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2007年11月の三十三丈滝のレポはこちら




三十三丈滝
これは、一番メインになる真ん中の滝。
幅が広くなって落ちている。
惜しいことに、下半分くらい屏風上に張り出した
岩に隠れて、滝つぼが見えない。
遠望なので大きく見えがちだが、
水の感じから言って、
落差30メートルはありそうだ。



これが三十三丈滝の全体像。
真ん中の一番白く見える部分が上の写真だ。
上段と中段、中段と下段の間に
それぞれ平らな流れがあるので、
独立した滝が3本ある、とも言える。




上段。
もっとも神秘的である。
谷がするどいV字だというのに、
横側から落ちているので、
どれほどの落差なのかさっぱりわからない。




下段。
さすがに下のほうなので、
どの角度からも途中の木々の枝が
邪魔をして、よく捕らえることができない。
滝つぼも見えなかったので、
こちらも落差がわからない。




こんな格好で撮影しました。
ダンナの足元は崖になっていて、
崖に張り出した木にまたがっています。
私はそこまで行くのが怖いので、
少し離れた斜面で撮影。
数本邪魔になった手近な枝は、
ロープでたわめて視界を得た。
2008/12/20  三十三丈滝(落差、三段合計で70m?) 加茂市
2007年の秋、長年追い続けてきた粟ケ岳の中腹にかかる滝、三十三丈滝の一部分を捕らえることができた。だが、それは、本当に一部分で、いったい滝がどんな形をしているのか、どれほどの落差なのか、さっぱりわからない状況だった。
雪が積もっていたし、装備も無かった。滝の音と、滝の頭の部分の白い光を見ながら撤退を余儀なくされたのだ。
それ以来、この滝を見る年に1度のワンチャンスを待ち望んでいた。
何故に年に1度なのか。
滝が深い断崖に落ちている滝なので、直下に行くには沢登りの経験豊かな人でなければ無理であろうと思われること。
遠望では、ブナの木の枝が邪魔をして、葉っぱの繁る季節ではまず絶対に見えないであろうこと。
葉っぱのない季節となると、落葉後か若葉の出る前なのだが、若葉の前の季節は谷のために積雪と雪崩が心配だ。そこから導き出されるのは、落葉後で積雪前のほんのわずかな日しか三十三丈滝を遠望できるチャンスが無い、ということである。
今年は、実は11月の後半に滝仲間のYouさんとチャレンジするつもりで登り口の駐車場まで行った。だが、突然の雷とあられに襲われて、10メートルも歩かずに撤退。また1年待たなくてはならないのかとちょっと絶望的になっていた。
だが、思った以上に暖冬だった。
ほとんど雪が降らない。雪が降らないどころか暖かい。
なんと、12月20日という年末も近い日にもかかわらず、遠くに見える粟ケ岳は山頂だけが白くてあとは雪がなさそうな状態だった。
  
この日の粟ケ岳。頭だけ真っ白。
天気予報は晴天。気温も上がる。これは粟ケ岳に行けという神様の指令だ。
そんなこんなで、今回もピンクの軽自動車で粟ケ岳の登山口に向かった。
11月に来た時は日曜日でしかもとんでもない天候だったので、工事は行われていなかったが、この日は土曜日。「県営農地環境整備事業北五百川地区ほ場整備第二次工事」はしっかりと行われていた。
第一の駐車場から一合目の駐車場までの田んぼを全部ひっくりかえして整備しているといった感じの工事である。
道はとりあえずあるのだが、重機でほじくりかえされてどろだらけ。立ち入り禁止の看板もあるが、登山者は矢印のとおりに進んでくださいという立て看板もあるので、入ってはいけないわけではないのだが。少し行くと、重機が動いていて、わざわざ止まって山頂まで登るのかと聞いてきた。「いいえ、粟薬師までです」
実際に粟薬師までしか登らないのだが、その先に我々にとっての目的地がある。
15分ほどかけてどろどろの道を歩いて1合目に到着。
    
  
工事中なので、工事現場を通って一合目の駐車場まで行く。
    
  
いつもならここまで自動車で来れる一合目の駐車場と猿飛滝手前の橋。
そこから15分ほどかけて祓川沿いを歩き、2合目の橋を渡る。もう午前10時半を過ぎていたのだが、霜がはって真っ白だった。
本来ならこのまま登山道を登って行くのだが、今日は橋を渡って少ししてから登山道を右にそれて川沿いを進んだ。猿飛滝を滝下から見るためである。
もしかしたら5合目より上は積雪していて、またしても三十三丈滝が見られない可能性があるので、そのかわりとして押さえておこう、という魂胆だ。
冬の日差しを浴びて、なんとも優雅な感じで猿飛滝は落ちていた。今回は長靴なので、川の中に入って撮影も可能だ。5分ほど猿飛滝に寄り道して、登山再開。
ところが、思った以上に気温が高かった。これが12月の気温かと思うくらいに空気がぬるい。すっかり冬仕様の仕度をしていた私達は少し歩いては上着を脱ぎ、少し歩いてはセーターを脱ぎ、ということをする羽目になってしまった。
しかも、長靴。これが重い。蒸れる。
多少なりと雪があるはずだと思い込んでいたのに、なんと5合目の粟薬師にたどりつくまで、ついに積雪は無かった。
2ヶ月ほどほとんど登山はしていなかったので、体力も激減している。暑い。長靴重い。ということで、3合目にたどり着くまでにすでにヘロヘロになっていた。水場から5合目まではゼイゼイ言いながらなんとかよじ登ったという感じである。
    
  
猿飛滝の落ち口を渡る。水場の上のぶな林はとても綺麗だ。
  
粟薬師の周りだけ雪が残っていた。

ちょうど12時になったので、避難小屋の中でコンビニおにぎりとカップラーメンの昼食にした。ラーメンを食べていると、外から何やら話し声がする。初老の男性2人が山頂から下って来て、やはり小屋で昼食をとるつもりらしかった。我々がいるので、遠慮して外でシートを広げていた。彼らの話によると、山頂は1メートルほどの積雪らしい。我々は初心者なので山頂は目指さないと言うと、大丈夫だよ登れるよと言ってくれた。
それでは、ちょっと上まで行ってみます、と出発する。まさか三十三丈滝を見に行きますとは言えない。
5合目粟薬師から少し登ると、下田の袴腰山から伸びているぶなの道との合流点になる。山頂へ行くには右に、袴腰山に行くには左に行く。
我々は左に。
  
ぶなの道との分岐点。看板がいくつもある。
ここを少しだけ下ると、昨年三十三丈滝の頭だけ見た地点への突入口になる。
この突入口については詳しくは説明しないが、滝音が大きい場所というのがヒントだ。
5合目の粟薬師には雪があったのだが、突入口には雪は全くなかった。昨年、たしかこの木のあたりで滝の頭を見た、という場所に行ってみたが、雪が無いために、笹の残りだのぶなの枝だのが昨年より濃い。ほとんど滝は見えなかった。
さて、これからどうするか。
滝のある谷までは急ではあるが崖ではない斜面が続いている。じっくり観察して、転げ落ちないくらいの斜面である右側にむかって下ってみることにした。
ずるるるるるる。転げ落ちてはいないが、滑り落ちている。
あちこちにぶなの木の若木があるので、手がかりになるため、スピードを殺せるが、もしそれがなかったら、滑落もいいところである。
やや行くと、急な斜面のど真ん中から水が湧き出ていて、それが小さな沢をつくっている場所に出た。一見沢は見通しがよくて、階段状になっているので下りやすそうに見える。少し泥だらけになるか水びたしになるのを覚悟すれば沢沿いに下るのがよさそうに思える。
だが、沢の周りにはぶなが全く生えていなくて手がかりが全くない。もし下ることはできても登ることができない小さな滝のような段差があったら、帰れなくなってアウトである。素人は沢を下ってはいけない。右側のルートは閉ざされた。
またそこから観察して、もとに戻る形で左側に向かった。
そうやって藪のなかをジタバタして、ようやく小さな崖状の突端に出た。すぐ下が三十三丈滝の落ちる小俣沢、というわけではないが、地形的にガクンと先が無い場所なので、ぶなの木が前方をふさがない。いや、多少はさすがにあるのだが、他の斜面のように覆いかぶさるほどのぶなの枝に邪魔されない場所だ。
おお、見える。見えるぞ。
三十三丈滝が上から下まで見えた。
なんてことだ、三十三丈滝は三段の滝だった。
上段の滝は、我々の位置からは横顔しか見えない。右側の斜面から飛び出した水が滝つぼに落ちる部分だけ見える。あの滝の全てを見るには、空撮くらいしかないんじゃなかろうか、というくらい狭まった谷の間に落ちている。
中段の滝が主瀑だ。我々が昨年見たのは、この滝の頭である。
よく見えるのだが、屏風状の岩が下半分を隠してしまって、滝つぼは見えない。かなりの水量、かなりの落差がありそうだ。
そして、下段の滝。これまた枝に阻まれて滝つぼが見えなかったのだが、主瀑で広がった水をきゅっと集めて、勢いよく落ちている。
我々が見た位置から滝まではどれくらいの距離があるのかさっぱりわからない。少なくと5〜600メートルくらいには近づいたと思うのだが。
滝の直下まで行く、とか、滝のしぶきを浴びる、というレベルまで近づくことはできなかったが、三十三丈滝がどんな形をしている滝なのが、この目で見ることができた。
それで我々は満足することにしよう。
あとは、沢を遡行できる技術を持った人たちにまかせよう。
写真を撮影し終えて、突入口に戻ることにした。
さて、どうやって我々はここに来たんだろう。木につかまって、半ば滑り落ちるくらいな感じで下って来た。ということは、今度は木につかまって、よじ登るように登らなければならない。
ふと見ると、我々が滑り降りた跡が、まるで滑落跡のようにずざざざざ〜っと下に向かっている。ばかだ。こんな角度、下りて行ったのか〜。上から見るのと下から見るのとでは大違いである。
ひいひい、へえへえ言いながら、やっとのことで突入口に到着。留守番させていたリュックをみつけた時には心底ホッとした。
あとは、ほとんど危険のない登山道をゆっくり下ればいいだけである。道のある場所を歩くのがどんなに楽なことか。
14時20分ころ粟薬師の避難小屋に到着。とりたてて休憩もせずに下り、途中、工事現場で道ではなくてドロドロのぬかるんだ広い場所に迷い込んだりして15時40分頃登山口の駐車場に到着した。
これにて、われわれの三十三丈滝をめぐるミッションは終了である。
もう三十三丈滝は追わない。粟ケ岳の谷深く、人知れず瀑音を響かせていてほしい。
交通
粟ケ岳五百川登山口
最寄ICは、北陸自動車道三条燕IC。インターを出たら左折。そのまままっすぐ進み、石上大橋を渡る。この道は国道289号線である。あとは国道289号をはずれないようにひたすらまっすぐに下田方面に進む。清流大橋で五十嵐川を渡ると旧下田村である。さらにまっすぐに進むとT字にぶつかる。ここは右に。まだ国道289号である。ここから先もとにかく国道289号をはずれないようにかなり進むと、道の駅漢学の里下田がある。それを通り越してまだ進む。
ようやく前方に八木ケ鼻が近づいて来る。
右に曲がると「いい湯らてぃ」という表示が出て来るのでその通りに右に。(ここをまっすぐに行くと八木ケ鼻直下の駐車場に行けるのだが)八木ケ鼻大橋等2つの連なった橋を渡り、左に「いい湯らてぃ」の建物を見ながら通り越すと信号になる。
国道289号はここを右折する。
が、粟ケ岳登山道へはここを直進する。ちょうど「いい湯らてぃ」の遠いほうの駐車場の真ん中を通る道である。
直進しつつ集落を通りこすと、左に川が出て来る。祓川である。川沿いに少し走ると右側に第一の駐車場がある。駐車場の向こう側にマスの釣掘りの文字が見えるので目印になる。
駐車場の入り口に一合目の駐車場をご利用くださいと書いてある。駐車場の斜め向かいに祓川を渡る橋があり、そちらに向かって進む。
この先は棚田状の田んぼがつらなっている細い道である。しばらくこの細い道を登ると20台くらい駐車可の駐車場がある。
ただし、2008年の年末には、1合目の駐車場までの道は工事のために完全に潰されて、徒歩で行く以外に方法は無くなっていた。ここの工事の状況については、三条市に問い合わせていただきたい。

三十三丈滝
登山口より1時間強登った五合目粟薬師の少し上にあるぶなの道との分岐点近くに三十三丈滝の道標がある。
ここから滝は見えない。また、ここから滝に向かってやぶを下ろうとしては絶対にいけない
なぜなら、滝はこの道標のある斜面の下の谷から落下しているのである。もし斜面を転げ落ちたら谷に転落した上に滝からも転落することになる。この道標の場所からは滝は絶対に見えないし近づくこともできない。また、道標のある斜面はかなり急である。滝についていえば、この道標は全く役にたたないどころか、危険きわまりないことを念頭においておこう。
滝に最も近いのは、ぶなの道側に進んで下り、最初の底部まで下りきらない場所である。
ただし、ここからも遠望なうえに、雑木の枝でほとんど見えない。
本当に滝を全部見たいのであれば、小俣川を遡行するか、とんでもない長さのザイルが必要となる。素人は近づいてはいけない。


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