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大滝
ダンナが決死の覚悟で撮影した。
崖のギリギリまで降りて撮影。
大滝はどうも3段、ないし4段の滝らしい。
写真は右に見えるのが2段目。
中央は2段目のつぼ。
つぼから落ちる3段目。
守門川本流がそれぞれ釜をもった滝と
なって豪快に落ちているのである。
正面から見ることができたら、
さぞかし、すごいことだろう。


こちらは、3段目をなんとか捕らえた。
水はあくまで透きとおっている。



これは、私が登山道から撮影。
こんなもんしか見えません。
右端が3段目のつぼだと思う。
真ん中の青い部分が4段目、もしくは、
3段目のつぼから流れる渓流の
下にある淵。
本当に真っ青だった。


ついでに私が見た大滝。
木の葉っぱしか見えないぞ〜。



登山道沿いの草花。
この季節は地味な花しか無かった。
ほとんどみんな白い花。










蝶もたくさんいた。
上、ツマキチョウ。下、ウスバシロチョウ。



前方の守門岳は
雪がまだ残っている。


山の緑は新緑と深緑。



帰りに、川を渡って足をあたためつつ、
コーヒーで体も温めた。
ビリビリしていた足の感覚が戻ってくる。
蒸し暑い日でも、暖かい飲み物は
嬉しいのだと気付く。
2004/6/6  大滝  下田村 (落差はわかりません)
まず、冒頭で断っておく必要がある。
この下田村の守門川にかかる大滝は、国土地理院発行の地図にある大滝とは場所が違う。一般の地図では、大滝は守門川の支流にかかっていることになっているのだ。
しかし、地元の山岳会や渓流釣りの本などでは、こちらの本流にかかる滝を大滝としている。一般の地図上の大滝は、下滝沢という沢にかかる下滝、ということになっている。
ここでは、地元の情報と、本流にかかる滝こそ大滝にふさわしいであろうという判断から、本流の滝を大滝として取り上げた。
また、左欄の写真から分かるように、滝全体を見ることは不可能だったということも、最初に断っておく。

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しばらく前からこの週末は梅雨入り前の最後の晴れ間になるだろうと言われていた。となると、1日しかない休日とはいえ、滝を見にいかないわけにはいかない。
いくつか候補はあったが、先日地元の温泉宿で入手した登山地図に載っていた下田の大滝に行ってみよう、ということになった。
この下田の山塊は春はヒル、夏はメジロアブ、秋は熊、冬は大雪という、四季どれをとっても手強い敵がいる山々である。その中でも比較的対抗しやすいのは春のヒルくらいなものだ。
ヒルについては、前回行った旭滝の記憶も生々しいので、過剰なまでに防衛することにした。と、言っても本格的な装備があるわけではない。防水の足カバーをつけ、靴とカバーを布ガムテープでぐるぐる巻きにした。これでとにかく進入だけは防げるはずだ。もちろん、くっついたヒルを退治するための塩も持った。秋でなくても徘徊しているらしい熊の用心として熊鈴もつけた。防虫グッズも万全だ。
地図によるとほんの片道1時間強の道のりにどうしてそんなにたくさんの荷物を、というくらいの荷物をしょって駐車スペースになる吉ケ平山荘を出発した。
なぜ荷物が多くなったか、それは渡渉しなくてはならないということを事前に知っていたからである。実は昨年の夏に一度この大滝にはチャレンジしている。が、目前の川に阻まれ先に進めなかった。(その時のレポートはここへ)先日入手した地図によれば、その地点からほんのわずかに行った所に大滝があるらしいのである。
もし雪解けで川の水量が増えていたら、腰まで浸かってしまう可能性もある。着替えやらタオルやら、防水のためのビニールやら、なんだかどっさり持って行く羽目になった。もちろん、渡渉のためにビーチシューズ(水に入っても大丈夫な靴です。でも、渓流シューズよりお手軽)も用意した。
ここから先は時間に沿って説明したい。
 
まず、吉ケ平山荘を出発。8:38
登山者のものか、山菜採りのものか、すでに自動車が10台ほどとまっている。
ここから先、最初の堰堤まで自動車が入れる。そこにも5台ほどの自動車と、ウェダーを装着した渓流釣りの人がいた。
さらに先の大池の入り口までならなんとか自動車が入れる。そのなんとか入れるくらいの道にも3台ほど自動車がとまっていた。こちらは山菜採りの人のものだろう。
ここ数日よく晴れて、湿度も低かったせいか、道は乾いていた。おかげでヒルの姿も見えない。過剰なまでのヒル対策は無駄だった。
代わりに、晴れた午前中ということもあって、蝶の姿はたくさんあった。ウスバシロチョウをはじめ、こんな所にもいるのかと驚いたアサギマダラ、サカハチチョウ、ツマキチョウ、etc。いちいちとまるのを待って写真に収めたので、普通の人よりもかなりゆっくりのペースになった。
蝶の写真は後日ダンナがUPするでしょう、たぶん。
 

栃の木平に到着。9:40
普通のペースであれば、吉ケ平山荘から40分程度で到着できる。
 

桂のへつりに到着。9:52
栃の木平から思ったよりも近い。ここから河原におりる。
 

第一の渡渉地点。
青い矢印が桂のへつりと書いた杭から降りてきた場所である。すぐ下と思ってよい。
写真は川を渡ったあと、振り返って撮影。
写真では見えづらいが、青い矢印のすぐ下に細いロープが張ってあるのがわかると思う。これを頼りに川を渡るつもりだったが、ちょうど対岸から山菜採りの人がやって来て、ロープよりも少し上流をざばざばと渡って来た。じっと見ていると太ももくらいの深さである。
話を聞いてみると、渡るのならロープの所は流れが速くてむしろ危険だという。地元の人間はロープの所は渡らないとのこと。「町のもんは知らねぇっけ、ロープ使うろも」ということだ。
この先は女の人にはキツイかもしれない、というので、滝まで行くつもりだと話したら、滝はすごいよ、滝つぼが青くてきれいだよ、と教えてくれた。そーか、すごいのか。
しかし、ついでに、このあいだ滝に落ちて人が死んだとも教えてくれた。上から落ちて亡くなったのだそうだ。それは教えてくれなくていいのに。
ともかく、水位は太ももくらい。では、ジーンズをまくった程度では濡れてしまう。と、いうことで、山菜採りの人を見送ってから、そのばでショートパンツにはきかえた。はきかえた直後にまた対岸から山菜採りの人が3人ほどやって来た。危ない。危うくパンツ見られるところだった。
その人たちはロープを頼りに渡って来た。町のもんだな。我々の格好を見て渡渉するのだと分かったらしい。しきりにロープを使えとすすめる。村のもんは本当のこと言わない、のだそうだ。こらこら。
しかし、ロープの所はやや浅いようだが、どう見ても急流なのである。ここは村のもんの説を採用して、上流、上の写真では赤い矢印のように川を渡った。
渡る前に山菜採りの人がハンパじゃなく冷たいよ、と教えてくれたとおり、川の水はものすごく冷たかった。とんでもない冷たさである。冷たいどころか痛い。足がどこかに行ってしまいそうなほど痛い。
水流は思った以上に激しかった。足が二本並んだ状態になると水圧で体が持っていかれそうになるので、とにかく足は1本1本バラバラに出さないといけない。川底は平らではなくゴロゴロした石ばかりなので、足の置き場も迷う。幸い、ビーチシューズはグリップがよくて滑らなかった。
足が完全に麻痺する前になんとか対岸に到着して、痛い痛いと騒ぎながら靴をぬいだ。靴の中の水も冷たくて、凶器のように感じてしまうのだ。
町の山菜採りの人たちは、私たちが渡るのを見届けてから、もう一回渡るところがあると教えてくれて、河原から去って行った。
1つ目を渡渉し終わったのは、10:08
 

やぶの道を少し歩いて、第二の渡渉地点。10:10
上の写真はさて、どうしたもんだか、と川をみつめるダンナ。結局同じ川を2度渡るのである。桂のへつりが急で、高巻きルートがあったはずなのだが、すでに道は消えてしまって、渡渉するのがメインのルートになっているのだ。
一番最初の村の山菜採りの人から、やぶを出てすぐのところを渡ると浅いと教えてもらっていたが、深そうなのだ。すこし上流をあたってみたが、今度は流れが急になっている。
 

結局、村の山菜採りの人の言うとおり、やぶを出てすぐの所をようやく渡った。10:20
写真は渡り終わってから振り向いて撮影。
赤い点線のとおりに渡渉。本当にやぶの出口すぐの所だ。
ここの水位も太ももくらい。冷たさはもちろん同じ。足がちぎれる。
しばらく足をあたためるために休憩。私はショートパンツの上からジーンズをはき、靴も履き替えた。
ここから先は少し道が荒れる。川の脇の登山道なのだが、川と道の間には木々が茂り、川自体は見えない。時折ひどくぬかるんだ場所もあり、足場に困る。
が、どういうわけか山菜採りの人だの支流の沢のイワナ釣りの人だのがたくさんいる。
どうも、この登山道はこのシーズンはとても賑わうらしい。
危ない。気軽に着替えなんかできないんだ。いつやぶからおっさんが覗いているとも限らない。
しばらく歩くと、沢の音が豪快な音に変化した。
これは滝だ。間違いない。滝だ、滝だ、と喜んで歩みを速めた。10:42
が、滝は見えなかった。
急な崖になって、しかも木々が茂り川面さえ見えなくなっている。
目をこらすと、木々の間に白いカーテンが見える。滝だ。滝なんだ。なんだけど、さっぱり見えない。
よくよく目をこらすと、滝つばは見える。たしかに青い。青いけど、見えない。
端っこに滝が落ちているらしい水のしぶきは見える。だが、滝は見えない。
ダンナが崖の途中まで降りて行ってみると言い出した。
木々が生えているので、途中までは崖というより斜面になっている。が、上から見えないだけで、崖の状態がどうなっているかなどわからないではないか。
しかも、山菜採りの人から、上から落ちて亡くなった人がいる、という話まで聞いているし。
危ないからやめろと言ったが、ダンナは行ってしまった。
私はここでダンナが落ちたら、とにかく下まで走って行ってイワナ釣りに来ていた人たちをつかまえよう、とか考えていた。
しかし、ダンナは無事に帰還。
撮影されたのが左欄の写真である。
もう少し上に行ってみようということになり、歩いてみた。滝の上流が少しみえたが、穏やかな川だった。
 
大滝の少し上に山の神というポイントがある、と地図にある。
とりあえずそこまで歩くことにした。ほどなく山の神に到着。10:57
山の神との位置関係からいっても、あの見えなかった滝が大滝であることに間違いはなさそうである。
この上流や支流にも滝はあるが、道は険しい。あとは戻るしかなかった。
戻りながら、大滝を見るために川に降りられないか探してみた。
しかし、川は崖の下。
よしんばかなり下流から遡行するとしても、途中で両側崖という場所がいくつかありそうな気配である。完全に足がちぎれるくらいの水温の川を泳ぐ覚悟が必要である。
もし大滝を正面でなくても登山道から見れるとしたら、木々の緑が芽吹く前か落葉したあとであろう。しかし、雪の多いこの登山道では雪が溶けるより前に緑が芽吹いてしまう。唯一、雪が遅い年の晩秋だけが見ることができる季節ではないかと考えられる。ただし、その時期は冬眠前の熊が出没する恐れがある。危険であることに変わりはない。
来た時と同じように川を渡って、河原でコーヒーを沸かした。
途中の沢でとった水は甘くて美味しい。あまりに澄んでいて綺麗で冷たいので、川の水もカップにとって飲んでみた。これも美味しかった。
この少し上流に大滝があると思うとむちゃくちゃ悔しい。が、仕方がない。
素人には見ることのできない滝なのだと理解するしかないだろう。
帰り道は本当に足が重かった。
落胆というのは、肉体の疲労も増進するのだなぁと実感する。
川まで渡って滝が見れないなんて、あんまりだ。
吉ケ平山荘に戻ると、まだ時間は1時。お昼を食べて、麓の温泉に入っても3時前。あまりに消化不良なので、いい水でも汲んで帰るかと、日本名水百選の「杜々の森」に向かった。(「杜々の森」のレポートはここへ
そこで、滝の神様の慈悲が少々あったのだが、そのレポートは新潟の滝64へ。
交通
最寄のICは、北陸自動車道燕三条IC。ICを降りて左折。国道8号線を横切り、石上大橋を渡り、ずんずんとまっすぐ進み、信越本線を高架で横切り、さらにまっすぐに進み、清流大橋を渡り、さらにまっすぐに進むと下田村に着く。T字につきあたったら右折。下田村役場の前を通り、またしてもまっすぐに進む。このまっすぐに進む道は全て国道289号である。目前に八木鼻の断崖絶壁が見えるあたりで大きく左にカーブしているが、その曲がり鼻で右折。そのまままっすぐに進むと『いい湯らてぃ』になるが、途中で吉ケ平方面に右折。
この道の終点が吉ケ平山荘である。
途中葎谷集落が終わると、道が極端に狭くなる。その手前に駐車スペースらしい場所があり、なおかつ、立ち入り禁止のような看板が掲げてある場所があるのだが、かまわず進んでよい。
そこからさらにだいぶ長い距離自動車で走ることになる。
やがて道が未舗装になり、少しすると左がわに廃校のような「吉ケ平山荘」が見える。ここに自動車をとめよう。
トイレも一応山荘の中にある。
登山ルートは右欄を参照。


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