71−4





吹上ノ滝
空が真っ黒に写ってしまったが、
ホントに真っ青で雲一つなかった。
滝上の紅葉が今までで一番きれいだ。



滝前の岩に進むダンナ。


私は手前で見てました。


見事に吹き上がっている。


わかるかなぁ、
上から三回跳ねているのよ。



この日の吹上ノ滝の横顔。。


遠くのほうに見えた沢のきらめき。
割引沢かと思っていたが、
もっと枝の小さな沢のようだ。





ニセアイガメの滝(仮)
えーと、修正してません。
まるで絵はがきのような一枚。
空の青はホントーにこの色だった。
滝は白く、木々は色づき、
天狗岩はどっしりと見下ろしている。
現実にあるんだ、こんな風景。



私のコンデジだと
こんな風にしか撮れません。





アイガメの滝
いつもながら、アイガメは半分日陰だ。
我々の足で登ると、かなり早朝の
出発でないかぎり、
アイガメの滝全部に日光が
当たっている時間に間に合わない。


でも、紅葉は綺麗だった。


滝の上のほうでこんな感じ。


全体だとこんな感じ。
2007年に来たときより、
水量は少ないかも。


すぐ脇を登るのだが、
紅葉の只中に入っていくようだった。




縮布の滝
念願の滝だ。
私が待っているので、
じっくり撮影できなかったそうで、
近づく時間もなかっただろう。
で、見事に半分から上と下では
コントラストが違いすぎて、
全体がよく分からないが、
見事な直瀑だったそうだ。
落差は15メートルほど。
「縮布」はどう読むのかは
南魚沼市観光協会に問い合わせたところ、
丁寧に調べてくださった。
清水の観光協会長様にも聞いてくださり、
古い文献なども調べていただいたが、
読み方はわからなかったそうだ。
ここは、巻機山という機織りにちなんだ山の
滝、ということで、このサイトでは
「ちぢみの滝」と読むのがロマンだろう、
と思うので、そうしたい。
調べていただいた方々、
本当にありがとうございました。



これは、私が待っていた場所から
上流を見た写真。
遡行を阻んだ小滝である。
左岸がわの大きな岩盤の向こうが
縮布の滝、ということになる。


上の写真を岩を登ったダンナが
上から撮影したもの。
沢はこの先右にカーブして、
滝になる。
小滝は多少濡れることを覚悟すれば、
左岸がわの岩を登って
クリアできるので、
登山道の取付きから
滝を目指さないほうが安全。
ただし、水量の少ない時の場合だ。




よく撮れたなぁ、という感じの
避難道からの割引沢。
たぶん、アイガメの滝あたり。
カメラでは明るいが
人の目だとずっと暗かった。





虹の滝
オマケですみません。
2014年の秋の虹の滝である。
ちょっとだけ紅葉には遅かったかも。
でも、水量は多かった。



午後も遅かったので、
写真も暗い。
この時間は林道の先から登れる山から
戻ってくる登山者とけっこうすれ違った。



それにつけても、
この川の水は本当に綺麗だ。



しゃくなげ湖の対岸に見える
清水大滝。
橋の右手の斜面を大がかりに
工事していた。



しゃくなげ湖畔から見える中ノ岳(一番奥)。
中ノ岳が見えるポイントは限られていて、
なんとなく近寄りがたい山である。
2014/10/25  巻機山割引沢の滝たち、2014年錦秋
              おまけ 虹の滝            
  南魚沼市
2014年の秋は、例年の秋に比べて紅葉の時期が一週間ほど早い。
寒暖の差も大きく、たぶん、山々の紅葉は素晴らしいものになっているんじゃなかろうか。
と、いうことで、この前の週に八海山に登った。たしかに紅葉は素晴らしかったが、体力がついていかなかった。ならば、次の週は、滝にしよう。山に登るよりは体力は使わないだろうし、なによりも紅葉と滝という絵は魅力的じゃないか。
そんなこんなで、あちこち候補を挙げていたのだが、秋といえば割引沢、という印象が刷り込まれてしまっているので、つい、割引沢はどうだろう、と提案してしまった。あの沢にはまだ見ていない「縮布の滝」という滝が残っている。このさい、それを探してはどうだろう。
返す返すも、安易な発想でした。
滝が登山より体力を使わないというのは、せいぜい徒歩1時間くらいの沢沿いの遊歩道を歩く滝くらいなもんで、ガッツリと沢を何時間も登って行かなくてはならない場合は、むしろ登山よりも危険でヘンな筋肉を酷使する。結局、ヘロヘロになった八海山よりもさらにボロボロになって戻ることになってしまった。ああ、本当に怪我がなくてよかった。

さて、10月25日。見事に晴れ上がった。なにせ、巻機山の沢コースについて、あまり悪い印象のない我々はかなりナメきった想定をしている。午前7時過ぎに家を出て、9時ちょっと前に清水の駐車場に到着。日帰りで巻機山の山頂を目指すにしては遅い時間なので、駐車場は完全に満車だった。
ちょうど駐車場の管理人さんがいたので、駐まれないだろうか、と尋ねたら、どうやら関係者が駐車するらしい、一般の駐車場の少し手前の高台にある空地を示して、そこなら駐められると教えてくれた。管理人さんのOKをいただいたワケなので、何の苦もなく堂々とけっこう広い空地に自動車を入れる。ここを利用させていただいたのは、この日はどうやら我々1台きりだったようだ。
仕度をして出発。
橋を渡って満車の清水駐車場の奥にあるポストに登山届を出す。ダンナが記入している間、あいかわらず警告看板の多い登山道入り口だとぼんやり見ていると、沢コースはヌクビ沢も割引沢も土砂流出箇所があり、十分な注意が必要と書かれていた。注意が必要ではあるが、登山禁止にはなっていない。と、いうことは、登山できるワケだ。
ああ、ここでもなんて安易な発想力。我々は経験豊富な登山者でも体力がありあまっている若者でもないんだから、少しは危険を感じとらなきゃだめじゃないか。
    
  
駐車場から見た天狗岩。橋の向こうの駐車場は満車。
    
  
警告看板のオンパレードの登山口。右は登山ポストの脇にあった趣きある看板。
結局、なにも気にもとめずに出発した。9時05分。
少し進むと、井戸尾根コースとの分岐で、迷うことなく沢コースに進む。朝露に濡れた小路を歩くと、遠くに天狗岩が綺麗に見えた。今日はあの下まで行くのだ。
意外と長い沢コースと避難路の分岐点までは、ものすごく綺麗な紅葉だった。
    
  
迷うことなく沢コースへと進む。
    
  
避難道との分岐までがけっこう長い。でも、紅葉が素晴らしい。
10時32分、分岐到着。ここから急降下で沢まで下る。ドロドロの道で、スパッツをつけてこなかったのを少し後悔した。
9時38分、沢に出た。
    
  
沢に到着。
げ、水が多い。
ここから左岸に渡渉しなければならないのだが、その渡渉点がかなり厳しい状態になっている。いや、飛び石で対岸に行けないことはない。が、この渡渉と丸木橋が天敵の私にはものすごく危険な状況である。
まず、ダンナが先に渡って、大丈夫であることを示してくれるはずだった。
ところが、である。
飛び石の足場になるはずの石。そいつが足をつくなりグラっと動いた。
当然ダンナは水の中である。
幸い、転倒はしないで、靴が水浸しになった程度ですんだが、あれが私だったら、完全に頭の先までびしょ濡れだ。
いっそう私の恐怖はつのった。行けるワケないじゃん〜っ。
上流へ、下流へとウロウロ歩いて、なんとか行けそうな場所を探す。
ここなら大丈夫かという場所を探し当て、対岸でダンナにキャッチしてもらう形でなんとか渡った。これで足先でも濡れてしまったら、家に戻っていたところだった。いや、むしろここで戻っていたほうが幸せだったかもしれない。
辛いのはダンナで、この後ずっと足が濡れたまんまで歩く羽目になってしまった。
しばらく歩いて行くと、目の前の岩が崩れていた。ここが土砂流出地点だろうか。対岸に小さな滝が落ちているあたりなのだが、土と岩が登山道を不明瞭にしている。
    
  
土砂崩れ現場。対岸に小滝が見えるあたりだ。
    
  
ロープや鎖が頼りの登山道。
踏み跡があるので、それに沿って歩くことができるが、それでもわかりづらい場所があって多少うろうろした。あそこに赤い点がついている、とか、ザイルが張ってある、とか、あちこち目をこらしている必要がある。
すったもんだしながら先に進み、10時12分、ようやく吹上ノ滝に到着した。
おお、名前の通りに吹き上げているじゃないか。
しかも、三回もびゅんびゅんびゅんと水を跳ね上げている。
紅葉も今まで来た中で一番綺麗な感じだった。ただ、この先が長いので、あまりゆっくりもしていられない。ダンナだけ滝前まで岩を飛び越えて進み、写真撮影。私は前方の山に落ちる小さな沢の煌めきを見つけて、あれが割引沢かなぁと思ったりしていた。いや、違ってましたけど。
さらに進むと、なんとも素晴らしい紅葉に彩られた「ニセアイガメの滝」が姿を現した。毎度「ニセ」なんて言って申し訳ないが、ちゃんとした名前のない滝なのでご容赦願いたい。10時27分。
遠くに天狗岩がそびえていて、空も雲ひとつない青。これはもう、カレンダーみたいに完成した風景になっている。

    
  
左、アイガメの滝のすぐ下流。右、アイガメの滝から下流がわを見下ろす。
さらに進むといよいよこの沢最大の滝、アイガメの滝である。
10時45分、滝にたどりつく前にペロンとした岩の斜面を歩かなければならないのだが、7年前にズルズル滑って大変な思いをしたほど滑りやすくはなかった。そういえば、今回は岩の乾いている部分が比較的多くて、滑る心配はあの時ほどひどくはなかった気がする。
アイガメの滝は、半分が日陰になってしまっていて、ちょっと写真映えしない感じになってしまったが、ここでも紅葉が素晴らしかった。
その紅葉の真ん中に向かって、アイガメの滝の右岸を登って行く。鎖が頼りの急登である。
  
アイガメの滝の右岸の鎖にとりつく。

  
滝のこんな近く。
そういえば、この先で、沢を渡る場所があったんだよなぁ。7年前は渡るのにものすごい時間がかかったんだよなぁ。
多少恐れおののきながら進むといよいよその現場になった。赤いザイルが張られているが、鎖は切れていた。ザイルはなんとも心もとなくゆるゆるしているが、それに頼らないと岩をまわってジャンプできる場所まで行かない。7年前より苦なくジャンプできたのは、たぶん比較的新しい靴のおかげである。あまり滑らないので、足元を信頼できる。ま、今回もダンナに受け止めてもらって、私的な難所をクリアすることができた。
  
私が渡れないで困った場所。このロープがゆるくてね〜。
土砂の流出がどれほどのものか、我々はあまり深刻に考えていなかったのだが、少し登って行って、あれ、と思う場所になった。こんな場所があったっけ、と思うような場所に赤い丸がついていて、綺麗に紅葉したモミジの木を手掛かりにして登って行かなくてはならない。たしか、大きな岩がなかなか登れない場所があったはずなのに、そんな岩がなかったり。(あとで写真で検証したら、岩はあったが、脇に楽に登れる場所ができていた)
  
常に見守る天狗岩。

  
綺麗なモミジをわしづかみにして登る。
そして、ヌクビ沢と割引沢が出会う、「落合」に着いた。11時42分。
なんだか、脳みそが少しだけ警戒音を出していた。
以前見た感じと違う気がする。
特にヌクビ沢のほうが大きな岩がかなり多くなっている気がする。
こんなにヌクビ沢は広かったっけ。もっと木が多くなかったっけ。
  
落合。ヌクビ沢がわ。

  
こちらは、割引沢がわ。
我々が落合を見上げるあたりで、割引沢から単独の登山者が下りてきて、今度はヌクビ沢のほうに登って行った。道を間違えたのかしらん。けっこう苦労してヌクビ沢の大岩を登って行っているのが見てとれた。
我々は割引沢、つまり左側の沢に進む。
山地図によれば、この先は50分で沢を離れる「天狗尾根取付」になる。「縮布の滝」はそのすぐ近くだ。
ところが、割引沢、今までと違って大きな岩がものすごく多くなってきた。一つクリアするにも時間が必要になってきている。
  
ほぼ見る人もない、みごとな紅葉。
それでも、やたら綺麗な紅葉を励みに登って行き、途中の適当な段差で12時半になったので、昼食にすることにした。ここにリュックを置いて、「縮布の滝」へ行けばよい。
50分で「取付」のはずだったが、我々の技量では倍かかるらしい。なぜなら、「取付」は天狗岩を通り過ぎたあとなのだが、天狗岩はまだまだ前方なのである。
幸い10月後半にしては暖かい日だったので、凍えることもなく、気持よく昼食。
さて、出発しますか。13時10分。
沢も源頭により近くなって、岩というより岩盤がむき出しになっているような状況になってきた。テロンとした大きな岩盤をよじ登って行く感じである。
時々、これはもう滝とカウントしていいだろう、という流れも岩を削って流れ落ちているし。
リュックを背負っていたら無理だったかもなぁ。赤丸がついてなかったら、登れなかったかもなぁ。
    
  
割引沢を登る。右写真なんか、もう滝じゃん。
    
  
左写真だって滝じゃん。どうやってクリアしたのか思いだせない。右は、誤って草を登った場所。
それにしても、天狗岩、でかい。
いつまでたっても、天狗岩の下から抜け出せない。
しまいに、小滝をトラバースするように天狗岩直下の草地に踏み跡が出てきてしまった。
え、草地といっても、かなりの斜面だ。
草をしっかりつかんで進まないと、沢に転落する。下は小滝。
草なので、赤丸ももちろんない。
どう進むか進退窮まる場面になってしまった。
ダンナの判断で下に向かって草をつかんで進む。
毎度のことながら、私はキワキワの場所は大キライで、足が震えるほど怖い。ここに至るまでも、ホントーにいやっ。もうやだっ。と何度も悪態をついていた。
と、いうのに、草のせいでダンナの姿が見えなくなり、どっちに進んでいいのかさっぱり分からない状態におかれて、緊張がブチ切れた。なんか、ボロボロボロボロ涙が出てきた。なんでこんなことしているのか、さっぱり分からなくなった。
危うく小滝に落ちそうになったが、そこは踏みとどまり、当たり前の顔をして待っているダンナを見つけて、もう歩かないと泣きながら宣言した。上にも下にもいかないぞ。
いや、大人ならそんなワケにはいかないのは重々わかることなのだが、とにかくパニくっているので、仕方ない。
困ったのはダンナだろう。自分だって、足は濡らすは、疲れているは、さらにパニくった女房を背負うワケにはいかないではないか。
そら、あそこに赤い丸が見えるだろう。あれがきっと「取付」だから、もうちょっとで「縮布の滝」だ。もう少し頑張ろう。
なだめすかされて、その赤い丸の元まで行って絶句した。
赤い丸はほぼ垂直な崖を登れと示していた。
沢は崖を見上げる我々の左側から流れ込んでいるが、その先はクイッと右にカーブして崖の向こう側に消えている。つまり、「縮布の滝」は、崖の向こう側なのである。
私にはこの垂直の崖は登れない。
鎖さえついていないのである。
ダンナはこれを登って、途中で横移動して行けば滝の見える場所に行けるだろう、と言った。そして崖にとりついた。
    
  
見えづらいが、ちゃんと赤丸がついている登山道なのだ、これが。
  
右写真が、取付きと沢の位置関係。日陰になっているのが沢でダンナのとりついている岩盤の向こう側に縮布の滝がある。
  
ダンナ撮影。登山道はこの崖を垂直によじ登る。鎖は無い。
これは、お別れになるかもな、と漠然と私はそれを見上げた。ダンナが途中から横移動する、と言った場所でさえ、高さは10メートルくらいあるのである。そこから転落したら、ただではすむまい。
そんな事態になったら、私はどうしたらいいんだろう、と考えながら崖をよじ登るダンナを見ていた。携帯がつながるかどうか確かめて、無理であれば、ダンナの安否を確かめたうえで、私だけ急いで下山しなければならないだろう。なんでこんな思いまでして、滝を見なくちゃならないのかなぁ。
その横移動でダンナが見えなくなって少しして、ゴロゴロっとそのあたりから大きな岩が落ちてきた。うそっ。ダンナも落ちた?おーいとかなり大きな声で呼んでみたが、返答がない。
バクバクする心臓で目をこらしたら、崖の向こう側になるあたりに白いダンナの帽子がちらちら動くのが見えた。ああ、生きていたよ。
私もじっとしていては心臓がもたないので、沢ぞいに上流まで進んで、遡行を阻む小滝を調べてみた。落差は3メートルないくらいだ。左岸がわにうまい具合に岩が重なっていて、背中を押しあてる形をとればその滝はクリアできそうだった。ただ、滝の上流が足場があるかどうかが分からない。ダンナが戻って来れるかどうか分からないのに、ここで私が失敗して怪我をするワケにもいかない。
結局また取付の前まで戻っておとなしく待っていた。
すると、それほど間をおかず、3メートル滝のすぐ上にダンナが姿を現した。
腕で大きく丸を作って、滝があったと言っている。
いや、滝があったことよりもダンナが姿を見せたことが心底ホッとした。
沢の流れで声が届き辛かったが、取付から戻るよりも、3メートル小滝の左岸の岩を利用して戻ってきた方がはるかに安全で楽であると告げる。
うまいこと、するするっとダンナは下って来て、「あったよ、まさかの直瀑」などとのんきに語った。
私としては、「縮布の滝」はもう、どうでもよかった。生きて帰ってきてくれただけありがたい。
14時5分にダンナが取付を登りはじめて、戻って来たのは14時28分。長い20分だった。
あとで聞いたら、ダンナ的にも待っているからあまりゆっくり滝を撮影できなかったらしい。あと5分待ってもらって、滝壺まで行けはよかった、だって。だから、もう、滝はどうでもいいんだってば〜。
さて、これからは、下山禁止のコースを避難路まで下山しなければならない。
登る時は赤丸がよく見えるが、下る時は赤丸が全く見えないのでより注意が必要だ。
私がパニくった天狗岩直下の小滝は、実は草のほうに進まないで岩を登れば楽に進めたことも分かった。草にうもれる方向に赤丸がついていたのが進路を間違えた原因だ。
こんなに登ったっけ、というくらい下って行って、やっとリュックをデポした場所に戻って来れた。
時刻はすでに15時13分。晴天なので明るいが、急がないと駐車場に着く前に日が暮れる。
速攻でリュックをかつぎ、歩きだす。
まだ下山禁止の天狗尾根コース上だ。急ぐといっても、慌てることはできない。
途中、右岸で増水時の枝沢となるらしい小さな流れをみつけ、それにそって下ることにした。こちらなら、岩が大きくない。ときおり藪になるが、むしろ転落する危険がないだけマシだ。ただ、たまに本当に水の流れが多くなり、滑りやすいのが難点だった。
傾いた西の太陽に照らし出されて、山々の紅葉がいよいよ美しい。しかし、それを愛でている暇はない。
16時ちょうど、落合に到着。
ここから少しだけヌクビ沢を登ると避難路の入り口がある。
はずだった。
ところが、登りの時に感じたイヤな感じがヌクビ沢を見上げた時に蘇ってきた。
岩が大きい。こんな風景見たことがない。
雪か豪雨か、なにかしらの自然現象が7年の間にヌクビ沢の岩を大きく動かしているようだった。
どこまで登ればいいのか。避難路の入り口がまったく分からない。
とにかく、巨大な一枚岩の布干し岩に出てしまったら行きすぎである。みつからなければ、そこまでは登るしかない。
と、左岸のブッシュにくくりつけられたピンクのリボンを発見した。
そのすぐ下の岩に、振り返った状態ではじめて分かる矢印が下流方向に向いているものが書かれている。
    
  
避難道入り口。右写真の三角っぽい黒い岩が目印で、ブッシュにピンクのリボンがついている。
これが避難路の入り口か?
たしか、避難路の入り口は大きな岩があって、赤いペンキでカタカナで「ヒナン道」と書かれているはずである。それが無い。本当に避難路なのか。
ここで道を誤ったら、完全に日没になって、遭難確定である。
だが、迷っていても仕方なかった。ここで下流に向かって矢印がついているということは、避難路以外考えられない。なぜなら、ヌクビ沢も下山禁止のコースなのだ。
ピンクのリボンに導かれ、ブッシュに入り、それの示す方に歩き出した。
歩いて少したっただけで、それが避難路だとわかった。ちゃんと道になっていたし、なにより何回が下った記憶どおりの道だったのだ。
これであの岩だらけの道を下らないですむ。
入り口に入ったのが、16時23分。
過去、避難路を下った際、なんとも下りづらい道だと感じていたが、今回に限っては、こんなに楽な道だったかしらん、と思った。それだけ沢の岩がひどかったワケだ。
振り返って、割引沢を見下ろすあたりでは、まだ天狗岩に西日が差していたが、吹上ノ滝が見えるあたりでは、谷はすっかりかげって、目をこらさないと分からないくらいだった。
幸いなことに、避難路は西に向かって下っていっているので、わずかに残った西側の空の明かりで道を踏み外すことはなかった。しかも、木々の葉が黄色くなっていて、ものすごく明るい。もしこれが別の季節別の天候であれば、もっと早くに真っ暗になっていたと思う。
17時14分、避難路と沢コースの分岐に到着。カメラで道標を撮影するのもやっとの暗さになってしまった。この先もけっこう長いが、坂はキツくない。
しまいに獣の声だの夜鳥の声などがするようになった17時40分。ようやく駐車場に着くことができた。もう真っ暗だった。
  
ストロボでなんとか撮影。真っ暗だった。
それでも遭難したと思われても困るので下山届を携帯の明かりを頼りに書いて提出。ほぼ自動車のなくなった駐車場を突っ切って、我が家の自動車にたどり着いた。いやはや、疲れた。
どうせ真っ暗なので、着替えてしまおうと思っていたら、井戸尾根利用の登山者がヘッドランプをつけて戻って来たりして。暗くなっても、意外と人の目はあった。
さすがにここまで遅くなることを考えていなかったので、帰りは下道で帰るつもりを高速利用で家に戻った。
紅葉はものすごく綺麗だったし、懸案の「縮布の滝」の写真も撮れたが、帰りの自動車の中では、もう山になんか登るもんか、と本気で考えていた。滝ももういいや。

さて、この話にはまだ続きがある。
帰りが遅くなってしまって、気持が動転しているあたりから、なんだかよくない何かがとりつき始めたみたいだ。まず、家に戻って、荷物を自動車から降ろすときにダンナのカメラがからまって落ちてしまい、レンズが壊れてしまった。完全に使い物にならなくなった。幸い本体は大丈夫だったので、レンズだけオークションで購入。安かったけど、いらない出費ではある。
翌日、靴を洗おうとダンナが自動車の荷台を開けてみてびっくり。なんと私の登山靴が乗っていない。暗闇で履き替えて、そのまま積むのを忘れたらしい。暗かったので、扉を閉める時にも気がつかなかった。
さすがに諦めるワケにはいかないので、翌日の日曜日をつぶして、また昨日行った清水の駐車場まで行く羽目になってしまった。もちろん、オール下道です。
翌日も朝からよく晴れていたし、他の人が利用しないような駐車スペースなので、靴はちんまりとそのまま脱ぎ捨てられていた。管理人さんにああ、よかった、と言われてしまった。心配させてごめんなさい。
せっかくここまで来たので、ただで帰るのはもったいないから、方向的に同じしゃくなげ湖の虹の滝を駄賃に拾って行くことにした。
下道利用で出発も遅かったので、虹の滝に着いたのは午後3時も過ぎていて、すっかり日陰になっていたが、思ったよりも水量が豊富に落ちていた。
こちらは谷で寒いので、紅葉もやや終わり加減だった。
しゃくなげ湖の清水大滝がわの道路が工事のために通行止めだったが、対岸からけっこう大きな工事らしいことがうかがえた。
遠くに西日に光る中ノ岳を見ることができる場所があるのだが、あれに登れたらすごいなぁと思っている自分を発見。昨日、もう山には登るもんかと思っていたのにな。しっかり滝にも来ているしな。
無事に帰れたから、みんないい思い出になっちゃうんだろうなぁ。
しなくてもいいドライブをしてしまった日曜日だが、それもいい思い出となって、錦秋の滝めぐりは終了した。
交通
巻機山清水登山口桜坂駐車場
 関越自動車道六日町ICを下りて国道253号を経て国道17号に出る。六日町駅方面へと右折。少し走って、案内板の国道291号という案内に従って左折。国道291号へは右折して入る。商店街のような場所を通り、少しすると道が開け、右側にセーブオンがある。昼食などを購入したい場合はここが巻機山までの最後のコンビニなので、通り過ぎないように。
国道291号は意外に民家が多く、どこから清水の集落なのかよくわからない。いきなり右側の川の方に小さく巻機山登山道と書かれた杭があり、左折するように指示している。これは見落とす可能性が大きいが、心配することはない。
もう少し走ると、清水のバス停がある。ここは少し広くなっているうえに、『巻機山の登山案内図』と『中部北陸自然歩道コース案内』の2つの大きな看板があるので見落とさない。この登山案内図で道を確かめ、桜坂駐車場まで行こう。
 桜坂駐車場はバス停からやや戻る感じで坂を上り、民宿兼食堂の「上田屋食堂」の右側の坂を上り、けっこう自動車を走らせた先にある。
まずキャンプ場の管理等駐車場というのが現れるがそこではない。さらに坂を上るとアスファルトの駐車場が左に現れる。そこに料金所があるが早朝には人はいない。
そこを通り過ぎ、さらに進み、小さな橋を渡るとアスファルトに線が引かれた大きな駐車場に出る。そこが桜坂駐車場である。

沢登りコース登山ルートについは、2004年8月に行者の滝まで行った時のレポート(新潟の滝71)も参考にしてほしい。
ただし、毎年、豪雨や豪雪などの影響か、沢の様相は変化している。よほど登山慣れした人か体力に自信がある人以外は
近寄らないほうがいいと思う。
また、割引沢コースもヌクビ沢コースも下山は禁止のコースで、本文にも書いたが、下る場合は登山コースを示す赤い丸印が見えない。帰りには避難道を利用するつもりでも、かなり慎重に下る必要がある。
何事も自己責任ではあるが、自分だけは大丈夫と思わずに、確実な装備と確実な準備で慎重に計画をたてて行動してほしい。

2004年8月の割引沢の滝たちはこちらから
2005年11月の割引沢の滝たちはこちらから
2007年11月の割引沢の滝たちはこちらから

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