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宝川の滝(仮)
新緑の中、勢いよく落ちている。
上段は小さく写ってしまっているが、
少し遠いためで、かなり落差はある。
全体で10メートルほどか。


大きさ比較。
私は滝つぼの手前に立っている。
滝が小さく写ってしまっているか、
下段の落差が私の背丈くらいだ。
上段は見た目より奥まっている。


上の私の位置から
下段を撮影した。
手前からでは下段の様子がわからない。
岩できゅっと集められた水が
一気に岩盤にぶつかって、
曲がっている。


曲がって、跳ねて、落ちている。



とにかく満開のタニウツギだらけ。
ピンクが美しい。


  

  

名まえのわからない花も
たくさん咲いていた。
2006/5/21  宝川の滝(仮)(落差10M?) 新潟市
我が家からいつでも見える弥彦連峰。この山は越後平野と日本海の海岸の間にぴょっこりとあるらくだみたいな山である。
この山には滝らしい滝は地図上には無い。
だが、前々からあるんじゃないか、と疑っていた。
事実、海岸がわの野積には浜滝があるし、国上山多宝山の麓には小滝がいくつかある。
沢登りを趣味にする方は、神社のあたりの沢を登っていくつも滝を見ているらしいし。
我々もそのうちの1つくらいは見てみたいものだ。
と、思っていたら、4月の角田山登山のおりに集合場所になった角田浜の駐車場のイラスト地図に滝の絵が。なに、滝?
よくよく見たら滝ではなく渓谷らしい。だが、絵がどう見ても滝。こりゃあ、この渓谷に行けば小さいながらも滝が拝めるかもしれない。
そんなわけで、午後から用事のある日曜日の午前中、ちょっとだけ偵察のつもりで行ってみることにした。なにせ、近い。角田浜までなら自動車で30分で行けてしまうのだ。

さて、その渓谷なのだが、イラスト地図によると、シーサイドラインの獅子が鼻のそばのキャンプ場のそばにあるらしい。とにかく、獅子が鼻まで行き、駐車スペースに止めて、今度はちゃんとした地図を見る。キャンプ場の名まえは崖松キャンプ場。渓谷の名まえは宝川渓谷。
とすると、獅子が鼻というよりは、田ノ浦温泉のそばであることがわかった。
少し戻って田ノ浦温泉へ入って行く。ここは、田ノ浦海岸の駐車場を通って行かないと道に出られない変則交差点になっている。
温泉の入り口を通り過ぎてまだ川沿いにまっすぐ進むと、左手に休業中のレストラン。その先にコンクリート敷きの駐車スペースがあった。
道は未舗装になってまだ続いていたが、この先どうなっているのか、回転スペースがあるのかどうかさえわからない。
関係者以外入るなという看板もあるし。
とりあえず様子見ということで自動車をとめて、歩きはじめた。
あたりはタニウツギが満開である。
ついこのあいだまで桜だと思っていたのに、あっという間に初夏だ。
おお、カラスアゲハが飛んでいる。この日はよく晴れていたので、蝶を見るのにもいいかもしれない。
  
しばらく歩いて行くと右側に古い使われていない民家が。この裏手の川はとてもいい音がしていたので、かなりの渓流か滝状になっていたかもしれないが、木々の緑で全く見えなかった。
もう少し進むとちょっと広い駐車できるスペースがあり、道はロープでふさがれていた。この先こそ通行止め。ここまでなら自動車で来れるようだった。
林道はさらに続いていて、ロープから先のほうがコンクリート舗装でむしろいい道だった。が、通行止めになっているからにはそれなりの理由があるに違いない。
林道は大きく左にカーブして続いているが、川はまっすぐ。その川に沿って小道がついていた。
道しるべもある。「旧間瀬銅山道」とあり、この道から弥彦山や角田山に登って行けるらしかった。
  
道しるべ。本当に弥彦山まで登れるのかしらん。

  
道は半分小川と化していた。
道は半分水路のようになってしまっていた。昨日の雨が流れているようだ。
いや、それ以上に道が大きく削れている。土砂などが流れた跡もある。相当な激流が川をはみ出してこの登山道まで来たようだ。もしかしたら2004年7月の集中豪雨の時のものかもしれない。
花やら蝶やらを撮影しながらゆっくり歩いて15分ほど登ると、右手を流れる川の音が変わった。かなりごうごうと流れている。
緑の間に目を凝らすと、滝があった。
これは見事な滝だ。だが、登山道からだと、緑に阻まれて全容がさっぱりわからない。
  緑の間からチラっと見える滝。
とにかく、この滝はあとできちんと見ることにして、先に進んだ。
滝の落ち口あたりで、道が川の上を通り、川を左手に見て進んで行くことになる。
さらに進むとだんだん登りになって、左の川に鉄製の堰堤が見えた。かなり急な登りでその堰堤の上に出る。
堰堤の上を歩いて、川の上流を見てみたら、ほんの跨げる程度の小川になっていて、この先は渓谷は期待できないようだった。
  
鉄製の堰堤の上から下流を撮影。
つまり、ターゲットはさっき緑の中で垣間見た滝だけである。
ということで、戻って、滝前に出られないかどうかさぐった。
実は滝のすぐそばに下に降りられそうな場所があった。激流で土が削られて木々の根っこがあらわになった場所である。根っこをつかんで10メートルくらい下りれば滝前に出られる。だが、削られた土が頑丈なわけがなく、いつ崩れるかわからないし、何よりドロだらけになりそうだ。それはイヤだ。
もう少し下流まで行けば道のレベルが河原に近づいておりやすいかもしれない。
少し戻って、ここらあたりという場所でやぶを分け入って川を覗いた。
ちょうどビンゴだった。なんと堰堤があったのだ。ここより下流から河原に出たら、堰堤を登らなければらないところだった。
ここからなら河原まで2メートルもない。手ごろな場所までやぶこぎして、河原にジャンプで下りた。
あとは、蛇行して流れる川を右に左に渡りながら上流へ進む。
川幅はほんの2メートルもないくらいだから、細い場所を探せば楽に濡れずに移動できた。
ほんの5分も歩かずに滝前に出ることができた。
思ったよりもずっと見事な滝だった。
弥彦山め、こんな滝を隠していたか。
2段に落ちる滝だ。
まっすぐに勢いよく落ちる上段と、細く集められてきゅっと曲がって、勢いよく跳ねながら滝つぼに落ちる下段。
特に下段の曲がり具合と水の走り方がなんとも気持ちいい。
この川、きっと時々氾濫するからあまり整備されていないんだろうが、滝前はちょっとした河原になっていて、お弁当でも広げたらいい感じの空間だ。だれにも知られていないのがもったいない気がした。
お徳な気分で来た道を戻る。
夏の蝶もひらひらと飛んで、近場の山の意外な豊かさに触れた日だった。(蝶の写真はダンナのサイトでどうぞ)
交通
国道402号線沿いを日本海に沿って旧岩室村へと入る。新潟市方面から行くと観音様の立っている白岩とトンネルを通り過ぎて、海とは反対側の左側に田ノ浦温泉がある。少し手前から田ノ浦海岸の駐車場に入るように左折。駐車場のへりを通って、お店の角を左折。あとは川を右に見ながら坂を登って行く。
左手に休業中のレストラン、駐車場などがあるが、もう少し先まで進める。ロープで車止めしてある場所には数台の駐車スペースがある。
そこから先は「旧間瀬銅山道」を登って行く。
川が右から左に変わるあたりが滝の落ち口である。
てっとりばやく滝前に行くにはザイルを持っていくとすぐに下りられるが、注意深く下流がわに戻ると堰堤があるので、そのあたりから河原に出ることができる。
あとは川を右に左に渡って上流に行けば滝前だ。
長靴などあると安心だが、なくても濡れなかった。


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