![]() 黒滝(下段) 滝つぼの一段下から撮影。 上段がほぼ直角に曲がった角度で 落ちているのがわかる。 ![]() 大きさ比較。 赤い矢印の下にYouさんが しゃがんで写真撮影中。 こうやって見ると、デカい。 ![]() 水流の後ろ側に空間を抱えた いわゆる裏見の滝である。 ![]() 下から見えるのは、たぶん上段の 斜度が急に変わっているあたり。 ![]() 滝つぼ。 上から見た感じでは、 滝の水が落ちるあたりだけ 深い感じだった。 ![]() 少しずつ崩れている様子の 板状節理。 ![]() 滝を含む空間はこんなかんじ。 向こう側の斜面は 霜で白くなっていた。 ![]() 滝水なのか、湧き水なのか。 滝のまわりには幾条もの水の筋がある。 ![]() 緑の苔から滴り落ちる水。 とても豊富で、溢れかえっている感じ。 ![]() 滝と緑の苔の塔の位置関係。 滝と同じ高さだけ苔の塔がある。 ![]() 黒滝(上段) ああ、小さく写ってしまてる。 迫力的にはこんなもんじゃないです。 右手前に斜めに落ちている木は 枝じゃなくて大木なんです。 ![]() ゆるやかな斜面の落ち口。 向こう側には黒滝橋も見える。 ![]() ナメになっている部分。 ここは水の流れがゆるやかで、 スローモーションのようだ。 ![]() 滝つぼ。 20メートルクラスの大木が流れ着いている。 滝となって落ちた川はほぼ直角に曲がって 下の滝に続く。 ![]() 撮影者と滝の位置関係。 ![]() これは、 林道から2メートルくらい下がった場所で 撮影した黒滝。 ちょっと木がわずらわしいが、 全体を見るには充分。 ナメ部分が意外にも長いのがわかる。 ![]() 記念撮影。 決死の思いで下ったわりに 笑顔なんだから(笑)。 |
2006/11/26 黒滝(落差上段35M、下段15M?) 十日町市 黒滝については、実は新潟の滝のホームページを開いた当初から少しずつ情報は得ていた。地図であったり、本であったり、ある時はメールで全体を撮影した画像を送ってくださった方もいた。 2004年の真夏、それらの情報を手がかりに黒滝橋まで行って、橋のそばからなんとか上半分を見られたものの、あまりの夏草の多さに沢まで下るのを断念していた。(その時のレポはこちら) そんなわけで、我々の中で黒滝はそばには行けるが姿が拝めない滝という項目に入れられてしまった。 ところが、2006年。御滝の存在を教えてくださったYouさんがついに黒滝の全容を解明してくれた。(Youさんのブログはこちら) 実は登山地図で黒滝川の黒滝橋のすぐそばには滝マークが2つ連なって書かれている。二段の滝であるのか、滝が二つあるのか、ぜひにも知りたいところだった。 それを単独で沢まで下りて行って、全く異なった趣の滝が2つ連なっているのだとその目で確認した。 それがまた、とんでもなく美しい滝が橋のそばから見える滝の下に存在していたのである。 Youさんのブログでその写真を見せていただき、どうしても行きたくなった。 幸いYouさんとは、一週間前に御滝でご一緒させていただいている。 晩秋の日曜日、晴れという予報が出たので我々はかねてから宿題になっている津南町の城滝を探索するつもりでいた。 津南町? あらまあ、ちょっと国道をそれれば、黒滝への入り口の太田新田はすぐそこじゃないの。 せっかく長野国境まで行くのだから、城滝だけで済ますにはもったいないじゃないの。 すぐさまYouさんにメールを出していた。 「黒滝、行きませんか〜?」 いきなりの申し出を快く引き受けていただき、めでたく黒滝を拝めることになった。 当日は快晴の朝で、ものの見事に放射冷却していた。途中で見た道路わきの温度計の左側にマイナスの標示が出ていたのにはさすがに驚いた。 9時半から10時の間に小松原林道の車止め前でYouさんと待ち合わせなので、9時過ぎに林道に入ったのだが、なんと一部凍結していた。ほんのわずかな日陰の部分だったが、まだ冬タイヤでないので、ちょっと怖い。 さあ、もうそろそろ車止めだという場所で、どひゃ〜、なんと木が倒れていて道をふさいでいた。 と、その木のあたりから人が出て来た。Youさんだ。と、いうことは、Youさんの自動車はこの先に進んだということだ。 谷側の路肩部分が膨らんでいて、けっこうしっかりしている。Youさんの自動車はそこを通ったという。ならば我々の自動車も大丈夫だろう、と通ってみたが、木の枝部分が危うくドアをかすめそうになってけっこうギリギリだった。 とにもかくもになんとか自動車止めまで来た。 自動車の中で待ってらしたYouさんの奥様と始めましてのご挨拶。Youさんの奥様は山菜取りをされるそうなので、山はお手のものである。 とにもかくもに仕度をして、車止めわきの沢水をペットボトルにつめこんで林道を歩き出した。 ![]() 林道の周りは、木々がすっかり葉を落とし、草もほとんど無くなって山肌がよく見えるようになっている。草がないわりには緑色の部分が多く、あちこちで苔のボールを並べたような湧水の沢が溢れていた。 いきなり岩盤から水が出ていて、本当に湧き水なのだとよくわかる。それも、山のあちこちからどんどんと出ている。 この山はどこまで豊かに水を含んでいるのだろうか。 あら、ここにも湧き水、そこにも湧き水、なんて言っている間にあっという間に黒滝橋のそばまで来た。 お、草や葉っぱがないと、林道からでも黒滝がよく見える。 やや谷がわに突き出した場所まで行ってみると、殆ど滝つぼまで見えていると言ってもいいくらいだった。 ![]() それでも、二条あるはずの水流の片一方はよく見えないし、やっぱり枯れた草木が邪魔である。どっちみち下の滝までは下らないと見えないので、ここは覚悟を決めて斜面を下るしかない。 ほとんど心の準備もしないまま、Youさんが冬枯れた木々の間に分け入って行ってしまった。 そうですか、いきなりですか。 ![]() ![]() つい、と覗くとこの斜面が本当に急である。私の感覚からしたら東京タワーの上のほうくらいの斜度はある。つまり、垂直に近い。しかも、踏み跡なんか皆無である。 わたしはのろいのでしんがりと思っていたが、Youさんの奥様が長靴が滑ってうまく下れないとおっしゃった。危ないので上で待っているとのこと。 あら、まあ、それはもったいない。でも無理強いもできない。 急斜面と木々でYouさんとダンナがすっかり見えなくなってしまう前についていかなくてはならなので、それでは行って参りますとしゃがみこんだ。 しゃがみこんでお尻をついた形でないととても下る勇気がない。ほぼ滑り台状態だ。 だいたい滝を見に行く時に私が騒ぎ出すのはちょっと深い渕があるとか、滑りやすいジャンプしなくてはならない場所だとか、滝行きも佳境に達してからなのだが、今回ばかりは踏み出した直後からキャーキャー大騒ぎだった。 「きゃー、いやー、滑るー、落ちるー、怖いー、冷たいー」 考えられる限りのネガティブな言葉がついて出る。仕方ない、本当にそういう状況なのだ。 ずぞぞぞぞぞぞーーーー。木がなかったら、間違いなく沢まで転げ落ちていただろう。 目標の太い木のあたりまで来たらダンナとYouさんが待っていた。 ![]() この下は崖で、ダンナなら崖の直下を斜めに横切っている段差を利用して沢に近づけるだろうとYouさんが言っている。では、私は? 上手い具合に笹が枯れきっていて、Youさんが以前来た時よりも斜面の様子がよく分かるようになっていた。沢に向かって右方向、つまり下流方向に横移動して行けば崖を避けて沢まで下れそうなのがわかった。 と言ってもやっぱり藪こぎには変わりない。 あっちがいい、こっちがいいとYouさんが指示してくれるので、きゃーきゃー言いながらとにかくそっちにくっついて行くしかない。 そうこうしているうちに、上のほうからYouさんの奥様が下りてこられた。やっぱり一人で待っているのはつまらないですよね〜。 私は自分が一番危険なのを棚に上げ、奥様にその下は崖だから斜面沿いにこっちに来たほうがいいですよ〜などとアドバイスしたりする。 あ、小沢だ。これを渡ってまだ下流に行くのか。って、沢じゃない。湧き水である。いきなり斜面から水が溢れかえって、何条もの湧き水の滝になっている。 ![]() かと言ってこれを渡るのは怖いじゃないのよ。 しかし、意外にも苔の生えた丸い石は滑らなかった。ふわっと足を受け止めてくれたので対岸に渡ることができた。 崖から下は崖から上よりも比較的斜度はゆるやかなので、きやーきゃー言う場面は少なくなる。 それよりも、眼下に黒滝の下段の滝が見えてきて、そちらのほうが気になった。 ![]() ![]() ![]() やがて、ぽん、と岩だらけの黒滝川の河原に出た。 上流にはもちろん黒滝の下段の滝がある。あるのだが、ありゃりゃりゃりゃ、お日様がちょうど滝の向こう側。まぶしくて何も見えない。 お日様を滝の向こうに沈めるには、滝に近づくしかない。 今度は大岩のごろごろした河原を滝に向かって歩き始める。と言っても、ほんの目の前なのでそれほど時間はかからない。ただ、落ち葉が岩の上に積もっていて、岩の隙間の穴を埋めているのが危険だ。気をぬいて歩くとズボっと落ちかねない。 滝つぼから一段下までたどりついて、とりあえず撮影。この位置からだと上の滝の一部も見える。 充分に堪能したあとで、大きな岩を回り込んで滝つぼのすぐ脇まで行った。 ああ、すごい。板状節理の棚から水が一気に空中に放り出されている。滝水の後ろには大きくえぐられた空間がある。もしそこに行くことができるなら完全に裏見の滝になる状態だ。 それよりも何よりも、滝が何条もの子分を従えているのがすごい。落差こそかなり縮小されてしまっているが、華厳の滝の十二滝を連想させる流れである。 しかも、さらにすごいのが滝に向かって立って左がわの岩盤がふっくらと緑に苔むしていて、湧き水が絶え間なく落ちている。なんて綺麗なんだろう。なんて豊かなんだろう。 しばし時間を忘れて滝と湧き水の競演に見とれてしまった。 Youさんの話では、もう少し水量が少ない場合は飛び石で対岸に渡れるのだそうだが、今日は少し水が多かった。Youさんは最初から濡れる覚悟でじゃぶじゃぶと水に入り、なんとか我々を対岸に渡そうと流木をかき集めて足場にしようとしてくれたが、さすがに流木では間に合わなかった。 対岸に行きたいのはやまやまなのだが、水の流れがものすごく、足を入れたら私ではすくわれそうな気がした。こんなところでびしょ濡れはいやだ。今回は対岸に渡らずに手前からだけで諦めることにした。(対岸からの画像はYouさんのブログでご覧ください) それにしても、この黒滝の下段の滝は本当に綺麗だ。裏見の形状といい、苔を伝い落ちる豊富な水といい、新潟県ではこれほどの美瀑にはお目にかかれない。今まで渓流釣りの人たちしか見たことがないとは、本当にもったいないことだ。 下段の滝で満足して、もう完全に滝見は終わりという気分になっていた。 が、実はメインは上段のほうなのである。 どちらかというと、黒滝と称するのは上段の35メートルの滝のほうなのだ。 つまり、その滝を見なくてはお話にならない。 だが、上の段ということは、もちろんまた登らなければならないというワケでして。 ただ、下りの怖さからすれば、登りのほうが数段楽である。手当たり次第に木を掴んで猿よろしくぐいぐいと腕力で登ればよろしい。視線の先には地面しかないので恐怖もそれほど無い。 途中、なめこ採りとおぼしき人が崖から覗き込んでいて、危険だから進んではいけないと下から忠告する場面もあった。びっくりしただろうな、あの人たち。 来たのとほぼ同じルートで崖の上に出て、今度は黒滝川の上流に向かって下りて行った。 ![]() ![]() 下りると言ってもそれほど下りられるわけではない。 すぐに滝前になるのである。 滝前ではあるが、35メートル滝のほぼ中間くらいの高さのテラスである。そこから先は巨大なすり鉢上の滝前の崖になっている。 ガッツがあるならザイルを利用して滝つぼまで行けそうな感じではあるが、我々にはそこまでのガッツはない。 目の前に落ちる巨大な滝に感嘆の声をあげるだけで精一杯である。 いや、本当に大きい。 林道からチラっと見えていたのは、本当に一部分にすぎなかったのだと分かる。 ちょうど滝の高さの中間点から見ているために、滝の上部のナメ滝部分もよく見え、滝が美しく分岐して滝つぼに吸い込まれていく様子も手にとるように見える。 水の流れのなんと複雑なことか。 本などでは二条の滝であると書かれているが、我々が行った時は水量が多かったのか、むしろ幅広の優美な分岐瀑になっていた。 こんなすごい滝を隠していたか、黒滝川。すぐ真上に橋がかかっているくらい近くまで林道が来ているというのに、恐らく林道を行く人は誰もこの滝がこんなにすごい滝であるとは気がつかないだろう。 新潟県には百選の滝が3つあるが、そのどの滝と比べても遜色はない。特に下段の滝と合わせれば全国トップクラスの滝なんじゃなかろうか、とさえ思えてしまう。 実は、滝のレポートにはおすすめマークというのがあるのだが、この滝には3つくらいおすすめマークをつけたくて仕方がない。だがつけられない。あまりにも見るのに危険を伴いすぎる。林道がすぐそばにある分だけ安易に考え、見に行ったというのに崖から転落しないとも限らないのである。 なんだか歯がゆくて仕方がないのだ。見て欲しいのに見に行ってはならないと書かなければならない。 だが、ここははっきりと明記しておく。 黒滝は必ず案内をしてくれる人と一緒に見に行ってください。 いくつも沢を経験されている方がもし単独で行かれるとしたら、安全を確保して足場を充分に確認して沢に向かって下ってください。いきなり崖になっています。 経験の無い人は行かないほうが無難です。 そんなこんなでとてもすばらしい滝を見ることができた。 またひいひい言いながら木を頼りに斜面を登り、林道に復帰する。 いやぁ、ご苦労様でした。 それほど時間がたっていないような気がしていたが、気づくともうお昼前である。林道を歩き、自動車に戻って、さらに下の滝下広場でお昼にしようということになった。 途中、左手かなり下に見える黒滝川の流れの中に滝らしい水流を見つけては自動車を止めてあそこに滝だ、脇から流れ込んでいる、などと言っているあたり、うーむ、我々もYouさんも間違いなく滝○かである。黒滝川は本当に滝だらけの川らしい。 ![]() 滝下広場に行くと、今日は水の流れが少ないまでも、滝が2つ落ちているのがわかった。以前てっきり上の滝だと思っていた滝が下の滝で、うっすらと凍って見えるのが中の滝であるとYouさんから教えていただいた。上の滝は林道で回りこんださらに右側にあるらしい。以前UPしたレポを修正しなくては。 ![]() ![]() ![]() 車止めのそばの沢水で入れたコーヒーで一心地つく。 よし、では今度は全く危険じゃないはずの城滝へ行こう。あまりに黒滝が素晴らしかったので、これで終わったほうがいいんじゃないかなーという気持ちを抱いて、出発した。 この日の城滝のレポはこちら |
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交通 国道117号津南町大割野で国道405号に入り、秋山郷方面に向かって進む。途中やや道の細い曲がりくねった登りになるが、ややすると太田新田集落への入り口の大きな地図看板が見える。ここで左折。道は細いがそのまままっすぐに道なりに進んで行く。途中、お宮さんがあり、それを右にみながら進んで行くと集落は終わり道は林道のようになる。すれ違いが困難なので注意が必要だ。 途中、やや広い道との十字路になるがまっすぐ進む一番細い登り道に進む。 その林道をずんずん進んで行くとやがて滝下広場の駐車場に出る。これを左に見ながらさらに自動車を進めると目前に車止めの柵がみえる。この向こうが滝下広場である。その柵の手前に道しるべがあり、その道しるべの小松原湿原方面に自動車を進める。右折して登る形になる。 また細い林道を進んでしばらくするとゲートになる。自動車がたくさん止まっていると回転が困難かもしれない。 ゲートから徒歩15分から20分で黒滝橋に着く。その手前に少し沢に向かって突き出たようなスペースがあり、そこから覗き込むと黒滝が見える。 ここから沢に向かって斜面を下りて行くのだが、いきなり崖になっている箇所もあるので細心の注意を払って下りてほしい。 笹の生い茂っている季節は斜面の様子が分かりづらいので、初めて訪れる場合はできれば晩秋が好ましい。 笹が全くなく、見通しがよい状態で、不慣れなものが沢まで下りるのに20分かかった。 当然のことながら手袋は必携。 足回りは斜面を下るのでトレッキングシューズがよいのだが、滝の対岸に出るには長めの長靴があったほうが安心。 泥だらけになる覚悟はしておこう。 ![]() 全く参考にならないルート。沢から振り返って撮影。赤線のスタートと白い湧き水の中間あたりに崖がある。赤線は崖下の段差を利用した危険なほうのルート。 |
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