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2010年12月の白崩滝の全容はこちらから




白崩滝
白崩沢が崖から一気に落ち込む。
杉の向こう側のため、滝つぼが見えない。
林道を下りて、杉の向こう側に行きたいが、
雪があるし、
どこから崖なのか分からないので断念した。



滝の上部。
垂直の崖をストーンと落ちている。
沢はこの滝のあと、
左側に流れて行く。




白崩れ部分と滝。
どんな作用でこんな垂直の崖になったのやら。
むき出しになった岩が白いのが名まえの由来か。




とてもよく晴れていて、
青空が見えたのだが、
空を青くすると滝が黒くなる。
滝の左側の松の生えている部分が
手前に張り出していて、
滝に影を作っていた。





ムジナ滝(仮)
ムジナ沢の滝だからムジナ滝(笑)
だが、地図をよく見ると、どうもムジナ沢ではない沢
だったらしいので、この仮称は不適切である。
でも、まあ、ずんぐりした滝なので許してください。




大きさ比較。
ダンナは滝つぼのほぼへりにいます。
落差は5メートルあるかないか。




小ぶりではあるが、
表情の豊かな滝だ。
岩盤が黒く斜めに削れていて面白い。

2005/11/23  白崩滝(しらくずれ滝) 魚沼市
冬型の気圧配置になると、日本海がわの地方はよい天候は望めない。そんな中、週のど真ん中の勤労感謝の日にお日様マークの天気予報が出ていた。
であるとしたら、どこかの滝に行きたい。
候補は2つあった。
一つは守門岳の登山道から遠望で見ることができる三十三丈滝。この滝は見たくて仕方が無いのだが、木の葉っぱが邪魔な季節は見えづらいかもしれない場所にある。そこで木々が落葉するのを待つ状態だった。
もう一つは浅草岳登山道から見えるらしい白崩滝。この滝は全くノーマーク、どの地図にもどの本にも載っていない滝だったのだが、たまたま魚沼市の出している浅草岳登山のパンフレットに載っているのをみつけた。
前日にネットで調べたら、三十三丈滝のほうは、かなり滑りやすい赤土の登山道の急登の末に見られる滝らしい。それでは、翌日仕事があると支障をきたす。もう一方の白崩滝は、だいたい1時間しないくらいの登りで見ることができるようだ。
ならば、白崩滝にしよう。
で、その勤労感謝の日。晴れの天気予報は嘘だった。
出かけるくらいの時間になったら大粒の雨が降って来た。本格的に降っている。だが、家から見える守門岳方面はとりあえず明るいので、行ってみるか、ということになった。
実はこの3日前の日曜日に白崩滝にチャレンジしようとして、積雪で敗退した。気温が高い日が続いたので、雪も解けているだろうという目算だ。
登山口のある旧入広瀬村に入ると、雨はあがり、まあ行けないことはないだろう、という空模様になっていた。
ただ、積雪はある。道路は除雪されているので、自動車の運行には支障は無いが、登山道は果たしてどうだろうか。
赤い浅草大橋の向こう側にある大きな駐車場に止めて、仕度をする。ここにはトイレもあるのだが、冬場になったために入り口に板が打ち付けられて利用できなかった。手前の道の駅いりひろせでトイレに入っておいてよかった。
資料によれば、この先のムジナ沢橋の袂から入るのが登山道である。
ムジナ沢橋の手前、右側の林道に下りて行く。林道はそのまま橋の下をくぐって先に伸びているが、橋の手前に小さなスペースがあって、沢を遡る方向に登山カードポストがあった。
なんだ、ここに駐車すれば、すぐ近くだったなぁ。駐車場からのほんの5分くらいの徒歩がもったいなく思える。
我々は山頂に行くわけではないので、登山カードは提出しない。
雪に埋もれてはいるが、登山道がわからないわけではない。1時間かからないと信じて歩き出した。
  
登山道の入り口。赤い矢印が登山道。このくらいの積雪でした。

  
少し進むと左手に沢が現れ、この沢を右に左に渡渉する。

最初ムジナ沢を右手に見ながら進むがすぐに沢から離れる。やがて左側に沢が出現。登山口からだいたい10分強で最初の渡渉になる。その後何度か渡渉を繰り返す。
途中、雪で道がよくわからなくなったが、見回すと赤いリボンがあって、迷わなかった。
1箇所だけ渡渉場所が崩れていて、そこには行かないようにロープが渡してあった。その先のなだらかな場所で渡渉できるのだが、渡渉してから先のテープが見当たらないで多少困った。が、よく見れば道らしい場所はそうでない場所と少し違うので、なんとか登山道に復帰できた。
このコースはスノートレッキングのコースでもあるらしく、木々のかなり上のほうに赤いテープがある。積雪何メートルになるのやら。雪の上を歩く分には上のほうの赤いテープはよく目につくだろう。
渡渉場所が崩れていたところから10分もしない場所に水音が高い場所があった。右手になった沢にあきらかに滝がかかっている。
おっ、あれが白崩滝か?
いいや、違うとダンナが言う。
白崩滝は、地図からすると登山道の左側に見えるはずだから、あれはそうではない。
でも、幅広のなかなか綺麗な滝らしいので、よく見てみたくなった。
雑木林の奥にあるために登山道からその滝はほとんど見えないのだ。
よし、下りて行こう。
雪が積もっていなかったら、きっと行く気にならないだろう斜面を雑木やら倒木やらを跨いだりくぐったりしながら、時にはズボっともぐりながら下りて行く。
ようやく滝前にたどりついた。
小ぶりではあるが、岩盤が複雑でなかなか綺麗な滝である。
実は、私は完全にこの滝が白崩滝だと思い込んでいた。というのも、白崩滝、どの地図にも載っていない滝なのである。つまり、滝とはカウントできないくらいの規模の滝なんじゃないか、と推測していたのだ。
だから、ダンナの言葉を半分疑っていた。
だが、時間も早いし、お空は真っ青だし、たとえ行き過ぎてもそんなに悔しくないだろうと思った。
登山道に復帰して、先に進む。なだらかではあるが少しずつ登る感じの雪道を進むと、時々木々の間から左側に遠くの山が見えるようになってきた。高度も上がったのか、くるぶし程度だった積雪が足首、すねと、どんどん深くなってくる。
時々この進み方で大丈夫かと思う場所もあったが、しっかり赤いリボンが誘導してくれた。
滝から30分弱、道がいきなり左側が開け、目前の登山道は急に下る道になった。え、下るの?しかもかなり急だ。
が、滝好きは聞き逃さなかった。林から飛び出たあたりで、遠くから水の音が聞こえてくる。それもハンパな音ではない。かなりの急流、そうでなければ滝という水音だ。
滝となれば、どんなに急な下り坂でも下りて行く。実際、雪で足場がさっぱり分からず、ダンナが慎重につけてくれた足場にもかかわらず思いっきり滑って数メートル滑り台状態になってしまった。が、滝好きはくじけない。水音が近くなっているのだ。
滝、滝、滝、と思って、急な坂を下って行くと、どういうわけかポンと林道に出てしまった。
雪で埋もれているが、これは自動車も通れるくらいの立派な道ではないか?登山道はどうなっているんだ?
  
立派な林道に見えるでしょう。
出てきた対面に目をこらすと、小さな道しるべがあった。さらに下ると「桜ゾネ」、我々の来た方向を「ムジナ沢」と記している。が、林道はどこから来てどこに行くのか案内もない。まして、滝の案内はあるわけもない。
さて、我々の毎度おなじみの失敗であるが、今回も地図を持って来ていなかった。せめて登山地図でも持って来ていれば、桜ゾネってどこにあるんだということくらい確認できたはずなのに。
ま、とにかく今は水音の正体を確認することが先決である。
ここで、協議になった。進路を桜ゾネ方面にとるか、林道の下り方面に取るか。音としては、林道側から聞こえる。おぼろな記憶では、登山道から滝は見えるという。どっちだ?
音のするほうに進むことにした。とにかく登山道は下ってまた林の中に入って行く。展望がきかない道では、たとえ滝があったとしても見えないかもしれない。林道は、見たところ谷側の展望は開けているようだ。
ビンゴだった。
数十メートル下った所で、杉林の向こう側の遠い崖から、ものすごい滝が落ちているのが見えた。
あった、あったよ。すごい滝だよ。
雪はすねくらいまであって、歩きづらいのだが、ちゃんと滝が見える場所まで急いで進む。滝の正面にあたる場所が杉が途切れて滝の上部が見えるようになっていた。滝までかなり遠いし、滝の下半分が見えないが、そこしか滝を望める場所がないようだった。
滝つぼまでどのくらいあるのか分からないが、まわりの風景からして落差は30メートル以上はありそうだった。
白崩沢の名前のもととなったのか、対岸の山はスパンと崩れて白い岩盤を覗かせている。その崖に沢が一挙に落ち込んでいるのだ。
はっきり言って驚いた。
こんなにすごい滝があるなんて思いもよらなかった。
ダンナの言うことを信じて雪のなか歩いてきてよかった。
それにしても、こんな滝がどうして地図に載っていないんだ?これでは国土地理院の地図なんか信用できないではないか。
林道をもう少し下ってみたが、さっきの場所以上に滝が見える場所はなかった。ちょうどお日様もサンサンと輝いて暖かい場所なので、そこでお昼にしてしまうことにした。林道上だが、間違いなく誰も来ない。もし誰か来るような道だったら、今まで足跡くらい見てもよさそうなものだが、まったく無かった。
そういうわけで、雪で椅子をこしらえて、クッションをひいて滝をながめながらカップラーメンとおにぎりを食べた。考えてみたら、妙な光景なのだろうが、幸福だった。
  
手前が雪の椅子。雪のテーブルでお湯を沸かす。
よくよく見ると滝は桜ゾネへ向かう登山道の方向からだと、手前に崖があって多分見えなくなるだろう。今ごはんを食べているこの場所が唯一白崩滝を見通せる場所なのかもしれなかった。
ごはんを食べ終えて、また協議である。これから先、来た道を戻るかこの林道を下って行くか。
林道は果たして、どこから出ている林道なのだろう。
地図を持たないので、それさえもわからない。
が、まあ、山を下っていることは確かなので、いずれは県道に出るはずである。大きく迂回するハメになっても、自動車が通るくらいの道であれば危険な渡渉とかもないだろうし。
何より、最後の滑り台状態になった急坂を登るのがイヤだった。
ゆるゆると林道を下って行く。
が、この林道、廃道になって久しい道らしかった。かなり幅広の道なので、天井を覆う枝が無い分積雪が多い。多いので歩きづらい。しかも廃道なので真ん中に草が生えていたり、しまいに道そのものが沢になってしまったりしている。
沢になっている場所は雪でなくて土が見えているのだが、その部分は階段状に丸太が渡されていたりするので、これは自動車が通る林道ではなく、幅広の登山道と言っていいものだろう。
これをどれくらい下るんだろう。
なーんて思っている間に目前にしっかり除雪されたアスファルトの道路が見えてしまった。え、あれは県道ではないのか?
滝前を出発して20分たっていない。めちゃくちゃ近いんじゃないのぉ?ムジナ沢橋から滝前まで我々は小一時間かかって到着したんだぞ。
いや、県道にしたって、ムジナ沢橋から遠い場所に来てしまったのかもしれない。
おそるおそる県道に出た場所にあった橋の名まえを見る。「白崩沢橋」。納得するには充分すぎるほど当たり前の名まえだった。が、地図を持たない我々はそれがムジナ沢橋からどれほど遠いのか全くわからない。
とにかく県道を下って行こう。長い道のりになるかもしれないし。
ならなかった。
すぐに洞窟風呂で有名な大自然館というホテルが見えてきた。ここからムジナ沢橋は徒歩で5分程度である。そこから我々が駐車した駐車場までだって5分くらい。
なんてことだ。こんなに楽に行ける場所に白崩滝はあったのか。
白崩沢橋の袂にある林道入り口に自動車を置くことができれば登りだって30分かからずに滝の見える場所に行きつける。渡渉もない。白崩滝が遠望であればこんなにお手軽滝だったとは。
ショックといえばショックだったが、帰りが楽だったのは嬉しかった。
自動車にたどりついて、思った以上に足腰がこわばっていることに気がついた。雪の中を歩いたので、予想以上に疲労したらしい。
こりゃあ温泉ですな。
3日前に入った入広瀬の寿和温泉でゆっくり筋肉をほぐした。
半日で終わってしまった行程ではあるが、雪の中遊んだし、滝がとにかく素晴らしかったので大満足だった。
登山道にはもしかしたら、こんなに素晴らしい滝が隠されているのかもしれない。まだまだ調べる必要があるようだ。
交通
最寄ICは、関越自動車道小出IC。
ICから国道17号線を経て、国道252号線に入り、入広瀬を目指す。
国道290号線との分岐点を過ぎて少しすると左手に道の駅いりひろせ(鏡ケ池)がある。
この先、夏場であればトイレは何箇所かあるのだが、冬場はほとんど閉鎖されていて、ホテルのトイレを借りる以外手がなくなるので、できればここでトイレに入ったほうがよい。
ここから右手にJR只見線を見ながら福島県方面に進むが、右に大白川駅があるあたりで左に曲がる。
国民宿舎浅草山荘とか、大自然館とかエコミュージアムとかの案内があるのでそちらの方に進めばよい。
やがて破間川ダムが見えはじめ、赤い浅草大橋を渡るとすぐに大きな駐車場がある。
ムジナ沢コースを登る場合、登山シーズンであれば、ここに駐車したほうが無難。
これを通り越して、左側に浅草ヒュッテという小さな建物があるが、これも通り越すとすぐに「ムジナ沢橋」になる。橋の手前右に林道の入り口があり、そこに入ってムジナ沢橋の下をくぐる手前に小さなスペースがある。ここに駐車できなくもない。
ここがムジナ沢コースの入り口で登山カード用のポストもある。
ムジナ滝(仮)を見るのであれば、ここから行くのがいいだろう。だいたい30分くらいで滝の脇に行ける。渡渉が数回あるので、増水時は注意が必要だ。我々の行った時は、長靴で大丈夫だった。
白崩滝だけでよい、というのなら、ムジナ沢橋からさらに先に進むとホテル大自然館がある。ここの前にも大きな駐車場があるので、登山シーズンにはここに駐車するのが無難。大自然館からほんの少し進むと「白崩沢橋」である。
橋の手前右側に林道の入り口がある。自動車1台くらいなら駐車できると思う。
この林道を徒歩で20分ほど登ると左側の断崖に白崩滝が見える。
我々は雪の積もっている時に歩いたので、正確なことはいえないのだが、道自体が沢のようになっている部分もあったので、防水の靴か長靴が必要だと思う。

  

上の写真は、白崩沢橋から上流を見たもの。旧道の橋があり、その右側に林道が白く斜め上に延びているのがわかる。
  


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