。何が幸いして何が不幸となるか、そんなことは分からない世の中なのねぇ、と思う日曜の午後だった。

あとで調べてみたら、新潟の滝をめぐるページをつくってらっしゃるSyamさんが2年ほど前にこの滝にたどりつき、同じように笹の藪をかきわけて滝前まで行っている。滝好きは、やっぱり同じことをしてしまうのだ。
名まえは、Syamさんの命名にならって、杉川上流の滝、ということにした。
交通
最寄ICは、磐越自動車道安田IC。県道41号を経て国道49号に出る。三川方面に進む。馬下の交差点で左折。今走っていた道路を立体で渡り、さらに馬下橋で阿賀野川を渡る。そこから国道290号になる。国道290号をはずれないように村松町に入る。村松公園の前を通る県道17号へと入る。あとは左に早出川を見ながらしばらく進む。
左側に親水公園があるがそれを通り越してやや走ると、右折するとチャレンジランドであるという表示板が出てくる。
早出川に注ぎ込む杉川に沿って道が走っているので、その道へと右折。あとはとにかくチャレンジランドの案内どおりに進めばよい。
チャレンジランドの立派な建物が見えたら、それを通り越すように自動車を進めて、その先の林道に入り、5分も走らずに終点になる。
10台以上とめられる駐車スペースになっている。
  
写真の一番奥あたりから木六山への登山道がある。こちらに行けば杉川上流の滝を見ることができるつり橋にたどりつける。
ただし、5月から雪が降るまでヒルが確実にいるので、対策が必要である。
また、登山道を外れる場合は危険もともなうので、各自で責任を持って行動するように。間違っても床板のないつり橋を渡ろうとは思わないように(こらこら)
水無平へ行く道は上の駐車スペースの写真で言うと、奥の青いクルマのあたりから左に入っていったん山を登るかのように見える道である。
木六山への登山道に入るとすぐに沢を渡るのだが、どうもこの沢の上流にヌケマノ滝があるようだ。水無平への道はこの沢に沿っている、と地図にはある。



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