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石屋の滝(仮)
なんで石屋かというと、
採石場の中にある滝だからだ。
そのまんまである。
それにしても、直線だ。
滝はその直線どおり三段になっている。
これを段瀑というのかどうかは、
頭の痛いところである。



ちょっと離れてみてみる。
まだ雪が少し残っていて、
段々の場所がはっきり分かる。



斜面というよりむしろ法面の上を
水は滑り落ちている。
もちろん滝つぼなんかない。
水は葦原の中の池や葦原そのものに
吸い込まれていっている。




払川支流小滝(仮)
これもまんまの仮称ですいません。
どなたか名前を知っている人が
いらっしゃったら連絡ください。
やや広い滝つぼを持ち、
素直に落ちるよい滝である。



大きさ比較。
ダンナは滝つぼの端に行こうとしている。
落差は7メートルほどか。



落ち口。
川の本流がきゅっと狭まって、
段を作って落ちている。



滝つぼ。
深くはないが、わりと広い滝つぼだ。




払川支流大滝(仮)
上の小滝の下流にある。
本当に同じ川で何百メートルも違わない
場所の滝なのかと思うくらい
水量が爆発的になっている。



大きさ比較。
赤い矢印の先にダンナが立っているのを
滝の落ち口と同じくらいの高さから撮影。



川は、滝から直角に曲がって流れている。


落ち口。
岩があるのか、まるではじけるように
ぶわっと水が出ている。



これは滝前に下りるときに利用した沢の水。
ちょうど大滝に向かって立つと左側に
並んで落ちている。
簾のようで綺麗だった。
2005/3/27  米山周辺の滝B  
 石屋の滝(仮)30m?以上、払川支流小滝(仮)7m?、払川支流大滝(仮)15m?    
柏崎市  

疲れていた。いつもこの季節は体がだるくなる。だからお休みが日曜日しかないこの週末はどこにも行かないつもりでいた。
だが、朝起きてみると晴れていた。ぽかぽかと暖かい晴れの日曜日、どうして家の中にいることができるだろう。
と、いうことで、自動車を走らせてしまった。
起きてから行く先を決めたので、それほど遠くには行けない。しかも、まだ山には雪がたくさんあるだろう。せっかくの暖かいお天気を残雪の冷気に冷やされたくないではないか。では、行く先は海である。
だが、海では楽しみがない。われわれの楽しみといったら、もちろん滝と温泉と湧き水なのだ。その3拍子が揃う海辺はどこだ?答えは意外と簡単だった。柏崎市である。
柏崎市は、海辺から自動車で5分も走るとあっという間に山間部になってしまう。湧き水も豊富。まだ訪れていない滝もゴロゴロある。
ほとんど昼近くなってから柏崎市に到着した。
いや、到着する前にちょっとどたばたした。
国道352号線の西山町と柏崎市の境にある観音岬で土砂崩れか何かがあったらしく、通行止めになってしまっていた。我々はその観音岬から入って椎谷不動尊の裏にあるという湧き水を汲むつもりだったので、出端でくじかれてしまった形である。
幸先が悪い。これは、今日の滝見を暗示しているのではないか?
不安になりながら自動車を進めた。

以前国道352号線を上越市方面に向けて走っていた時にはるか遠く、高速道路の高架の向こうに滝らしき水流を発見したのだが、それが滝なのかどうか確認することが今回のメインだ。
まずは国道352号から場所を特定する。米山大橋から高速道路のほうを見てみつけたと思い込んでいたが、それよりも上越市寄りの上輪大橋から見て発見したのだと分かった。上輪大橋は、袂の山に胞姫神社がある橋なのですぐに分かる。橋の上から高速道路の向こうの平らな崖を見ると直線的に水が落ちているのが分かる。
それにしても、滝かどうか特定できない。
というのも、その崖がものすごく直線的で、水流も直線的だ。もしかしたら砂防ダムか、それとも採石現場の臨時的な水流かもしれない。
とにかく、あれに近づく手立てはないものか。
いったん上輪大橋を通り過ぎてからUターンして、道を探した。国道からすぐに山がわに行く細い道があったので入ってみる。上輪大橋と芭蕉トンネルの間くらいの場所である。段々になった田んぼの間をゆるやかに登って行く見通しのよい道だ。
しばらく走ると高速道路の上を渡る橋になった。そこに自動車をとめて、もうひとつ上越市寄りにある徒歩でしか渡れない橋がわに近づいてみた。
そこから遠くに例の滝らしきものが見えた。遠い。この道は滝に近づく道ではないようだ。
  
高速道路の上の橋から撮影。段々の直線具合がわかるだろうか。

どう考えても上輪大橋の下から川の上流に行くしかなさそうである。そんな道があっただろうか。
もう一度上輪大橋をめざす。橋の上から下を覗くとはるか下に払川が。その脇には採石場らしきものが見えるが道などなさそうだ。
とにかく、川が海に出る場所まで行ってみよう。
上輪海水浴場に出る道があったので、そこに入る。柏崎市がわから上輪大橋を渡って少し走った右側にある道である。崖をつづら折で下りて行くような道で、途中右に折れる道があった。
とにかく突き当たりまで進んでみる。上輪の集落に出た。突き当たりに駐車スペースがあり、そこに地図などもあったので、確認してみる。
どうやら途中でみつけた右に折れる道で上輪大橋の下をくぐり、払川の上流に行けるようである。
よし、行ってみよう。
進んで見ると、上輪大橋の下あたりでやっぱり採石場に出た。しかし、前方に軽ワゴンが進んでおり、どんどんと採石場の中に入っていく。おや、採石場に見えたのだが、その会社の土地のど真ん中にちゃんと道があるらしい。軽ワゴンに従って、その道を進んだ。両側が会社の土地で、進入禁止の貼り紙がしてある。が、道は進入禁止ではない。
  
真ん中の青い橋は高速道路。どまんなかの砂利道を行く。右がわのフェンスも左側のフェンスも採石場の土地だ。

左に払川を見ながら砂利道を進んで行く。採石場をぬけて林道らしくなったところで道は大きく右にカーブしたのだが、そこで我々は目的のものを発見した。
滝だよ。
この妙な風景は何だろう。
採石された岩盤が直線的に段々になり、その段々に沿って水が落ちているのだ。
  
きけんですから入らないで下さい。○○石材(株)と書かれている。が、フェンスの隣に入りやすい隙間があったりする。分かりづらいが、右側の段々に滝が落ちている。

  
で、これが段々。うーむ、見事な人造美。逆光で滝が見えづらいが、真ん中よりやや左に滝が落ちているのが見える。

採石場の立ち入り禁止のフェンスの向こうの不思議な滝に、もちろん我々は近づいた。
明記しておくが、不法侵入である。休日のため会社はお休みだったらしいが、このあたりまで来ると土地そのものが放置されているらしい。重機などもなく、土地も草ぼうぼうの荒れた状態だった。まさか地雷が埋めてあるわけではないだろう。注意すれば危険なことはない荒地である。
荒地を進んで行くと滝と我々の間に川が横たわっているのがわかった。払川の支流である。それほど広い川ではないが、水量は多い。
仕方がないので、川を挟んで滝を見ることにした。滝まではかなり距離があるが、葦の枯れたものが密生していて、もし川を渡ったとしてもたどり着くのにはかなりの困難が必要だろう。近づいたところで、滝つぼがありそうもないし。
それにしても、これは、滝とカウントしていいものかどうか。
見た感じがあまりにも人工的である。
だが、この地形になって10年くらいは簡単にたっているだろうし、水をわざわざ人間がここに運んだのではなく、水が選んでこの場所から落ちているのだろうから、いくら岩盤が人工的に整地されたような直線だとしても、これは滝だろう。
落差はさっぱりわからない。大きいのだ。少なくとも30メートルはありそうだ。50メートルはあるかもしれない。
この場所が採石されて削られなければ、沢はゆるやかに流れて海に至ったのだろう。しかし、採石されて滝となった。
本当に不思議な光景だ。

だが、私にはもっと気になるものがあった。
滝と我々の間に流れる払川の支流。こいつの行き先が気になる。なんか、ストンと落ちている。どう見ても落差がある。確実にこの下流には滝がある。
川に沿って下流にむかって歩いてみた。
ただし、川面から私たちの立っている場所までは軽い崖になっている。1メートルから5メートルくらいのわらかい土の崖になっていて、河原はない。
葦を掻き分けて滝の落ち口らしい場所まで行って覗き込んでみたら、ものすごい水の音がした。
うわ、滝がある。だが、見えない。
対岸に行けば見えるだろう。
我々のいる岸からは角度的に見ることは不可能だ。
この川を渡る場所などあるだろうか。
とりあえず林道を上流に向けて歩いてみれば、林道に橋があるかもしれない。という淡い希望を抱いて歩いてみた。
ダメだった。
林道は川に沿って走っていて、橋で渡る場所などなさそうだった。
だが、歩いた甲斐はあった。
なんと、上流にも滝があったのだ。
この滝は林道からでも見える。よくは見えないが、ちゃんと滝として落ちているのが確認できる。
ああ、この滝も対岸に渡れたらきっとよく見えるだろうのに。
ふと見ると釣り人が滝にむけて下りようと努力していた。
滝つぼまではゆるいが崖になっていて、林道からだと15メートルくらいはあるだろう。かなりあちこち覗いていたが、釣り人も困っているようだった。きっと彼は我々にこの道の存在を教えてくれた軽ワゴンのドライバーだろう。
私たちはもう一回フェンスのところまで戻って、川辺に立った。
ダンナが1箇所だけ対岸に渡れそうな場所をみつけていたのだ。長靴ならなんとか行けるだろう。雪があるかもしれないと持ってきた長靴だが、こんな場所で役にたつとは。
コンクリートで固められた場所と石とを使って飛び石状態で対岸に渡った。なんとか渡れた。
  
この場所を渡りました。帰りが怖くて5分くらい渡れないよぅと泣いてました。

あとは、滝に向かうだけである。まず、確実に行けるとわかっている上流の滝から行ってみることにした。渡った場所からそれほど先ではない。
巨大な滝の岩盤のすぐ脇といった場所である。
いや、それにしても葦がすごい。冬枯れした葦でさえ行く手を阻む。これが夏場だったら、まず行けないだろう。行けないどころか、滝だった見えなかったかもしれない。
  
葦原を行く。枯れているのに、葦は楽に2メートルはあった。

  
葦の中にはフキノトウも顔を覗かせていた。

きゃーきゃー騒ぎながら払川の支流を右に見て上流をめざす。いっそ河原があったら楽なのに、とにかくこの川には河原がない。なんとか滝前にたどりつくことができた。
おお。見事な滝ではないか。
水量が豊富で気持ちがいい。
ただ、林道から落とされたものか、古タイヤなどのゴミが少し気になった。
おりようと苦心していた釣り人の姿は無い。やっぱり向こう岸の林道からおりるとなるとロープが必要だろうと、滝下まで来てみてわかった。

充分に上流の滝を堪能して、下流に向かうことにする。上流の滝から下流の滝の落ち口までは、200メートルほどか。ただし、直線距離であって、葦の間を通り抜けたり途中にいきなり出現する池を迂回したりするのでもう思った以上に時間がかかる。
滝の落ち口に出たが、そこから先は川に沿っては下りられないようだ。仕方がないので、川から離れて下にいけそうなルートを探る。やや川から離れた場所に池から流れ出たらしい小さな沢があり、その流れが大きな石を階段状にしてくれている場所をみつけた。ここからなら、比較的楽に滝前に行けそうである。
  
沢のおかげで岩が露出している場所を下りて行く。
下りてみて、びっくり。爆発的に水を噴出している大きな滝が出現した。
思っていた以上に落差がある。本流の水が一気に15メートルくらい落下している。春の雪解け時期のために増水いているのかもしれないが、とにかく勢いがすごい。勢いがすごいので、滝の規模も大きく見える。久々に飛まつを存分に浴びた。

この払川の支流は、払川に至るまでにまだまだ落差がありそうなので、滝が存在しているかもしれない。が、この下は確実に採石場の現場そのもので近づけない場所である。また上流には釣り人がいそうなので遠慮したが、上流にも小滝がいくつか存在しそうだ。
払川本流も米山を源として急激に海に流れ込む川なので滝が期待できそうだ。
まだまだ滝が潜んでいそうな柏崎の川たちだ。


*追記 石屋の滝(仮)は、その後水流の流れが変わったらしく、落ちなくなっていました。

                         米山周辺の滝Cに続く
交通
払川支流については、本文中を参考にしてください。
なお、確実に私有地なので、自己責任において行動してください。
また、払川支流のやわらかい土の崖は、つい最近崩れたような形跡もあったので無防備に川に近づくのは危険である。

米山周辺の滝@、A
米山周辺の滝C

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